子犬に必要なワクチンを早見表で紹介!接種する理由や散歩に行けるようになる時期とは?【獣医師監修】

子犬に必要なワクチンを早見表で紹介!接種する理由や散歩に行けるようになる時期とは?【獣医師監修】

病気・健康

2022年09月18日 更新 (2021年04月24日 公開)

chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。

子犬に必要なワクチンを早見表で紹介!接種する理由や散歩に行けるようになる時期とは?【獣医師監修】

そもそもワクチンとは?

ワクチンとは、弱めた病原体の毒素などを利用して、感染症に対する免疫(抗体)を体内に作るための免疫源のことです。万が一その病検体が体内に入ってきたときに、軽度の症状で済ませたり周囲に感染させたりしないようにする仕組みです。

犬にワクチンが必要な理由は?

眠る子犬犬の感染症の中には、命に関わる物や人にもうつる恐ろしい病気もあります。特に犬は散歩などの外出先で感染するリスクが高いため、必ずワクチン接種を行いましょう。


子犬の時期に接種する理由

子犬は生後1ヶ月から3ヶ月にかけて、母犬から受け継いでいた移行抗体が減ってしまい感染症にかかるリスクが高まります。移行抗体が無くなる前に、ワクチンで抗体を作って感染症を予防することが必要です。

子犬のワクチンにはどんな種類がある?

ワクチン犬のワクチンは大きく2種類に分けられます。


コアワクチン

致死率が高く感染力が強く、致死率も高い危険な感染症に対するワクチンです。狂犬病、ジステンパー、アデノウイルス1型/2型、パルボウイルスが含まれ、多くの動物に被害を与える可能性があるため、正しく予防することが大切です。


ノンコアワクチン

生活環境や習慣などを考え、感染のリスクに応じて接種するワクチンです。パラインフルエンザやレプトスピラが挙げられます。


コアワクチン・ノンコアワクチンで防げる犬の感染症は?

元気のない犬コアワクチンやノンコアワクチンの接種は狂犬病を除き任意ではありますが、予防できる感染症には致死率の高い危険なものもあります。


コアワクチンで防げる感染症

・狂犬病

狂犬病は、狂犬病予防法で生後90日以降の国内全ての犬に対して接種が義務づけられています。狂犬病は人にも感染し、発症時の致死率がほぼ100%の恐ろしい病気です。現在の日本は狂犬病が発生していない清浄国ですが、アジアを含む世界では狂犬病が流行している国も多いため、日本で再流行させないためにも、年に1回の接種が義務付けられています。


・パルボウイルス感染症

食欲が落ちて元気がなくなり、発熱、下痢や嘔吐などの消化器症状が現れ、悪化すると毒素性ショックや敗血症を引き起こし、死に至る恐れがあります。生後38週目の子犬は心筋炎を起こす場合もあり、妊娠犬は流産や新生仔突然死の原因にもなり得ます。


・ジステンパー

急性期の症状は発熱、食欲不振、発咳、下痢、嘔吐、胃腸炎など。亜急性期には、よだれや振頭、癲癇様症状、チックやハードパットといった特徴的な症状が見られます。


・アデノウイルス1型感染症(犬伝染性肝炎)

肝臓に炎症を起こし、軽度の場合には発熱や鼻汁、食欲不振などが見られた後に回復します。重症化すると発熱後に肝機能の低下や肝性脳症の他、沈鬱、昏睡、痙攣などの神経症状や粘膜に点状出血、下痢・嘔吐などの消化器症状など様々な症状が現れます。重症型で回復期に移行する際、角膜の青白い混濁が見られる「ブルーアイ」状態になるのが特徴的です。


・アデノウイルス2型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)

ケンネルコフ(犬風邪)の原因となる病原体の1つで、乾いた発咳を特徴とする上部気道炎のほか、発熱、食欲不振、くしゃみ、鼻水などが見られます。



ノンコアワクチンで防げる感染症

・パラインフルエンザ

パラインフルエンザ単独の感染ではあまり症状は見られませんが、他の呼吸器系感染症を併発し、ケンネルコフを引き起こします。


・コロナウイルス感染症

食欲不振や下痢、嘔吐などの消化器症状が見られます。発熱はありません。


・レプトスピラ感染症

人と動物の共通感染症で、5つのタイプ(コペンハーゲニー、カニコーラ、ヘブドマディス、オータムナリス、オーストラリス)があります。風邪症状が出た後、自然に治る場合もありますが、急性の腎炎と肝炎などが原因で死に至る場合もあります。また、血清型によって症状が異なります。

犬の混合ワクチンとは?どの感染症に対応しているか早見表で紹介

狂犬病以外のコアワクチンとノンコアワクチンが混ざったワクチンのことを「混合ワクチン」と呼びます。2種から11種までの10種類あり、予防できる感染症が異なります。どの感染症に対応しているか、早見表でご紹介します。


混合ワクチン早見表

予防できる感染症

2種 3種 4種 5種 6種 7種 8種 9種 10種 11種
ジステンバー(犬ジステンバーウイルス)
パルポウイルス(イヌパルボウイルス)
イヌアデノウイルス1型(犬伝染性肝炎)
イヌアデノウイルス2型(犬伝染性喉頭気管炎)
パラインフルエンザ
コロナウイルス(イヌコロナウイルス)
レプトスピラ(コペンハゲニー型)
レプトスピラ(カニコーラ型)
レプトスピラ(ヘブドマディス型)
レプトスピラ(オータムナリス型)
レプトスピラ(オーストラリス型)
料金相場 3,000~5,000 3,000~5,000 5,000~6,000 5,000~7,000 5,000~8,000 6,000~9,000 7,000~10,000 8,000~10,000 8,000~12,000円 8,000~12,000円

2種〜11種の混合ワクチンの早見表です。予防できる感染症には「○」がついています。

※混合4種ワクチンは製薬メーカーにより、「△」のパラポウイルスまたはパラインフルエンザのどちらかを予防できます。


子犬のワクチンはどう選ぶべき?

子犬のワクチンは、子犬の飼育状況や普段の行動範囲にあわせて選びます。室内飼いがメインで、あまり自然が多い場所へ行かない場合は、「レストピラが含まれていない混合ワクチン」でいいでしょう。

自然が多い場所や、ネズミを含む野生動物がいる環境に行く機会がある場合は、「レストピラが含まれている混合ワクチン」の接種が望ましいです。レプトスピラは、ネズミなどのげっ歯類や、その他の野生動物、牛、馬、豚などの家畜などを経由して感染します。ですから、自然が多い環境で生活する犬や、アウトドアで遊ぶことが多い犬には、レプトスピラの対策が必要になります。


子犬のワクチンは何歳から接種できる?

ワクチン接種される犬子犬は生後8週目からワクチン接種が可能で、間隔の目安は以下の通りです。免疫が確立していない幼犬は感染症にかかりやすいため、間隔を守って正しく接種しましょう。

  • 1回目の接種:生後68週間
  • 2回目の接種:1回目の接種から24週間後
  • 3回目の接種:2回目の接種から24週間後(生後16週齢以上になるまで)
  • 4回目の接種:3回目の接種から1年後

 

子犬のワクチンは毎年接種するべき?

狂犬病ワクチンは毎年摂取すべきですが、他のワクチンはどうでしょうか。WSAVA(世界小動物獣医師会)のワクチンガイドラインでは、コアワクチンは免疫持続期間が何年にもわたり、終生持続することもあるため、「3年毎より短い間隔で接種すべきではない」としています。ノンコアワクチンは年1回の接種を推奨しています。

ただし、海外と日本では使用するワクチンが異なりますので、年1回の抗体検査を行い、抗体量が足りない場合に追加接種するのが理想です。

子犬のワクチン接種の前日・当日・後日で気をつけるべきことは?

ワクチン接種前日

基本的に普段通りに過ごせます。ただし、来客やシャンプー、慣れない場所へのお出かけなど、過度なストレスがかかることは避けましょう。


ワクチン接種当日

興奮しがちな犬の場合は、食後12時間程度の間を開けてから接種するといいでしょう。血流がよくなりすぎて副作用が出る場合がありますので、摂取前後の長時間のお散歩や激しい遊びは控えましょう。接種後1530分はアナフィラキシーに注意して、目を離さずに様子を見守ります。異常があればすぐに動物病院で受診してください。


ワクチン接種後23

元気がない、食欲がないなど、普段と変わったところがあれば動物病院に相談しましょう。また、摂取前日と同様、ストレスがかからないようにしてあげてください。

ワクチンを接種した子犬はいつ頃に散歩に行けるようになる?

子犬の散歩散歩のスタートは、3回目のワクチンを接種して1週間程経ってからにしましょう。ワクチンを接種してから抗体ができるまで1週間ほど時間がかかるため、接種後すぐは散歩先で感染症にかかるリスクが残ってしまうからです。

子犬のワクチンの注意点は?

ワクチン摂取後に、アナフィラキシーやムーンフェイス(顔が腫れるアレルギー反応)、嘔吐や下痢などの副作用が起こらないか、注意して様子を見守る必要があります。もし副作用が起きてしまった場合はすぐに動物病院に連れて行き、今後のワクチン接種について担当獣医師と相談しましょう。