「犬の十戒」は子犬を迎える前に必ず読んで!飼い主として知っておきたいその内容とは?【ペットロスを研究する大学教授監修】

「犬の十戒」は子犬を迎える前に必ず読んで!飼い主として知っておきたいその内容とは?【ペットロスを研究する大学教授監修】

子犬を迎える前に知っておきたいと言われる「犬の十戒」。犬の目線から語られる詩で、飼い主に犬を飼うことの責任や心構えを教えてくれます。そんな「犬の十戒」について、ペットロスを研究するヤマザキ動物看護大学教授の新島典子先生に解説していただきました。

子犬を迎える前に知っておくべき「犬の十戒」とは?

犬と人との信頼関係「犬の十戒(The ten commandments)」 とは、犬の視点で書かれた詩で、飼い主がペットを飼育する際の10の戒め(教え)のことです。作者不明とされることが多いですが、犬の行動心理カウンセラーで犬の服従訓練も行うStan Rawlinsonさんによって1993年に公開されたホームページが注目を集め、世界的に広がったようです。


この「犬の十戒」には、犬にとって重要だと思われる飼い主へのさまざまな戒めが書かれています。特に犬への信頼や寛容な気持ちを持つことの大切さ、犬も怒り、傷つき、心身に痛みを感じる存在であること、犬を許すことの大切さなどが、犬視点で語りかけるように書かれ、世界中の人々に共感や感動を引き起こしています。

飼い主が子犬を迎える前に「犬の十戒」を知っておくべきなのはなぜ?

なぜ子犬を迎える前に、この「犬の十戒」を知っておくべきなのでしょうか。それはこの詩に触れることで、飼い主が犬と暮らすことの意味と責任を考えるきっかけになるからです。

私たち人間が生きる広く重層的な社会とは異なり、犬の生きる社会は、飼い主を通して経験する限られた範囲のものです。さらに、人間が生きる80年前後の寿命に比べ、犬の寿命はとても短いのです。そのことを「犬の十戒」を通してあらかじめ確認することで、飼い主は犬への配慮の気持ちを養うことができます。

それでは、「犬の十戒」の内容について詳しく解説していきましょう。

「犬の十戒」第一戒

わたしの一生は、10年から15年ほどしかありません
ほんのわずかな間でも、あなたと離れるのはつらいのです
わたしのことを迎える前に、覚えておいてくださいね


解説:飼い始めると平均10年から15年前後は、犬との生活が続きます。一緒に過ごす犬のことを理解し、犬のために多くの時間を割く必要があると理解したうえで飼い始めてほしいことが書かれています。

「犬の十戒」第二戒

犬のしつけあなたがわたしに望むことを
わたしがわかるようになるまでは
少し時間がほしいです


解説:人と犬がストレスなく暮らすには、最低限のドッグトレーニングが必要です。習得するまである程度、手間と時間がかかります。飼い主には、そのことをあらかじめ理解し、覚悟して大らかに向き合ってほしいと書かれています。

「犬の十戒」第三戒

わたしを信頼してください……
それだけでわたしは幸せです


解説:犬は打算がなく、無垢で純粋な生き物です。飼い主に信頼されることが何よりの喜びであることが書かれています。

「犬の十戒」第四戒

わたしを長く叱ったり、罰だといって閉じ込めたりはしないでください
あなたには仕事や楽しみもあり、ほかにお友達もいるでしょう
でも……わたしにはあなたがすべてなのです


解説:日々の刺激が限られており、飼い主とのかかわりをとても楽しみにしている犬にとって、長時間の叱責や閉じ込めは、とてもショッキングな出来事です。しつけはその場できちんと終え、すぐにいつも通り仲良く接してほしいと書かれています。

「犬の十戒」第五戒

犬に話しかける私とお話ししてください
あなたの言葉そのものの、意味は理解できなくても
わたしに話しているのだと、あなたの声でわかるのです


解説:学校にも職場にも行けない犬にとって、友達は飼い主だけ。だから頻繁に声を掛けてほしいし、犬のことを思っていること、考えていること、大好きであることを、話しかけを通じてしっかり示してほしいと書かれています。

「犬の十戒」第六戒

いつもわたしにどんなふうに、接してくれているでしょうか
意識してみて下さいね わたしは絶対忘れませんよ


解説:大事にしてくれたこと、かわいがってくれたこと、一緒に遊んでくれたこと、優しく話しかけてくれたこと、あるいはひどい扱いを受けたことなど、飼い主が自分にどんなふうに接してくれたか、犬はずっと覚えているのだと書かれています。

「犬の十戒」第七戒

わたしを叩く前に、思い出してください
わたしにはあなたの手を簡単に嚙みくだける歯があることを
それでもわたしは、あなたを嚙んだりはしないのです


解説:甘噛みを覚えた犬は、大好きな飼い主を決して本気で噛んだりはしません。だから、飼い主も犬を叩く前にそれを思い出し、叩かないでほしいと書かれています。

「犬の十戒」第八戒

言うことを聞かない、頑固で怠けものと叱る前に、
わたしがそうなる原因はないか、まずは考えてみてください
ちゃんと食事をもらえていなかったのでは
太陽が照りつける熱い場所に、長時間おきざりにされなかったか
年を取り、心臓が弱ってきているのではないか


解説:人間目線で見ているだけでは気づけずに誤解することもあります。犬の目線で、犬に配慮し、犬の立場から考えることの重要性が書かれています。

「犬の十戒」第九戒

犬と人の信頼関係わたしが年を取ってもどうか見捨てないでください
あなたも同じように年を取ってゆくのです


解説:犬の寿命は短いので、人間より老化のスピードは速いです。でも、速度が違うだけで、いずれは飼い主も同じように年を取ります。だから、年を取った犬のことも、どうか大事にしてほしいということが書かれています。

「犬の十戒」第十戒

最期の旅立ちのときも、そばでわたしを見守って下さい
「見ているのはつらい」とか「わたしのいないところで逝かせて」なんて言わないで
あなたがそばにいてくれるだけで、どんなことも私には簡単になるのです
あなたが大好きだから、どうか忘れないで


解説:ここにある“最期の旅立ち”は、原文では“difficult journeys”と表現されています。直訳すると「困難な旅」を意味し、犬が死ぬときに限らず、生きている間に経験する苦手なこと、怖いこと全般を指しているとも考えられます。しかし、多くの翻訳本では、あえて「最期の旅立ち」と意訳されています。それは、ペットを虐待する人、劣悪な環境でひどい飼い方をする悪質ブリーダー、人間の勝手な都合で簡単にペットを捨てる飼い主に対する啓蒙を行うためだと言われています。

「犬の十戒」と一緒に知っておきたい「虹の橋」とはどんな詩?

犬と人の信頼関係「虹の橋」(作者不明)とは、世界中の多くの動物関連サイトで伝承されている詩です。かわいがってきたペットや世話をしてきた野生動物を失くした経験のある、世界中の動物好きの間で愛好されています。


その内容は簡単に言うと、次のようなストーリーです。


「亡くなったペットたちは、天国の手前にある“虹の橋”のたもとへ行き、そこで完全に健康な姿に戻って、他のペットたちと楽しく遊んで過ごします。そこは、新鮮な食べ物と水がたっぷりあり、太陽がさんさんと輝く快適な場所。やがて、亡くなった飼い主も、この橋のたもとに到着します。そこで飼い主とペットは再会し、一緒に“虹の橋”を渡って天国に入り、二度と離れることはないのです」

「虹の橋」がペットロスを癒す一助に

亡くなったペットは、空の上の橋のたもとで楽しく仲間と遊んでいると考えることで、飼い主のつらい気持ちもいくらか救われるでしょう。突然の事故による急な別れ、闘病や介護の末の苦しい別れ、さまざまな別れ方をしたペットが、天国で再び楽しそうに走り回る様子を想像することで、生前の楽しかった時間を思い出すことができるのです。 それによって、飼い主は愛するペットを失って心にぽっかり空いた穴を埋めることができるかもしれません。


また、死別してもいずれ再会できるのだと想像することで、「その時まで頑張ろう」「その時こそもっとかわいがろう」と、飼い主自身が亡くなったペットに思いをはせ、日々の生活に前向きに向き合えるようになるかもしれません。

飼い主にとって「犬の十戒」や「虹の橋」の存在とは?

犬と人の信頼関係「犬の十戒」は、犬という生命と生活をともにすることの大きな責任を、犬を迎える前に、あらかじめ考えるきっかけとなるものです。自分を優先しがちな人間が、犬への配慮の必要性を実感すれば、終生責任をもって世話をする飼い主が増えるでしょう。動物愛護センターで殺処分される犬も減り、虐待予防にも役立つでしょう。


「虹の橋」の内容については、非科学的で非現実的なフィクションだと否定的に見る人もいるかもしれません。 しかしながら、経験や知識は人それぞれで異なり、ペットロスの感じ方も人それぞれです。社会学ではこのように人によって感じ方がずれる状態を「リアリティ分離」という概念で説明しています。「虹の橋」の詩によって気持ちが救われる飼い主はたくさんいますので、こうしたストーリーを共有することも、十分意義のあることだと言えるのではないでしょうか。

専門家のコメント

犬を飼い始める前の心得として知っておきたい「犬の十戒」と、大切なペットを失い、悲しみに暮れる飼い主に、少しの希望を持たせてくれる「虹の橋」。どちらも犬を迎え、ともに暮らし、見送るときに、飼い主の支えとなることでしょう。

監修/新島典子先生(専門社会調査士)


ヤマザキ動物看護大学教授
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学

 

専門社会調査士、修士(社会学)。専門はペットの社会学、死生学。大学にて教育研究の傍ら、社会における人と動物の多様な関係性について調査を行い、さまざまなメディアでコメントしている。共著書に『ヒトと動物の死生学』(秋山書店)、『東大ハチ公物語』(東京大学出版会)、『Companion Animals in Everyday Life』(Palgrave Macmillan)、『動物の事典』(朝倉書店)他がある。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

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カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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