犬の尿路結石とは?原因と対処法、普段の生活での注意点などを解説【獣医師監修】

犬の尿路結石とは?原因と対処法、普段の生活での注意点などを解説【獣医師監修】

皆さんの中には、尿路結石の痛みについてほかの人から聞いたり、ご自身が経験なさった方がいらっしゃるかもしれません。この病気、実は人間だけではなく犬がかかることもあるんです。しかも、尿路結石は重大な腎疾患に進行する危険性もあり、早期治療はとても大切です。愛犬が排尿の際の違和感や痛みを感じていたら、飼い主としては早く気づいてあげたいですね。犬の尿路結石について、対処法や注意したいことについて、chicoどうぶつ診療所の所長である、林美彩先生に解説いただきます。

犬の尿路結石とは?

犬の尿路結石とは?原因と対処法、普段の生活での注意点などを解説【獣医師監修】おしっこが作られて体外に排出されるまでには、腎臓→尿管→膀胱→尿道を通ります。尿路結石とは、おしっこに含まれるさまざまなミネラル成分が何らかの原因で濃縮され、こうしたおしっこの通り道で結石となる病気です。結石が尿路を塞ぐことで、さまざまな症状を引き起こします。


尿路結石の種類は?

結石には以下のような種類があり、犬の結石は、ストラバイト尿石やシュウ酸カルシウム尿石が比較的多いとされています。おしっこのph(イオン濃度)は、7.0を基準として、これよりも大きい数値であればアルカリ性、小さい数値であれば酸性を示します。犬のおしっこは正常であればph 6.26.4前後となっておりやや酸性寄りですが、結石によってはphによって出現しやすい傾向があります。

 

・ストラバイト尿石(ストルバイト、リン酸アンモニウムマグネシウム)

→リン酸アンモニウムマグネシウムによる結石で、アルカリ尿で発生しやすい傾向にあります。

 

・シュウ酸カルシウム尿石

→シュウ酸カルシウムによる結石で、どのphでもできる可能性がありますが、比較的、酸性に傾くことでできることが多い傾向にあります。

 

・尿酸アンモニウム尿石

→尿酸アンモニウムによる結石で、高尿酸尿症になるとできます。ダルメシアンでは遺伝的なプリン体代謝異常があり、そこに関連していますが、ブルドックでも見られることがあります。

 

・シスチン尿石

→シスチン(アミノ酸の一種)による結石で、遺伝的な代謝障害などにより、シスチンの尿中濃度の増加に伴って結晶、結石化します。

犬の尿路結石の症状は?

尿路結石と言っても具体的な症状までちゃんと理解している人は多くないかもしれません。以下に主な症状について解説します。


初期症状について

犬が尿路結石にかかると、おしっこが出にくくなり、残尿感も感じるようになるため、落ち着きがなくなりトイレに何度も行ったり、トイレに失敗したりするようになります。結石が膀胱・尿道の粘膜を傷つけることによって、おしっこに血が混じることもあります。また、石になる前の結晶が尿中に見られることもあります。


症状が進行すると?

オスの場合には尿道が細いために、結石になる前の結晶の状態でも尿道に詰まってしまうことがあります。結石が完全におしっこの道をふさいでしまうと、膀胱破裂や急性腎不全を起こして、最悪の場合命を落としてしまうこともあります。メスの場合には尿道も太めなので、結晶や結石が詰まってしまうというリスクはオスに比べると低くなります。

犬の尿路結石の原因は?

犬の尿路結石とは?原因と対処法、普段の生活での注意点などを解説【獣医師監修】犬が尿路結石になってしまった場合、食事や排せつ環境、体質など、さまざまな原因が考えられます。


食事による影響

結石は、リンやマグネシウム、カルシウムなどのミネラルから作られます。そのため、犬がミネラル過多な食事を続けていると結石ができやすくなります。また、水分が不足したり、水分の含有量が少ないドライフードばかりを食べていても結石ができやすくなります。


おしっこの量の変化

水分をしっかり与えていても、体質的に排尿として出すことが苦手な犬もおり、そういう場合は結石ができやすいと言われています。量や回数の変化や、トイレの回数が少ない犬の場合には、おしっこの濃度が高まるので尿石リスクが高くなります。また、留守番中にトイレを我慢してしまっている場合は注意が必要です。


膀胱炎(細菌感染)

膀胱内で細菌が増殖し、炎症が起きている時は、おしっこのphがアルカリ性に傾いている状態となり、ストラバイト尿石ができやすくなります。尿石による膀胱炎もあれば、膀胱炎から尿石になることもあります。冬場は寒いことで飲水量が少なくなりがちなので、膀胱炎、尿石症が多発しやすい傾向にあります。冬場であっても、しっかり水分を摂らせてあげましょう。

尿路結石になりやすい犬種は?

犬種や性別によって尿路結石を抱えやすいかどうかは飼い主としても気になるところかもしれません。犬種や性別によって差はあるのかについて解説します。


特に尿路結石になりやすい犬種は?

ダルメシアンヨーキーは尿酸アンモニウム尿石になりやすいと言われています。ミニチュアシュナイザーはストルバイト尿石、シュウ酸カルシウム尿石のどちらもできやすく、イングリッシュブルドッグはシスチン尿石になりやすいとされていますが、先天的に代謝異常やその関連疾患を持っていることも原因とされています。


性別でかかりやすさの違いはあるの?

メスは尿道が短いため、細菌感染による膀胱炎リスクはオスより高い傾向にあり、注意が必要です。ストラバイト尿石は女の子に多いものの、その他の結石は尿道の細いオスの犬に多く見られます。

愛犬が尿路結石になった場合の治療法は?

犬の尿路結石とは?原因と対処法、普段の生活での注意点などを解説【獣医師監修】療養食でおしっこのphを整えることが治療につながることもあり、蓄積されている結石の種類によって治療法は異なります。


ストラバイト尿石の場合

アルカリ尿で発生しやすいため、療法食を用いて尿中のアンモニウム、マグネシウム、リン酸の濃度を下げておしっこを酸性化させます。飲水量をしっかり確保し、療養食(疾患に対しての食事)の効果を得るためには、おやつを与えないようにしましょう。重度のストラバイト尿石で溶解が難しい場合には、手術で摘出することもあります。


シュウ酸カルシウム尿石、尿酸アンモニウム尿石の場合

どちらの場合も、ストラバイト尿石のように溶解することはできません。結石が小さい場合は、たっぷり水分を摂らせて尿量を増やすことで、おしっこから排出させられる場合もありますが、結石が大きい場合は手術で摘出することになります。


その他

犬の状態によっては抗生物質や消炎剤、止血剤などを用いることがあります。

食事で気をつけたいことは?

犬があまり水分をとりたがらないなどで水分摂取が難しい場合には、ドライフードではなくウェットフードに変更する、ドライフードを水でふやかして与えるなどの工夫が必要です。食事はとても大切なので、添加物が多い粗悪なフードを見直し、犬には良質の食事を与えたいですね。


療法食を取り入れることはある?

マグネシウムやミネラルが尿中に多い場合は、疾患に対しての食事である療法食を採用する場合があります。ただし、通常の栄養バランスと異なるので予防として取り入れることはありません。

犬の尿路結石の予防法は?

犬の尿路結石とは?原因と対処法、普段の生活での注意点などを解説【獣医師監修】犬の尿路結石を予防するためには、毎日の生活習慣の見直しが必要です。普段の生活で気をつけるべきことを解説していきます。


十分な水分摂取

犬の1日の水分摂取量は体重×5070ml程度と言われていますので、その量をしっかり摂取できているかの確認をしてみましょう。器の材質を変えてみたり、お水の温度、水飲み場の場所を工夫して、十分に水分を摂れるようにしてあげるといいでしょう。


トイレしやすい環境づくり

十分な水分を摂り、しっかり排尿することが尿路結石の予防になります。そのため、落ち着いてトイレができる環境を作ってあげることも大事です。トイレはリラックスして行うものですので、人の出入りが激しいドア付近などは落ち着かないので避けたほうがいいでしょう。


十分な運動をさせる

人間同様に犬も運動不足による肥満には注意しなければなりません。肥満は尿路結石だけではなくその他の疾患の原因にもなりますので、毎日散歩に連れ出すなどして適切な運動をさせてあげるようにしましょう。運動が不十分なとき、時には食事量をコントロールして摂取カロリーが多くなりすぎないように気をつけてあげることも必要です。

 

天候や仕事などの関係で運動を思う存分できなかった場合には、知育玩具を使って飼い主さんと一緒に楽しい時間を過ごすことができるといいですね。

犬の尿路結石の早期発見のために、飼い主が普段からチェックしたいことは?

予防を徹底しても尿路結石を抱えてしまう場合があります。そんな時はできるだけ早期に発見したいものです。愛犬の尿路結石を早期発見をするためのチェックポイントを以下に紹介します。


犬のおしっこのチェック

色、匂い、回数などに気をつけて、継続的にチェックしてあげるといいでしょう。おしっこの色が濃い、匂いが強い場合には脱水が考えられ、おしっこが濃縮していることが疑われます。排尿の回数は犬の個性もあるので、いつもと大きく変わるようなら、尿路結石のほかの症状がないか様子をよく観察してあげましょう。


動物病院で早めのチェック

動物病院では、尿試験紙を用いた検査でphを測ったり、顕微鏡を用いた検査をしてもらったりすることができます。犬に気になる様子があれば、定期健診に連れて行ったときなどにそうした検査をお願いするといいでしょう。病院に犬のおしっこを持参して検査してもらう場合は、出来るだけ早めに持っていくようにしましょう。

専門家のコメント

おしっこのphをアルカリ性にも酸性にも偏らせることなく、理想的な値をキープできる場合は、結石になりにくい傾向にあります。犬の体質や種類によっては、注意していても尿路結石にかかってしまうことがあるかもしれません。また、出血については、病院に行かないでいいのはメスの発情期(人間の生理のようなもの)だけなので、特に見逃さないようにしてあげたいものです。もしすでに愛犬が尿石症を患ったことがある場合は、結石になりやすい体質だと言えるので、再発に注意が必要です。かかりつけの獣医師に相談しながら食事と水分摂取量の管理のほか、適度な運動を取り入れるなどして体質改善を図ってあげたいですね。

監修/林美彩先生(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を開設。著書に「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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