犬は蕎麦を食べても大丈夫!知っておきたい正しい与え方や注意点、健康面のメリットや適量などを解説【獣医師監修】

犬は蕎麦を食べても大丈夫!知っておきたい正しい与え方や注意点、健康面のメリットや適量などを解説【獣医師監修】

食べ物

2022年09月12日 更新 (2021年09月30日 公開)

酪農学園大学獣医学群獣医学類 准教授。 酪農学園大学附属動物医療センター集中治療科診療科長。幼い頃より無類の動物好きで、今も変わらず動物全般が大好き!

犬は蕎麦を食べても大丈夫!知っておきたい正しい与え方や注意点、健康面のメリットや適量などを解説【獣医師監修】

犬に蕎麦を食べさせても大丈夫!

結論から言うと、犬に蕎麦を食べさせても問題はないでしょう。栄養面では、お米やうどんなどと比較してカロリーが低く、食物繊維やたんぱく質が豊富、抗酸化成分であるルチンを含むなどのメリットが挙げられます。

 

もちろん、非常に稀ですが、お蕎麦に対するアレルギーを持つ子がいますので、あらかじめアレルギー検査でお蕎麦がアレルゲンで引っかからないか確認しておくと安心です。お腹の弱い子にはあげない方が良いでしょう。また、与えあとに、嘔吐や下痢、口の周りを痒がる、目の周りを痒がるなど調子が悪くなることなどがあれば、すぐにかかりつけの病院へ行くようにしてください。

 

犬に食べさせる蕎麦粉の割合にも注意

蕎麦には十割蕎麦や二八蕎麦など様々な種類があります。二八蕎麦には小麦も含まれているので、小麦アレルギーにも気をつける必要があります。蕎麦のパッケージなどに記載されている成分表で、アレルギー成分が入っていないかを必ず確認しましょう。

子犬や老犬(シニア犬)に蕎麦を食べさせても大丈夫?

基本的には与えても大丈夫ですが、子犬とシニア犬はどちらも成犬に比べると胃腸機能が弱いので、蕎麦を柔らかく茹でて細かく刻んでから与えるなど、食べやすい与え方や与える量に注意してあげてください。子犬の場合は消化機能が発達していないので離乳食が終わってから与えましょう。

持病のある犬に蕎麦を食べさせても大丈夫?

食べ物へのアレルギーを持っている子、お腹を壊しやすい子は注意が必要です。また、腎臓の機能が弱っている子や、腎臓病の子には与えない方が良いでしょう。蕎麦にはリンが含まれています。本来、リンを過剰に摂取してしまった場合は、腎臓の調整機能によってリンを排泄します。しかし、腎臓の働きが良くない子や腎臓に病気を持っている子は、リンが上手く排泄されず、体に蓄積し悪影響を与えてしまいます。

蕎麦に含まれている栄養素は?

蕎麦にはどんな栄養素が含まれているのでしょうか。含まれている栄養素と、その働きについて見ていきましょう。

 

ルチン

ルチンには毛細血管を強化する効果があります。そのほか、抗炎症作用による動脈硬化の予防や、皮膚の老化予防、がん予防も期待できる栄養素。ビタミンCの吸収を促す働きがあるので、ビタミンCが豊富な食材と一緒に食べさせると効果的です。

 

食物繊維

蕎麦には食物繊維が豊富で、文科省の食品成分データベースの数値で比較するとお米の2倍ほど含まれています。消化管運動の促進効果だけでなく、消化管内の腸内細菌の餌となるため、お腹の調子を整えるために良い成分と考えられます。

 

ビタミンB1B2

皮膚や粘膜、免疫の抵抗性を高めるビタミンです。これらが多く含まれていることにより、体の調子全般を整えることになります。

 

リン

リンはカルシウムと結びつくことで犬の骨や歯を丈夫にする働きがあります。ただし、リンの吸収はほとんど消化管で行われるので、お腹を壊しているような子に与えても吸収されません。

犬に蕎麦を食べさせるメリットは?

食事する犬

様々な栄養素を含んでいる蕎麦を犬に食べさせることによって、以下のようなメリットが期待できます。

 

アンチエイジング効果

ルチンには老化の原因になる活性酸素を取り除く効果があるので、アンチエイジングに有効といえるでしょう。

 

免疫力アップ・皮膚や粘膜の健康の維持

蕎麦に多く含まれるビタミン群(特にビタミンB群)は非常に吸収もよく、粘膜や皮膚の強度を強め、免疫力Upに効果的です。

 

便秘改善

蕎麦に含まれる食物繊維が消化管運動を促進し、消化管運動をよくしてくれます。

犬に蕎麦を食べさせる際の1日の適量は?

犬の大きさごとに、1日の適量を見ていきましょう。以下に記載しているのは犬の体重とカロリーから計算した目安の量です。初めて与える際はごく少量にし、愛犬の様子をみながら量を調整しましょう。

 

■超小型犬(約3㎏)…20g

■小型犬(10㎏)…60g

■中型犬(25㎏)…150g

■大型犬(30㎏)…180g

犬に蕎麦を食べさせる際のおすすめの方法は?

蕎麦を茹でる

生麺や乾麺のまま与えるのはNGです。蕎麦のパッケージの裏面などに記載されている茹で時間以上は茹で、芯がなくなるまで柔らかくしましょう。また、細かくカットし消化吸収されやすいようにします。熱いままでは犬の口内が火傷してしまう危険があるので、必ず冷水などで人肌くらいの温度まで冷ましたものを与えてください。

犬に蕎麦を与える際の注意点は?

ここまで蕎麦について解説してきましたが、改めて犬に蕎麦を与える際の注意点についてまとめて見ていきましょう。

 

まずは蕎麦の成分をチェック

パッケージの裏面から蕎麦粉100%でできているのか、その他の原料が含まれているのかどうかを確認。小麦が含まれている蕎麦もあるので小麦アレルギーを持っている犬の場合は避けましょう。

 

茹でて細かくしてから与える

蕎麦(麺)は長く、そのまま与えると犬の喉に引っかかり危険です。蕎麦が固い場合も消化不良で下痢などに陥りやすいので、必ず芯がないように柔らかく茹でて、細かくカットしてから与えます。特に小型犬やシニア犬、お口にトラブルを抱えている子は細かく切ってあげることが大切です。

 

火傷防止のため必ず冷ましてから与える

熱いままでは犬の口内が火傷してしまうので、必ず冷水などで冷まし、人肌くらいの温度にしてから与えましょう。

 

味付けはNG

塩や蕎麦つゆなどで味付けしてしまうと高血圧や肥満などの病気になってしまうので、味付けはしないでください。

 

食べさせる場合は少量から

初めて食べさせる場合は特に、胃腸をびっくりさせないようにするためと、アレルギー反応の有無をみるために規定量の1/41/3程度をあげるようにしましょう。

 

蕎麦だけでなくバランスよく与える

蕎麦だけ与えると栄養成分が偏ってしまいます。おやつとして与えたり、食事のドッグフードにトッピングや混ぜ込んで与えたりすると栄養が偏らずおすすめです。

蕎麦に犬がアレルギーや中毒症状になる成分は含まれている?

具合が悪い犬

蕎麦を食べてアレルギー症状を発症してしまう犬もいます。どんなアレルギーに反応してしまうのか、注意点も合わせて見ていきましょう。

 

蕎麦アレルギー

蕎麦の種子に含まれるたんぱく質成分に反応してアレルギー症状を発症すると考えられています。もともと植物やたんぱく質など、何らかのアレルギーのある犬に蕎麦を与えることはやめたほうがいいでしょう。

 

小麦アレルギー

二八蕎麦には蕎麦粉の他に小麦粉を含んでいるので、小麦アレルギーを発症する可能性があります。小麦も同様で、小麦のたんぱく質成分に反応して発症するといわれています。

 

ネギやわさびにも注意!

ネギは犬にとって危険な食材で、食べることで中毒症状を引き起こしてしまいます。わさびも犬にとっては刺激物で胃腸の粘膜を壊し、下痢などを起こします。人間には薬味として蕎麦には欠かせない食材ですが、犬に与える際には蕎麦にネギやわさびが入っていないか事前に確認が必要です。

蕎麦を食べた犬がアレルギーや中毒症状になった場合の症状は?

アレルギーや中毒症状になったり、体調不良を起こしたりした場合、どんな症状が出るのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

 

湿疹・かゆみ

アレルギーの代表的な症状である湿疹やかゆみ。口や目の周りなど特定の部位に発症します。

 

嘔吐

アレルギーのある食材を体外に出そうと反応するため嘔吐します。基本的にはアレルギー物質を体外に出せば嘔吐は治りますが、念のため獣医師に診てもらいましょう。

 

下痢

胃腸など消化器が弱って、下痢などの症状が現れることがあります。症状が長引く場合や水便の場合はすぐに動物病院で受診してください。

 

喘息

いつもの咳と違い、苦しそうにしていたらアレルギーを起こしているかもしれません。重度の場合は、呼吸困難につながる恐れがあります。

 

これらの症状が見られた場合や、愛犬が普段と違う行動をしているなど気になることがあれば、すぐに動物病院で獣医師に相談してくださいね。

 

犬に「そばの実」「そば茶」「そば湯」「そば粉」を食べさせても大丈夫?

そばの実

アレルギーを持っている犬に与えるのは一律でNGです。アレルギーがない犬には、食べさせても問題はないですが、それぞれ以下の点に気をつける必要があります。

 

そばの実

消化が良くないので少量のみにしましょう。

 

そば茶・そば湯

飲ませても問題ありませんが、大量に与えるのは避けましょう。

 

そば粉

ドッグフードに振りかけて食べさせる方法があります。大量に与えるのは避けましょう。

犬に蕎麦と一緒に食べさせてもいいトッピングは?

一緒に食べさせることで、様々な栄養を摂らせることができます。以下の、食べさせても大丈夫な食材を参考に、蕎麦にトッピングしてみましょう。

 

海苔

タンパク質や食物繊維など栄養が豊富な食材です。トッピング程度の少量にとどめ、味付け海苔などではなく、味付けしていないものを選びましょう。

 

納豆

納豆は植物性たんぱく質や食物繊維、ビタミンなど栄養豊富な食材。納豆の独特の匂いを嫌がる子もいますが、好んで食べる子もいます。大豆アレルギーがないか事前に確認して与えましょう。

 

オクラ

オクラには整腸作用のあるビタミンB1や便秘予防に期待ができるペクチンなどが含まれています。また、カリウムやカルシウム、リンなどのミネラルも豊富ですが、前述したように腎臓が弱い犬には与える量を少なくしましょう。

 

山芋

アミラーゼという消化を助ける酵素が含まれているため、胃腸の調子を整えてくれる働きがある野菜です。しかし、人間と同じように、山芋のネバネバ成分で皮膚にかゆみが出ることもあるので、皮膚の弱い犬には与えないなど、与える際には注意が必要です。

 

きゅうり

95%が水分でできているきゅうりはとても低カロリーな食材。与える際は、ウリ科の食べ物にアレルギーがないか確認し、皮をむいてあげましょう。

犬に蕎麦以外の麺類を食べさせても大丈夫?

ちなみに、蕎麦以外のうどんやパスタ、中華麺などの麺類も与えて大丈夫なのでしょうか? それぞれ与える際の注意点なども合わせて見ていきましょう。

 

うどん

主食ではなくおやつとして少量であれば与えても大丈夫な食材です。よく茹でて包丁などで細かくして与えましょう。

 

そうめん

そうめんは、うどんと太さ違いの食材ですので与えても大丈夫です。柔らかく茹で、細かくカットしたそうめんは、消化にも良いため、エネルギー源になります。

 

パスタ

パスタは与えても問題ありませんが、茹でる際に塩は添加せず、必ずお湯のみで茹でたものを用意してください。犬用のパスタを与えるのも良いでしょう。

 

中華麺(ラーメン)

お湯で茹でた麺のみを与えるのであれば与えても問題ありませんが、味付けしたものはNG。カロリーが高いので少量にするのがポイントです。

 

上記の麺類には、すべて小麦粉が含まれているので、小麦アレルギーがある犬には与えないようにしてください。商品によっても含まれている成分が違いますので、愛犬に当てはまるアレルギー成分がないか、必ず成分表を確認しましょう。

 


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