オーストラリアン・キャトル・ドッグの性格や特徴は？飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種名	オーストラリアン・キャトル・ドッグ
英語名	Australian Cattle Dog
原産国	オーストラリア
分類	中型犬
グループ	1G：牧羊犬・牧畜犬

オーストラリアン・キャトル・ドッグ【英語名：Australian Cattle Dog】は、Cattle（英語で牛、畜牛の意味）という名前のとおり、牛追い犬として人間と暮らしてきた犬です。

オーストラリアの開拓民は、イギリスから連れてきた牧羊犬をオーストラリアの環境により適応させるため、オーストラリアの野犬ディンゴやスコットランド産のブルーマール・コリーを掛け合わせました。その犬種にさらにダルメシアンやブルテリアなどを交配して生まれたのが、オーストラリアン・キャトル・ドッグのルーツだといわれています。

青い毛並みが特徴で、牛のかかと（英語でheel:ヒール）を噛んで牛追いをしていたことから、「ブルーヒーラー（Blue Heeler）」などの愛称でも呼ばれています。

体高：オス約46～51cm、メス約43～48cm
体重：オス約18～21kg、メス約18～21kg

オスとメスで体格にそれほど大きな差はなく、筋肉質でがっしりとした体形が特徴的です。

オーストラリアン・キャトル・ドッグの平均寿命は13～15年前後とされ、比較的健康で長生きをする犬として知られています。オーストラリアン・キャトル・ドッグは中型犬に分類されますが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、中型犬の平均寿命は13.4歳のため、平均的かやや長生きすると考えておきましょう。
これまで最も長生きした犬としてギネス記録に認定されている犬は、オーストラリアで暮らしていたオーストラリアン・キャトル・ドッグのブルーイです。29歳5カ月まで生き、約20年間牧羊犬・牧畜犬として活躍しました。

犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

オーストラリアン・キャトル・ドッグの毛色は、ブルーまたはレッドが主流です。被毛は短く密生するアンダーコートとやや硬いトップコートのダブルコート（被毛の層が2層）です。春と秋には毛が大量に生え替わります。

耳は大きく立っており、胴は長めで首や足は太く、尻尾は被毛が豊かで垂れています。

オーストラリアン・キャトル・ドッグは忍耐強く、好奇心旺盛な性格です。とても賢く、飼い主に忠実な性格ですが、その一方で独立心が強く、見知らぬ人には一定の距離を置く傾向にあります。

また、牛追い犬として活躍していたように高い運動能力と強靭なスタミナを持っており、日頃から多くの運動量を必要とします。

オーストラリアン・キャトル・ドッグを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。

タイミング	内訳	費用の目安
迎えるとき	ペットショップ、ブリーダー	約30万円～　※ブリーダーによる
飼い始めるとき	畜犬登録料	約3,000円
	生活用品（クレートやケージなど）	約5～7万円
1年に1回かかる費用	狂犬病予防接種費	約3,500円
	混合ワクチン接種費	約5,000～10,000円
毎月かかる費用	消耗品（フードやおやつなど）	約5,000～10,000円

飼い始める際にかかる費用

オーストラリアン・キャトル・ドッグは、ペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。ブリーダーから購入する際は約30万円からが目安とされていますが、時価となり価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、オーストラリアン・キャトル・ドッグのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に（子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に）お住いの自治体に犬の登録（登録料は3,000円程度）を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング（およそ生後110日前後）で打たせます。

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飼い続けるために必要な費用

犬を養育する上での生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200～300万円といわれています。

なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

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オーストラリアン・キャトル・ドッグを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。オーストラリアン・キャトル・ドッグは多くの運動を必要とするため、自由に走り回れるようなボールやフライングディスクといったおもちゃが準備できると理想的です。

犬の生体代を除く初期費用としては、5～7万円程度を見込みましょう。

毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円～10,000円ほどです。

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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主の元へ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000～5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、オーストラリアン・キャトル・ドッグを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000～5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策を取るのもおすすめです。

オーストラリアン・キャトル・ドッグは飼い主に忠実な性格ですが、独立心が強く頑固な側面もあります。飼い主の指示をしっかり聞けるよう、家に迎えたらできるだけ早くトレーニングを始めましょう。牧羊犬の本能を受け継いでいるため、動くもののかかとを噛んでしまう可能性もあり、子犬の頃からトレーニングを積むことでそういった行動を抑えやすくなります。

また、オーストラリアン・キャトル・ドッグに限らず、犬は初めて見るものや知らない人と出会ったとき、恐怖心と警戒心から吠えたりおびえたりすることがあります。恐怖心や警戒心が強く現れる前の子犬の時期にトレーニングすることで、社会性を身に付けられます。

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✓散歩：1時間を1日2回
✓運動量：多い
✓おすすめの遊び：ドッグラン、ボール遊び、アジリティー

オーストラリアン・キャトル・ドッグはとても機敏で多くの運動量を必要とする犬種なので、朝晩に各1時間程度の散歩や運動を毎日行いましょう。人けの少ない広場でロングリードを使うか、ドッグランで走らせるのがおすすめです。好奇心旺盛でエネルギッシュな犬種なので、飼い主と一緒に楽しめるボール遊びやアジリティーを取り入れるほか、新しいコマンドを覚えさせるなど頭を使ったトレーニングをしてリフレッシュさせるのもいいでしょう。

✓十分な運動をさせてあげられる環境
オーストラリアン・キャトル・ドッグは活動的で瞬発力が高く、体も大きめです。散歩では速く歩くなどして運動量を確保したいため、体力に自信がある人に向いているでしょう。

✓しつけをきちんとできる人
必要以上に警戒し攻撃的にならないよう、小さいうちから社会化トレーニングや、基本的なコマンドをマスターする必要があります。落ち着いて毅然とした態度を取れる人が向いているでしょう。

オーストラリアン・キャトル・ドッグがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

✓股関節形成不全
股関節の骨が変形し、股関節が異常に形成されていく病気で、特に大型犬に発生しやすい疾患です。関節内に炎症が起きて痛みが生じるため、運動や散歩をしたがらない、歩くと腰が左右に揺れる、足取りが不安定になるなどの様子が見られます。原因としては遺伝的な要因が多いものの、肥満や激しい運動で関節に大きな負担がかかることなども挙げられます。

✓難聴（聴覚障害）
遺伝性難聴を発症しやすいといわれています。音がした方向に向かない、名前を呼んでも反応がないなどの様子が見られます。また外耳炎などの病気が進行すると聴覚障害を発症する可能性があるため、日頃から耳のケアを行いましょう。

✓進行性網膜萎縮
目の網膜が徐々に萎縮して視力が低下し、最終的に失明する可能性のある病気です。遺伝によって生じる疾患と考えられており、現時点で完治するための治療法は確立されていません。犬の視力が低下しても室内で安全に暮らせるよう、飼い主はさまざまな配慮を講じる必要があります。暗い場所でぶつかるなどの行動が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。

✓ブラッシング：1週間に1、2回
✓シャンプー：1カ月に1回程度
✓トリミング：不要

オーストラリアン・キャトル・ドッグはダブルコートなので、季節の変わり目には大量に被毛が抜けます。換毛期はこまめにブラッシングしましょう。トリミングは基本的に不要ですが、お尻まわりの毛が伸びてきた場合は排せつ時の汚れがつく可能性がありますので、部分的にカットするのもよいでしょう。

ブラッシング以外にスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

歯磨きは毎日～3日に1回、耳掃除は1カ月に1、2回、外耳炎治療の場合は1週間に1、2回となることもあります。爪切りは1カ月に1回程度の頻度で行います。肛門腺絞りは必要のないことが多いですが、自分で出しづらい犬の場合、1カ月に1回程度がよいでしょう。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床で滑りやすくなるためカットしてください。

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オーストラリアン・キャトル・ドッグと生活する上で注意すべきポイントを紹介します。

✓関節に負担の少ない床材を選ぼう！
床で滑ると足首などの関節に負担がかかります。普段過ごす部屋の床は滑りにくい素材を選ぶか、マットなどを敷くとよいでしょう。

✓事故予防にトレーニングはしっかりと！
オーストラリアン・キャトル・ドッグは機敏で力強いため、頑丈なケージで飼う必要があります。入ってほしくない場所には仕切りなどを設置して、事故を予防しましょう。力が強いので、ほかの人や動物に寄っていったり、飛びついたりしないよう、日頃からのトレーニングが大切です。