ビアデッド・コリーの性格や特徴は？飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種名	ビアデッド・コリー
英語名	Bearded Collie
原産国	イギリス
分類	大型犬
グループ	1G：牧羊犬・牧畜犬

ビアデッド・コリーは、ジャパンケネルクラブのグループで【1G：牧羊犬・牧畜犬】に属し、スコットランドの高原地方で牧羊犬としての役割を担ってきた犬種です。

ビアデッド（口ひげ）のように見える毛と、コリーという犬種に近い血縁であることから、ビアデッド・コリーと呼ばれています。

体高：オス53〜56cm、メス51〜53cm
体重：オス、メスともに25kg前後

ビアデッド・コリーは一般的には大型犬に分類されますが、中型犬に分類されることもあります。ふさふさとした毛に覆われた体は引き締まっており、雨や霧の中でも作業できる頑丈な体を持っています。

ビアデッド・コリーの平均寿命は、14～15歳といわれています。ビアデッド・コリーは大型犬に分類されますが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、大型犬の平均寿命は11.5歳のため、平均より長く生きるといえるでしょう。

犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

ビアデッド・コリーはブラックやブルー、グレー、ブラウンなどと、ホワイトとのツートンカラーの毛色をしています。頭や胸、四肢、尻尾はホワイトであることが多い傾向です。

また被毛は、上下の毛が二層構造になっているダブルコートです。被毛はかなり厚みがあるため、毎日の丁寧なブラッシングが欠かせません。

牧羊犬らしく頑丈で引き締まった体に、ふさふさの長い被毛と口ひげが特徴的な外貌をしています。

ビアデッド・コリーは知的で賢く、牧羊犬だったこともあり飼い主の指示をよく聞いて行動します。しかし、賢さゆえに、いうことを聞かないなど頑固な一面もあります。トレーニングや日々のコミュニケーションを通して信頼関係を築くことができれば、言葉やサインを覚えて素直に応えてくれる、誠実な犬へと成長するでしょう。

また、活発な性格ゆえに明るく友好的な面があるのも魅力の一つです。とくに家族には、人懐っこくて甘えん坊の一面を見せます。子犬の頃は分離不安になりやすいため、一緒に過ごす時間を多く取るように心がけましょう。

ビアデッド・コリーを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。

タイミング	内訳	費用の目安
迎えるとき	ペットショップ、ブリーダー	20～40万円
飼い始めるとき	畜犬登録料	約3,000円
	生活用品（クレートやケージなど）	約5～7万円
1年に1回かかる費用	狂犬病予防接種費	約3,500円
	混合ワクチン接種費	約5,000～10,000円
毎月かかる費用	消耗品（フードやおやつなど）	約5,000～10,000円

飼い始める際にかかる費用

ビアデッド・コリーをペットショップから迎える際の価格の目安は、20～40万円です。月齢や血統などにより、値段が上がることもあります。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、ビアデッド・コリーは自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に（子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に）お住いの自治体に犬の登録（登録料は3,000円程度）を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング（およそ生後110日前後）で打たせます。

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飼い続けるために必要な費用

犬を養育する上での生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200〜300万円といわれています。体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてビアデッド・コリーの場合は平均より高額になると考えておきましょう。

なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

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ビアデッド・コリーを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ビアデッド・コリーは牧羊犬由来で運動量も多いため、走り回って遊べるボールやフライングディスクを用意し、一緒に遊べるドッグランやドッグパークが近くにあると理想的です。

犬の生体代を除く初期費用としては、5〜7万円程度を見込みましょう。ビアデッド・コリーの場合は体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より少し高くなる傾向にあります。

毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円〜10,000円ほどです。ビアデッド・コリーの場合は体が大きいので食事量は多く、またトイレシーツもワイドサイズを選ぶ必要があるので、平均よりかかると見込みましょう。

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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主の元へ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000〜5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、ビアデッド・コリーを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000〜5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策を取るのもおすすめです。

ビアデッド・コリーは基本的に穏やかな性格です。その上賢いため、トレーニングはそれほど難しくありません。しかし、頑固な一面もあるため根気強く続けましょう。

また、ビアデッド・コリーに限らず、犬は初めて見るものや知らない人と出会ったとき、恐怖心と警戒心から吠えたりおびえたりすることがあります。恐怖心や警戒心が強く現れる前の子犬の時期にトレーニングすることで、社会性を身に付けられます。

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✓散歩：1時間程度を1日2回
✓運動量：多め
✓おすすめの遊び：ドッグラン、アジリティスポーツ

ビアデッド・コリーに必要な運動量はかなり多めです。運動量が不足するとストレスになり、家の中で発散しようと活発になります。そのため、きちんと運動時間を確保することが、互いに家で心地よく暮らすためのポイントです。

散歩の目安は1日2回以上、1回あたり約1時間ですが、これだけでは不十分です。より充実させるには走る動作を取り入れるとよいでしょう。ドッグランなど、広い場所で思い切り走れる機会や、ドッグアジリティに挑戦してみるのもおすすめです。

✓十分な運動をさせてあげられる環境
ビアデッド・コリーは活動的で体も大きめです。散歩では速く歩くなどして運動量を確保したいため、体力に自信がある人に向いているでしょう。

✓しつけをきちんとできる人
必要以上に警戒し攻撃的にならないよう、小さいうちから社会化トレーニングや、基本的なコマンドをマスターする必要があります。落ち着いて毅然とした態度を取れる人が向いているでしょう。

ビアデッド・コリーがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

✓進行性網膜萎縮症
網膜に異常が起きて視力が低下する遺伝性の疾患です。治療法は現在のところなく、補助的治療で発症を遅らせたり、目の変性を抑えたりする目的で点眼薬やビタミン剤の投与が行われることもあります。夕方、夜間に動くものに反応しない、鈍い、においを嗅ぎながら歩くといった行動が見られたら動物病院に行きましょう。

✓股関節形成不全
体の大きな犬にリスクの多い病気です。成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な成長や肥満などにより誘発されることがあるので、子犬の時期から体重管理を心がけましょう。

✓白内障
白内障が起こると視覚障害が起きるため、物にぶつかりやすくなったり、些細な物音に驚くようになったりなどの変化が生じます。自宅でのこまめなチェックはもちろん、定期的な健康診断も欠かさないようにしましょう。

✓ブラッシング：毎日
✓シャンプー：1カ月に2回程度
✓トリミング：1カ月に1回程度

毎日のブラッシングや、月2回はシャンプーができるとよいでしょう。とくに、運動後はきちんとケアを行い、顔にかかる毛をリボンなどで結んであげると快適に過ごせます。
ビアデッド・コリーは長毛のダブルコートのため、手入れを怠ると毛玉ができやすくなります。一度毛玉ができると取り除くのに苦労するので、毎日のブラッシングの他、週に1度は取り切れなかった抜け毛を含めてしっかりブラッシングしましょう。

ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

歯磨きは毎日～2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週～1カ月に1回の頻度で行います。歯磨きは毎日～3日に1回、耳掃除は1カ月に1、2回、外耳炎治療の場合は1週間に1、2回となることもあります。爪切りは1カ月に1回程度の頻度で行います。肛門腺絞りは必要のないことが多いですが、自分で出しづらい犬の場合、1カ月に1回程度がよいでしょう。

ビアデッド・コリーと生活する上で注意すべきポイントを紹介します。

✓関節に負担の少ない床材を選ぼう！
床で足が滑ると足首などの関節に負担がかかります。普段過ごす部屋の床は滑りにくい素材を選ぶか、マットなどを敷くとよいでしょう。

✓定期的にブラッシングをしよう！
ビアデッド・コリーのようなダブルコートの犬は毛が密生しているため、むだ毛が絡まったり、毛玉になったりすることを防ぐためにも定期的なブラッシングを心がけましょう。その他、月に2回程度の頻度でシャンプーすることもおすすめです。肌のバリア機能が低下する原因にもなるため、洗い過ぎは禁物です。

✓暑さ管理に注意が必要
ビアデッド・コリーは厚い被毛のおかげで冬の寒さにはとても強い反面、日本の高温多湿な気候は苦手です。熱中症対策は万全にしましょう。夏は室内温度を快適に保ち、さらに日中の散歩は控えるなど、暑さ対策を心がけましょう。
また、暑さによる影響で、皮膚病や外耳炎のリスクが高くなる点にも注意が必要です。日頃からブラッシングを丁寧に行い、耳や皮膚に変化がないかチェックすることで、早期発見と回復につながります。