犬も夏バテする?原因や症状、対処法や子犬・老犬へのケアについて解説【獣医師監修】

犬も夏バテする?原因や症状、対処法や子犬・老犬へのケアについて解説【獣医師監修】

気温が上昇し始める梅雨から夏にかけて、愛犬の様子がいつもと違ってなんとなくだるそうにしていたりしませんか。もしかしたら、それは犬の夏バテかもしれません。今回は、日本アニマルハートヒーリングケア協会の獣医師、石井香絵先生に教えていただいた、犬が夏バテになる原因や症状、対応の仕方などについて解説していきます。

そもそも夏バテとは?

そもそも夏バテとは、真夏の暑さと室内の冷房との温度差を繰り返し感じることによって自律神経が乱れ、「体がだるい」「食欲がない」「疲れやすい」などの体調不良が出ることを指します。これは人間も犬も一緒で、気温差が激しいと起きてしまう症状です。

 

梅雨~夏にかけてなんだか体が重くだるい、胃腸がうまく働かなくなるなどの症状、誰もが経験ありますよね。日本の夏は高温に加え湿度が高く、また最近では気温変動も激しいです。そのため人間も犬も自律神経が乱れやすくなっているのです。

犬も夏バテになるの?

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じつは、犬も人と同様に夏バテをします。私たち人間以上に、日本の暑さが苦手な犬は、梅雨時期手前から少しずつ夏バテの傾向が表れます。残暑が続く9月頃までは夏バテに気を付けて健康管理をしてあげましょう。朝晩の寒暖差が5℃以上の日が続くときも要注意です。

犬が夏バテになる原因とは?

日本の最高気温、最低気温が年々上がり続けているのも、犬に夏バテが起こりやすい原因の1つとして考えられます。しかし、それだけでなく犬と人間の体の構造の違いも犬に夏バテを起こしやすくなる大きな要因だと言われています。

 

犬は私たちのように全身から汗をかいて体温を調整することができません。そのため、ハーハーと開口呼吸をし、放熱するのです。しかし、湿度が高いと効率よく体温を下げることが難しくなります。また、全身を被毛で覆われていることも原因として挙げられるでしょう。特に寒さに強いシベリアンハスキー、サモエドなどは夏バテになりやすい犬種です。鼻が短い犬種も呼吸による体温調整がしづらいため、夏バテに気を付けてあげましょう。

犬の夏バテにはどんな症状があるの?

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夏バテの症状はある日突然はっきりと表れるのではなく、数週間など時間をかけてジワジワと心身に変化をもたらします。なんとなく動きが悪い、食欲にムラがある、だるそうに寝てばかりいるなど。夏バテを放置してしまうと体力がなくなり、別の病気を生みだす原因にもなるので注意しましょう。特に子犬やシニア犬は毎日の動き、食欲、目の輝きなどを観察してください。下記のような症状が長く続いたら要注意です。犬の環境、食事、散歩の質や量などを見直してあげましょう。

 

食欲がなくなる

・動きが緩慢になる、目の輝きが少なくなる

・体重減少

・ぐったりしている

睡眠時間が長くなる

散歩を嫌がる

下痢

嘔吐

・脱水症状

 

犬の脱水症状のチェック方法

前述した夏バテの症状の中でも、脱水症状は少し見極めが難しい症状です。犬が脱水症状になっていると目がくぼんできたり、口の中が乾いていたり、尿が濃く少なくなったりと変化が出てきます。

 

家でもわかりやすく脱水の有無をチェックできる方法があります。まず、犬の皮膚のゆるみが多い首から肩の皮膚を軽く上につまみあげながらひねります。次に、手を離してどれくらいの時間が経過すると元の皮膚の状態に戻るかを確認します。

 

2秒以内であれば問題ありません。(シニア犬の場合は若干戻りが遅い)しかし、それ以上時間がかかる場合は脱水症状になっている可能性があります。体内の水分の15%以上が失われると命に関わりますので、おかしいと思ったらすぐに動物病院に相談しましょう。

犬の夏バテをそのままにしておくとどうなる?

犬の夏バテの症状を長い間そのままにしておくと、必要な栄養も水分も十分に摂取することができなくなります。やがて体力、体重が減少し、最終的には多機能不全になり命を落とすことになる可能性もあります。特に体力がない子犬、シニアの犬の夏バテは放置せずにすぐに動物病院へ連れていきましょう。

夏バテになりやすい犬の特徴は?

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夏バテになりやすい犬の特徴は以下の通りです。

 

ダブルコートの犬種

毛量があり、毛が密集しているため熱をため込んでしまいがちです。こまめなブラッシングで毛の間の空気の通りをよくする、お腹の部分だけ毛を短くカットする、アンダーコート専用ブラシで毛量を調整する、などの工夫をしてあげましょう。

 

被毛が豊かな犬種

寒い国で生まれた犬種は、その寒さに耐えることができる毛量と毛質を持っています。そのため暑さが苦手です。代表的な犬種にはシベリアンハスキーやサモエドなどが挙げられます。

 

鼻が短い犬種(短頭種)

マズル(口周りから鼻先にかけて)が短い犬種は呼吸を介して体温を下げることを、効率よく行うことができません。

 

子犬、シニア犬

子犬やシニア犬は体温調整を上手にできません。また、体力もあまりないため成犬よりも夏バテになりやすい傾向があります。

 

肥満気味の犬

肥満は呼吸器、循環器、関節など体のすべてに負荷がかかり、体に悪い影響をもたらします。肥満になると体温調整もうまくできなくなってしまうので注意してください。

 

コートが黒い犬

天気の良い日の散歩では毛色が黒い犬は注意が必要です。すぐに体が熱くなり夏バテや熱中症になりやすくなります。

夏バテと似た症状に注意!

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愛犬が夏バテでぐったりとしているのかと思ったら、じつは違ったという場合もあります。夏バテの症状に似ている以下の病気に注意しましょう。

 

熱中症

熱中症の場合は時間が経過するごとに、どんどん症状が悪化していきます。適切なタイミングで対処をしないと命を落とす可能性も。体が過度に暑く意識がもうろうとしている、痙攣が起こるなどの場合は熱中症の可能性が高いです。

 

貧血

食欲がなくなる、呼吸が早くなる、動きが緩慢になるなど夏バテと同じ症状が貧血でも見られます。犬が貧血になる原因は慢性の疾患がある、中毒、免疫疾患、外部寄生虫など。飼い主の目では貧血か夏バテか診断はできませんので、体調がおかしいと思ったら病院へ連れていきましょう。病気は早期発見、早期治療がベストです。

犬が夏バテになった時の対処法は?

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もし、愛犬に夏バテの症状が見られたら、以下のように対処してください。

 

水分を与える

水分をこまめに摂取させましょう。積極的にお水を飲んでくれない場合はヤギミルク、薄めたスポーツドリンク、ヨーグルトのホエイでも大丈夫です。

 

室温の管理をする

犬が最適だと感じる室温は2225℃と言われています。しかし、犬にとって快適な気温は犬の年齢、サイズ、犬種により若干異なります。犬の行動を見ながら室温はその都度調整しましょう。犬は暑ければパンティングをしたり、涼しい場所を求めてウロウロしたり、水をたくさん飲んだりします。犬の様子をこまめに観察してあげましょう。また、やはり湿度が高いほど不快指数が上がりやすいです。梅雨時期などはエアコンの除湿機能を使うといいでしょう。

 

食事を改善する

夏バテのときには水分も同時に摂れ、かつ消化の良いものを与えてください。つゆがたっぷり入った手作り食や犬用に販売されているスープなどがおすすめです。ドライフードを与えているならお湯で十分ふやかしてあげましょう。

 

体を直接冷やす

大きな血管がある首、脇の下、後ろ脚の付け根を保冷剤などで冷やしてあげることも効果的です。また、犬用のアルミ製のひんやりプレートなどの夏の暑さ対策グッズも効果がありますので、試してみてください。

夏バテした犬は動物病院に連れて行くべき?

ただの初期の夏バテではなく、脱水や熱中症になっていたら要注意です。体調がその後急激に悪化することもあります。ぐったりして動かない、嘔吐・下痢が続くなどいつもと異なるサインを犬がたくさん出していたらすぐに病院に連れていきましょう。

犬の夏バテを予防するには?

 

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犬の夏バテを予防するには以下の対策が有効です。

 

・こまめに水分補給をする

・いつもの散歩コースを短めにする、または散歩に行く時間を涼しい時間帯に変更したり、木陰の多い場所を選ぶ

・服を着せるのを避ける ※ただし濡らして着せる服は夏バテ、熱中症防止になります。

暑さ対策グッズを使う

・屋内ドッグランを活用する

・散歩に氷をもっていって途中で与える

夏場の犬の体重管理に注意!

夏は高温多湿が原因で夏バテになり、食欲が落ちてしまう犬がいます。しかし、逆に体重が増えてしまう犬も少なくありません。犬の体重管理は健康管理に直結するものです。毎日犬との体に触れて、体形に変化がないかチェックする習慣をつけましょう。毛量が多い犬だと見た目で痩せたか太ったかが分かりづらいので、やはり体に直接触れて確認してください。夏場だけでなく、年間を通して個々の理想体重をできるだけ維持できるように心がけましょう。

子犬と老犬は特に夏バテに注意!

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子犬と老犬はまだ身体ができていなかったり、老化によって体温調節が難しくなったりしています。子犬と老犬の夏バテで、特に気を付けたいケアについてご紹介します。

 

子犬のケア

【温度管理】

子犬は体が未熟なため、体温調節も成犬と同じレベルで行うことができません。子犬のゲージをエアコンの風や日光が直接あたりすぎない場所に配置し、子犬の様子を見ながら温度調節こまめに行ってあげましょう。

 

【水分補給】

夏バテ防止のためにお水をちゃんと飲んでいるか確認しましょう。お水の容器で遊んでしまい水をこぼしてしまうと、必要な水分を摂取することができなくなります。いたずら盛りのときは給水ボトルを使ってみましょう。

 

老犬のケア

【水分補給】

若い頃と比べると老犬の体内水分量はぐっと減ります。ドライフードから水分含有が多い缶フードのご飯に切り替えたり、こまめに水分補給ができるように飼い主もまめに水を与えましょう。年を取ると水場が分からなくなる、水の容器が低すぎて飲みづらくなるなどの問題が起きます。その場合、水や食事の食器は食器台の上に置いてあげることも大切です。

 

【食事の工夫】

老犬になったら一度食事の内容を検討してみましょう。夏バテや消化能力の低下により、ドライフードを消化することが消化管に負担を与えたり、お腹の中で水と混ざって急激に膨らみ胃拡張や胃捻転の原因になることも。また、歯周病から硬いものや大きいものが咀嚼しづらくなる、大きいものを飲み込みづらくなります。食べ物を消化するためにはたくさんのエネルギーが必要です。消化しやすい食事に切り替え夏バテを予防してあげましょう。

 

【散歩の時間】

若いときから散歩は毎日行っていたから、年をとっても毎日運動をさせなければと犬の体調を無視して散歩に行くと夏バテを引き起こすことも。シニア犬の体調は1日1日変化します。その日のコンディションによっては散歩に出かけずに自宅で頭脳ゲームをしたり、散歩を短めにしたりと工夫してあげましょう。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家のコメント:

毛皮を脱ぐことができない犬にとって、真夏の日差しは深刻な問題です。夏バテは特に他の病気と違って時間をかけて進行します。梅雨〜夏の時期は早めから夏バテ対策を心がけ、様子がおかしいと思ったら早めにかかりつけ医に相談するようにしましょう。

獣医師/石井香絵(旧姓:牧口)

AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。犬猫の問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、セミナー・執筆活動など幅広く活躍。行動治療にホリスティックケア(メディカルハーブ、フラワーレメディ、レイキ、アニマルコミュニケーションなど)を取り入れ動物たちに優しい治療を行っている。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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