【獣医師監修】犬に麦茶を飲ませても大丈夫?健康面のメリットや適量、与える際の注意点について解説

【獣医師監修】犬に麦茶を飲ませても大丈夫?健康面のメリットや適量、与える際の注意点について解説
季節に関係なく家庭で重宝する麦茶。冷蔵庫に常備している飼い主も多いのではないでしょうか。犬のなかには麦茶の香ばしい香りを好み、欲しがる子も多いようです。しかし、いくら飲みやすいからと言って、気軽に麦茶を飲ませて大丈夫なのか心配になりますよね。今回は、麦茶を犬に与えても問題ないのかどうか、与える際の注意点などについて獣医師の堂山有里先生に解説していただきます。

犬に麦茶を飲ませても大丈夫?

結論から言うと、犬に麦茶を与えても問題ありません。麦茶にはカフェインが含まれていないので、中毒症状を起こす心配がないためです。さらに、麦茶は無糖なので、肥満のリスクもないと言えます。

 

一般的に麦茶の原料となるのは、六条大麦という麦です。加工すると食用の押し麦となり、犬も同様に食べることができます。利尿作用や胃腸の調子を整える作用が注目されており、健康の面でもメリットがありそうです。

子犬やシニア犬に麦茶を飲ませても大丈夫?

【獣医師監修】犬に麦茶を飲ませても大丈夫?犬、麦茶

麦茶には子犬やシニア犬に害となる物質が含まれていないため、特に問題ないでしょう。ただし、麦茶に限った話ではないですが、一度に大量の水分を与えると内臓に負担をかけてしまう可能性があります。また、冷えた麦茶もお腹をくだし、下痢嘔吐などの症状を引き起こす場合があるため注意しましょう。

麦茶に含まれている栄養素と、犬の健康に与える影響は?

麦茶の99%は水分です。香ばしい匂いを犬が好むため、場合によっては水よりも飲みやすく効率的に水分を摂取させることができます。

 

そのほかに、ミネラルやポリフェノール、香り成分のアルキルピラジンなど、麦茶はさまざまな栄養素が含まれている飲み物です。それぞれの栄養素の特徴や作用を次に説明します。

 

カリウム

細胞内液に多く存在するミネラルの一種。筋肉の収縮や塩分の排出作用など、体の調節機能を担います。

 

リン

ミネラルの一種。生体内でカルシウムの次に多い栄養素です。骨や歯を形成します。

 

ポリフェノール

抗酸化物質の一種。体内で発生する活性酸素を除去して、健康をサポートします。

 

アルキルピラジン

麦茶の香ばしさを作る成分。ある研究で、アルキルピラジン類を多く含んだ麦茶を摂取したところ、被験者の血液流動性が高まったと報告されています。

犬に麦茶を与えることで期待される健康へのメリットは?

麦茶にはさまざまな栄養素が含まれていることがわかりましたが、具体的に愛犬の健康面でどんなメリットがあるのでしょうか? 代表的なものをいくつかご紹介します。

 

効率的なミネラル補給

麦茶には、カリウムやナトリウムをはじめとしたミネラルが比較的多く含まれるため、効率的なミネラル摂取が期待できます。

 

胃粘膜保護作用

近年の研究で、麦茶に含まれる成分には、人の胃粘膜を保護する作用があるとわかりました。犬でも同様の作用が期待できる可能性があります。

 

血液をサラサラに

麦茶の香りの成分であるアルキルピラジンの血流改善作用により、血栓防止や脳梗塞、心筋梗塞などの予防に役立つ可能性があります。

 

リラックス効果

六条大麦を原料とした麦茶には、人においてリラックス作用があることが研究により明らかになりました。愛犬にとっても同様の作用が期待できるかもしれません。

犬に麦茶を飲ませる時の注意点は?

【獣医師監修】犬に麦茶を飲ませても大丈夫?犬、麦茶

愛犬に麦茶を与える際はいくつか注意点があります。

 

ひとつは、水で2〜3倍に薄めて与えることです。人間が飲む麦茶は犬にとって味が濃すぎるため、そのまま与え続けると味の薄い水を飲まなくなってしまう可能性も十分ありえます。

 

また、冷たすぎる飲み物は犬の胃に負担をかけてしまうため、常温で与えるようにしましょう。

 

そして、犬に与える麦茶は必ず1日ごとに取り替えること。麦茶は水より雑菌の繁殖が早く、腐りやすい性質があります。愛犬が飲み終わったらそのままにせず、すぐに片付けましょう。

 

このほか、麦茶のパックを愛犬が誤飲しないよう、届かない場所に置くようにしてくださいね。万が一飲み込んでしまうと、腸につまる危険性があります。手術で取り出さなければいけない場合も多いため、愛犬にとって大きな負担になってしまいます。

持病のある犬に麦茶を飲ませても大丈夫?

アレルギーを持っている犬の場合は注意が必要です。具体的には小麦と、イネ科の植物にアレルギー持っている犬は気を付けましょう。

 

麦茶の原料は大麦ですが、同じイネ科の小麦には交差抗原性があり、アレルギー反応が起きる可能性はあります。しかし、大麦には小麦アレルギーの原因となるグルテンが含まれていないので、過剰な心配は必要ないとも言えます。どうしても飲ませたい場合は、主治医に相談するのが得策です。

 

また、尿石症や尿結石症を患っている犬に関しても懸念がありますが、麦茶はミネラルが豊富といはいえ、ほとんどが水分です。通常量を与えるぶんには問題はないと言えます。

 

ただし、適切な量に関しては明確な指標や研究データがないのが現状です。愛犬の病状が重度の場合は麦茶の摂取は避けたほうが無難でしょう。

 

同じく腎臓病を患っている犬で、リンを制限する必要がある場合も、適正量に関して明確な指標はないので麦茶は与えないほうが賢明です。

犬に麦茶を飲ませることで発生する可能性のあるアレルギーや中毒症状はあるの?

麦茶による中毒症状はありませんが、アレルギー体質の犬の場合はアレルギーを発症する可能性があります。

 

麦茶に限った話ではありませんが、アレルギー体質の犬に初めてのものを摂取させる場合は。少量から始めるのが基本です。麦茶の場合は、1日あたり小さじ1杯程度からスタートして、アレルギー症状の有無を観察してください。

 

主なアレルギー症状は下痢や嘔吐、皮膚の赤みや発疹、痒みなどです。アレルギー症状が出たら、麦茶を与えるのはやめて、早急に動物病院を受診しましょう。アレルギー症状が心配な場合は摂取を避けたほうが無難かもしれません。

犬に麦茶を飲ませる際の適量は?

【獣医師監修】犬に麦茶を飲ませても大丈夫?犬、麦茶

明確な基準はないですが、水分摂取量を目安として考えるとよいでしょう。体重5kgの犬なら、1日の水分摂取目安は250cc〜500ccほどです。麦茶も同様の範囲で与えるようにしてください。

犬に麦茶を与えるときのおすすめの方法は?

麦茶は水分とミネラルが豊富なので、夏の散歩時に、水分補給やミネラル補給を目的に与えるとよいでしょう。麦茶には体を冷やす作用もあるため、熱中症予防としても役立ちます。もちろん冬に与えても大丈夫ですよ。

 

いずれも冷蔵庫から出してすぐの状態の麦茶ではなく、必ず常温のものを与えるよう注意してください。少し温めてから与える方法もおすすめです。

犬に麦茶以外に飲ませてもいいお茶とは?

基本的には、添加物やカフェインが含まれない飲み物であれば、犬に与えることは可能です。例えば、はと麦茶、コーン茶、黒豆茶、たんぽぽ茶、ミントティーなどが該当します。

 

なかでもおすすめは、はと麦茶と黒豆茶です。はと麦はヨクイニンと呼ばれる生薬のひとつで、利尿作用や肌を守る作用、お腹の調子を整える作用があると言われています。愛犬に与えることで同様の作用が期待できるでしょう。

 

特に黒豆茶は冬時期におけるシニア犬の養生にぴったりです。体を温めつつ余分な水の排出を促すことで、血の巡りを改善する働きがあると言われています。老化防止や滋養強壮にも役立つでしょう。

 

ただし、いずれも初めて与える際は少量ずつから試し、アレルギー症状の有無を確認するようにしてくださいね。

 

一方、与えてはいけないのは緑茶やコーヒー、紅茶、烏龍茶、ジャスミン茶などです。カフェインが含まれるため、中毒を起こす危険性があります。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家のコメント:

麦茶は愛犬に飲ませても問題ない飲み物のひとつですが、与える際にはいくつかの注意が必要です。ただしポイントを抑えれば、熱中症対策やミネラル補給など愛犬の健康にとってメリットがたくさんあります。麦茶をうまく活用して、愛犬の健康管理に役立ててみてくださいね。

監修/堂山有里先生(獣医師)

バーニー動物病院千林分院分院長。日本獣医動物行動研究会、獣医皮膚科学会所属。ペット薬膳管理士、中医学アドバイザー。動物病院でペットの診療にあたる傍ら犬猫の手作りご飯教室や問題行動のカウンセリングを行いペットと人が幸せに暮らすお手伝いをしている。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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