アフガン・ハウンドの性格や特徴は？飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種名	アフガン・ハウンド
英語名	Afghan Hound
原産国	アフガニスタン
分類	大型犬
グループ	10G：視覚ハウンド

アフガン・ハウンドは現存する犬種の中で、最も古い犬の一種です。紀元前4000年頃にシナイ半島に生息していた形跡もあり、ピラミッドや壁画などの歴史的な記録物にアフガン・ハウンドらしき犬が登場しています。

当時はアフガニスタンの山岳地帯でキツネやオオカミを狩る狩猟犬として活躍していました。そして寒暖差の激しい環境に適応するために、独特の長い被毛を持つようになったと考えられています。イギリスに渡ってからは、狩猟犬としての能力よりも見栄えを優先して改良され、ドッグショーの人気犬種となりました。

体高：オス68cm～74cm、メス63cm～69cm
体重：オス約27kg、メス約23kg

アフガン・ハウンドは大型犬に分類され、体高は成人男性のおおよそ太もも辺りの高さになります。

アフガン・ハウンドの平均寿命は、11～14歳とされています。アフガン・ハウンドは大型犬に分類されますが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、大型犬の平均寿命は11.5歳のため、平均的もしくはやや長めの寿命だといえるでしょう。

犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

アフガン・ハウンドの被毛は絹糸のように柔らかいのが特徴です。下毛のないシングルコートで、全身が長い被毛に包まれています。

毛色はさまざまで、ゴールド、クリーム、ブラック、ブラウン、ホワイトなどのほか、ブリンドル（基本の毛色に差し色があるもの）、トライカラー（白・黒・黄褐色の3色）などがあります。

アフガン・ハウンドは優れた視覚で狩りをするサイトハウンドのため、遠くが見える長い首、高い頭の位置が特徴です。長い毛を備えた立ち姿はりりしく、威厳を感じさせるほどです。尾はリングテールと呼ばれる、先端が輪のように巻いた形です。

基本的には穏やかな性格ですが、人見知りの部分もあります。感情を外に表さず、マイペースで頑固ですが、飼い主や家族に対しては愛情深い一面も。室内では静かに過ごしていても、猟犬由来の体力があり外では活発に遊んだり、小鳥などの小動物を追いかけたりすることもあります。

プライドが高く、強制されることが嫌いで、自分が納得しない命令には従おうとしません。犬の知能テストで低い評価を得ることの多いアフガンハウンドですが、それは知能の問題ではなく、命令に従わないからだと考えられています。

アフガン・ハウンドを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。

タイミング	内訳	費用の目安
迎えるとき	ペットショップ、ブリーダー	約15～45万円
飼い始めるとき	畜犬登録料	約3,000円
	生活用品（クレートやケージなど）	約5～7万円
1年に1回かかる費用	狂犬病予防接種費	約3,500円
	混合ワクチン接種費	約5,000～10,000円
毎月かかる費用	消耗品（フードやおやつなど）	約5,000～10,000円

犬を飼い始める際にかかる費用

アフガン・ハウンドをペットショップから迎える際の価格の目安は、約15～45万円と幅があります。月齢や血統などにより、値格が上がることもあります。
ほかにも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、アフガン・ハウンドは自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。

犬を飼い始める際の手続き

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に（子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に）お住いの自治体に犬の登録（登録料は3,000円程度）を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング（およそ生後110日前後）で打たせます。

犬を飼い続けるために必要な費用

犬を養育する上での生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200～300万円といわれています。体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてアフガン・ハウンドの場合は平均より高額になると考えておきましょう。

なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

犬を迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。アフガン・ハウンドは山岳地帯や砂漠で狩猟犬として活動していたルーツを持つため、普通の大型犬より多くの運動を必要とします。ボール遊びなどをさせて思い切り走り回れるようにするのがおすすめです。

犬の生体代を除く初期費用としては、一般的には5～7万円程度ですが、アフガン・ハウンドは体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より高くなる傾向にあります。

毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円～10,000円ほどですが、アフガン・ハウンドは体が大きいので食事量は多く、トイレシーツも大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。

マイクロチップの義務化

2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった時に、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000～5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、アフガン・ハウンドを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000～5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策を取るのもおすすめです。

アフガン・ハウンドは、飼い主から離れたところでも自分で判断して行動できます。自分で考える力を持ち、頑固さもあるため、トレーニングが難しい犬種だといえます。トレーニングは短時間で集中して行い、叱らずに褒めて伸ばす方法が向いています。自力でのトレーニングが難しい場合は、ドッグトレーナーの手を借りるとよいでしょう。

またアフガン・ハウンドは大型犬のため、相手に飛びつくとけがを負わせてしまう危険があります。そのため社会化トレーニングが不可欠です。犬が自発的に飼い主の隣を歩くリーダーウォークや、「おいで」と呼ばれたらどんな状況でもすぐに飼い主の元に戻る呼び戻しができるよう、子犬の頃から辛抱強くトレーニングを行い、社会に徐々に慣らしていきましょう。

✓散歩：1時間を1日2回
✓運動量：多い
✓おすすめの遊び：ドッグラン、ジョギング、ボール遊び、フライングディスクなど

アフガン・ハウンドは1～2時間の散歩を1日2回行うのが目安です。全力で走れる時間もあるのが理想です。ジョギングをしたり、ドッグランなどを頻繁に利用したりしてストレスを発散させてあげましょう。おすすめの遊びは、フライングディスクやボール投げです。

✓十分な運動をさせてあげられる環境
アフガン・ハウンドは猟犬のルーツを持つため、活動量が豊富です。長めの散歩ができたり、走り回れる広い庭があるなど、運動量が確保できる人に向いているでしょう。

✓力持ちで体力のある人
体高70cm、体重が30kg近くになる大きな体と力を制御できるくらい力持ちで、一緒に運動できる体力のある人が向いているでしょう。

✓毎日のお手入れができる人
アフガン・ハウンドの美しい被毛には、毎日のお手入れが欠かせません。散歩から帰宅したら入念にお手入れをしましょう。

✓飼育経験が豊富な人
アフガン・ハウンドは自分で考えて行動する性質を持つため、命令に従わないことがあります。トレーニングには根気が必要なので、飼育経験が豊富な人向けといえます。

アフガン・ハウンドがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

✓拡張型心筋症
心臓の筋肉が薄くなり、収縮力が低下して血液をうまく送れなくなる病気です。進行すると元気がなくなり、運動を嫌がるようになり、不整脈で突然死を起こすこともあります。
発症を予防するのは難しく、定期的に心臓検査を受けて異常が見つかったら早期に対応することが大切です。

✓胃捻転
体の大きな犬にリスクの多い病気です。胃がねじれてしまい、短時間で急激に全身状態が悪化する危険な病気です。緊急手術が必要になるケースもあります。原因となる早食い、ドカ食いをさせないようにしたり、食後の運動を控えたりするなどの予防策を意識しましょう。

✓白内障
白内障は、水晶体が何らかの原因で白く濁ってしまう病気です。進行すると、視力の低下や失明を引き起こします。遺伝や加齢が多くの原因とされていますが、アフガン・ハウンドでは2歳頃から起こる場合もあるため、注意が必要です。若齢のうちから定期的に眼科検査をするなど、早期発見のために日々観察し、予防に努めましょう。

✓特発性乳び胸
胸の中に乳びと呼ばれるリンパ液がたまってしまう病気で、呼吸困難や咳、食欲不振などを起こします。胸にたまった液体を抜いたり、投薬による内科的治療を行ったりします。決定的な予防法はないため、早期発見、早期治療が大切です。

✓ブラッシング：毎日
✓シャンプー：1カ月に1回程度
✓トリミング：1カ月に1回程度

アフガン・ハウンドは柔らかな絹糸のような被毛を持つため、ブラシでは毛が絡まることがあります。クシですいてあげましょう。毎日すいていないと、もつれてフェルト状に固まってしまうことも。お手入れしやすい長さにトリミングするのもおすすめです。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

乾燥した土地で生まれた犬種のため、湿気は皮膚トラブルの原因になります。シャンプー後のドライヤーはしっかりと行いましょう。
歯磨きは毎日～3日に1回、耳掃除は1カ月に1、2回、外耳炎治療の場合は1週間に1、2回となることもあります。爪切りは1カ月に1回程度の頻度で行います。肛門腺絞りは必要のないことが多いですが、自分で出しづらい犬の場合、1カ月に1回程度がよいでしょう。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床で滑りやすくなるためカットしてください。

アフガン・ハウンドと生活する上で注意すべきポイントを紹介します。

✓定期的にブラッシングをしよう！
アフガン・ハウンドのような豊富な長毛の犬は、むだ毛が絡まったり、毛玉になったりすることを防ぐためにも定期的なブラッシングを心がけましょう。その他、月に1度の頻度でシャンプーすることもおすすめです。肌のバリア機能が低下する原因にもなるため、洗い過ぎは禁物です。

✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに！
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。

✓夏の高温多湿に注意
アフガン・ハウンドは山岳地帯や砂漠地帯にルーツがあるため、乾燥には強い一方で、日本の高温多湿が苦手です。湿気によって皮膚が蒸れる皮膚疾患や外耳炎、熱中症などに注意しましょう。