ウルフドッグの性格や特徴は?飼育の際の注意点やかかりやすい病気などを解説【獣医師監修】

ウルフドッグの性格や特徴は?飼育の際の注意点やかかりやすい病気などを解説【獣医師監修】

ウルフドッグ(狼犬)という狼にルーツがある犬種がいるのを知っていますか? 狼にシベリアン・ハスキーやジャーマン・シェパード・ドッグなどの犬種を掛け合わせた超大型犬で、一般的な飼い犬よりも野性味のある性格であるため、飼う際にはいくつかの配慮が必要です。この記事では、ウルフドッグの性格の特徴や飼うのに向いている人、しつけのコツ、お手入れの際に注意することなどをバーニー動物病院千林分院堂山有里先生監修のもと解説していきます。

監修/堂山有里先生(獣医師)

監修/堂山有里先生(獣医師)
バーニー動物病院千林分院分院長。日本獣医動物行動研究会、獣医皮膚科学会所属。ペット薬膳管理士、中医学アドバイザー。動物病院でペットの診療にあたる傍ら犬猫の手作りご飯教室や問題行動のカウンセリングを行いペットと人が幸せに暮らすお手伝いをしている。

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ウルフドッグの歴史やルーツは?

ウルフドッグは、狼にシベリアン・ハスキーなどを掛け合わせた超大型犬の一種です。正式にウルフドッグとして認められているのは「サールロース・ウルフドッグ」と「チェコスロバキアン・ウルフドッグ」の2種となります。それぞれの体高や外見など犬種の特徴を詳しく解説します。

サールロース・ウルフドッグの特徴は?

サールロース・ウルフドッグ

まず、サールロース・ウルフドッグの特徴を見ていきましょう。

 

ルーツ

オランダが原産で、Leendert Saarloos(レーンデルト・サールース)氏が作出したとされ、オスのジャーマン・シェパード・ドッグとヨーロッパタイプのシベリア系列を起源とするメスの狼とを掛け合わせたことで誕生しました。その後、家庭犬となるべく繁殖され、1975年にサールロース・ウルフドッグと命名、新犬種として認定されたのです。

 

平均体高

オスの平均体高は65~75cm、メスの平均体高は60~70cmです。

 

平均寿命と最高齢

平均寿命は8年程度で、最高齢は定かではありません。

 

被毛の特徴

ウルフグレーやアグーチと呼ばれる特徴的な獣色です。典型的なウルフ・マーキングは明るいクリーミー・ホワイトからホワイトまであります。ダブルコートで被毛の量が多く換毛期には大量に抜けますが、毛はジャーマン・シェパードよりは乾きやすいです。

 

外見

引き締まった体型で反射神経と運動能力に優れます。狼のような細いマズルにジャーマン・シェパード・ドッグのような立ち耳とふさふさした垂れ尾が特徴です。

 

吠え声

大きい遠吠えが特徴です。

チェコスロバキアン・ウルフドッグの特徴は?

チェコスロバキアン・ウルフドッグ

次にチェコスロバキアン・ウルフドッグの特徴を見ていきましょう。

 

ルーツ

旧チェコスロバキアが原産のチェコスロバキアン・ウルフドッグはジャーマン・シェパード・ドッグとカルバチアン・ウルフを交配させ、その子孫を計画的に繁殖したものを起源としています。1982年、旧チェコスロバキア国内でチェコスロバキアン・ウルフドッグが新犬種として公認されました。 

 

体高、体重

オスの体高は最低65cm、体重は最低26kgです。メスの体高は最低60cm、体重は最低20kgです。

 

平均寿命と最高齢

平均寿命は8年程度ですが、最高齢はわかっていません。

 

被毛の特徴

特徴的な明るい色のマスクで、身体は黄色みがかったグレーからシルバー・グレーです。頸の下および前胸には明るい被毛があります。狼に似た毛質・毛色をしています。

 

外見

堅固な体躯を持ち、長方形の外貌で体も大きいです。体型や歩き方、毛色は狼に似ています。

 

吠え声

サールロース・ウルフドッグと同様に大きな遠吠えが特徴です。

ウルフドッグはどんな性格?オスとメスで性格の違いはあるの?

ウルフドッグの性格

サールロース・ウルフドッグやチェコスロバキアン・ウルフドッグを含むウルフドッグは、性格も狼に似ているのでしょうか。性格の特徴やオス・メスで性格の違いがあるかなどを見ていきましょう。

 

独立心があり、内向的な面がある

用心深い性格と言われますが、独立心が旺盛で怖いものしらずの勇敢さも持ち合わせています。しかし、内向的な面もあるため、家族以外の他人には心を開きにくく、他人からの接触は好みません。

 

飼い主や家族には優しく愛情深い

一方で飼い主や家族には忠実で愛情深く接してくれます。また、個体差があり、犬の要素が強く出ると、従順で人懐っこい性格になるでしょう。 

 

オスとメスの性格の違い

オスとメスでの性格の違いは、飼育頭数が少ないため、雌雄差に関する研究結果などはありません。ただ、個人的見解としては、狼に近い性質を持つのなら、オスの方が、縄張り意識が強く、勇敢で、メスの方が比較的な穏やかなのではと考えています。

 

ウルフドッグは犬よりも狼に近い?

ウルフドッグは狼の性質を家庭で飼育できる程度にまで改良したものですので、狼と犬のどちらにより近いかは、どの程度狼の要素を持っているかで異なります。しかし、少なからず狼の性格や習性の影響はあるでしょう。

ウルフドッグを飼うのに向いている人は?

ウルフドッグを飼うのに向いている人

ウルフドッグを飼うためには、まずは大型犬を飼うのに適した飼育環境であることが必須条件です。そのうえで狼の要素を持つウルフドッグ独特の性格を理解して迎え入れる覚悟が必要です。以下、詳しく見ていきましょう。

 

広い飼育スペースを確保できる人

非常に運動要求量の高い犬種ですので、より広い飼育スペースや運動時間の確保も求められます。都会よりは自然環境の中で飼育することが望ましいです。

 

多くの食事量が必要になるので経済的な余裕のある人

たくさんの食事量が必要になるなどお世話のための費用がかかるので、経済的な余裕があったほうが良いでしょう。

 

ウルフドッグは初心者向きの犬?

狼に近い個体は人馴れしにくく臆病な面があるため、人混みや初めての場所に連れ出す時はパニックにならないよう細心の注意を払う必要があります。そのため、初心者には難しい犬種でしょう。犬の様子をよく観察して感情を汲み取り、無理のない慣らし方をすることが求められます。

 

また、体が大きくタフで疲れ知らずです。運動が足りないとストレスとなり飼育が難しくなりますので、毎日数時間の散歩や運動が必要です。散歩中に咄嗟に引っ張られると女性単独では制御が難しいので注意しましょう。

ウルフドッグを飼ううえで気をつけることは?

ウルフドッグを飼う際には、その性格や特徴に合わせていくつかの配慮が必要です。以下を参考にしてください。

 

飼い主がリーダーであることを認識させる

ウルフドッグは狼の遺伝子を受け継いでいることから、噛む力が強く、攻撃的になった時の危険度が高いです。しっかりしつけをして、飼い主がリーダーシップを取る必要があります。犬に毅然とした態度で接すること、一貫したわかりやすい指示を出すことが犬との信頼関係を築きます。

 

飼育環境への配慮

超大型犬で運動欲求も高く、野生に近い犬種なので、狭いスペースに閉じ込めてしまうとかなりのストレスがかかります。

 

多頭飼いが好ましい

群れで生活する習性が残っているので、多頭飼いが好ましいです。できれば2頭以上で飼うことがおすすめです。

 

しつけの技術や経験

人間社会への順応性はほかの犬種より低く、時間をかけてじっくりと社会化を行う必要があります。また、その独立心や警戒心の強さからしつけの難しい犬種でもあるため、ある程度しつけの技術や経験を持っていることが望ましいでしょう。

 

ウルフドッグのしつけを始める時期やおすすめのしつけ方法は?

ウルフドッグを家に迎えたらすぐにしつけを始めるのがよいでしょう。しつけをする際の注意点は以下のとおりです。

 

子犬期に社会性を育てる

ウルフドッグは用心深く、家族以外の人や新しい環境に慣れにくい性質があります。比較的環境の変化に順応しやすい生後3週〜12週までの社会化期になるべく多くの刺激に触れさせておきましょう。

 

ルールを教えるためにわかりやすい言葉で叱る

どんな犬にでも言えることですが、しつけはシンプルでわかりやすい言葉で伝え、犬が混乱しないようにします。また、その言葉は家族間で統一し、いつも同じ言葉で指示を与えるようにすると、犬との信頼関係を築けます。

 

しっかり褒める

犬の良い行動を増やすためにはその行動を取った後に、必ず犬にとって嬉しいことが起こる必要があります。愛犬との信頼関係が築かれていれば飼い主に褒めてもらうことはこの上ない喜びになるでしょう。しっかり褒めて良い行動を増やすようしつけましょう。

 

しつけを根気よく続ける

超大型犬で力も強いため、一歩間違えば咬傷事故や怪我につながる可能性があります。しつけができなければ飼うことはできません。ウルフドッグは狼の性質を受け継ぐため、他の犬種のしつけよりは難しいとされています。根気よくしつけをし、それでも問題が解決しない場合はウルフドッグのしつけの経験があるドッグトレーナーや専門家に相談することも一つの方法です。

 

ウルフドッグの食事の注意点は?

ウルフドッグの食事は通常のドッグフードで構いません。総合栄養食と書かれたフードを1日1回か2回与えましょう。体重に合わせてドッグフードのパッケージに書いてある量を与えましょう。運動量の多い犬種なので体重の増減を確認しながら、痩せてくるようであれば量を調節してください。

ウルフドッグがかかりやすい病気は?

ウルフドッグがかかりやすい病気を紹介します。早期発見のためには、異常がないか普段から観察することが大切です。

 

股関節形成不全

股関節に形態的な異常が現れることで痛みや歩行異常が起きます。発育期の栄養バランスや遺伝的要因などが発症に関与しているとされますが、進行すると横座りをしたり腰を振って歩いたりする症状が現れます。もし、軽度であれば体重管理や痛み止めなどの内科治療ですみますが、重度になると外科手術が必要となります。

 

遺伝的疾患

先天的な遺伝子異常もあると言われていますが、詳細は不明です。個体数が少ないため近親交配の危険性も否定できません。

ウルフドッグを散歩させる際に気をつけることは?

非常にエネルギッシュな犬種なので、1時間以上の散歩を123回しっかりと歩かせましょう。休息時間は3時間程度で良いとされています。ただし、股関節に異常がある場合はその犬にあった負担のない運動を心がけてください。

 

また、基本的には家族以外の人になつかないので、人や犬に多く出会うような散歩コースでは落ち着きがなくパニックになり、強い力で引っ張る可能性もあります。人通りの少ない時間帯やコースを選びましょう。

ウルフドッグにおすすめの遊びは?

体が大きく力も強い犬種ですので、あまり興奮させすぎないよう遊びをコントロールしてあげましょう。おすすめの遊び方は次の通りです。

 

知育トレーニング 

頭を使って遊ぶ知育トレーニングも好みます。体力があり、疲れ知らずなので、通常の散歩に加え、家で知育トレーニングをさせてあげましょう。

 

アジリティ 

身体能力の高い犬種なので、犬の障害物競走であるアジリティをさせてもよいでしょう。ただし、他の犬や人がいる環境で落ち着いていられる個体に限ります。

 

自然の中で遊ばせる

他の犬や人が苦手な個体が多いためドッグランはあまりおすすめしません。自然の中で自由に走ることが可能であれば、自然の中で自由に遊ばせてあげられる環境が理想です。

ウルフドッグの日常のお手入れで気をつけることは?

ジャーマン・シェパード・ドッグの血を受け継ぐため、ダブルコートで換毛期には抜け毛が多い犬種です。毎日のブラッシングと月に1度程度のシャンプーが必要です。

 


※一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)の情報を参考に平均体重は記載しておりません。

※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

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