冬に犬を散歩させる際の注意点とは?寒さ対策と散歩後のケアを解説【獣医師監修】

林美彩(獣医師)

林美彩(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。

冬に犬を散歩させる際の注意点とは?寒さ対策と散歩後のケアを解説【獣医師監修】
冬に犬を散歩させる際の注意点とは?寒さ対策と散歩後のケアを解説【獣医師監修】

目次

  • ・ 犬に散歩が必要な理由とは?
  • ・ 犬種によって寒さへの耐性に違いはある?
  • ・ 冬に犬の散歩をする際に必要な準備とは?
  • ・ 冬に犬の散歩をする際の注意点とは?
  • ・ 冬の犬の散歩は、帰宅後のケアが必須

愛犬との散歩は、飼い主にとっても適度な運動と気分転換をもたらしてくれる楽しい時間でしょう。忙しいなかで、時間を確保して毎日の散歩を日課にしている人でも、これからの寒い季節は外に出るのが辛い時があるかもしれません。冬でも散歩は必要なのか、冬に散歩させる場合の注意点などについて、獣医師でchicoどうぶつ診療所の所長である林美彩先生に解説していただきます。

犬に散歩が必要な理由とは?

冬に犬を散歩させる際の注意点とは?寒さ対策と散歩後のケアを解説【獣医師監修】犬にとっての散歩は、運動によって肥満を防ぐなどの健康面から必要なことです。ずっと室内にいるのではなく、開放的な屋外を散歩することで適度にストレスを発散し、いたずらや問題行動などを防ぐ意味もあります。小型犬は散歩をする必要がないと言われることもあるかもしれませんが、それは間違いで小型犬にも散歩は必要です。

冬でも犬の散歩は必要?

運動不足は肥満の原因やストレスにもつながりますので、冬でも散歩は必要です。ただ、個体差はありますが、寒さに弱い犬種もいます。後述する冬の散歩で気をつけなければいけないポイントを押さえつつ、散歩に連れ出してあげてくださいね。

犬種によって寒さへの耐性に違いはある?

犬は比較的寒さに強い動物で、とくにそのルーツが寒い地域であるシベリアンハスキーや秋田犬などは、寒いなかでも元気に行動します。一方で、アンダーコートを持たず、体の冷えやすい小型犬のトイ・プードルヨークシャー・テリアなどは寒さに弱いです。一般的に短毛、シングルコート、温暖な国が原産の犬種などは寒さに弱いと考えて、散歩をさせる場合は防寒に注意してあげましょう。また、犬種にかかわらず、体力のない子や、子犬、シニア犬には無理をさせないようにしてくださいね。

冬に犬の散歩をする際に必要な準備とは?

冬に犬を散歩させる際の注意点とは?寒さ対策と散歩後のケアを解説【獣医師監修】冬になると人間がコートやダウンなどを着て寒さを防ぐように、犬にも寒さ対策は必要です。冬に散歩をする際に寒さ対策と準備について解説していきます。

寒さ対策

寒さに強い犬には特に必要ありませんが、寒さに弱い犬種や、子犬・小型犬・シニア犬を散歩に連れていく場合は、靴やウェアを活用するといいでしょう。靴や靴下をいきなり履かせようとしても嫌がってしまう場合があるので、地面が高温になっている夏の日や、どうしても足を怪我する恐れがあるような道を通らないといけない時などに、履かせて慣れさせておくといいでしょう。服についても同様で、小雨の日にレインコートを着せるなどの習慣をつけ、服に対する違和感を感じないようにしておいてあげるといいでしょう。

ヒートショック対策

暖かい空間から寒い環境への急激な移動は、心臓にダメージを与えてしまうことがあります。これをヒートショックと言い、人間だけでなく犬にも起きる危険があります。犬のヒートショックを防ぐには、部屋で防寒対策をさせてから外に出るようにするといいでしょう。また、屋外に出たら、外気温に慣れるまではゆっくり歩かせるようにしてください。

散歩前のウォーミングアップを忘れない

人間も同じことが言えますが、いきなり激しい運動をさせるのは、犬の体に負担がかかります。まずはウォーミングアップをすることで、スムーズに運動を行うことができるでしょう。ヒートショックを防ぐ意味でも、外に出る前に屋内で軽く走らせたりして少し体温を上げておくことをおすすめします。

雪が降っている、積もっている場合の対策

気温が低く、降雪量が多いようなときでも、寒さに強い子は外に出たがるかもしれません。そんな時は、雪や氷で地面が滑りやすくなっていますので、滑り止めなどがついた靴を履かせたり、服を着せたりして被毛に雪玉がつかないようにして出かけてくださいね。

 

散歩中に犬が雪を食べようとしたら止めた方がいい?

汚れていない部分であれば問題はありませんが、お腹の中から冷えることで消化器症状を呈することがありますので、少量にとどめたほうが無難です。

冬に犬の散歩をする際に持っていった方がいいグッズ

暗くなるのがはやいので、念のため懐中電灯などのライトはあったほうが良いかもしれません。また、途中で寒くなってしまったとき用の追加の服や、服の上から貼るカイロなども持っておくと良いかもしれません。

冬に犬の散歩をする際の注意点とは?

冬に犬を散歩させる際の注意点とは?寒さ対策と散歩後のケアを解説【獣医師監修】冬に犬の散歩をする際には寒さ対策以外にもいくつか注意すべきことがありますので、以下のようなことに気をつけるようにしましょう。

散歩に行く時間帯

冷え込みが厳しい時間帯は避けたほうが良いので、朝は少し遅めに、夕方は出来るだけ太陽が出ている時間に行くのが望ましいです。お仕事の都合などで日没後の散歩になる場合は、ライトなどを使って足元に気をつけて散歩をしてあげてください。

散歩を控えるべき天候

気温が低すぎる時や暴風雨・暴風雪の時には、散歩をしないという決断も必要です。そんな時は、お部屋の中で一緒に遊んであげれば犬も喜びます。屋内でできるトレーニングを行えば、運動量も確保できるでしょう。

適切な散歩時間

夏場と比べて大きく変更する必要はありませんが、寒さに弱い子は、いつもよりも10分ほど短めにしてあげてもいいかもしれません。震えなどが見られた場合には、臨機応変に早めに散歩を切り上げてあげてください。散歩時間を短くした場合には、家の中でストレス発散や運動不足を解消できるような工夫をしてあげるといいでしょう。

持病を持っている犬やシニア犬には無理をさせない

体力のない子に無理させるのは禁物ですので、いつもよりも散歩の時間を短めにし、その分を家で遊んだり、トレーニングに充ててみたりしてあげてください。

冬の犬の散歩は、帰宅後のケアが必須

冬に犬を散歩させる際の注意点とは?寒さ対策と散歩後のケアを解説【獣医師監修】冬場のケアのポイントは、乾燥と冷えです。犬の被毛や皮膚の状態を確認しつつ、必要なケアをしてあげるといいでしょう。

皮膚のケア

空気が乾燥しますので、皮膚にもフケが見られたり、パサパサしたりという変化が見られます。お部屋の湿度の見直しや、保湿剤を用いるなどして乾燥対策を行ってください。雪や雨で濡れてしまった場合には、冷えによって体の巡りが悪くなるうえ、濡れた皮膚には細菌がはびこりやすくなるため、皮膚炎を起こしてしまう心配があります。散歩後にはしっかり水分を拭き取って、温めてあげるようにしましょう。

肉球のケア

寒さと乾燥により、肉球がひび割れする子もいます。保湿剤を使ったり、マッサージを行ったりしてケアしてあげましょう。

皮膚のケア

皮膚のケア同様に、お部屋が乾燥しすぎないように湿度をコントロールしましょう。またタオルドライを行った後には、ドライヤーでしっかりと乾かし、その後に保湿剤などでケアしてあげるといいでしょう。

専門家の コメント:

犬にとって、散歩させないということは運動不足に直結します。ずっと家の中にいることによるストレスも心配ですから、冬の時期でも天候や体調などの様子を見ながら短い時間でもいいので、散歩に連れ出してあげられるといいですね。防寒や散歩後のケアも忘れずに、健康を維持してあげたいものです。


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