ウィペットの性格や特徴は?飼い方のコツ、かかりやすい病気などを解説【獣医師監修】

ウィペットの性格や特徴は?飼い方のコツ、かかりやすい病気などを解説【獣医師監修】

犬種図鑑

2023年02月22日 更新 (2022年06月22日 公開)

chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。

ウィペットの性格や特徴は?飼い方のコツ、かかりやすい病気などを解説【獣医師監修】

ウィペットの歴史やルーツは?

ウィペットの性格や特徴は?飼い方のコツ、かかりやすい病気などを解説【獣医師監修】ウィペットはイギリス原産の犬種で、19世紀後半頃に害獣駆除を目的として生まれました。小型のグレーハウンドを祖先にもち、マンチェスターテリア、ベドリントンテリア、ホワイトテリアなどの犬種を掛け合わせて作られたハウンドドッグです。

 

ウィペットの名前の由来は、「鞭」を意味するウィップが元になっていると考えられています。走る姿勢が鞭のようにしなやかなことから、ウィペット(鞭犬)という名前がつけられました。

ウィペットの平均的な体高、体重は?

一般社団法人 ジャパンケネルクラブ(JKC)によると、ウィペットの平均体高はオスが4751cm、メスが4447cmです。体重はオスとメスとともに1315kgが平均とされています。

ウィペットの平均寿命は?

ウィペットの平均寿命は1215歳程度です。一般社団法人ペットフード協会の「令和3年 全国犬猫飼育実態調査」によると、犬の平均寿命が14.65歳なので、ウィペットの寿命は平均的だと言えるでしょう。

ウィペットの毛色の種類や被毛の特徴は?

次にウィペットの毛色の種類や被毛について見ていきましょう。

毛色の種類

単色のウィペットの場合、ブラック・ブルー・フォーン・レッドなどの毛色の種類があります。単色でない場合は、これらの色にホワイトが加わるのが一般的です。ブリンドルと呼ばれる、異なる毛色が入った種類もあります。

被毛の特徴

ウィペットの被毛は、オーバーコートのみのシングルコートです。さらにつるっとした肌触りを持ったスムースヘアも魅力のひとつ。ダブルコートと比べ、抜け毛は少なめではありますが、想像よりも抜け毛が多い犬種だと感じる人もいるようです。加えて、短毛なので毛が衣類やカーペットなどに刺さりやすく、掃除がしにくいというデメリットが挙げられます。

ウィペットの外見や吠え声の特徴は?

ウィペットの性格や特徴は?飼い方のコツ、かかりやすい病気などを解説【獣医師監修】ウィペットの外見や吠え声にはどのような特徴があるのでしょうか?

外見

筋肉質でバランスの良い体つきが特徴です。力強い肉体とすらりと伸びた脚が美しく、駆除犬に適した体格をしています。

吠え声

基本的にあまり吠えることがなく、無駄吠えが少ない犬種です。

ウィペットはどんな性格? オスとメスで性格の違いはあるの?

気品が感じられる優美な見た目のウィペット。その性格の特徴について見ていきましょう。

落ち着きがある 

ウィペットは基本的に穏やかで落ち着いた性格をしています。他の犬や人に攻撃的になることはとても少ない傾向にあるでしょう。

愛情深い 

ウィペットは愛情深い性格の犬でもあります。飼い主の感情や気持ちを汲み取ることができる感受性の高さが魅力です。

飼い主に従順

飼い主の言うことをよく聞く、従順な性格をしています。しつけがしやすい上に、あまり吠えないため室内でも飼いやすい犬種です。

見知らぬ人には警戒心が強い 

温厚で愛情深い性格のウィペットですが、神経質な一面も持っています。その繊細な性格から他の犬や見知らぬ人に対して警戒心を抱いて、時には威嚇してしまうことがあります。

オスとメスの性格の違い

オスはメスに比べて縄張り意識が強い傾向があるのと、より遊び好きな性格でもあります。メスはオスに比べて頑固で寂しがり屋な一面も。オスと比べて甘えてくることが多いかもしれません。

ウィペットを飼うのに向いている人は?

ウィペットの性格や特徴は?飼い方のコツ、かかりやすい病気などを解説【獣医師監修】ウィペットは無駄吠えも比較的少なく、室内でも飼育しやすい犬種です。ただし、活発で運動量を必要とする犬種なので、散歩や遊びの時間がしっかりとれる人が望ましいと言えます。運動量を確保できないとストレスが発散できず、体調不良や問題行動につながる場合があるため注意しましょう。

ウィペットは初心者向けの犬?

ウィペットは飼い主に従順なため、しつけやトレーニングがしやすく、初心者にも向いている犬種と言えます。

ウィペットを飼う上で気をつけることは?

ウィペットを飼う際は、必ず寒さ対策を怠らないようにしましょう。ウィペットは短毛な上にシングルコートなので、寒さに弱い傾向があります。例えば、冬場の散歩では洋服を着せてあげると良いでしょう。また、夏はクーラーをかけすぎて身体を冷やさないようにしてあげてください。

ウィペットのしつけを始める時期やおすすめのしつけは?

ウィペットのしつけは、以下の点に留意しつつ進めていきましょう。

しつけを始める時期 

ウィペットのしつけは、自宅に迎え入れ、環境に慣れたらすぐに始めるようにしましょう。一般的に生後312週は社会化期という大事な時期にあたります。この社会化期には体験したことを柔軟に吸収できるので、社会性を身につけるのに適しています。

おすすめのしつけ方法

ウィペットのしつけでは、褒めて伸ばすことを意識しましょう。飼い主に従順で繊細な性格の持ち主なので、叱ると精神的ダメージを受けたり、飼い主との関係性が破綻してしまったりする可能性があります。良いことをしたら褒めてあげて、その行動の頻度を増やすトレーニング方法を意識してみてください。また、狩猟本能を満たしてあげるような遊びを通したしつけもおすすめです。ストレスを上手に発散させてあげることで、トラブル回避につなげることができるでしょう。

ウィペットの食事の注意点は?

ウィペットはある程度の運動量を必要とする犬種なので、動物性たんぱく質をしっかり摂れる食事を心がけましょう。また、肥満にならないよう、脂質や糖質の与えすぎにも注意してください。肥満になると関節や靱帯に負担がかかってしまい、病気やケガにつながる恐れがあります。

ウィペットにおすすめの遊びは?

ウィペットには、次のような遊びが特におすすめです。

ドッグラン

多くの運動量が必要とされる犬種なので、ドッグランで思い切り走らせてあげると良いでしょう。自由に走り回れる環境は、ウィペットにとってストレス発散につながるはずです。

フライングディスク(フリスビー)

猟犬のルーツを持つウィペットには、本能を満たせる遊びがおすすめです。ボールを使った「持ってこい遊び」やフライングディスクなどは特に喜ぶでしょう。

アジリティ

アジリティとはコースに置かれたトンネルやハードルなどの障害物を、飼い主の指示のもとクリアしていく競技です。運動能力の高いウィペットは、アジリティのような競技性の高いドッグスポーツも十分に楽しむことができるでしょう。

ウィペットを散歩させる際に気をつけることは?

ウィペットを散歩させる際は以下のようなことに気をつけるようにしましょう。

散歩の時間や頻度

ウィペットの散歩は、最低でも12回は必要です。1回あたりの散歩時間は30分程度を目安としましょう。

首輪抜けに注意

散歩の際に気をつけたいのは、首輪抜けです。ウィペットは頭が小さい分、後ろに下がった際に首輪が抜けてしまうケースが多い傾向にあります。その対策としては胴体に装着できるハーネスがおすすめです。ただし、冬場のように洋服の上から装着する場合、服の厚さによってはハーネスが緩くなってしまう場合があります。散歩中はハーネスに緩みがないか、確認するようにしましょう。

ウィペットがかかりやすい病気やケガは?

ウィペットの性格や特徴は?飼い方のコツ、かかりやすい病気などを解説【獣医師監修】ウィペットを健康的に長生きさせるには、その体質やかかりやすい疾患について知っておくことも大切です。その一例を以下に紹介します。

白内障

白内障とは、目の中にある水晶体の一部、または全体が白く濁った状態になる病気です。その原因は遺伝性のものから老齢性、別の目の疾患や糖尿病などが原因となるものまであります。予防するのは難しいため、早期発見を意識することが重要となります。

緑内障

緑内障は、眼球内にある眼房水が溜まることで眼圧が上がり、視神経や網膜に異常が起きる病気です。目が大きく見えるほか、充血や痛みを伴います。病状が進行すると、失明する可能性があるため注意が必要です。

遺伝的に眼房水が流れ出る部位が閉塞していたり、角膜炎やブドウ膜炎などをはじめとした他の眼疾患から続発性に起きたりする場合があります。そのため角膜炎をはじめとした眼疾患が起きないよう、注意する習慣も大切です。例えば、角膜に傷がつかないように、室内や散歩コースで目にぶつかるものは避けるようにしましょう。緑内障を進行させないためにも、目の異変を感じたらすぐに病院に連れていき、早期発見・早期治療に努めるようにしてください。

水晶体脱臼

ピントの調節をしているレンズ部分である水晶体が、前もしくは後ろに脱臼してしまう病気を水晶体脱臼といいます。痛みの他、眼内出血や角膜浮腫が起きます。ブドウ膜炎や緑内障、網膜剥離などを併発することもあるので、早期発見と治療が大切です。

原発性の場合は予防が難しいですが、外傷や眼疾患、腫瘍が原因で起こる続発性の水晶体脱臼は普段の生活で防ぐことができます。外傷を避けたり、異常が見られたらすぐに病院を受診したりするようにしましょう。

耳介脱毛症

耳介脱毛症は耳の全体もしくは一部に脱毛が見られる、原因不明の病気です。若いオスでの発症率が高く、病気が進行すると8歳頃までにほとんどの毛が抜けてしまいます。遺伝性の疾患のため、現段階では明確な予防法はありません。

口蓋裂

口蓋とは、口の中と鼻の穴を分ける部分のことです。口蓋裂では生まれつき口蓋が裂け、穴が開いたような状態になります。子犬の時にはその穴からミルクや離乳食が鼻腔内に流れ込み、鼻から出てきてしまうケースもあります。生まれつきの病気で予防法のない疾患です。

アレルギー性皮膚炎

ウィペットは、ハウスダスト・花粉・ノミ・食べ物などが原因となって起こるアレルギー性皮膚炎を起こしやすいと言われています。発症すると皮膚に発赤やかゆみなどの症状が見られます。明確な予防法はありませんが、生活環境を整えたり、アレルゲンを避けたり、腸内環境を整えたりすることが症状の緩和につながるでしょう。

停留睾丸 

停留睾丸(ていりゅうこうがん)とは、一定期間を過ぎても睾丸が陰嚢におりてこず、腹腔内や鼠径部にとどまってしまう病気で、何か症状が現れるわけではありません。遺伝が関与していると言われ、予防法のない疾患です。

靭帯のケガ 

ウィペットは、前十字靭帯断裂をはじめとした靭帯のケガを起こしやすい犬種です。原因は加齢による靱帯の劣化や肥満による負荷が考えられます。その他、ジャンプやダッシュ、ターンなどの過度な運動、事故や打撲による外傷が原因になることもあります。肥満にならないような体重管理、フローリングのような滑りやすい床材を避けたりすることなどが予防につながります。

胃捻転胃拡張症候群(GDV 

ウィペットのような胸が深い犬種は、胃捻転胃拡張症候群を起こしやすいと言われています。胃捻転胃拡張症候群は胃が拡張し、ねじれてしまう病気です。吐きたそうなしぐさや苦しそうな様子、よだれが出るなどさまざまな症状が見られます。さらに、胃にガスが溜まることで腹部の膨張がみられ、呼吸困難やショック症状、多臓器不全から短時間で死に至ることもあります。予防としては、食後の激しい運動や早食いを避けることが大事です。

ウィペットの日常のお手入れで気をつけることは?

寒さに弱いウィペットは、冷えによってさまざまな疾患を招くリスクがあります。冬場だけでなく、夏場も体を冷やさないよう気をつけましょう。前述しましたが、夏場はクーラーを強くしてしまうと、体が冷えてしまう可能性があります。年間を通して温度や湿度の管理に気を配りましょう。