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【獣医師監修】犬にも紫外線対策は必要!?紫外線の影響で起こる体の不調や病気とは?

【獣医師監修】犬にも紫外線対策は必要!?紫外線の影響で起こる体の不調や病気とは?

日差しが強い季節において気になるのは紫外線です。夏の天敵から肌や目を守るため、万全の対策をとる人も少なくないことでしょう。しかし、人間と同じく犬も紫外線の影響を少なからず受けていることをご存知ですか? 今回は獣医師の星野文耶先生に教えてもらった、犬が紫外線を受けることによって生じる影響とその対策についてご紹介していきます。

そもそも紫外線とはどういうもの?

紫外線とは、目に見える光(可視光線)のほか、目に見えない赤外線や紫外線が含まれています。地上に到着する紫外線(UV)は、生物に与える影響や波長を基にA、B、Cの3つに分けられ、波長の長いものから順にUVA(315-400nm)、UVB(280-315nm)、UBC(100-280nm)となります。波長の短いUVCは大気層(オゾンなど)で吸収され、ほとんど地表に届かないので、地表に到達して私たちの健康上問題となっている紫外線は、大量のUVAと少量のUVBになります。

UVBの大半は大気層にさえぎられてしまうので、ほんのわずかしか地表に届きません。しかし、ごく少量でも、UVBは細胞の核内にあるDNAに直接吸収されてDNAに傷をつけるため、日焼けや皮膚の炎症、しみの原因となるだけではなく、病原体から身を守るための免疫システムに異常をきたす自己免疫疾患や、がんの発症につながる可能性があります。

波長の長いUVAは、地表に届く紫外線の9割を占めます。UVAは、皮下のメラニン色素細胞を活性化させる作用があります。波長は長いほど皮膚の奥深くに入りこむ性質があり、紫外線の中で波長の長いUVAは皮膚の深く、真皮にまで到達します。UVAは生体内の様々な分子に吸収され、その結果発生する活性酸素を介して細胞の膜脂質やタンパク質、DNAなどに酸化的損傷を与え、人や動物の体に悪影響を与えてしまいます。

紫外線が犬の皮膚や目に与える影響とは?

紫外線は人や犬をはじめとした動物に影響を与えます。実際にどのような影響を与えるのかご紹介していきます。

紫外線が犬の皮膚に与える影響とは?

一度に大量の紫外線を浴びると、日焼けが起こります。一度に浴びる量が少量でも、長期間に渡って浴び続けていると、しみやしわ、皮膚の腫瘍といった光老化が起こります。また日光に敏感な体質の場合は、ほんの少量の日光でも様々な皮膚症状が出てしまう光線過敏症を発症する可能性もあります。

紫外線の中でも特にUVBは、細胞のDNAに傷をつけてしまいます。皮膚の細胞には、傷ついたDNAを修復して元の正しいDNAに治す機能が備わっていますが、長期に渡って紫外線を浴び、繰り返しDNAが傷つけられると、傷の修復が追いつかなくなってしまいます。その結果、傷の治し間違いが起こり、誤った遺伝情報(突然変異)が生じる可能性があります。その突然変異部分ががんの発生に関わる遺伝子であった場合、それが増殖し続けて皮膚がんを発症してしまうといわれています。

紫外線からの悪影響を防ぐため、皮膚はメラニンとよばれる色素を産生し、紫外線が皮膚の内部へ到透するのを阻止し、DNAが紫外線によって傷付けられないようにはたらきます。日光に当たると、皮膚がだんだん褐色に変わってくるのは、メラニンがどんどん作り出されているためです。犬は被毛があり、さらに紫外線を防ぐようにできていますが、被毛が薄かったり、白い皮膚をもつ犬では、耳介先端に発赤を伴う紅斑(こうはん)や、剥がれ落ちた角質が皮膚表面に蓄積する麟屑(りんせつ)、脱毛を生じる日光性皮膚炎の発症リスクが高くなります。被毛が薄い犬種としては、チャイニーズ・クレステッドドッグや、アメリカン・テリアなどのヘアレスドッグが挙げられます。

紫外線が犬の目に与える影響

紫外線は目の病気の原因にもなり、特に角膜への影響が大きいといわれています。主な角膜の疾患としては、慢性表層性角膜炎/慢性表在性角膜炎が挙げられます。この疾患では、本来透明で血管が通っていない角膜に、角膜周辺から血管が侵入し(血管新生)、色素沈着や混濁が認められます。血管新生や色素沈着が角膜全域に拡がると視覚が低下することもあるので、注意して愛犬を観察し、疑わしい症状があった場合はすぐにかかりつけの動物病院へ相談をしましょう。

この病気はどんな犬種にも発症する可能性がありますが、ジャーマン・シェパードとその雑種や、グレーハウンドに多いとされています。また、標高が高い地域に住んでいる犬において、発生が多く報告されています。その他、眼科診療の中で良く見られる白内障も、発生の最も大きな要因は遺伝によるものですが、紫外線も発症リスクの1つとして知られています。

紫外線の予防方法とは?

特に紫外線が強い4月から9月頃は、紫外線から身を守るために天候に関わらず必要以上の日中の外出を避け、散歩は早朝や日が沈んでから行くのがおすすめです。

紫外線の強さは、時間帯や天候、季節や大気層のオゾン量などによって大きく変わります。1日のうち10〜14時の間が最も紫外線照射が強く、その間の紫外線量は、夏の場合は1日の約60%の照射量、 冬の場合は約70〜75%の照射量を占めます。

光は、直接太陽から届く光だけではなく、空気中で散乱して届く散乱光や、地面等で反射して届く反射光もあるので、紫外線の強い季節や時間帯は、日陰でも注意が必要です。また、犬用のUVカットの洋服等も市販されておりますので、かかりつけの動物病院と相談して着用するのもいいかもしれません。

まとめ:

紫外線は過度に浴びると犬の体に悪影響を与える可能性があります。紫外線がリスク因子となる皮膚や目の疾患もあるので、特に紫外線が強い4月から9月頃は、紫外線対策を行い、愛犬の様子がいつもと違う場合は、すぐにかかりつけの動物病院へ相談しましょう。


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※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

監修/星野文耶先生(獣医師)

北里大学獣医畜産学部(現獣医学部)卒業。乗用馬の臨床、小動物の一般臨床に従事したのち、小動物眼科に興味を持ち、2014年よりありす動物眼科クリニックに勤務。アジア獣医眼科専門医・比較眼科学会獣医眼科専門医の小林由佳子院長の指導のもと、眼科専門医を目指し日々小動物眼科を勉強中。

著者プロフィール

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