犬の無駄吠えはどうしつければいい?吠えるパターンごとの対処法を解説【獣医師監修】

犬の無駄吠えはどうしつければいい?吠えるパターンごとの対処法を解説【獣医師監修】

犬を飼うときの困りごととしてよく挙げられるのが「無駄吠え」です。何かを要求して吠えているのか、意味もなくただ吠えているのか、理由がわからず戸惑ってしまう飼い主も多いのではないでしょうか。犬の無駄吠えにはさまざまな要因があり、それによって対処方法も変わってきます。この記事では、犬の無駄吠えに対する具体的なしつけの方法をかどのペットクリニック院長で獣医師の葛野莉奈先生監修のもと、詳しく解説していきます。

犬が吠えることはすべて無駄吠えに当てはまる?

本来、犬が吠え声をあげるのは何かを知らせたり、自分の意思を伝えたりするためです。人間からすると「無駄」と感じられても、犬にとっては何らかの理由があって吠えている場合が多いといえます。

 

とはいえ、たとえ警戒や要求など犬にとっては意味があって吠えていたとしても、飼い主の生活に支障をきたすレベルであれば、「無駄吠え」であると考えてよいでしょう。

よく吠える犬種、吠えない犬種はいる?

ペットショップで「あまり吠えない犬種です」と紹介されることもあるようですが、基本的には吠えない犬種というのは存在しません。あまり吠えない子や吠え声が小さい子はたまにいますが、あくまでもその子の性格による個体差なので、犬種による違いではありません。

犬の無駄吠えの種類や、吠える理由って?

犬の無駄吠えにはさまざまな種類があり、犬の置かれた状況などによって吠える理由も変わってきます。犬はどのような場合に無駄吠えをするのか。外的要因や内的要因などに分けて、主な要因を見ていきましょう。

 

【環境・外的要因からくる無駄吠え】

 

来客、チャイムに対する吠え

犬は来客やチャイムの音に反応して吠えることがあります。これは、外からの侵入者に対して警戒心を示したり、それを飼い主に知らせようとして吠えていると考えられます。

 

外を通る人や車に対する吠え

窓の外を通る人や車に対して、警戒心から吠えることもあります。犬種の傾向として、走る車など動く物体を目にすることで興奮し、本能的に吠えてしまう犬も多くいます。

 

散歩中、ほかの人や犬に対する吠え

散歩中に見知らぬ人やほかの犬に会うと、「何かされるのではないか」という恐怖心や警戒心から吠えてしまうことがあります。

 

【心情などの内的要因からくる無駄吠え】

 

家族に対する要求吠え

飼い主に対して「相手をしてほしい」「外に出たい」など、要求を伝えるために吠えることがあります。要求吠えをしたら飼い主が応えてくれたという経験がある犬は、その成功体験から要求吠えを繰り返す傾向があるため、注意が必要です。

 

興奮を原因とする吠え

楽しくなったり、興奮したりしたときに吠えることを覚えてしまうと、何かの加減で感情のスイッチが入ったときに吠えてしまう犬もいます。

 

不安を原因とする吠え

飼い主への執着から不安が高まっている状態を「分離不安」と呼びますが、留守番中などにこの分離不安を感じることで吠えてしまうケースもあります。

 

【その他の原因からくる吠え】

 

認知機能低下を原因とする吠え

高齢になると認知機能が低下し、認知症を発症してしまう犬もいます。そうした犬は、警戒や攻撃といった明確な原因を持たない、得体のしれない不安を感じてしまうことも多く、それが吠えるという行為につながることがあります。

 

副作用に対する吠え

犬はステロイドの副作用で不安や不眠、多幸感などを感じることもあり、その状態に陥ったせいで吠えている可能性も考えられます。

犬の無駄吠えを放置してしまうことによる問題点って?

犬の無駄吠えはどうしつければいい?吠えるパターンごとの対処法を解説【獣医師監修】

犬の無駄吠えを放置してしまうと、どのような問題が生じるのでしょうか。無駄吠えの種類ごとに考えられる弊害を見ていきます。

 

家族に対する要求吠え

先にも触れた通り、犬は飼い主に対して自分の要求を通すために「要求吠え」をすることがあります。これが習慣化してしまうと、自分の要求を叶えてもらえるまで吠え続けるなど、無駄吠えが悪化することがあります。また、飼い主との立場が逆転し、しつけが上手くいかなくなる、言うことを聞かなくなる、といった問題行動にもつながりやすくなります。

 

来客、チャイムに対する吠え

来客やチャイムに対する警戒や興奮から吠えている場合は、家に迎え入れた客人や宅配業者などに対して敵対心をむき出しにしたり、攻撃的な行動をとったりして、トラブルを引き起こす危険性があります。

 

外を通る人や車に対する吠え

動く物体に警戒心を持ったり、興奮したりする習慣がついていると、家の中で時間に関係なく吠えてしまい、近所の人との騒音トラブルにつながる恐れもあります。また、散歩で通行人や車に遭遇した際に、対象を急に追いかけたり、攻撃したりすることにもなりかねません。

 

散歩中、ほかの人や犬に対する吠え

恐怖心や警戒心から吠えている場合、散歩中に見知らぬ人やほかの犬が近くを通ったり、スキンシップを図ろうと近づいてきたりしたときに、相手を攻撃して怪我させてしまう危険性もあります。

 

不安を原因とする吠え

留守番中に不安からずっと吠え続けてしまうと、ご近所との騒音トラブルになりかねません。また、分離不安の場合、その不安があまりに大きく精神的な負担になりすぎてしまうと、それが体調不良というかたちで現れることもあります。

 

認知機能低下を原因とする吠え

認知症など認知機能の低下による吠えの場合、昼夜が逆転して夜になると吠え始めるなどの問題行動につながる傾向があり、飼い主の生活に大きな負担がかかってしまいます。

犬の無駄吠えに対するしつけや予防方法は?

犬の無駄吠えはどうしつければいい?吠えるパターンごとの対処法を解説【獣医師監修】

犬が無駄吠えをするときは、その理由に応じたしつけや対処を行う必要があります。また、吠えの原因をあらかじめ取り除いてあげることで、無駄吠えを未然に防ぐことも大切です。ここからは、効果的なしつけや予防方法をご紹介します。

 

【環境・外的要因からくる無駄吠えに対してのしつけ】

 

社会化を促す・刺激に慣れさせる

生後4週間~12週間の社会化期に外的な刺激に慣れさせることが大切です。犬は適応能力が高いと言われていますが、社会化期によく聞く音や感じるにおい、人や犬などと触れ合う機会をたくさん設けることで、さらに環境などの外的要因に適応しやすくなります。この社会化を適切に行うことで、不安や警戒からくる無駄吠えを防ぐことにつながります。

 

吠えるきっかけとなる刺激を減らす

通行人や車など外からの刺激に反応して吠えている場合、犬に外を見せないよう室内環境を工夫し、刺激に触れる機会を減らすことも対策のひとつです。少し落ち着けるようになったらあえて刺激に触れさせ、吠えなければご褒美を与える・褒めるといったしつけを行うことも、吠えを改善する上で重要です。

 

ハウス(クレート)トレーニング

無駄吠えを防ぐには、犬がリラックスできる場所を作り、その中で落ち着いて過ごせるようにトレーニングを行うことも大切です。ハウスやクレートは刺激になるものとの接触を防げるだけでなく、興奮しているときに自分を落ち着かせる安全な空間として機能します。

 

無駄吠え防止グッズを使用する

吠えると振動が起こる首輪など、無駄吠えを防止するグッズも市販されているので試してみてもよいでしょう。ただし、刺激が強すぎると逆効果になることもあるので注意が必要です。また、グッズによる刺激が「吠えてはいけない」というメッセージと結びつかない場合は、無駄吠えの抑止につながらない場合もあります。

 

【心情からくる無駄吠えに対してのしつけ】

 

運動量を増やしてみる

犬の無駄吠えは、運動不足で体力があり余っているときに起こっている可能性もあります。その場合は、散歩の時間を増やしたり、家の中で遊ぶ時間を増やしたりして、運動欲求を発散させてあげるとよいでしょう。欲求が満たされることで、落ち着いて過ごせる時間が増えていきます。

 

要求に応えない

犬が何かを要求して吠えている場合、飼い主がその要求に応えてしまうと、「吠えたことで報酬を得られた」と学習してしまいます。吠えることが習慣化してしまう恐れがあるので、犬の無駄吠えには反応しないことも大切です。

 

【その他の要因へのしつけ】

 

薬物療法を行う

認知症や病的な問題行動による無駄吠えの場合は、薬物を用いた治療を行い、行動の改善を試みる場合もあります。ただし、薬物療法はさまざまなしつけや対処法を試し、ほかの疾患的な要素の可能性を検査した上で、最終的に必要と考えられた場合に行ないます。

 

ドッグトレーナーに相談してみる

無駄吠えの改善には、専門家の力を借りるのもひとつの手です。ドッグトレーナーに相談することで、「なぜ吠えているのか」という理由が明確になり、対策も取りやすくなるでしょう。家に来てもらうスタイルやしつけ教室に参加するスタイルなど方法はさまざまです。近所の散歩仲間やかかりつけの先生などに相談し、信頼できるドッグトレーナーを紹介してもらえるとより安心です。

犬の無駄吠えに対して、してはいけない飼い主のNG行動は?

無駄吠えをする犬に対して、暴力を振るうことはもちろんですが、怒鳴ってやめさせようとすることはおすすめできません。余計に恐怖を与えてしまったり、興奮の度合いが増してしまったりする恐れがあります。

 

飼い主に求められるのは感情的な対応ではなく、「なぜ吠えているのか」という無駄吠えの原因を冷静に見極めることです。そして、原因がわかったらそれに応じた解決策をひとつひとつ講じていきましょう。

専門家のコメント

残念ながら、無駄吠えは一度のしつけですぐに改善されるものではありません。原因を探った上で、根気強く、時間をかけて繰り返ししつけを行うことが大切です。ときには試行錯誤行しながら、適切な対策を見つけていく必要もあるでしょう。なかなか改善しない場合は一人で抱え込まずに、かかりつけの医師やドッグトレーナーなどプロの力を借りながら対応していくことをおすすめします。

監修/葛野莉奈先生(獣医師)

監修/葛野莉奈先生(獣医師)
かどのペットクリニック院長。麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。 獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に動物病院を開院。 開院後、ながたの皮膚科塾を修了。 皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、特にこれらの分野は院内の診療の中でも力を入れている。

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