子犬のしつけはいつから?教える順番とタイミングを解説【獣医師監修】

子犬のしつけはいつから?教える順番とタイミングを解説【獣医師監修】

葛野莉奈(獣医師)

葛野莉奈(獣医師)

かどのペットクリニック院長。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、特にこれらの分野は院内の診療の中でも力を入れている。

犬のしつけはなるべく早いうちから、と言われています。とはいえ、子犬をお迎えしてどのタイミングから始めればいいのか、何から教えればいいのか飼い主としては迷ってしまうものですよね。今回の記事では、子犬のしつけを行う順番やタイミングなどについて、かどのペットクリニック院長で獣医師の葛野莉奈先生に解説していただきます。

目次

  • ・ 子犬のしつけをする前の心構え
  • ・ 子犬のしつけはいつから始める?
  • ・ 子犬に必要なしつけは?
  • ・ 子犬のしつけを行う順番とタイミング
  • ・ 子犬をパピークラスなどのしつけ教室に通わせた方がいい?
  • ・ 子犬の性別によるしつけの違いは?
  • ・ 子犬のしつけをする際の注意点は?
  • ・ 子犬が起こしやすい問題行動は?
  • ・ 子犬のしつけに使える便利グッズは?

子犬のしつけをする前の心構え

子犬のしつけはいつから?教える順番とタイミングを解説【獣医師監修】子犬のしつけを行う前に飼い主としてどんなことに気をつければ良いのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。

できるだけ早めにしつけを行うようにする

子犬のしつけは出来るだけ早めがいいとされています。生後312週間は社会化期と呼ばれ、いろいろな刺激を受容しやすい時期と言われています。何かをさせるしつけではなくても生活音に慣らしたり、いろいろな人に触れさせたりするなどの刺激を与えてもいいでしょう。

ただし、その時期は母体から受けた免疫がちょうど消失して、ワクチン接種などで自分の免疫を完成する時期でもあります。ウイルス感染が起こる可能性もあるため、他の犬や犬を飼っている方との接触は注意をする必要があります。

上下関係ではなく、信頼関係を築いていく

以前は、「犬は家族を順位づけする」「リーダーと認めた人の言うことしかきかない」と言われていましたが、近年では犬には「上下関係」といった概念がないことがわかってきています。子犬のしつけをする際は上下関係というよりもお互いに信頼関係を結んで、円滑なコミュニケーションを取れる関係を築く意識を持つようにしましょう。

子犬を迎える前から飼育環境を整えておく

子犬を迎えてからではなく、子犬を迎える前から飼育環境を整えておきましょう。首輪やリードの準備はもちろん、子犬が食べてはいけないものは見えないところにしまう、子犬がストレスなく休める場所を作っておく、電気のコードなどにはカバーをつける、キッチンなど子犬に入ってほしくない場所にゲートを設置する、などといったことが挙げられます。

子犬のしつけはいつから始める?

子犬のしつけにはおすすめの時期があります。具体的にどんな時期にしつけを始めればいいのかご紹介します。

子犬のしつけを始めるのは生後23か月経ってから

子犬には、「社会化期」と呼ばれる時期があります。さまざまな刺激を受けて急激に成長する時期です。この時期にしつけを始めるのが良いとされています。

この時期からしつけを始めるべき理由

さまざまな刺激を受容し、適応する能力を形成する社会化期にしつけを行うことが大切です。この時期に触れた刺激には順応性がより高まると言われていて、社会への適応もスムーズになることが考えられます。

社会化期にはできるだけ人や犬と接する機会をつくる

社会化期には生活音やお家の周りのにおい、ご家族以外の人に積極的に触れてもらうことなどが出来るとよいでしょう。ワクチンなどの免疫が完了しているのであれば、他の犬とも触れ合えると理想的です。

子犬に必要なしつけは?

子犬のしつけはいつから?教える順番とタイミングを解説【獣医師監修】犬との暮らしは十数年以上続きます。生活の基本的なルールを子犬のうちに覚えさせることで、将来的に犬も飼い主もストレスのない生活をすることができます。具体的にどういったしつけが必要なのかご紹介します。

名前を覚えさせる

意識を向かせたい時に、名前を覚えてくれていると良いでしょう。ただし、犬は日本語がわかるわけではないため、混乱しないよう、ご家族で呼び方を統一するなどの工夫が必要です。

甘噛みの抑制

噛むという行為自体を許してもらえると認識をすると、自分の意思表示の手段として噛むという行為をするようになる可能性があり、飼い主や家族外の人や犬を噛んで傷つけてしまうかもしれません。噛むという行為自体がいけないことと教えてあげる必要があります。

キッチンに入らないなどの家庭内のルール

お家に迎え入れてからすぐに覚えさせたほうが良いものに家庭内のルールがあります。ゲートなどを設置して物理的に入れないようにすることが大切ですが、それでも家庭内のルールを破った場合は、叱るだけでは犬は理解できない場合が多いです。いけないことをしたらハウスに入ってもらうなど、何かの制限をかけるようにした方がいいでしょう。

トイレ

同じ場所でトイレをしてもらえると、飼い主がチェックしやすく、健康管理の面でも、衛生面でもメリットが多いです。犬にとっての生涯教育ともいわれるトイレのしつけですが、もしトイレに失敗しても叱らずに、とにかく根気強くしつけていく必要があるでしょう。

ハウス

ハウスは来客時や留守番時に指定の場所にいてほしい場合に教えるとよいでしょう。まずは、犬にとってハウスが落ち着く場所と認識してもらう必要があります。飼い主と触れ合うことに慣れたタイミングで、ハウスでおやつを食べる、おもちゃで遊ぶなど、好きなことをすることから始めましょう。

おすわり、ふせ

クールダウンさせたい時に、その姿勢を取ったら自分で落ち着かせられると理想的です。興奮しやすいご飯前などに、この姿勢をとり、できたらご褒美としてごはんやおやつを与えると良いでしょう。

はなせ、ちょうだい

食べてはいけないものを口にしようとした時に、このコマンドが定着していると、そのものを放させることができます。遊びの一環として、おもちゃなどを加えていたら放させる、そしてご褒美を与えたり、褒めたりするということを繰り返すことで覚えてくれるでしょう。

キャリーバッグに慣れさせる

まずは、キャリーバッグのことを好きになってもらいましょう。キャリーバッグの中でおやつを食べたり、おもちゃで遊んだりなどといったことを短い時間で出来るようになってもらいます。次の段階として少しずつその時間を長くしていきます。

体を触らせることに慣らす

スキンシップの一環として体も触らせてくれるように慣らしましょう。ただし、これも飼い主との信頼関係が築けていることが大切です。大好きな飼い主に体を触れられていることが楽しい、嬉しいと認識してもらえるように信頼関係を築くことも必要です。

散歩の練習(首輪やリード、足拭きに慣れさせる)

初めて首輪やリードをつけて、全く知らない外に出てしまうと、恐怖心やどうしていいかわからず固まってしまうことが多いです。まずは慣れている室内などで首輪やリードをつける練習をしましょう。これらも他のことと同様、少しずつつける時間を長くしていけるとよいでしょう。

また、並行して外に出ることにも慣らす必要があります。まずは、外のにおいや生活音に慣れてもらうために、お散歩という形ではなく抱っこしながらでもよいのでいろいろな刺激に触れさせてあげてください。

呼び戻し(待て、おいで)

リードから離れてしまった時やドッグランなどの広い場所で遊ぶ際にこのコマンドが出来ると便利です。これも遊びながら教えることができますが、まずは飼い主との信頼関係を築くことが大切です。しつけをするのと同時進行で飼い主の言うことを聞いて、飼い主が喜んでくれることが犬にとってもうれしいと感じられるような信頼関係を築くことが必要です。

歯磨き

いきなり歯磨きを出来るようにしつけることは非常にハードルが高いです。まずは口周りを触ることを嫌がらないように慣れさせましょう。短い時間でも良いので口周りを触っても嫌がらないように慣れてもらって、少しずつ口周りを触る時間を長くしていきます。口周りを触られることに慣れたら、口の中も触れるよう練習しましょう。歯磨きに関しては少しずつステップアップしていくことが大切です。

子犬のしつけを行う順番とタイミング

子犬のしつけを行うには、順番とタイミングがあります。どういった順番とタイミングでしつけていけばいいのか知っておきましょう。

子犬をお迎えしてすぐ

迎えてからすぐのタイミングでは、飼い主との信頼関係を築くことが大切です。まずは、スキンシップを兼ねてのしつけを行ないましょう。体を触っても徐々に嫌がらないようにしていきます。

このタイミングでは、まずコミュニケーションの基本として名前を覚えさせると良いでしょう。また、トイレのしつけも犬を迎え入れたタイミングで行うようにしましょう。トイレのしつけがきちんとできていないと部屋の掃除の回数などが増えてしまい、生活への負担が大きくなるおそれがあります。合わせて、甘噛みの抑制や家庭内のルールを覚えさせることにも取り組んでください。

子犬が室内の環境に慣れてきたころ

少しずつ室内だけでなく、外の環境にも慣らしましょう。まずは、外の環境音に慣らしていけると良いでしょう。ワクチンの接種が完了していないと他の犬との接触やお散歩はまだ出来ないかもしれませんが、抱っこでベランダに出したり、窓を開けて外の音を聞こえるようにしたりするなど、いろいろな方法で刺激に触れさせましょう。

飼い主とのコミュニケーションにも慣れてくる頃ですので、このタイミングでハウス、おすわり、ふせ、はなせ、ちょうだいなどの基本的なコマンドを覚えさせることやキャリーバッグに慣れさせることにもトライしてみましょう。

子犬がお散歩デビューする前

お散歩に関してはリードを付けることや、飼い主に声をかけられたら飼い主に注意を向けるという練習ができるとよいと思います。外でお散歩するようになると、家族でない人や他の犬とのトラブル、食べてはいけないものの誤食など、すぐに阻止すべきことが増えます。そんな時に、飼い主が声をかけることで注意を飼い主に向け、やめさせられるような習慣をつけられると理想的です。

また、お散歩に関する基本のしつけとして、「待て」や「おいで」などのコマンドも覚えさせてみましょう。コマンドを習得することで飼い主が望む行動をとりやすくなります。お散歩から帰ってきた時に汚れを落とすため、足拭きに慣れさせるようにするのも良いでしょう。

子犬が体を触られるのに慣れてきたころ

自分が嫌なことを主張し始めることもあるため、わがままを言っても聞いてもらえないことを理解させるなどが必要でしょう。主張するままに、わがままを聞いてあげたり、嫌なことをやめてあげたりしていると、わがままな犬に育ってしまう可能性があります。

また、子犬の頃にはしっかりと歯磨きやブラッシングなどの体のケアに関することに慣れさせた方が良いでしょう。これらのしつけを小さいうちに行わないと犬が嫌がるなどして充分なケアができず、結果的に健康を損なうかもしれません。

子犬をパピークラスなどのしつけ教室に通わせた方がいい?

お家でのしつけはあくまでも飼い主と犬との関係性を築くものでもあります。他の犬への慣れや犬同士の関係を築く上でのしつけは、たくさんの犬がいるパピークラスできちんと得られるものでしょう。

個体差もありますが、愛犬がお散歩やドッグランなどでいろいろな犬と遊ぶことが好きな場合や他の犬との交流を望まれるのであれば、できるだけしつけ教室に参加することをおすすめします。

子犬の性別によるしつけの違いは?

子犬のしつけはいつから?教える順番とタイミングを解説【獣医師監修】子犬の性別によってしつけの際に気をつけるポイントが変わってきます。それぞれどういった特徴があるのか知っておきましょう。

オスの場合

去勢していない場合、オス特有の攻撃性や興奮のしやすさなどがだんだんと現れてくる場合があります。そんな場合でも飼い主の言うことはしっかり聞くという関係性を築くことが大切です。

メスの場合

発情期などはトイレの頻尿などで粗相が増えるなど失敗する可能性もあります。トイレに関するしつけは重点的に行うようにしましょう。

子犬のしつけをする際の注意点は?

次に子犬をしつける際の注意点についてご紹介します。

愛情を持って接する

しつけだからといって厳しく接すると、子犬はただ怖いと感じるだけで何がいけないのかわからないままになってしまう可能性があります。しつけをする際に、大声で叱る、叩いたり、首根っこをつかむ、抵抗しなくなるまでマズルをつかみ続ける、仰向けにして押さえつけて服従させる、というようなことをする必要は全くありません。

アイコンタクトをとる

飼い主に注目する習慣があると、しつけの際にコマンドを出しやすくなったり、注意を向けさせたりしたい時にも便利です。おやつなどで気を引き、視線を向けさせたうえで、ご褒美を与えるという繰り返しで徐々にできるようになる可能性があります。

しつけができたらよく褒める

言うことを聞いたら何かご褒美が必要です。飼い主との信頼関係が築けていると、大好きな人からほめられるということは子犬にとってのご褒美になります。

短い時間で終わらせる

子犬は集中力が長時間持ちません。短時間でしつけやトレーニングを終わらせるようにしましょう。例えば「待て」などのコマンドを覚えさせる場合、初めは12秒といった時間からトライしてみてください。

名前を呼んだあとやトイレ中に怒らない

子犬は物事を結び付けて学習しがちです。名前を呼んだあとやトイレ中に怒ることでトイレが上手に出来なくなったり、名前を呼ばれたりすることに嫌な印象を持つようになるかもしれません。

指示語は統一する

前述しましたが、子犬は日本語がわかるわけではありません。いろいろな言葉で指示されると混乱してしまいます。ご家族で指示後は統一しましょう。

子犬が起こしやすい問題行動は?

子犬のしつけはいつから?教える順番とタイミングを解説【獣医師監修】しつけが終わっていない子犬が起こしやすい問題行動があります。具体的にどんな行動が問題なのか知っておきましょう。

危険なものや場所が理解できず事故へつながる

犬が自分で危険なものや行ってはいけない場所を認識するのは高度な知識が必要で、しつけるには長い時間がかかります。事故を防ぐためにもまずはいけないことをしたら、ハウスに入れて行動を制限しましょう。それを繰り返すことで、やってはいけない行動を学ぶことができます。

いろいろなものを噛む

まずは、危険なものや食べてはいけないものを犬が触れられる場所に置かないということも大切です。そして、危険なものや場所を理解できない際の行動制限と同様、噛んではいけないものを噛んでしまった場合に、ハウスに入れるという行動制限をする必要があります。

この際に大声を出したり、暴力を振るったりするなどの恐怖を感じさせる必要はありません。ハウスに入れるという行動制限だけで充分です。

トイレを覚えられない

トイレのしつけに関して、失敗を繰り返すことはよくあることです。長い目でしつけてあげましょう。また、粗相をした際に叱ってしまうと、トイレをすること自体を叱られたと勘違いしてしまう可能性があります。粗相をしたら何も言わず処理をしてあげ、上手に出来たらたくさん褒めてあげましょう。

子犬のしつけに使える便利グッズは?

注意を引く際にクリッカーと呼ばれるカチカチと音が出るアイテムがあります。名前を呼んでもあまり反応しない子には、このようなアイテムを使ってみてもいいかもしれません。

ご褒美が無いと難しい子には少量のおやつを使用しても良いかもしれませんが、子犬の場合、おやつの味を知ってしまうとご飯を食べなくなってしまう場合もあります。ごはんが好きな子であればフードの粒を与えても良いでしょう。ただし、ご褒美を食べものにする場合、肥満の原因になるため与えすぎに注意する必要があります。

専門家の コメント:

かわいい姿で要求されると、しつけをすることに心が折れてしまうこともあるかもしれません。しかし、社会の中で愛犬が周りからも認められ、ご家族やご家族以外の人、他の犬と円滑に関係を築くためには生活マナーを学ぶ必要があります。最低限の生活マナーは愛犬のためにもしっかり教えてあげましょう。

監修/葛野莉奈先生(獣医師)

監修/葛野莉奈先生(獣医師)
かどのペットクリニック院長。麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。 獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に動物病院を開院。 開院後、ながたの皮膚科塾を修了。 皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、特にこれらの分野は院内の診療の中でも力を入れている。

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