犬の涙やけ対策用のドッグフードの選び方は?注意すべきポイントを解説【獣医師監修】

犬の涙やけ対策用のドッグフードの選び方は?注意すべきポイントを解説【獣医師監修】

食べ物

2023年04月26日 更新 (2023年04月20日 公開)

バーニー動物病院千林分院分院長。ペット薬膳管理士、中医学アドバイザー。動物病院でペットの診療にあたる傍ら犬猫の手作りご飯教室や問題行動のカウンセリングを行う。

犬の涙やけ対策用のドッグフードの選び方は?注意すべきポイントを解説【獣医師監修】

犬の涙やけとは?

犬の涙やけ対策用のドッグフードの選び方は?注意すべきポイントを解説【獣医師監修】涙やけとは目周りが涙で濡れることで、目の下の被毛が赤茶色に変色してしまう症状です。「流涙症」とも呼ばれます。目が大きなチワワをはじめ、シー・ズーやポメラニアンなどの犬種で発症しやすい傾向にあります。重症化し、皮膚炎や脱毛などが見られる場合は病院での治療が必要です。

犬の涙やけの原因は?

涙やけが起きる原因は、主に下記のようなものが考えられています。

涙の排せつ経路の異常

涙腺から分泌された涙は、涙小管や鼻涙管を通って鼻へ流れていきます。しかし、この経路に異常が生じ、流れが滞ってしまうと、涙があふれて涙やけが起きやすくなります。

涙を流す量が多い

涙が過剰に分泌されて涙やけが起きる場合があります。具体的には、角膜炎やまぶたが内側に反ってしまう眼瞼内反症、食べ物やノミなどが引き起こすアレルギーが原因になってしまうことがあります。

まつげの生え方の異常

まつげの生え方や向きによって目の角膜を刺激してしまい涙の量が増えることで、涙やけを起こしてしまうことがあります。まつ毛が目に向かって生えてしまう、睫毛乱生(しょうもうらんせい)やまぶたの裏側にまつ毛が生えてしまう、異所性睫毛(いしょせいしょうもう)なども原因のひとつです。

目の涙を保持する能力の低下

目に涙を溜める役割を持つマイボーム腺の機能低下が原因の場合も考えられます。マイボーム腺はホルモンバランスの変化や加齢などにより、機能が衰えていくとも言われています。

涙やけになりやすい犬種は?

一般的に涙やけを発症しやすいと言われている犬種には、下記のものが挙げられます。

トイ・プードルやマルチーズ

トイ・プードルやマルチーズは生まれつき鼻涙管が狭いことが多く、鼻涙管閉塞などを起こすことで、涙やけになってしまうことがあります。

ダックスフンド、柴犬

ダックスフンドや柴犬は生まれつきアレルギーを起こしやすい犬種だと言われています。そのアレルギーによる涙の分泌量の増加で涙やけになることがあります。

パグ、シー・ズー、チワワ

パグ、シー・ズー、チワワなどは短頭種と言われる犬種で、目が大きく外に張っているのが特徴です。その構造により、涙を表面にとどめにくく、涙が溢れ出してしまうことがあります。また、目の周りもたるんでいることも多いため、眼瞼内反症などによる涙やけを起こしてしまうことがあります。

フードを変えることは犬の涙やけ改善に効果があるの?

犬の涙やけ対策用のドッグフードの選び方は?注意すべきポイントを解説【獣医師監修】主にアレルギー疾患を原因とする涙やけを発症している場合、フードを変えることで症状の改善効果が期待できるでしょう。アレルギーを持っていると結膜炎や鼻炎、皮膚炎などが発症しやすくなり、涙の量の増加や鼻涙菅の詰まりにつながりやすくなります。アレルゲンとなる物質を除いたフードを与えれば、アレルギーを抑えることができると考えられています。

犬の涙やけの改善につながるドッグフード選びのポイントは?

犬の涙やけ対策用のドッグフードの選び方は?注意すべきポイントを解説【獣医師監修】犬の涙やけの改善に向けた、ドッグフード選びのポイントは下記の4つです。

アレルゲンとなりやすいタンパク質を避ける


個体差はあるものの、主に牛肉や鶏肉などの肉類、小麦、とうもろこし、大豆などの穀類に含まれるタンパク質がアレルギーの原因となっている場合が多いです。また、安価な穀類を飼料にして育てられた家畜の肉は、炎症を誘発してしまう作用があると言われています。できるだけ良質なタンパク質が含まれているドッグフードを選ぶようにしましょう。

添加物を避ける

犬にとって、添加物は腸内環境や肝機能を乱す物質です。免疫調節機能を低下させてしまい、涙やけが起こりやすくなるので、なるべく添加物が少ないドッグフードを選ぶようにしましょう。また、酸化した油も腸内環境を悪化させてしまう可能性があります。

腸内環境を改善するフードを選ぶ 

食物繊維やオリゴ糖など腸内ケア成分が入っているドッグフードもおすすめです。腸内環境が整えば、免疫調節機能が高まり、涙やけの改善が期待できます。

水分量の多いドッグフード

水分が多く含まれているフードは、犬が本来食べるはずの食物に近く、体によいと考えられます。ウェットフードを取り入れるようにすると、必要な水分も自然に摂取できるでしょう。

ライフステージに合ったフードを選ぶ

シニア犬に成長期用のフードを与えてしまうと消化しきることができずに健康を損ない、結果的に涙やけを起こしてしまうことがあります。犬の年齢に合ったフードを選ぶようにしましょう。

消化しやすいフードを選ぶ

消化しにくいフードを摂取していると、健康や体調を損ない、鼻涙管の詰まりを起こしてしまう可能性があります。なので、消化によくないオイルコーティングされているフードや人間のお菓子などは与えずに、添加物が少ないフードを与えるようにしましょう。

犬の涙やけにおすすめのドッグフードをご紹介

ドッグフード選びのポイントを踏まえて、おすすめできるドッグフードを3つご紹介します。与え方などがわからない場合は最寄りの動物病院へ尋ねてみましょう。

犬の涙やけ対策用のドッグフードの選び方は?注意すべきポイントを解説【獣医師監修】

プロプラン ヴェテリナリー ダイエット 食物アレルゲンケア(ピュリナ)

消化性に優れ、添加物も使用されていないドッグフード。抗酸化成分が含まれ、免疫力の維持をサポートしてくれます。また、食物アレルギーに配慮しているので、動物性タンパク質にアレルギーを持っている犬も安心して食べられます。

・参考価格:2932円(1kg、税込)

犬の涙やけ対策用のドッグフードの選び方は?注意すべきポイントを解説【獣医師監修】

ウェルネス ドッグフード 小型犬成犬用(1歳以上) シンプル サーモン&じゃがいも(穀物不使用) ウェルネス)

アレルゲンとなりやすいタンパク質を1種類に限定しており、材料がシンプル。穀物を使用しておらず、タンパク含有量が多い。数種の乳酸菌配合しているため、消化もしやすいフードです。

・参考価格:2,278円(税込、800g

犬の涙やけ対策用のドッグフードの選び方は?注意すべきポイントを解説【獣医師監修】

オソピュアグレインフリー サーモン&ガルバンゾー(アーテミス)

グレインフリーのドッグフード。タンパク源はサーモンなので穀物やじゃがいも、チキンや牛製品などのアレルギーを持っている犬でも安心して食べられます。人工保存料や添加物も不使用。

・参考価格:2,530円(税込、1kg

 

※表示価格は全て202210月現在のものです。

犬の涙やけ対策フードの効果を高めるケア

犬の涙やけ対策用のドッグフードの選び方は?注意すべきポイントを解説【獣医師監修】涙やけ対策のドッグフードを与えるとともに、下記のケアも日常的に行うようにしましょう。フードの効果を高め、涙やけの改善効果が期待できます。

 

・飲水量を増やして老廃物の排泄を促す。

・適度に運動させて、代謝を良くする。

・涙をまめに拭き取り、目の周りを清潔にする。

・温タオルで目の周りを温め、涙の流れを良くする。

・プロバイオティクス(乳酸菌や酪酸菌)を摂取し、腸内環境を整える。

・抗酸化作用のある食材をトッピングする。

犬の涙やけにいいドッグフードQ&A

最後に涙やけ対策のドッグフードに関する疑問をQA形式で解説します。

アレルゲンを除いた食事を与えると、どれくらいで涙やけの症状が改善するの?

一般的にアレルギーを持つ犬にアレルゲンを除いた食事を与えると、おおよそ48週間で少しずつ症状が改善すると言われています。個体によっては早くて2週間で改善の兆しが見られるので、最低でも24週間程度を目安にするとよいでしょう。ただし、涙や毛による毛の着色が消え、綺麗な毛に覆われるにはさらに時間が必要です。着色していない毛が伸びてくるまで、3ヶ月ほど待つようにしましょう。

フードが愛犬に合っているか見分けるポイントは?

涙の量が減ったり、皮膚や被毛に涙の跡がつかなくなったりしないかを確認してください。毛にツヤがある、便の状態がいいといった状態が維持できていれば健康的だと言えます。その場合は、体にフードが合っていると考えて構わないでしょう。

涙やけ対策のフードを与えても症状が改善しない場合は?

涙やけ対策のフードを与えても症状がなかなか改善しない場合、アレルギーの原因を完全に取り除けていないかもしれません。もしくは、原因が食べ物ではなく、逆まつげや鼻涙管閉塞、眼瞼内反症などにある可能性が考えられます。目に異物が入っていたり、先天的な鼻涙菅狭窄があったりする場合は、動物病院で治療を受ける必要があるでしょう。

グレインフリーのフードが涙やけにいいというのは本当でしょうか?

グレインフリーとは、穀物が全く使われていないという意味です。穀物がアレルゲンとなっている犬の場合、グレインフリーのフードを与えることで涙やけの改善が期待できます。穀物そのものが涙やけを起こすかは解明されていませんが、質の低い穀類を使用しているドッグフードは避けたほうがよいでしょう。犬の本来の体質や食性に合わないことで、涙やけの一因になっている可能性が考えられるためです。最近のドライフードには小麦やとうもろこしなどの穀類が必要以上に含まれているものもあるので、よく確認してから取り入れるようにするとよいでしょう。