【獣医師監修】しっぽで分かる犬の気持ちとは?位置や動きから推測できる感情を解説

【獣医師監修】しっぽで分かる犬の気持ちとは?位置や動きから推測できる感情を解説

「犬は嬉しいとしっぽを振る」とよく言われます。これに代表されるように、しっぽは犬の感情と直結している部分ですが、どんな感情をどのような動きで表現しているのでしょうか。今回は、獣医動物行動学を研究する獣医師の茂木千恵先生に「犬のしっぽと感情の関係」について伺いました。

犬のしっぽの役割とは?

しっぽの先が白い犬犬のしっぽは、意思を伝えるツールとしての役割を持っています。犬はもともと群れで生活してきた、社会性の高い生き物です。ともに暮らす仲間たちと衝突することなく平和に暮らすために、自分の意図を正確に伝えるという目的からボディランゲージを進化させてきました。しっぽもそのうちの1つです。

犬の中にはしっぽの先端が白くなっている子もいますが、それは感情を正確に伝えるために、見た目のインパクトを重視して進化してきた結果だと考えられているくらいなのです。

犬のしっぽの位置と感情の関係は?

さまざまな犬種のニュートラルなしっぽ位置

犬のしっぽの位置は、そのときの犬の意識の覚醒レベルを表します。しっぽの高さによって感情に違いが生じているのですが、もともとしっぽが高い位置にある犬や斜め下に伸びる犬種もいます。ですので、本来のニュートラルな位置から相対的に見て、高い位置にあるか低い位置にあるかどうかでも判断してください。


犬のしっぽの位置からわかる犬の気持ちとは?

 ・犬のしっぽがニュートラルな位置にあるときは?

しっぽが本来の高さにあるときは、犬がリラックスしていることを示しています。


・犬のしっぽが水平の高さにあるときは?

しっぽが水平になっているときは、何かに対して注意深く警戒している状態です。


・犬のしっぽがニュートラルな位置より高いときは?

しっぽが本来の高さよりも上にあるとき、犬は強気になっています。より高く垂直に上がっているときには、支配的な感情になっているでしょう。


・犬のしっぽがニュートラル位置より低いときは?

犬のしっぽが下がっているときには、従順になっている、心配している、気分が悪いといったことを示しています。しっぽが下がるにつれて、その度合いは強まります。また、しっぽが股の間に入って体の下まで隠れているときは、恐怖心を表しています。



犬にしっぽ以外の意思伝達はある?

しっぽ以外には、顔の表情や耳の位置、体勢や鳴き声なども意思伝達のツールとして使われています。犬の感情や気持ちが知りたいときには、あわせてチェックしてみてください。

犬がしっぽをブンブン振っているときの気持ちは?

しっぽをブンブン振る犬基本的に、犬がしっぽを振るタイミングは感情が動いたときです。高い位置で振るときには自信や好意を感じていて、下げながら振る場合には緊張を表しています。


犬がしっぽを高く大きく振っているときは?

犬がしっぽを高く上げながら左右に大きく振っているときには、感情が昂って興奮しています。「遊ぼうよ」という気持ちや「大好きだよ」といった相手への親愛を示していることもあります。


犬がしっぽを高く小刻みに振っているときは?

高く上げているという点では同じでも、小刻みに素早く振っているときには目の前の相手に対して警戒心や威嚇の気持ちを表していることもあるでしょう。


犬がしっぽを斜めに下げて小刻みに振っているときは?

斜めに下げながら小刻みに振っているのは、愛情を表しているサインです。ただし、これは服従という意味を含むこともあります。

犬がしっぽをゆっくり振っているときの気持ちは?

しっぽをゆっくり振る犬犬がしっぽを高くゆっくり振っているときは?

犬のしっぽが高く上がった状態でゆらゆらとゆっくり振っているときは、威嚇・好戦的な感情を表しています。相手が服従する姿勢を見せない場合には振り方がさらに強くなり、威嚇する表情も示すでしょう。その際は犬歯が見える、鼻にシワが寄る、背中の毛が逆立つ、唸り声を出すといったこともあります。


犬がしっぽを水平にゆっくり振っているときは?

水平に近い位置でゆっくりとしっぽを振っているとき、犬は戦うか逃げるかを決めきれず不安な状態にあります。そのような場合はしっぽ以外にもサインが現れます。口角が下がって耳もやや引き気味になり、後ろに重心が移動しているといった体勢の変化もあるでしょう。


犬がしっぽを斜め下に伸ばしてゆっくり振っているときは?

犬のしっぽが斜め下に伸びてゆっくりと左右に揺れているとき、不安がなくリラックスした状態です。動きがともなっているため、完全にリラックスしているというわけではなく、何かを考えたり注目したりしていると考えられています。同時に、口も力なく開かれ、耳の力も抜けた状態になっているでしょう。

犬がしっぽを振らずに水平に伸ばしているときの気持ちは?

しっぽを水平に伸ばしている犬

犬がしっぽを振らずに水平にしているときは、カーミングシグナルなど緊張感を表す行動を同時に取っているかで気持ちが分かれます。


緊張していない犬のしっぽが水平に伸びているときは?

緊張していない状態の犬のしっぽが水平に伸びているときは、何かに強く注目していることを示しています。威嚇や不安といった感情はないと考えてよいでしょう。


犬が緊張した状態でしっぽを水平に伸ばしているときは?

一方、口のまわりをなめたり、あくびをするなどのカーミングシグナルを見せると同時に、しっぽを水平に伸ばしているときは、少し警戒心があるでしょう。攻撃するほどではありませんがリラックスもしていないため、直後の動きはさまざまです。その直後に攻撃的になることもあれば、フレンドリーになることもあります。

犬がしっぽを振らないときの気持ちは?

しっぽを振らずに高く上げた犬犬がしっぽを振らずに高く上げているときは?

犬がしっぽを振らずに高く上げているときは、優位性を誇示したいと思っています。しっぽが上っていると、集団の中でも目立ちます。目立つことによって存在をアピールしているのです。


犬のしっぽがニュートラルな位置に伸びているときは?

犬がしっぽを振らず、しっぽがニュートラルな位置に伸びているのは、感情に大きな動きがないときです。特に興奮もせず、不安も感じていません。注目するものもなく力が抜けた様子で、しっぽは伸びているでしょう。


犬がしっぽを下げて振らないときは?

しっぽが下がった状態で止まっているときには、犬には不安が湧き起こっています。この後に攻撃的になるか、逃げるか、服従するかといった行動を決めてはいませんが、それほど強い葛藤を感じているわけでもありません。

犬がしっぽを股の間に垂らすときの気持ちは?

しっぽを股の間に垂らした犬犬が股の間にしっぽを垂らしているときは?

股の間に犬がしっぽを垂らしているときは、体を小さく見せることで、自分の存在を目立たなくしようとするときです。相手に対して恐怖を感じている、服従心が芽生えたときなどに見られます。このようなとき、耳は後ろに引かれて首に沿ったようになり、重心も後ろに移動。肘を曲げて体を低くしているように見せます。


犬が股の間でしっぽを垂らしてゆっくり揺らしているときは?

しっぽが股に間に垂れてゆっくり揺れているのは、犬が不快感を覚えているサインです。葛藤や不満を感じ始めたときに見られます。口は閉じられ、視線は相手に向けられているか、やや逸らし気味であることが多いでしょう。

犬がしっぽを後ろ脚近くまで下げているときの気持ちは?

しっぽを後ろ脚近くまで下げた犬犬のしっぽが後ろ足近くまで下がっているのは、重力により下降ではなく、自ら力を入れて下げています。これは不安や恐怖、不快感を表しているサインです。

さらに、しっぽが後ろ足の間に丸め込まれているときには、相手に対して敵対心がないこと示しています。その際は、口がやや開いている、口角が後ろに引かれている、耳がぴったりと沿うように引かれている、体勢が低くなるといった変化が同時に見られるでしょう。地面に腹をつけることもあり、相手の脅威に恐怖心を強く抱いているときにはお腹を見せることもあるのです。

犬が自分のしっぽを追いかけ回しているときの気持ちは?

自分のしっぽを追いかけ回す犬犬が自分のしっぽを追いかけ回して何度も同じ場所で回るときの理由は、数パターンが考えられます。葛藤が生じているケースが多いですが、一概に葛藤と判断することなく、回転の頻度が増してきたら獣医師に診てもらうとよいでしょう。


犬に葛藤が生じている

もっとも多いケースは葛藤が生じているときです。すぐそばに苦手な人や動物がいるときや、苦手な場所に連れていかれたときなどに不安や葛藤を感じると、その場で自分のしっぽを追いかけて回ります。回ることによって、感じている不安を紛らわせようとしているのです。

「ガー」という大きな声を発しながら回ることもあり、その後はスッキリとした顔つきになる場合も多いです。しかし、一時的にスッキリしても原因に葛藤や欲求不満がある場合は根本的な解決にはなっていません。環境や関わり方を改善し、ストレスの根本を取り除いてあげる必要があるでしょう。放置していると、しっぽを噛んで引きちぎってしまったり毛を抜いてしまったり、ずっと回転して日常生活が送れなくなってしまう可能性もあるのです。獣医師に相談して、早期に解決したい行動です。



犬は単純に遊んでいる

単純に遊んでいるケース。ほんの数回まわって止まるときにはこのパターンが多いです。この時、飼い主が注目して声をかけたり面白がって笑いかけたりすると、犬は褒められたと勘違いして何度も繰り返してしまいますので、注意しましょう。


犬はかゆみを感じている

かゆみなどが生じているケースです。不快感を紛らわせようとして回るため、頻度が高い場合には要注意です。病気の可能性もあるので、獣医師に相談してみてください。


犬のてんかんの可能性

リラックスしているように見えても、回る回数があまりにも多い場合には、てんかんの可能性などもあります。おかしいと思ったらすぐにかかりつけの動物病院へ連れていってあげてください。

専門家のコメント:

しっぽは感情を表現する部分ではありますが、しっぽのみで「こう思っているに違いない」と判断すると、ズレが生じてしまうこともあります。しっぽだけでなく表情や鳴き声、仕草などもあわせて、総合的に考えられるといいですね。

監修/茂木千恵先生(獣医師)

ヤマザキ動物看護大学准教授。博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。大学で教育研究活動の傍ら、動物病院でもしつけや問題行動のカウンセリングを行う。テレビ朝日系列動物特別番組 、日本テレビ系列「志村どうぶつ園」などに動物行動学コメンテーターとして出演。雑誌「Shi-ba」「プードルスタイル」(辰巳出版)などの記事監修も多数担当している。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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