犬の静電気を防ぐ方法とは?犬に与える影響と便利グッズを解説【獣医師監修】

犬の静電気を防ぐ方法とは?犬に与える影響と便利グッズを解説【獣医師監修】

茂木千恵(獣医師)

茂木千恵(獣医師)

博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。大学で教育研究活動の傍ら、動物病院でもしつけや問題行動のカウンセリングを行う

乾燥する季節の悩みといえば静電気。パチッとする静電気の痛みは、飼い主だけでなく愛犬にとってもストレスが溜まるものです。そこで今回は、静電気が犬に与える影響や静電気を防ぐ方法、便利グッズを、ヤマザキ動物看護大学で動物行動学を研究する獣医師の茂木千恵先生に解説していただきます。

目次

  • ・ 静電気のメカニズムと犬に静電気が起こる原因は?
  • ・ 静電気が溜まりやすい犬はいる?
  • ・ 静電気が犬に与える影響は?
  • ・ 犬の静電気を防ぐ方法とは?
  • ・ 愛犬を静電気から守る便利グッズ3選

静電気のメカニズムと犬に静電気が起こる原因は?

そもそも「静電気」とは帯電のことをいい、素材の異なるもの同士が接触したときなどに発生します。素材が電気を通さない時に帯電し、溜まった電気が放電される時に放電ショックが起こります。それがいわゆる「静電気のパチパチ」という不快な現象です。また、素材によって帯電する静電気はプラスあるいはマイナスに分かれます。犬の毛はプラスに帯電しやすく、一方で化学繊維はマイナスに帯電しやすい性質があります。

 

犬に静電気が起こる原因

犬に静電気が起こる原因のひとつは、空気の乾燥です。普段は空気中の湿気や表皮の発汗によってこまめに放電されますが、空気が乾燥する冬などは帯電しやすくなります。犬は汗をかく部分が極端に少なく、体の表面は乾燥した被毛に覆われているため、カーペットなどと体毛の間に摩擦が起こると帯電が起こりがちです。それが、私たちや犬に触れたときに「パチッ」という放電ショックが起こることになります。

静電気が溜まりやすい犬はいる?

static_electricity_ソファに寝転ぶ犬

特に静電気が溜まりやすいと考えられる犬は以下の通りです。

 

ロングコート、毛量が多い犬

静電気は犬の毛1本ごとに帯電します。そのため、毛量が多い犬は必然的に帯電量も多くなります。日常的にブラッシングが必要なカットスタイルの犬は、ブラッシング時に被毛とブラシが摩擦して帯電しやすくなり、静電気の原因になります。

 

散歩にあまり出ない犬

さらに冬の室内は空気が乾燥しやすく、静電気が起きやすくなります。そのため、散歩に出ない犬は帯電しやすいでしょう。

 

シニア犬

腰の痛みや関節痛のため足を引きずることが多く、床材との間に摩擦が起きやすくなります。寝ている時間が増えると寝床で体勢を変えるごとに、摩擦で帯電しやすくなります。

静電気が犬に与える影響は?

乾燥する季節には特に悩まされる静電気ですが、愛犬へどのような影響を与えるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

 

皮膚トラブルを起こしやすくする

犬の被毛に帯電した静電気は、家の中のほこりやダニなどのハウスダストを被毛へと引き寄せてしまいます。犬によっては、被毛にくっつくハウスダストなどが原因で、皮膚炎などを引き起こす場合もあります。

 

ストレスの原因になる

被毛の間で帯電した静電気によってパチパチと放電ショックが起こると、犬を不快にさせ、ストレスとなる可能性があります。

 

飼い主に叩かれたと勘違いしてしまうことも

犬は静電気が起こる理由がわかりません。飼い主に触れたときに放電ショックが起こると、「飼い主に叩かれた?」と勘違いしてしまうこともあるようです。そうすると、「飼い主が触るとパチッと痛い」というところだけクローズアップして記憶してしまいます。そのままフォローしないでいると、飼い主を避けるようになってしまうこともあるでしょう。もし、愛犬が静電気にびっくりしていたら、「おいで」や「おすわり」といった愛犬が得意な号令を出し、従ったらご褒美を与えるような分かりやすい反応を見せて安心させることでしっかりアフターフォローしてあげましょう。

犬の静電気を防ぐ方法とは?

static_electricity_ソファで寝る犬

犬の静電気を防止するには、体に帯電した静電気を徐々に放電できるようにすることが最も効果的です。また、摩擦等を減らして帯電する静電気の量を減らす工夫も大切です。具体的にどんな方法があるのか見ていきましょう。

 

部屋の湿度を上げる

静電気は湿度が約20%以下になると起こりやすくなります。帯電した静電気が空気中に放電されにくくなるためです。また、犬にとって最適な湿度は4060%だと言われています。犬の目線の高さに湿度計を設置し、その都度湿度を確認するようにしましょう。乾燥しているときは、加湿器を使用したり、水でぬらして絞ったタオルを部屋の壁などにかけたりすることで、湿度を高めるようにしましょう。

 

犬が使う布製品の素材を変更する

ラグマットやソファカバーは犬が触れる機会の多い家具です。ポリエステルやアクリルなどの化学繊維の素材だと犬の被毛が擦れたときに静電気が起こりやすくなってしまいます。できるだけ綿、毛、麻のような天然繊維で作られた物にするのが良いでしょう。

 

手の乾燥を防ぐ

飼い主の手が乾燥していると、飼い主自身の体に帯電する静電気が、放電されにくくなります。そのため、愛犬を触ったときにパチッと放電ショックが起こりやすくなります。飼い主も帯電しないように、こまめに金属などに触れたり手を洗ったりして放電するよう心がけましょう。さらに、手の乾燥を防ぐクリームなどで保湿するのもおすすめです。

 

愛犬の皮膚の乾燥を防ぐ

冬場は空気が乾燥し、犬の被毛や皮膚が乾燥する季節です。乾燥は帯電を促すので、犬に使える保湿スプレーや肉球クリームを使って、できるだけ保湿するようにしましょう。静電気を予防する効果のあるブラッシングスプレーや保湿ミストなどはこまめに使うと良いでしょう。

 

リンスによる保湿

犬のシャンプーをした際に、リンスもすることによって、静電気を軽減することができます。リンスは被毛の流れを整えてブラシの通りを良くし、保湿効果があるため、摩擦が起きにくくなります。

 

放電

犬を触る前に、壁などの金属ではない素材に触れて放電しておくことで、放電ショックが起こりにくくなります。

愛犬を静電気から守る便利グッズ3選

静電気を防止する犬用グッズにはどういったものがあるのか見ていきましょう。

 

ブラッシングスプレー(グルーミングスプレー)

ブラッシング前に使用するスプレーです。配合された保湿成分が、静電気の帯電を空気中に放出するのに役立ちます。また、オイル成分がブラシの通りを滑らかにして、長い被毛は切れ毛防止に、ふんわりした被毛は毛玉ができるのを防ぎます。あまり頻繁にシャンプーができない寒い季節や、シニア犬のデイリーケアにもおすすめです。

 

犬用静電気防止ネックレス

静電気防止ネックレスを首周りに直接着ける事で、体に帯電している静電気をネックレスに誘導させます。そのため、私たちが触ったりするときに起こる放電ショックを起こしにくくする効果があります。一般的にSMLといったサイズ展開があるので、犬の大きさに合ったものを選びましょう。飼い主がつけられるものもあるため、飼い主と犬とでおそろいにすることもできます。

 

静電気防止ウェア

ドッグウェアにも静電気防止機能がついているものがあります。化学繊維はとても帯電しやすいのですが、静電気防止ウェアは、繊維の中に電気を通す素材を練り込んだ糸を入れることで帯電を防止してくれます。また、静電気防止加工を施した生地でできたものもあります。特に冬場は寒さ対策も兼ねて着せてみてもいいかもしれません。

 


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家の コメント:

人間でも驚くことのある静電気。犬にとっても、もちろん心地よいものではありません。飼い主が叩いたと勘違いされては悲しいですよね。正しい静電気の原因を理解し、静電気防止グッズを使うなどの対策が必要です。愛犬と快適な冬を過ごせるように工夫しましょう。

監修/茂木千恵先生(獣医師)

監修/茂木千恵先生(獣医師)
ヤマザキ動物看護大学准教授。博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。大学で教育研究活動の傍ら、動物病院でもしつけや問題行動のカウンセリングを行う。フジテレビ系列「モノシリーのとっておき」、日本テレビ系列「志村どうぶつ園」などに動物行動学コメンテーターとして出演。雑誌「Shi-ba」(辰巳出版)などの記事監修も多数担当している。

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