ドッグフードの正しいふやかし方は?ふやかすメリット・デメリット、注意点についても解説【獣医師監修】

ドッグフードの正しいふやかし方は?ふやかすメリット・デメリット、注意点についても解説【獣医師監修】

丸田香緒里(獣医師)

丸田香緒里(獣医師)

Animal Life Partner代表。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、製品開発など幅広く活動。

消化器官が未発達な子犬や、消化機能が衰えてきたシニア犬には、ドライフードをふやかして与える方法があります。ふやかしたドッグフードはやわらかくて食べやすくなり、胃腸に優しく消化吸収を助けてくれるためです。 ただし、正しいふやかし方を知らないと、栄養の損失や雑菌の繁殖につながることも。この記事では、ドッグフードのふやかし方や、ふやかして与える際のメリット・デメリットなどをAnimal Life Partner院長の丸田香緒里先生監修のもと、詳しく解説していきます。

目次

  • ・ 犬にドッグフードをふやかして与えるメリット・デメリットは?
  • ・ ふやかしたドッグフードを与えるのに適した犬は?
  • ・ ドッグフードの正しいふやかし方は?
  • ・ ドッグフードをふやかす際の注意点は?
  • ・ 健康な成犬にドッグフードをふやかして与えてもいい?

犬にドッグフードをふやかして与えるメリット・デメリットは?

ドッグフードにはさまざまなタイプがありますが、保存性が高く安価なドライフードを与えている飼い主も多いのではないでしょうか? ただ、ドライフードは適度な硬さがあるため、愛犬の状態によってはふやかしてあげたほうがいい場合もあります。まず、ドッグフードをふやかして与えるメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

 

ドッグフードをふやかして与えるメリット

消化吸収が良くなる

ドライタイプのドッグフードの場合、犬は咀嚼や消化液などで徐々に乾燥している栄養成分をふやかして吸収します。一方、事前にふやかしたフードはすでにやわらかくなっているため、消化しやすく吸収のスピードが速くなります。

 

満腹感が得られ、ドカ食い防止に

ふやかすと水分によってカサが増え、同量でも、ふやかしていないドライフードを食べたときより、満腹感がアップします。

 

胃捻転の予防

胃捻転とは、胃がねじれてしまう病気です。遺伝や食後の急激な運動のほかに、早食いやドカ食いも原因のひとつと言われています。直接的な予防にはなりませんが、ドッグフードをふやかすことで胃捻転を予防できる可能性は高まるでしょう。

 

香りが食欲を刺激する

ドライタイプのドッグフードはふやかすことで、より香りが強くなります。そのため、犬の食いつきがよくなり、食欲増進につながるでしょう。

 

水分補給になる

ドライフードに含まれる水分は、通常10%以下です。ふやかすと水分量が増えるため、自然な水分補給につながります。フードと別に水を与えるよりも、効率よく、より多くの水分を摂取させることができるでしょう。

 

ドッグフードをふやかして与えるデメリット

時間と手間がかかる

一般的なドッグフードのふやかし方は、十数分ほどぬるま湯につける方法です。そのため、いつもより時間と手間がかかります。

 

噛む力が弱くなる

ドライフードをふやかしてしまうと、やわらかくなり噛み応えがなくなるため、噛む力を衰えさせてしまう可能性が考えられます。噛む力が弱っているシニア犬には、やわらかいフードはメリットになりますが、若い成犬にとってはデメリットになる場合があるでしょう。若い成犬にふやかしたフードを与える場合は、それ以外にも、硬いおやつや噛むおもちゃなどを与えてみてください。

 

に残りやすく歯周病の原因になる

硬いドライフードを噛むと、間接的に歯垢の付着を予防できると言われています。しかし、やわらかいフードだけを食べていると歯垢が付きやすくなり、歯周病の原因となる可能性も。歯周病は日頃のしっかりとした歯磨きでも予防ができるので、定期的な歯磨き習慣をつけるようにしましょう。

ふやかしたドッグフードを与えるのに適した犬は?

ドッグフードのふやかし方_食欲がない犬

ふやかしたドッグフードにはメリットとデメリットがあるため、愛犬の成長や健康状態に合わせて与えるのが良いでしょう。ふやかしたドッグフードを与えるのに適した犬は以下の通りです。

 

シニア犬

噛む力が衰えているため

犬も年を重ねると徐々に嚙む力が弱まっていきます。ふやかしたフードなら噛む力がほとんど必要ないため、シニア犬でも無理なく食べられるでしょう。

 

食欲が低下しているため

シニア犬は消化機能の衰えにより、食欲が低下してしまうことが多いです。ふやかすとドライフードの状態より香りが強くなるため、食欲を刺激できると考えられます。また、嚙む力が弱い分、咀嚼回数が多くなり、疲れから食欲が減退してしまう子もいるようです。ふやかすことで食べやすくなり、食欲低下の改善につながるかもしれません。

 

子犬(2ヶ月頃まで)

成長途中の子犬は歯が生えそろっておらず、消化機能も未発達の状態です。ふやかしたやわらかい状態のフードを与えると、子犬も消化しやすくなります。ただし歯が生えてきたら、ふやかす時間を少しずつ短くして、最終的にはドライフードが食べられるように慣らしていきましょう。

 

食欲不振の犬

ドッグフードをふやかすと風味がよくなるため、食欲増進を助けてくれます。体調不良の犬や夏バテで食欲のない犬には効果的かもしれません。ふやかすことで水分の含有量も増えるので、効率的な水分補給にもつながります。

ドッグフードの正しいふやかし方は?

ドッグフードのふやかし方には、主に以下の2通りが考えられます。ドライフードの硬さなどによってふやけ具合などが変わりますので、都度調整して試してみてください。

 

ぬるま湯でドッグフードをふやかす場合

  1. 1回分の量のドッグフードを皿に入れる
  2. 30〜40℃のぬるま湯をドッグフードがひたひたになる程度まで注ぐ
  3. 10〜15分ほど時間を置く(※)
  4. 好みのやわらかさになったら完成

 

※犬の状態に合わせてふやかす時間は変えましょう。ドライフードの粒の大きさや硬さによりますが、目安としては、子犬や食欲不振の犬に与える場合は5〜10分(指で軽く押すと崩れる程度)、噛むことが困難なシニア犬などに与える場合は15分以上(指で触れただけで簡単に潰せるくらいのやわらかさ)がおすすめです。

 

電子レンジでドッグフードをふやかす場合

  1. 1回分の量のドッグフードを耐熱容器に入れる
  2. 水をドッグフードがひたひたになる程度まで注ぐ
  3. 器にラップをし、500W20秒ほど温める()
  4. 好みのやわらかさになったら完成

 

※電子レンジによってワット数が異なるため、加熱時間は変わります。ドッグフードのふやけ具合を都度確認して調節してください。

ドッグフードをふやかす際の注意点は?

ドッグフードのふやかし方_フードとポメラニアン

ふやかしたドッグフードは子犬やシニア犬などにはメリットが大きいですが、ふやかす際には以下の点に気をつけて行なってください。

 

熱湯を使わない

ドッグフードをふやかすときには、熱湯の使用は控えましょう。ビタミンや乳酸菌などの栄養素が入っているドッグフードの場合、これらの成分が熱で損なわれてしまうためです。できれば40℃以下の体温程度の温度にしてください。

 

火傷に注意する

お湯や電子レンジでふやかしたフードを犬に与える際は、必ず事前に冷ましてから与えましょう。思いがけず火傷をしてしまう可能性があるためです。また、飼い主もお湯を使用する場合は火傷に十分気をつけてください。

 

ミネラルウォーターや牛乳を使わない

ミネラルウォーターには水道水よりも多くのミネラルが含まれます。多量のミネラルは、犬にとって尿路結石のリスクを高めてしまう恐れも。また、牛乳の使用も避けてください。犬は牛乳に含まれる乳糖が分解できないため、下痢になってしまう可能性があります。

 

1回に食べる分だけふやかす

ドッグフードをふやかすのは時間がかかるため、「愛犬を待たせないためにもまとめて作りたい」と考える飼い主さんもいるでしょう。ただし、ふやかしたフードは水を多く含んでいる分、雑菌が繁殖しやすいです。腐敗しやすく、愛犬の健康を害する危険性があるため、必ず食べる分だけふやかすようにしましょう。

健康な成犬にドッグフードをふやかして与えてもいい?

健康で食欲のある成犬にふやかしたドッグフードを与えても問題はありません。ただし、前述したように歯石がつきやすくなったり、噛む力が衰えやすくなったりなどのデメリットがあるので、注意しましょう。基本的にはドライフードを与えて、食欲のないときはふやかしたドッグフードを食べさせるなど、使い分けることをおすすめします。

専門家の コメント:

ドライタイプのドッグフードはそのまま与える以外に、ふやかすことで消化吸収を助けたり、食欲を増進させたりなどのメリットがあります。一方で、歯石がつきやすく歯周病のリスクを高めたり、噛み応えのなさから噛む力が衰えたりする可能性があるでしょう。そのため、愛犬の成長や健康状態を見極めたうえで使い分けるのが大切です。また、ドッグフードの正しいふやかし方を知らないと、栄養の損失や雑菌の繁殖につながります。この記事を参考にドッグフードをふやかして、愛犬の健康維持に役立てましょう。

監修/丸田香緒里先生(獣医師)

監修/丸田香緒里先生(獣医師)

Animal Life Partner代表。
往診専門動物病院アニマルライフパートナー院長。
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。

 

大学卒業後、6年間の横浜市内の動物病院勤務を経て、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partnerを設立。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。

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