【獣医師監修】写真でよく見る犬の笑顔って本当に笑っているの?表情の本当の意味や注意点などについて解説

【獣医師監修】写真でよく見る犬の笑顔って本当に笑っているの?表情の本当の意味や注意点などについて解説

犬が笑っているような写真を見かけたことはありませんか? 犬の笑顔は見ている側も元気にしてくれます。でも、人から見ると「笑顔」に見える犬の表情には、実は「嬉しい」や「楽しい」とは違う意味があるかもしれません。今回は、動物行動学を研究する獣医師の茂木千恵先生に教えていただいた、犬の笑顔の本当の意味について解説していきます。

犬は嬉しいと、人間と同じように笑顔になるの?

笑顔の犬人は嬉しいと、笑顔になります。犬にも「嬉しい」という感情はありますが、「笑顔」など顔だけで表現はしません。その一方で、犬は「笑顔のような表情」をすることがあります。どういうことなのでしょうか。


犬はなぜ笑顔に見える表情をするの?

犬が「笑顔のような表情」をするのは、犬が1万数千年も昔から人と共生してきた歴史に由来します。人と共生して進化する過程で、犬は人の行動を観察することが得意になりました。そして、人を喜ばせる方法を察知する能力も進化の過程で獲得。人が犬に対して笑ったりおやつをあげたり、撫でたりなどといった行動に呼応して、犬は「笑顔のような表情」を作って見せているのです。

また、犬同士の場合でも、ボディランゲージとして「笑顔のような表情」をすることがあります。ただし、これは人に対する「笑顔のような表情」と意味合いが少し違ってきます。

犬の笑顔に見える表情の本当の意味とは?

目を細めて笑う犬目を細めたり、口角が上がったり、前歯を見せたりと、人には笑顔に見える犬の「笑顔のような表情」。本当は次のような意味を表わしていると考えられています。


犬が目を細める意味は?

恐怖や不安を感じているとき、犬はその原因をじっと見つめて「安全である」と感じるまでアイコンタクトを外しません。しかし、じっと凝視する相手が犬の場合は挑戦と見なされ、喧嘩の発端になることも。

そこで、「私は落ち着いています。私はあなたに脅威を与えるつもりはありません」と伝えるため、犬は目を何度も細めたり、瞬きをしたりします。つまり、瞬きをすることで、友好的な気持ちを相手に伝えているのです。

「私は落ち着いています」という意味のサインは他にも、耳を伏せる、リラックスして口元が開く、体の緊張感がない、などがあります。目を細めて瞬きする表情は通常、これらのサインと組み合わせて表示されます。



犬の口角が上がっている意味は?

犬はリラックスすると、顔や口の緊張が緩み、口がうっすらと開きます。この時、口角はわずかに上向きです。このような表情は、犬同士がお互いに「遊ぼうよ」と誘うような友好的な雰囲気のときに見られます。しかし、それが人の「笑顔」と同じ意味を持つのか、それとも犬が意図的に何かを伝えるために相手に向けているのかは、まだ明らかになっていません。


犬が前歯を見せる意味は?

前歯を見せることは人には笑顔に見えますが、犬にとっては服従を意味します。通常、服従の意味で前歯を見せるときは、同時に頭を下げ、尻尾を水平に伸ばして振り、耳を伏せ、体の姿勢を低くして目を細くしています。


犬の笑顔に見える表情は顔以外も考慮に入れる

このように「笑顔のような表情」のボディランゲージを見せるとき、犬は「落ち着いてください」、「私はあなたの敵ではありません」、「あなたに抵抗するつもりはないです」といった相手をなだめるサインを出しています。これは相手が犬でも人でもほぼ同じ。ただし、相手が人の場合は「飼い主さんの注意を引きたい」という理由だけで、「笑顔のような表情」を作ることもあります。

犬が何を感じているか理解するには、耳はどうなっているか、尻尾はどうなっているかと全身を見て、その時の状況も考慮して判断してあげるとよいでしょう。

犬が嬉しいときの本当の表情は?

友達と会って嬉しい犬犬が「嬉しい」と感じるときは、本能による欲求が満たされているときです。もともと犬には、社会的な交流を好む習性があるため、一緒に遊んだり走ったりする飼い主や犬など交流相手がいるときは嬉しさを感じています。

そのため、そうした交流相手に向かって見せる体の動きは「嬉しい」という気持ちの表れ。人の笑顔に相当するものです。具体的には、次のような体の動きがすべて表現されていたら、犬が嬉しい気持ちでいるサインでしょう。笑顔に相当する犬のサインは以下の通りです。


笑顔に相当する犬の姿勢や表情

  • 今にも動き出しそうな躍動感のある姿勢
  • 尻尾を高く上げ、ゆるやかに揺らしている
  • 目を細めている
  • リラックスして口元を開けている
  • 耳を伏せている

特に笑顔に見える犬種は?

笑顔のサモエド「笑顔のような表情」をよくする犬種としては、サモエドが有名です。フレンチ・ブルドッグボストン・テリアも、大きな口と子犬のように大きな瞳とのバランスから、笑顔を携えているように見えます。

他にも、口角を引き上げる表情筋が発達している中型犬や大型犬は、リラックスしているときに笑顔に見える頻度が高くなるでしょう。

飼い主の笑顔が犬にうつることはある?

飼い主を笑顔で見つめる犬人なら相手の笑顔につられて頬が緩む、といったことがありますが、犬の場合はどうでしょうか。

もともと、犬の「笑顔のような表情」は服従を表わしたり、飼い主から愛情のこもった反応を引き出すためだったりと、主に親しい相手に向けて発せられます。また、犬は人を観察して喜ばせる方法を察知できる能力があるため、飼い主に笑顔で見つめられると、犬も真似て「笑顔のような表情」になります。これは、飼い主と犬が見つめ合うと、飼い主も犬も心地よさを感じるためでもあるでしょう。


飼い主と犬が笑顔で見つめ合うと心地よくなれる

犬から飼い主に向けられる「笑顔のような表情」には、飼い主にポジティブな認識をもたらすことが科学的にわかっています。まるで微笑みながら視線を送ってくる犬と見つめ合うことで、オキシトシンというリラックス効果のあるホルモンが人の体内に分泌されるのです。心地よくなるので、飼い主も犬の「笑顔のような表情」を繰り返し見つめてしまいます。すると、見つめられた犬の体内にもオキシトシンが分泌され、心地よくなります。

こうして、犬も繰り返し「笑顔のような表情」で飼い主を見つめ返すようになるのです。これも、犬が人と1万数千年前から共生しながら進化した成果と言えるでしょう。

犬の笑顔の注意点は?

浅速呼吸する犬最後に、犬が「笑顔のような表情」をしているときの注意点をご紹介します。


口元が緩んで開いているときの注意点

口が緩んだように開いていて、かつ、口角が下がっている表情をしているときは注意。笑顔のように見えますが、犬は状況に不安や不満を感じています。口が開いていて、目の白目部分が見える「ホエールアイ(くじらのような目)」も、不安や緊張などを感じているサインです。


歯が露出しているときの注意点

唇が引き戻されて歯が露出しているときは注意。これも犬が状況に不安や不満を感じていると見せる表情です。


舌が口から垂れ下がっていときの注意点

犬は緊張によって息が速くなると「浅速呼吸(パンティング)」をすることがあります。浅速呼吸は、口を開けて、舌が口から垂れ下がっているのが特徴。笑顔と見間違えがちですが、緊張しているサインです。

専門家のコメント:

心が和む、犬の「笑顔のような表情」。でも実は、友好的な気持ちの表れだったり、不安や緊張のサインだったりと、人のする笑顔とはちょっと違って複雑です。犬が何を感じているのか正しく理解するためには、表情に加えて、全身の動きや状況も考慮してあげることがポイントと言えそうです。

監修/茂木千恵先生(獣医師)

ヤマザキ動物看護大学准教授。博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。大学で教育研究活動の傍ら、動物病院でもしつけや問題行動のカウンセリングを行う。フジテレビ系列「モノシリーのとっておき」、日本テレビ系列「志村どうぶつ園」などに動物行動学コメンテーターとして出演。雑誌「Shi-ba」(辰巳出版)などの記事監修も多数担当している。

監修者の他の記事一覧


関連リンク

著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

詳しく見る

この記事に関連するキーワード