犬の睡眠時間からわかる健康状態とは?睡眠不足のリスク、いびきや寝相についても解説

犬の睡眠時間からわかる健康状態とは?睡眠不足のリスク、いびきや寝相についても解説

気持ち良さそうに眠っている犬の姿を見て癒されたという経験はありませんか?すやすやと気持ち良さそうに眠っている姿はついスマホやカメラの写真に収めたくなってしまうものです。しかし、愛犬があまりにも眠ってばかりいて心配になってしまった経験はないでしょうか。ただ眠っているのかそれとも具合が悪いのか、判断の基準はどこなのでしょうか。そこで、今回はchicoどうぶつ診療所所長の林美彩先生に教えてもらった犬の寝る時間が長い理由や平均の睡眠時間、寝相やいびきから何がわかるのかについて解説していきます。

そもそも犬はどのくらい眠るの?

犬は人間と比べると睡眠時間が長い傾向にあります。犬は人間同様、睡眠時間に個体差がありますが、目安として成犬で12〜14時間ほどと言われています。その詳細についてご紹介します。

成犬の睡眠時間

成犬は人間よりも2~3時間多く眠っていることになりますが、これも体を休めるために必要な時間です。散歩や運動によって発散したエネルギーを蓄えるためには、これくらいの時間が必要と言われています。なかでもとりわけ睡眠時間が長いのが、セントバーナードやマスティフといった大型犬です。大きな体の犬はそれだけ活動に必要なエネルギーを消費するため回復にも時間が必要になり、個体差にもよりますが睡眠時間が16時間ほどの犬もいます。

一方でシベリアン・ハスキーボーダー・コリーなどの作業犬と呼ばれる犬は睡眠時間が比較的短くなり、12時間より短い犬もなかにはいます。これは作業犬ということからもわかるように、仕事をこなすためや長時間の活動に適応するためです。このように同じ成犬によっても犬種によって睡眠時間が異なります。

子犬の睡眠時間

とくに生まれたての子犬は成犬よりも長い睡眠時間が必要になり1日平均として18~19時間ほど寝て過ごすこともあります。子犬の場合は起きている間にいろんなことを学習するので、たくさんのエネルギーを消費することになります。そのため、体力を回復するためにより長い睡眠時間が必要となります。

シニア犬の睡眠時間

シニア犬になると外部刺激が鈍くなることもあり、睡眠時間が増えてきます。体力も衰え、より休息時間を長く求めるようになります。そのためシニア犬のなかには、ほとんど1日中横になっている犬もいます。シニア犬でこのような状態になっている場合は、健康に異常がなければゆっくり眠らせてあげましょう。

犬の睡眠時間が長い理由とは?

寝てる子犬

犬の睡眠時間が長いのはちゃんとした理由があります。まずはその理由をしっかりと把握してみましょう。

野生時代の名残

犬の睡眠時間が多い理由は野生時代に生活していた頃の名残であると言われています。犬の祖先といえばオオカミです。オオカミは狩りをして生活をする生き物で、獲物を捕まえるために自分たちの身が見えにくい夜中に活動していました。夜中に活動するため、昼間はできるだけ体力を温存するために寝て過ごしており、その名残が今も残っていると言われています。犬は人間との共存により夜行性ではなくなりましたが、今も睡眠の習性は残っているようです。

すぐに獲物に対応するためほとんどがレム睡眠

犬の睡眠のほとんどはレム睡眠と言われています。レム睡眠とは眠りが浅く、ちょっとした物音や感触で目を覚ますというものです。これも野生の名残で外敵や獲物が来たときに、さっと行動できる状態にするためのものと言われています。ちなみに深い眠りの事はノンレム睡眠といいます。その日の学習や経験を整理するための睡眠で色んな事を学んだり、体をよく動かしたりしている犬は、ノンレム睡眠になっていることがあります。

犬の睡眠時間が長い場合は病気の可能性もあるの?

基本的に犬の睡眠時間が長いのは、習性によるものが大きいですが、病気が原因の可能性もあります。そのサインを見逃さないようにしましょう。

犬の睡眠時間が極端に長い場合に疑われるのは、ホルモン(内分泌系)や中枢神経系などの疾患です。中枢神経系の病気ではナルコレプシーがあり、興奮時や喜んでいる時など感情を出したときに突然睡魔に襲われてしまう病気です。この病気は根本的な治療法がなく、中枢神経に作用する薬を与えることで治療を目指します。

甲状腺機能低下症

ホルモンの疾患で代表的なのが甲状腺機能低下症と呼ばれる病気です。これは甲状腺ホルモンの分泌が減少することで、体のあらゆる機能が鈍くなってしまうという病気です。具体的には動作の鈍りや皮膚色素の沈着や脱毛、低体温で暖かい場所でも寒がるといった症状が見られます。甲状腺機能低下症はどのような犬種でも発症します。また、これらの病気になると、重度になるにつれ眠っている時間が長くなる傾向にあります。

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)

ホルモンの疾患でほかに考えられるのがクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)です。この病気は副腎と呼ばれる左右の腎臓の近くにある臓器から副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることにより、体にさまざまな影響を及ぼしてしまいます。睡眠が長くなるほかに、お腹が膨らむ多飲多尿や食欲の増加、皮膚が薄くなるなどの症状です。治療としては副腎皮質ホルモンの分泌をコントロールする薬や、原因が副腎腫瘍にある場合は手術で摘出することもあります。

ケガをしている

眠っているように見えて、実はケガをしている可能性もあります。運動や散歩をしている最中に、足腰を痛めてぐったりとした状態になってしまっている場合があります。このような時は、抱き上げようとすると唸ったり歯をむき出しにすることがあるので、注意深く観察してみましょう。また、誤飲によってぐったりしている可能性も考えられます。嘔吐の有無などを確認しながら、様子を見て動物病院へ相談しましょう。

睡眠不足になると犬の健康状態にどんな影響が?

くつろぐトイプードル

睡眠不足は人と同じように犬の健康状態にも悪影響を及ぼします。どのような影響があるかご紹介します。愛犬の健康を保つためにも参考にしてみてください。

犬の性格が変化する可能性がある

犬が睡眠不足となることでストレスが溜まり、攻撃的になったり飼い主さんの言うことを聞かなくなる可能性があります。急に怒りっぽくなったり、反抗的な態度を取ったりするようになったら注意しましょう。

ほかにも、無駄に吠えるようになる、ゴミ箱を漁る、部屋の観葉植物を倒したりするなど、落ち着きのない行動出た場合は注意しましょう。このような行動が見られる背景には、睡眠不足が大きく関係している可能性があります。

食欲や免疫力も落ちてくるだけでなく、寿命に影響することも

睡眠不足で食事量が落ちてきたり、睡眠不足で免疫力が落ちてくることも考えられます。この状態が続くと他の病気にかかる可能性も高くなるので該当する場合は動物病院へ早めの相談を心がけましょう。

場合によっては、寿命に影響することもあります。睡眠不足は心身ともに大きな影響を及ぼします。とくに外部からの不快な刺激や環境は、犬の睡眠を大きく及ぼします。それが引き金となり、下痢や嘔吐などの体調不良につながることも考えられます。小さな体調不良が大きな健康上のトラブルに繋がっていくこともあるので、十分注意しなければなりません。

犬が睡眠不足になる原因とは?

今まで普通に生活を送れていたのに、犬が急に睡眠不足になった場合は何かしら原因が隠れています。嘔吐や下痢などの消化器症状、を始めとした呼吸器疾患などの病気や老化などから睡眠不足になることも考えられますが、原因のひとつとしてストレスも有力です。どのようなストレスの種類があるのでしょうか。


運動不足や飼い主との関係が原因の場合

睡眠不足の原因に大きく関係しているのがストレスです。そのひとつとして運動不足が考えられます。散歩の量が足りないなど、十分に体を動かすことができずにいると、ストレスがたまってしまい睡眠不足となり、何度も目が覚めてしまうということも考えられます。

また、飼い主に構ってもらえないこともストレスにつながります。遊ぶ時間やしつけの時間などを確保し、一緒に犬と触れ合うことを心がけて下さい。ほかにも、犬を飼い主の家に迎え入れた際、環境に適応できず眠れなくなるということも考えられます。このような場合も、不安を軽減させてあげるように丁寧に寄り添ってあげることが大切です。

周辺環境が原因の場合

音や光など周辺環境によって睡眠不足を誘発している場合もあります。例えば、家の近所で工事をしている場合や集合住宅で新しい隣人が引っ越してきた場合などは、音に関する環境が変わります。ほかにも部屋の電気がつけっぱなしなど、明るすぎることが原因で上手く眠ることができなくなっている可能性もあります。人間と同じく、犬も少し暗い場所の方がゆっくり眠ることができるので配慮してあげましょう。

とくに神経質な犬の場合はこうした環境変化に敏感になっている可能性があるので、自分の犬がどういった環境を好むのか観察しつつ、適切な環境を整えてあげることが必要です。

睡眠中の寝相から犬の気持ちが分かる!?

寝ながら伸びする犬

うつ伏せや横向き、仰向けなど、犬にもさまざまな寝相が見られます。これらの寝相も、犬の睡眠状態を表すサインなので合わせて確認しましょう。

丸くなって眠っている場合

犬の一般的な寝相として知られている姿勢で、野生の犬やオオカミにも見られます。足と尻尾を抱え込むようにして寝ることで、小さく丸くなる姿勢を作ります。これにより、外敵から身を守ることができると同時に周囲から注目されにくく、お腹を保護することもできるので犬にとって一番安全な体勢と言えます。また、体の熱を逃さないようにする時も、体を丸くして眠ります。

仰向け・横向きの場合

仰向けは犬がおへそを出して眠っている状態で「へそ天」とも呼ばれます。この状態で眠っている場合は犬が安心している状態です。急所であるお腹を見せるほど、飼い主を信頼しこの環境は安全であることを確信しているからこその寝相といえます。同じようにリラックスしている事を表す寝相が横向きです。この場合も快適な環境で快適な場所で過ごしていることを表しています。

うつ伏せ

うつ伏せで寝ている状態は、警戒している気持ちを表します。この時はあごを何かにちょこんと乗せた状態になっており、何かあった時にすぐ起き上がることができる体勢を取っています。また、お腹を冷やさないように保護する意味もあります。ちなみにうつ伏せで足をピンと伸ばしている場合は、警戒しながらも少しリラックスしている状態を表します。

睡眠中の犬のいびきは病気の兆候?

いびきは寝ている間にのどや気管が狭くなり、空気が振動することで生じるものです。犬がいびきをかいているのは、リラックスしている状態を表していますが、そのほかにもいくつか理由があります。

 

肥満によるもの

太り過ぎの場合はのどの周辺に脂肪がついている場合があります。そのため喉が狭くなってしまい、いびきが出てしまいます。健康診断などで肥満が発覚した場合は食生活や生活習慣を見直す必要があります。

体質によるもの

パグブルドッグなどの短頭種といわれる犬たちは呼吸器の作りが複雑なため、もともと空気が通りにくい構造になっています。そのため他の犬種と比べるといびきが出やすい体質になっています。

病気によるもの

いびきで考えられる病気はアレルギーや呼吸器系の疾患です。煙草の煙やハウスダストなどが鼻の粘膜に付着すると、鼻水を出すことで粘膜を守ろうとします。そのために鼻水がでて呼吸が苦しくなり、いびきが出ている可能性があります。

また、呼吸器系の疾患としてあげられるのが気管虚脱です。何らかの原因で気管を覆う軟骨が歪み、気管がつぶれた形になってしまう病気です。これにより呼吸が苦しくなるほか、いびきが出てしまうようになります。その他、鼻腔内のポリープや腫瘍などが原因でいびきが出ている可能性も考えられます。

犬のいびきを解消するための方法とは?

寝ているフレンチブルドッグ

いびきを解消するにはその原因に応じた対策を取る必要があります。肥満の場合であれば食事制限や運動を行うことによって、ダイエットをする必要があります。

呼吸器が苦しいことでいびきが出てしまう場合は、マッサージをしてあげることが効果的です。気道をまっすぐにさせて呼吸がしやすいように枕などを用意してあげるといいでしょう。病気によるいびきの場合にはその病気に対しての治療を行うことでいびきが軽減するケースもあります。

犬の睡眠障害を解消するために病院に行くべき?

いびきの変化や睡眠不足が継続するなど睡眠障害で悩んでいる場合は動物病院へ連れて行くことも検討しましょう。獣医師に病状を伝える際は睡眠時間の変動をしっかり伝えてください。変化が見られるようになった時期や、一日の平均睡眠時間を把握することが大切です。

可能であれば呼吸状態やいびきの状態がわかる動画などを撮影しておくといいでしょう。また、生活環境や食生活などいびきが見られるようになってから変更した点を説明することも、診断の判断材料となります。問診の際はしっかり伝えておきましょう。

犬に快適な睡眠を取らせる方法は?

安心して眠れる寝床の確保

 

犬にとって心地よい寝床をセッティングすることでリラックスして眠ることができます。快適な睡眠には快適な環境も必要不可決なので気を配ってあげましょう。

 

犬にとって快適な温度と湿度にする

 

犬が快適に過ごせる室温は22℃、湿度は60%位が目安と言われているのでエアコンなどを上手に使い設定してみてください。

 

適度な運動をさせる

 

質の良い睡眠は適度な疲労感が必要です。適度な運動をすることで、疲労感を体に与えてあげましょう。


第3稿:2021年2月15日更新
第2稿:2020年11月20日更新
初稿:2020年9月16日公開

※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

 

専門家のコメント

犬の睡眠は健康状態や心の状態を観察するバロメーターでもあります。睡眠の変化に気がついたらまずは焦らず原因を考え、状況によっては獣医師に相談するようにしましょう。

監修/林美彩先生(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を開設。著書に「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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