【獣医師監修】犬の皮膚病の症状とは?原因と対処法、日常生活での予防策などについて解説

林美彩(獣医師)

林美彩(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。

【獣医師監修】犬の皮膚病の症状とは?原因と対処法、日常生活での予防策などについて解説
【獣医師監修】犬の皮膚病の症状とは?原因と対処法、日常生活での予防策などについて解説

目次

  • ・ 犬の皮膚病の症状とは?
  • ・ 犬の皮膚はデリケートで皮膚病になりやすい?
  • ・ 犬に皮膚病の症状が出たらどう対処すべき?
  • ・ 犬の皮膚病を改善する方法はある?
  • ・ 犬が皮膚病にならないためにできる毎日の予防法は?
  • ・ 病院へ行くべき危険な犬の皮膚病とは?
  • ・ 病院で犬の皮膚病の治療にかかる費用の目安は?
  • ・ 犬の皮膚病の注意点は?

毛に覆われているため丈夫そうに見えるものの、犬の皮膚はデリケートで皮膚病にかかりやすい傾向にあります。しかし、一口に皮膚病といってもその原因や症状はさまざまで、対処法も異なります。今回はchicoどうぶつ診療所所長の獣医師・林先生に教えていただいた、犬の皮膚病の原因や対策などについて解説していきます。

犬の皮膚病の症状とは?

皮膚がかゆい犬犬の皮膚にいつもと違う症状が見られる場合は皮膚病の可能性があります。例えば、赤みが出ている・フケが多い・黒ずんでいる・かゆみがあるといった症状が出ているときには、皮膚病を疑ったほうがよいでしょう。

それだけでなく、このような症状が出ているときは、犬自身も普段と違う様子を見せることが多いです。例を挙げると、体を掻きむしる・皮膚が気になって落ち着かない・食欲が落ちる(痛みが生じている可能性があります)・攻撃的になるといったケースがあります。

さらに、ホルモンが関係している皮膚病の場合には、上記の症状に加えて元気がない、眠っている時間が普段よりも長くなるといった変化も起こることがあるのです。

犬の皮膚はデリケートで皮膚病になりやすい?

人と犬の手犬は人間と比較すると、皮膚がとてもデリケートにできています。人間と犬の皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造で成り立っているという点では同じですが、表皮の一番表面にある「角質層」という部分の厚さが異なります。実は、犬の角質層は人間の3分の1程度の厚みしかないのです。

このように、犬の皮膚は薄くてデリケートなので、洗いすぎは禁物。デリケートなぶん、皮膚病にもなりやすい傾向にあります。人間は毎日、頭髪や体を洗っても平気ですが、犬に同じことをすると皮膚の構造を壊してしまう可能性があります。そのため、犬に毎日シャンプーするのは避けたほうがよいでしょう。

犬に皮膚病の症状が出たらどう対処すべき?

診察される犬犬に皮膚病が出る際の代表的な症状と考えられる原因は以下の通りです。


アレルギー性皮膚炎(自己免疫性疾患)

症状:発赤、発疹、脱毛、痒み、皮膚の黒ずみなど

原因:食事アレルギーやノミアレルギー、アトピー性皮膚炎といった自分の免疫の弱点によって起こり、アレルギー性皮膚炎に分類されます。

治療法:アレルギーの原因となるものを除去する必要があります。抗炎症薬や免疫抑制剤などを使用することもあります。


膿皮症

症状:フケ、痒み、発赤、かさぶたなど

原因:ブドウ球菌や緑膿菌に感染することによって起こります。

治療法:シャンプーをしたり、抗生剤を投与したりします。


マラセチア皮膚炎

症状:皮膚のべたつきやフケ、脱毛、発赤、痒みなど

原因:皮膚の常在菌であるマラセチアが異常増殖してしまって起こります。

治療法:シャンプーをしたり、抗生剤を投与したりします。


内分泌疾患(甲状腺機能低下症、クッシング症候群など)

症状:左右対称性脱毛、皮膚の黒ずみ、たるみなど

原因:ホルモンバランスの異常から引き起こされます。

治療法:それぞれの疾患に合った内服薬を服用します。


皮膚腫瘍(がんなど)

症状:発赤、発疹、丘疹、びらん、潰瘍など

原因:さまざまな可能性が考えられるため、一概には言えません。

治療法:外科的処置をしたり、抗がん剤を投与したりします。

犬の皮膚病を改善する方法はある?

まずは、その皮膚病の原因に対する治療をすることが最優先です。例えば、食事アレルギーのせいで皮膚にかゆみが出ている犬であれば、アレルギーの元になっている食材を突き止め、その食材を徹底して使わないことが大切になります。他にも、マセラチアの犬の場合にはシャンプーをすることと抗生剤を使うことが最優先と、それぞれの原因に対して対策が異なります。

その他に、犬の皮膚病を改善するためにできることとしては、生活環境をきれいに保つ、定期的にブラッシングやシャンプーをするといったことが挙げられます。

犬が皮膚病にならないためにできる毎日の予防法は?

ブラッシングされる犬犬を皮膚病にしないためには、毎日ブラッシングをしてあげてください。ブラッシングをすることで皮膚の異常にいち早く気がつけるようになります。また、ブラッシングをすると、被毛間の通気性がよくなります。それが皮膚病の予防につながることもあるため、毎日のブラッシングを欠かさないようにしてあげましょう。


病院へ行くべき危険な犬の皮膚病とは?

犬の皮膚に気になる点がある場合は、症状の重さで判断するのではなく、健康なときと少しでも違うと感じる部分があるのなら、すぐに病院へ連れていってあげてください。

病院では検査などをした上で、投薬や注射、シャンプーなどの適切な治療をしてくれます。

病院で犬の皮膚病の治療にかかる費用の目安は?

ヨークシャー・テリア犬が皮膚病になった際にかかる医療費は病院によって異なります。自由診療のため、動物病院によってバラつきがあるということを覚えておいてください。また、一概に「皮膚病」と言っても、皮膚病の種類や重症度、犬の体重(大型犬か小型犬か)といった違いによっても費用に差が生まれます。

参考までに例を挙げるとするなら、通院日数が423日ほどの場合、平均で約18,000円~140,000円かかるのではないでしょうか。また、ヨークシャー・テリアの場合、通院日数1日で約7,000円ほどだそうです。

ただし、これはあくまでも一例です。犬が皮膚病になったときにかかる費用が気になる方は、かかりつけの病院でしっかりと確認してください。


犬の皮膚病の注意点は?

犬の皮膚病の中には「疥癬」など、人にうつる病気もあります。これは小さなダニが皮膚に寄生して起こるもので、かゆみを伴います。

このように、犬の皮膚病には人間にとってもリスクとなるものがあります。犬だけでなく、飼い主も皮膚に異変を感じたときには、皮膚科に行って治療を行ってください。

専門家の コメント:

一口に皮膚病といっても病気はさまざまです。愛犬を皮膚病にさせないためには、毎日のブラッシングをしっかりと行い、住環境を清潔にすることが不可欠です。また、重い皮膚病の中には、がんの可能性も考えられます。少しでも健康なときと違う様子が見られたら、すぐにかかりつけの病院で相談しましょう。


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