【獣医師監修】犬の湿疹は膿皮症のサイン?初期症状や原因、皮膚炎との見分け方や対処法などについて解説

【獣医師監修】犬の湿疹は膿皮症のサイン?初期症状や原因、皮膚炎との見分け方や対処法などについて解説

病気・健康

2022年09月19日 更新 (2021年02月12日 公開)

Animal Life Partner代表。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、製品開発など幅広く活動。

【獣医師監修】犬の湿疹は膿皮症のサイン?初期症状や原因、皮膚炎との見分け方や対処法などについて解説

湿疹ができていたら注意!犬がかかる膿皮症ってどんな病気?

湿疹とは皮膚の表面に起こる炎症のことをいいます。もし、犬の皮膚に湿疹ができたら、膿皮症と呼ばれる皮膚病が原因として考えられます。

 

膿皮症は、犬の皮膚の表面に存在するブドウ球菌が異常に増えることで起こる皮膚炎です。健康な皮膚であれば菌が異常繁殖することはありませんが、免疫力が低下したり、皮膚に何らかの刺激が加わったりすることで細菌が増えることがあります。犬の皮膚は人よりも薄いため、膿皮症が起こりやすいといわれています。

犬の膿皮症の初期症状は?

犬の湿疹は膿皮症のサイン?初期症状や原因、皮膚炎との見分け方や対処法などについて解説膿皮症の初期は、湿疹やニキビのような膿疹です。その後、一見悪化したように赤い部分が広がり、フケと共に脱毛し、改善していきます。犬が湿疹を気にして、皮膚を舐めたりこすったりすると、刺激が加わることで症状が悪化することもあります。重度の場合は皮膚が赤くただれてしまったり、食欲が落ちたりするなどの症状が出ることがあるため、注意が必要です。

 

表皮だけに症状が起こる表在性膿皮症と、真皮で起こる深在性膿皮症という2つの種類があります。ちなみに、深在性膿皮症の場合はかゆみよりも痛みを感じることがあるようです。

膿皮症にかかりやすい犬種や年齢は?

犬種による違いはないので、注意が必要ですが、特に若齢犬や老犬などの免疫力が弱い犬は膿皮症が発症しやすいです。

 

他の病気などで免疫力が低下していたり、シャンプーのし過ぎや皮膚に負担をかけたりするようなブラッシングも膿皮症の原因となります。また、アトピー性皮膚炎など皮膚のバリア機能が低下している場合でも膿皮症を併発しやすくなります。

犬の皮膚炎と膿皮症を見分けるポイントは?

犬の湿疹は膿皮症のサイン?初期症状や原因、皮膚炎との見分け方や対処法などについて解説湿疹は他の疾患の可能性も考えられるため、不安な場合は動物病院で診察を受けるのがいいでしょう。膿皮症は細菌性の湿疹の総称ですので、膿皮症が起こる原因には様々な要因があります。湿疹が出た場合、アトピーやアレルギー、ホルモン異常を起こすような他の疾患にも注意が必要です。

犬の膿皮症は他の犬にもうつる?

皮膚炎というと接触などによって他の犬や人間にもうつってしまうのでは?と心配になるかもしれません。しかし、膿皮症は免疫力や皮膚バリア機能のトラブルなので、他の犬や人間にうつることはありません。

犬が膿皮症になった場合の対処法は?

犬の湿疹は膿皮症のサイン?初期症状や原因、皮膚炎との見分け方や対処法などについて解説膿皮症が発症した場合、動物病院で診察を受けた上で薬用のシャンプーを使ったり、抗生物質を投与したりして治療します。薬は23週間ほど投与し、症状が落ちついたとしても細菌がなくなるまでは治療を続けます。もし、薬の効果が見られない場合は原因を特定するための検査を行い、他の薬剤に変えることもあります。

 

薬用シャンプーは体に染み込ませるために泡を一定時間おいてから洗い流します。シャンプー以外にも消毒薬による薬浴をすることもあります。

犬の膿皮症を予防するために普段からできることは?

膿皮症を予防するためには、シャンプーのしすぎに注意したり、皮膚だけでなく犬にとって過度なストレスをかけたりしないようにすることが大切です。膿皮症の治療中は皮膚を衛生的に保つことを意識し、かゆみが出た場合は犬が舐めないように工夫する必要があるでしょう。

 

部屋の温度管理、ノミやダニなどの予防接種、栄養バランスの整った食事を心がけることも膿皮症の予防につながります。特に梅雨や夏などは高温多湿の影響で膿皮症になりやすいといわれているため、快適な環境作りも大切です。

犬が膿皮症にかかりやすくなる生活習慣、環境は?

犬の湿疹は膿皮症のサイン?初期症状や原因、皮膚炎との見分け方や対処法などについて解説膿皮症になる原因はさまざまですが、以下の点に該当する場合は注意が必要です。犬の生活習慣や環境について、もう一度見直してみましょう。

 

・シャンプーを長期間していない

・シャンプー後に長い時間ドライヤーを使う

・ホルモンの異常や免疫疾患などがある

 

また、皮膚病を衛生的に保つため、以下の点についても注意が必要です。

 

・寝床の掃除をあまりしない

肥満体型

・室内のダニ対策をしていない

・ブラッシングを怠っていて毛玉がある

・耳や歯のケアをあまりしておらず、臭いがする

※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。