シーズーの平均寿命は何歳?長生きさせる秘訣やかかりやすい病気について解説【獣医師監修】

林美彩(獣医師)

林美彩(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。

シーズーの平均寿命は何歳?長生きさせる秘訣やかかりやすい病気について解説【獣医師監修】
シーズーの平均寿命は何歳?長生きさせる秘訣やかかりやすい病気について解説【獣医師監修】

目次

  • ・ シーズーの平均寿命、最高寿命は何歳くらい?
  • ・ 人間でいうと何歳?シーズーの年齢換算表
  • ・ シニア期のシーズーと生活する際に気をつけることは?
  • ・ シーズーがシニア期に入ったサインは?
  • ・ シーズーの寿命を縮めてしまう主な要因は?
  • ・ シーズーがかかりやすい病気の特徴は?
  • ・ シーズーを長生きさせる秘訣は?

美しい毛並みと人懐っこい性格で人気のシーズー。そのルーツとなった犬は、中国の王宮内で育てられていたペキニーズと、チベットで献上されたラサアプソという種が交配して誕生したと言われています。このように高貴な歴史を持つシーズーの平均寿命はどのくらいなのか、また長生きさせる秘訣などについて、chicoどうぶつ診療所の所長で獣医師の林美彩先生に解説していただきます。

シーズーの平均寿命、最高寿命は何歳くらい?

シーズーの平均寿命は何歳?長生きさせる秘訣やかかりやすい病気について解説【獣医師監修】小型犬であるシーズーは比較的長命と言われており、平均寿命は1315歳です。環境や個体差によりますが、かなり長生きするケースもあります。ちなみに、国内最高齢は23歳、ギネス記録は29歳だそうです。

人間でいうと何歳?シーズーの年齢換算表

シーズーの年齢を、人間に置き換えてみましょう。比較的長命な犬種とはいえ、シニア犬になったら体調に気をつける必要があります。また、愛犬の年齢が人間と比べて何歳に相当するのかというのは気になるかもしれません。以下の年齢換算表を参考に、犬の年齢が人間でいうと何歳にあたるのか確認をしてみましょう。

シーズー 人間
生後3か月 4歳
生後6か月 7歳半
生後9か月 11歳
1歳 15歳
2歳 23歳
3歳 28歳
4歳 32歳
5歳 36歳
6歳 40歳
7歳 44歳
8歳 48歳
9歳 52歳
10歳 56歳
11歳 60歳
12歳 64歳
13歳 68歳
14歳 72歳

シニア期のシーズーと生活する際に気をつけることは?

犬も人間同様に、年を重ねるにつれて体が変化します。シーズーはおおよそ6歳程度でシニア期、その後、11歳を過ぎてからは高齢期に入ります。愛犬のライフステージを把握することで、飼い主は急な変化に驚くことなく対応することができるでしょう。今まで元気いっぱいだった愛犬がシニア期に入ったことがわかると、飼い主としては少し寂しい気持ちになるかもしれません。できるだけ長く一緒にいるためには、以下のようなことに気をつけるようにしましょう。

食事の内容に気を付ける

栄養面だけでなく体への負担も考えなくてはいけないので、与えるフードの種類に注意する必要があります。

良質なタンパク質が主原料であるフードを与える

犬は雑食寄りの肉食動物なので、動物性たんぱく質がしっかりとれるものがオススメです。脂質やカロリーを抑えた「高齢犬用」「シニア犬用」と記載されているフードを選ぶといいでしょう。

フードの形状にも注意が必要

シーズーは歯並びが悪いため、歯周病や歯肉炎のリスクが高い犬種です。口内にトラブルがあると硬いものや大きいものは食べられないので、小粒のものや、ウェットフードを選んであげて、口腔内の負担を軽減してあげましょう。

無添加のフードを与える

添加物が豊富なフードは肝臓やその他臓器に負担がかかります。添加物が少ないものを出来る限り取り入れましょう。

散歩のペースや時間、頻度に気をつける

若いときに比べると身体機能が衰えるのでお散歩のスピードもゆっくりになります。愛犬に負担がかからないよう、ペースを合わせてあげたり、お散歩時間も少し短めにしたりするなどして、体に負担がかからないようにしてあげてください。頻度も愛犬の体力に合わせて回数を変更してあげるといいでしょう。

怪我しないように気をつける

足腰が衰えるので、段差の昇り降りができなかったり、散歩を嫌がったりするようになることがあります。散歩コースでは階段などに注意をし、生活スペースでも段差がない空間を作ってあげるのがいいでしょう。

シーズーがシニア期に入ったサインは?

シーズーの平均寿命は何歳?長生きさせる秘訣やかかりやすい病気について解説【獣医師監修】普段から愛犬の様子に気をつけていると、なんとなくシニア期に入ったのがわかることがあります。以下のようなシニア期に入ったことを示すサインを見逃さず、きちんとケアしてあげるようにしましょう。

目や耳などの機能が低下する

身体機能の衰えにより目が見えにくくなったり、耳が聞こえにくくなったりします。なので、ものにぶつからないように生活空間の見直しを行うことをおすすめします。愛犬に対する接し方も、突然触ってびっくりさせないように、鼻の近くに手を持って行って匂いをかがせてから触るなどの工夫が必要です。

足腰が弱くなり、運動機能が低下する

運動機能が低下することで、段差の昇り降りが難しくなったり嫌がったりすることがあります。骨も弱くなるため、段差で躓いたり、転倒したりすることによって思わぬところで骨折をするリスクもあります。運動量が落ちてきたときには、自宅での知育トイなどを使った脳トレなどを散歩の代わりに取り入れるのもオススメです。

シーズーの寿命を縮めてしまう主な要因は?

犬の健康を保つために必要なことは生涯変わりませんが、体力が衰えてくるシニア期以降は特に、愛犬の心身に負担をかけないことがその子の寿命につながります。普段の生活の中で、以下のようなことに気をつけましょう。

ストレス

ストレスは免疫のバランスを崩します。長い時間のお留守番や、騒音の中で生活させることなどは避け、お互いにストレスを感じることなく気持ちよく過ごせる環境を整えるように気をつけましょう。

肥満

肥満による弊害(関節疾患や心臓、呼吸器系への負担、炎症など)によって寿命が短くなることが考えられます。食事のコントロールや適度な運動を取り入れるなどして、肥満にならないようにしましょう。


運動不足、過度な運動

運動不足は肥満の原因やストレスになりますし、過度な運動も身体に必要以上の負担となります。愛犬にとって負担のない適正な運動量を心がけることが大切です。

シーズーがかかりやすい病気の特徴は?

シーズーの平均寿命は何歳?長生きさせる秘訣やかかりやすい病気について解説【獣医師監修】シーズーがかかりやすい病気にはどんなものがあるのでしょうか。ここでは、それぞれの症状と治療法について解説します。

気管虚脱

気管軟骨の変形によって呼吸が荒くなったり、乾いた咳をしたりします。シーズーをはじめ、ブルドッグやパグなどの短頭種で起きやすい傾向にありますが、それ以外にも肥満による脂肪蓄積で気管が変形して起こることがあります。治療法としては気管支拡張剤を使っての治療や、重い場合には手術を行うこともあります。ただし、手術はどの病院でも行えるものではありませんので、事前に手術できるかどうかの確認が必要です。

慢性変性性房室弁疾患

三尖弁(さんせんべん)、僧帽弁(そうぼうべん)と呼ばれる心臓の弁(房室弁・ぼうしつべん)の働きが衰え、血液が逆流する病気です。加齢や肥満によって心臓に負荷がかかることで起こりやすくなります。初期症状はほとんどないですが、進行してくると咳、疲労感、呼吸がしづらい、食欲不振などの症状が見られ、重篤化すると呼吸困難やチアノーゼなどが見られ、最悪の場合は死に至ることもあります。基本的には内服薬を使って治療しますが、外科手術を行うケースもあります。こちらも気管虚脱同様にどこの病院でもできるものではないので、事前確認が必要です。

緑内障

眼圧が高くなることによる視神経乳頭の障害によるもので、目の充血や目の痛み、角膜白濁、目が大きく見える(眼球が飛び出したように見える)などの症状が見られます。眼圧を下げる点眼薬や内服薬、外科的治療(レーザー毛様体光凝固術、前房シャント、義眼、ゲンタマイシン硝子体内注入術など)を行う場合もあります。

外耳炎

シーズーは垂れ耳かつ、脂質代謝異常を起こしやすいことから、外耳炎になりやすい傾向にあります。症状としてはかゆみ、耳垢が増える、臭うなどが代表的なもので、重症化すると外耳道の肥厚が見られます。基本的には点耳薬を用いて治療します。

脂漏症

脂質代謝異常によって皮膚の細菌バランスが崩れたりすることで起こる疾患です。症状は、かゆみや皮膚の赤み、べたつき、フケなどが見られます。定期的にシャンプーを行ったり、処方された薬を使うことで症状を緩和できるかもしれません。

シーズーを長生きさせる秘訣は?

シーズーの平均寿命は何歳?長生きさせる秘訣やかかりやすい病気について解説【獣医師監修】飼い主としては、愛犬の寿命を縮めるようなことは避けるのはもちろん、できるだけ長生きしてもらうためにはどうすればいいかを考えることが必要です。シーズーのシニア期以降の健康管理と合わせて、愛犬に長生きしてもらうためのポイントを以下にまとめました。 

室内温度の調節する

気管虚脱や心臓への負荷のケアとして室内温度を愛犬に合った温度に調整することが大切です。また、温度だけでなく湿度の調整にも配慮してあげましょう。温度や湿度の設定に迷う場合は獣医師などに相談をすると良いでしょう。

適度な運動を欠かさない

食事管理同様、肥満リスクを軽減すると同時に、筋力をつけるのに役立ちます。また、ストレス発散の貴重な機会となるので、免疫も整いやすくなると言われています。

皮膚疾患発見のためにブラッシングを欠かさない

毛玉予防や、皮膚に刺激を与えることで皮膚表面の分泌腺の機能も整いやすくなります。皮膚疾患の早期発見にも役立ちますので、こまめに行いましょう。

健康診断を受けさせる

どの犬種も定期的に健康診断を受けることで、体の内面の状態を確認することができます。シニア期に入ったら半年に1回、高齢期には3か月に1回程度の健康診断をオススメします。

避妊手術や去勢を行うと寿命が延びる?

実際の避妊手術や去勢手術は成熟期に入ったら行います。ただし、手術の負担が大きいことや肥満になりやすくなるなどのデメリットはありますので、必ずしも寿命が延びるとは言えないかもしれません。行うことでオスもメスもストレスを軽減することができるとも言われているので、獣医師とよく相談して、慎重に判断することをおすすめします。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

監修/林美彩先生(獣医師)

共に生活するにつれ、愛犬はかけがいのない家族となりますよね。飼い主であれば、愛犬が元気でできるだけ長く生きてくれることを望むのは当然です。愛犬に長生きしてもらうには、飼い主が必要なケアや対応をすることが大切なポイントです。そのためには愛犬とよくかかわってコミュニケーションを取ることや、愛犬を日々観察することが必要だと言えます。


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