希少性の高い黒柴の性格は?毛色による違いやつきあい方について紹介

安川辰弘(獣医師)

安川辰弘(獣医師)

上京どうぶつ病院院長。北里大学出身。日本獣医生命科学大学付属動物病院にて研修後現職。

希少性の高い黒柴の性格は?毛色による違いやつきあい方について紹介
希少性の高い黒柴の性格は?毛色による違いやつきあい方について紹介

目次

  • ・ 黒柴とはどんな犬種?
  • ・ 黒柴の性格を知ろう
  • ・ 黒柴を迎える方法と価格相場は?
  • ・ 注意したい!黒柴がかかりやすい病気
  • ・ 飼うのは難しい?黒柴と上手につきあうコツ
  • ・ まとめ

日本犬でも絶大な人気を誇る柴犬。被毛が黒い「黒柴」は柴犬の中でもとくに割合が少なく、希少価値の高い犬として人気です。しかし黒柴の性格から飼うのが難しいともいわれています。この記事では黒柴の性格を知って上手につきあう方法、柴犬の毛色による違いについて紹介していきます。黒柴を飼いたい方はぜひ参考にしてみてください。

黒柴とはどんな犬種?

黒柴とはどんな犬種?

黒柴とは、柴犬の中で「ブラック&タン」の毛を持つ柴犬のことです。黒柴という犬種があるわけではありませんが、その毛色から「黒柴」という愛称で親しまれています。

ここではルーツや体の特徴から、黒柴の魅力を探っていきます。

 

黒柴のルーツ

日本原産の犬種である柴犬は、古代から存在していたと考えられています。愛媛県の上黒岩岩陰遺跡からは、犬の骨が発掘されており、その骨は柴犬の祖先ともいわれています。

黒柴のルーツは、日本の古い文献や絵画からはっきりとは分かっていません。ですが、一説によると、古代から存在していた日本犬の中でも、黒い毛色を持つものが柴犬に近い姿をしていたとされています。

古い時代は、柴犬は狩猟や番犬などの目的で飼われてきました。明治時代になってから、黒柴が人気を集めるようになり、現在の黒柴は、その後の改良によって形作られたものと考えられています。

 

黒柴の特徴

黒柴の大きさは一般的な柴犬と同様に、小型~中型犬サイズです。体高は約35~40cm、体重は約10~15kg程度が標準だとされています。
体型は筋肉質で引き締まっていて、全体的に丸みを帯びています。被毛は、胸は深く、脚は短くて太いのが特徴です。また、脚の被毛にある白模様が靴下のように見えるのも、黒柴の魅力だといえるでしょう。

黒柴の尾は、通常の柴犬と同じで巻き尾になっています。また、柴犬特有の尾の毛は、他の体毛よりも長くてふわふわしているところも魅力的です。

 

黒柴のお顔は2タイプ

基本的に黒柴の顔つきは、丸みを帯び、ふっくらとした印象を受けます。顔は「キツネタイプ」と「タヌキタイプ」に分類でき、キツネタイプはマズルが長くて比較的キリッとした目元で、タヌキタイプはマズルが短くて輪郭が比較的丸いのが特徴です。

 

どちらのタイプも目が丸くて大きく暗めの色合いをしていて、目頭と目尻に向かってやや長めの毛があります。この目元のフォルムが、愛嬌たっぷりでありつつも鋭い印象を醸し出している理由です。また、鼻の周りの毛は、通常の柴犬と同じく白いものが多く、小さくて黒色をしています。

 

柴犬の耳はとても特徴的で、三角形の形をしています。耳の先は、少しとがっていて、中程度の大きさです。黒柴の場合、耳の内側にも黒い毛があることが多くあります。


柴犬にある黒以外の毛色

柴犬には、赤、黒、赤褐色、黒褐色など、さまざまな毛色があります。それぞれの毛色について詳しく説明します。

 

  • 赤茶・・・赤茶は、柴犬の代表的な毛色のひとつで、濃い茶色から淡い赤褐色まで、さまざまな色合いがあります。柴犬の中でも最もポピュラーな毛色で、日本の伝統的な犬種としても知られています。
  • 赤褐色(あかがねいろ)・・・赤褐色は、茶色と赤の中間の色合いで、深みがあるものから淡いものまでさまざまなバリエーションがあります。赤毛と同様に柴犬の代表的な毛色のひとつで、美しい毛並みが特徴です。
  • 黒褐色(くろがねいろ)・・・黒褐色は、黒と茶色の中間の色合いで、黒毛と赤褐色の中間の色といえます。黒毛や赤褐色と比べると珍しい毛色ですが、美しい毛並みが特徴です。


ただし、柴犬にはこれら以外にも、白斑が入ったものや、希少なブリンドル(虎毛)の毛色のものもいます。

黒柴の性格を知ろう

黒柴の性格を知ろう

実際に黒柴を迎えるにあたって、どんな性格をしているのか気になる方も多いでしょう。黒柴の主な性格の特徴を5つ挙げますので、自身との相性を判断してみてください。

 

愛情深く飼い主に忠実

飼い主に対して忠実で、遊んでもらったり、お腹を撫でてもらったりすることが大好きです。また、家族の一員として扱われることを喜び、常に飼い主の近くにいることを好む傾向があります。

 

自信にあふれた立ち振る舞い

柴犬は、小柄でありながら勇敢で警戒心が強く、飼い主以外には近寄ろうとしません。また自立心が強く、しっかりと自分の意思を持って行動できます。自分よりも大きいものにも堂々としており、その姿はまさに自信に満ちあふれています。

 

好奇心が旺盛

色んなことに興味を持つ柴犬は、とても好奇心が旺盛です。そのため、環境の変化や新しいことを経験したりすることが好きです。例えば散歩中に他の犬や人、物などに出会った場合、黒柴は匂いを嗅いだり、噛んだりすることがあります。

 

学習能力が高い

黒柴は賢い動物です。新しいことを覚えるのが早く、協調性も高いため、簡単なトレーニングを行うのに適しています。また、ご褒美として遊んでもらったり食べ物をもらえたりすることが好きなので、ご褒美を与えながら適切な行動をするようにトレーニングすることができます。

 

運動が大好き

黒柴は、活発で運動が大好きで、長時間の散歩も苦ではありません。陽気で愛らしい性格で、元気いっぱいに遊び回ることが好きです。

黒柴を迎える方法と価格相場は?

黒柴を迎える方法と価格相場は?

ここでは黒柴を実際に家族として迎える方法と、その価格相場について紹介していきます。


ブリーダーから直接購入

黒柴を迎える方法のひとつとして、ブリーダーから直接購入する方法があります。ブリーダーから購入するメリットは、親犬の情報が詳しく分かることです。実際に迎える前に、黒柴と会わせてもらえることがあるのもメリットでしょう。黒柴はあまり出回っていないこともあり、平均価格は24万円になります。

 

ペットショップで購入

黒柴を迎える方法2つめは、もっとも一般的なペットショップでの購入です。平均価格は21万円ですが、性別や年齢などによって大きく異なります。柴犬自体が人気の犬種のため、ペットショップで出会って購入を検討しているうちに、他の人の手に渡っている可能性もあるでしょう。

 

里親になる

黒柴を迎える方法には、保護犬の里親になるという方法もあります。柴犬の保護犬はとても多いので、相性のいい黒柴に出会う可能性が高いです。ただし、気をつけたいのは黒柴の性格です。ある程度成長した後は警戒心が強く、なかなか人に懐きにくいため、犬を飼うことに慣れた人向きといえます。また、里親になる際は、事前に性格や特徴を聞いておくことが重要です。まずはトライアルを受けて、慎重に判断するのがおすすめです。

注意したい!黒柴がかかりやすい病気

注意したい!黒柴がかかりやすい病気

黒柴にはかかりやすい病気がいくつかあります。普段からコミュニケーションを図り、病気の早期発見に努めましょう。

 

アレルギー性皮膚炎

アレルギー性皮膚炎とは、犬がかゆがって皮膚をかきむしってしまって皮膚が傷ついた結果、炎症を引き起こす病気です。きっかけは食物やカビ、草木花粉などの刺激で、皮膚が過剰に反応した結果アレルギー症状を起こします。アレルギーの有無は犬によるので、かゆがる様子を頻繁に見せた場合は獣医師に相談してください。

 

アトピー性皮膚炎

アレルギー性皮膚炎の一種で、遺伝的な要因が強い慢性の皮膚疾患です。主にダニをきっかけに発症し、食物アレルギーと併発することが多い傾向にあります。症状は、かゆみや皮膚の発疹、紅斑、赤み、湿疹、皮膚の厚み、毛の抜け落ち、皮膚の乾燥や脱毛などです。また、耳にかゆみがあることも多く、症状が重くなると、膿が出たり、皮膚感染症になるため早めに獣医師に相談してください。

 

外耳炎

外耳炎は犬にとって比較的一般的な病気のひとつで、耳の中の外耳道が炎症を起こします。黒柴の外耳炎は、主に耳の中に湿気がたまり、細菌や酵母が繁殖することが原因となって発生することが多いです。また、アレルギー反応によっても引き起こされることがあります。

外耳炎の初期症状は、耳のかゆみや耳をかくことが多く、進行すると耳の中が赤く腫れ、異臭がするようになります。また、耳垢や耳の中に膿が溜まったり、耳の動きが鈍くなったりするので注意が必要です。

 

緑内障

緑内障は、眼球内の圧力が上昇し、視神経が損傷を受ける病気です。柴犬も緑内障にかかることがあります。

緑内障による初期症状は、目の充血、瞳孔の拡大、目の表面に発生する角膜浮腫、そして視力の低下です。緑内障が進行すると、視野が狭くなり、最終的には失明に至ることがあります。

柴犬において、緑内障は遺伝的な要因が関与すると考えられています。また、緑内障による失明を防止するために、犬の生活環境を改善することも重要です。

飼うのは難しい?黒柴と上手につきあうコツ

飼うのは難しい?黒柴と上手につきあうコツ

黒柴は警戒心が強い犬種ということから、飼うのが難しいと思われがちです。しかし、黒柴の性格や特徴を理解していれば、決して飼うのは難しくありません。

黒柴とうまくつきあうコツを紹介しますので、愛犬と向き合って徐々に慣れていきましょう。

 

早いうちからトイレのトレーニングを始める

早いうちからトイレのトレーニングを始めることで、柴犬が家の中でトイレをすることを防ぎ、清潔な環境を保つことができます。

トイレトレーニングのコツは、トイレに行きたくなる時間に誘導することです。黒柴は食事の後や寝たり遊んだりした後などに排泄することが多いので、愛犬のタイミングを把握して、その時間帯にトイレに連れて行きます。

万が一、誤った場所でトイレをした場合は、怒ったり罰を与えたりするのではなく、注意するだけで十分です。黒柴は、飼い主の態度や表情を敏感に察知するため、優しく注意するようにしましょう。


少しずつ警戒心を解く

黒柴は狩猟犬種をルーツに持つため、警戒心が強い傾向があります。黒柴の警戒心を解くには、少しずつ接していくことが重要です。まずは、柴犬に対して強制的に接触するのではなく、自ら接触したいと思うように誘導してください。おやつを使って呼び寄せたり、遊びに誘ったりすることが良いでしょう。

黒柴が多くの異なる人や犬と接することに慣れるよう、できるだけ早いうちから社会化を始めることが大切です。

 

こまめに散歩へ行く

活発で運動量が多い黒柴にとってこまめな散歩は、柴犬の健康維持にとても重要です。散歩は1日に少なくとも2回することが望ましく、1回の散歩の時間も30分以上は確保するようにしましょう。

黒柴にとっては新しい匂いのする場所や、自然に囲まれた場所が好ましい散歩コースです。柴犬の性格に合わせた散歩コースを選ぶことで、柴犬がリラックスでき、ストレスを軽減することができます。

 

直射日光にあまり当てない

黒は熱を溜めやすい色のため、黒柴はほかの被毛の柴犬に比べて、日光に弱い傾向にあります。そのため、特に夏の直射日光は、極力避けるようにしましょう。散歩の時間帯も朝早くや夕方に散歩をすることで、日差しが弱い時間帯に散歩できます。

室内にいるときも、クーラーを使ったり、扇風機を使ったりするのがおすすめです。また、窓際に置かれたハウスプラントなどが柴犬にとって有害な場合もあるため、室内の環境にも注意してください。

 

ブラッシングでスキンシップを取る

ブラッシングは、柴犬の被毛を清潔に保つだけでなく、スキンシップを取るためにも大切なコミュニケーションです。

黒柴の被毛は、密度が高く硬い毛が多いため、黒柴には硬いブラシが適しています。また、毛玉を取り除くために、コームを併用することも有効です。

ただしブラッシングは、柴犬にとってストレスになる場合があるため、楽しい時間にするよう心がけてください。柴犬と遊んだり、おやつを与えたりして、リラックスした状態にしてから始めましょう。

 

健康寿命を延ばせるよう体調をチェックする

黒柴の健康寿命を延ばすために、体調や行動の変化に気づくことが大切です。黒柴を含む柴犬全般は、ほかの犬種に比べ認知症にかかりやすいといわれているため、脳の活性化を図る遊びを取り入れるといいでしょう。もともと黒柴は学習能力が高い犬種なので、障害物を避けるゲームやおもちゃを使った問題解決など難易度の高い脳トレを取り入れるのがおすすめです。

まとめ

黒柴は警戒心が強いですが、飼い主にとても忠実です。その性質を理解していれば、黒柴を愛犬として迎えることは決して難しくありません。とても賢い犬種なので、トレーニングを積んでいけば飼い主と良好な関係が築けるでしょう。
黒柴にはかかりやすい病気がありますので、日頃からスキンシップを図って健康状態もしっかりチェックしてみてください。


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