犬にくるみを食べさせても大丈夫?注意点や健康効果、適量について解説【獣医師監修】

くるみは体内で作ることのできない必須脂肪酸を多く含み、高カロリーながら栄養価の高い食材として知られています。そんなくるみは、犬に与えてもよいのでしょうか? 今回は、犬にくるみ与えてもいいかどうか、含まれている成分や目安の量、与える際の注意点を、Animal Life Partner代表で獣医師の丸田香緒里先生監修のもと解説します。
くるみは体内で作ることのできない必須脂肪酸を多く含み、高カロリーながら栄養価の高い食材として知られています。そんなくるみは、犬に与えてもよいのでしょうか? 今回は、犬にくるみ与えてもいいかどうか、含まれている成分や目安の量、与える際の注意点を、Animal Life Partner代表で獣医師の丸田香緒里先生監修のもと解説します。
くるみは脂質と食物繊維が多く、犬にはあまりおすすめできる食材ではありません。ごく少量であれば与えても問題ないですが、無理にあげる必要はないでしょう。
くるみの殻は簡単に割ることができないほど固いため、犬には絶対に与えないようにしてください。万が一食べてしまうと、胃腸障害や腸閉塞などを引き起こす危険があります。
消化能力が不十分な子犬や、弱っているシニア犬にくるみは不向きです。脂質と食物繊維を多く含むため、うまく消化できず下痢などにつながる可能性があります。
くるみにはさまざまな成分が含まれています。ここでは、特徴的な成分である脂質と食物繊維について見ていきましょう。
くるみは、必須脂肪酸の一つでアレルギー抑制効果のあるα-リノレイン酸を多く含みます。必須脂肪酸は体内で生成することができないため食事から摂取しなければいけませんが、くるみ以外の食材にも含まれています。高カロリーなので、くるみから摂る必要はないでしょう。
くるみには不溶性食物繊維が多く含まれています。もともと、不溶性食物繊維には、水分を含むことでかさを増し、腸を刺激して便通をよくする働きがあります。しかし、犬は食物繊維の消化が得意ではありません。食べすぎると下痢や消化不良を起こす可能性もあるので注意してください。
脂質を多く含む食材なので、肥満の犬には与えないようにしましょう。また、アレルギーを引き起こす可能性が考えられるので、初めて食べさせる際は必ずごく少量から与えるようにしてください。無理に与えなければいけない食材ではないので、心配な場合は与えるのを控えて問題ありません。
犬がくるみを食べるとアレルギーを起こすことがあります。もしもの場合に備えて、どんな症状があるのか知っておきましょう。
くるみに含まれるタンパク質(食物抗原)などに対する過剰な免疫反応によって嘔吐を繰り返すことがあります。
嘔吐同様、くるみに対するアレルギー反応があると、下痢を繰り返すことがあります。
眼や口周り・肛門周囲・わきの下・背中・手足の先にかゆみを感じたり、皮膚炎を発症したりすることがあります。
アレルギーの症状が出るタイミングは、犬それぞれの体質によって異なるため、一概には言い切れません。1回目に食べてすぐ発症する場合もあれば、2回目に発症する場合もあるので、食べた後に異変がないかを観察することが重要です。
上記の嘔吐・下痢・かゆみのような症状が出たら、なるべく早めに動物病院へ行くようにしましょう。くるみを食べたことがわかっているのなら、必ずその旨と食べた量・時間などメモしておき、診察時に獣医師に伝えるようにしてください。
人間用に加工されたくるみには食塩が加えてあることが多いので、犬に与えないようにしましょう。無塩でローストしただけのものであれば、細かくカットして与えてもかまいません。
くるみは脂質を多く含むため、100gで670kcalと同量のドックフードの約2倍のカロリーがあります。犬の大きさにかかわらず、与える際はごく少量をトッピングで振りかける程度にとどめてください。食べすぎると肥満や膵炎の原因となる可能性があります。
くるみは無理に与える必要のない食材ですが、もし与える場合は以下のことに注意しましょう。
前述の通り、くるみは脂質が多く、カロリーが高い食材です。食べすぎると肥満につながるので、与える際は必ず少量にしてください。また、くるみに多く含まれる食物繊維の消化も、犬は得意ではありません。下痢や消化不良につながるので、与えすぎには注意が必要です。
くるみは硬く消化に悪い食材です。どうしても与えたい場合は細かくカットするようにしてください。
ナッツ類に発生するカビはアフラトキシンといわれる発がん性の毒素を発生させるので、他の食材より注意が必要です。表面にカビの生えていないか忘れずにチェックするようにしましょう。
くるみに限らず、人間用に味付けされたものには食塩が多く含まれます。犬には与えないようにしましょう。
最後に、くるみ以外のナッツを犬に与えてもよいかを見ていきましょう。
アーモンドとピーナッツは、くるみと同様、絶対に食べさせてはいけない食材ではありません。ただ、脂質を多く含むため、与える際は少量にとどめてください。のどや腸に詰まらないよう、細かくカットするのを忘れないようにしましょう。
マカダミアナッツは、犬が食べてアレルギー反応を起こしたとの報告があります(※1)。危険性が高いので、与えないようにしましょう。
カシューナッツ・ヘーゼルナッツ・ピスタチオは、犬に与えたデータがないことと脂質が多く含まれることから、与えない方がいいでしょう。
※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。
出典:(※1)Cristina Cortinovis and Francesca Caloni, Household Food Items Toxic to Dogs and Cats, Milan, Italy, 2016
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2016.00026/full
くるみは、犬にとって無理に食べさせる必要のない食材です。特に人間向きに加工されたくるみは、塩分が多いため注意が必要です。自分が食べているときに愛犬が口にしないよう注意して召し上がってください。
監修/丸田香緒里先生(獣医師)
Animal Life Partner代表。
往診専門動物病院アニマルライフパートナー院長。
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。
大学卒業後、6年間の横浜市内の動物病院勤務を経て、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partnerを設立。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
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