犬にコーヒーを与えるのはNG! カフェイン中毒の症状や誤飲したときの応急処置について解説【獣医師監修】

犬にコーヒーを与えるのはNG! カフェイン中毒の症状や誤飲したときの応急処置について解説【獣医師監修】

カフェインの過剰摂取につながるため、人間も飲み過ぎは良くないと言われているコーヒー。私たちより体の小さい犬には絶対に与えてはいけない飲み物ですので、誤飲することがないよう注意が必要です。今回は、コーヒーに含まれている成分や、カフェイン中毒になったときの症状、飲んでしまったときの対処法について、バーニー動物病院千林分院分院長で獣医師の堂山有里先生に解説していただきます。

監修/堂山有里先生(獣医師)

監修/堂山有里先生(獣医師)
バーニー動物病院千林分院分院長。日本獣医動物行動研究会、獣医皮膚科学会所属。ペット薬膳管理士、中医学アドバイザー。動物病院でペットの診療にあたる傍ら犬猫の手作りご飯教室や問題行動のカウンセリングを行いペットと人が幸せに暮らすお手伝いをしている。

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犬にコーヒーを飲ませるのはNG!

コーヒーには、犬にとって有害なカフェインが含まれるため、絶対に飲ませてはいけません。コーヒーそのものだけでなく、コーヒー関連の食べ物や飲み物も与えるのはNGです。ここでは、具体例をあげて解説します。

 

コーヒー豆

コーヒーの材料となるコーヒー豆も、もちろん犬にとっては有害です。

 

カフェラテ・カフェオレなど

犬にとって有害なカフェインが含まれるため、カフェラテやカフェオレも犬に飲ませてはいけません。また、牛乳などの乳製品は犬が好む匂いをしていますが、与えることは推奨されていません。体内でうまく分解することができないからです。

 

コーヒーを使用したお菓子(ゼリー・アイス・キャンディー・クッキー・ケーキなど)

基本的にコーヒーを使用したお菓子は犬に食べさせてはいけません。犬にとって有害なカフェインが含まれるからです。コーヒーゼリーやコーヒーアイスなどは犬が好きな乳製品の匂いがするので、間違って食べてしまわないように注意する必要があります。

 

カフェインレス・デカフェのコーヒーなら飲ませてもいい?

「カフェインレスやデカフェのコーヒーならカフェインが入っていない」と思われがちですが、実はこのような製品にもカフェインが0.1%程度含まれています。そのため、犬に与えるのは避けましょう。

コーヒーに含まれている成分は?

 

コーヒーに含まれている成分には以下のようなものがあります。

 

カフェイン

カフェインは、コーヒーやお茶の苦味のもとになる成分です。眠気を覚ましたり、熱を覚まし痛みをおさえたりする「アルカロイド」という化合物の仲間に分類されます。

 

カフェインには、交感神経を刺激したり、中枢神経を興奮させたりする作用があり、人において適量であれば覚醒・知覚・運動機能の向上などの効果があります。中毒量では嘔吐・頻呼吸・血圧上昇・興奮・けいれん・頻脈・不整脈・骨格筋の緊張・低カリウム血症などが生じます。

 

ポリフェノール

さまざまな植物に含まれる成分で、活性酸素から植物自身を守る抗酸化物質の一つです。分子内に、フェノール基と呼ばれる結晶を複数持つ植物成分の総称がポリフェノールです。

 

クロロゲン酸

クロロゲン酸はコーヒーの色や苦味、香りのもとになる成分で、ポリフェノールの一種です。コーヒーポリフェノールは焙煎する前のコーヒー豆に豊富に含まれています。

 

タンニン

種子に多く含まれる渋み成分のことで、カテキンが多数結合してできています。ポリフェノールの一種で色の安定化に作用し、赤ワインの渋みもタンニンが関係しています。

犬がコーヒーを飲んでカフェイン中毒になったときの症状は?

 

気を付けていても、油断したすきに犬がコーヒーを飲んでしまうことがあるかもしれません。愛犬がカフェイン中毒になったらどのような症状を発症する可能性があるのか知っておきましょう。

 

興奮

カフェインの中枢神経に対する作用により興奮が起こることがあります。ソワソワして落ち着かない、じっとしているのに息が荒いなどの症状が見られます。

 

不整脈

カフェインの心筋に対する興奮作用により、脈が乱れる不整脈が起こります。不整脈は見た目では分かりませんが、なんとなくしんどそうにしている、ぐったりしているときは注意が必要です。不整脈が重度になると最悪の場合、命の危険があります。

 

呼吸不全

カフェインの平滑筋弛緩作用により気管支筋が弛緩して、呼吸が苦しくなる可能性があります。苦しそうにハアハアと呼吸をしていたり、舌がチアノーゼを起こしていたり、ぐったりしている場合は呼吸不全を疑います。呼吸不全の状態になると最悪の場合、命の危険があります。

 

震え

カフェインの中枢神経に対する作用により、震えが起こる可能性があります。また、骨格筋に対する直接作用により筋肉が小刻みに震える「振戦」が起きることがあります。

 

けいれん

カフェインの中枢神経に対する作用によりけいれんが起こる可能性があります。けいれんを起こすと犬は意識が混濁し横倒しになった状態で手足を硬直させたり、バタバタと遊泳運動をしたりします。けいれんが長く続くと最悪の場合、命の危険があります。

 

頻脈

カフェインの心筋に対する興奮作用により、心拍数が増加します。心臓がバクバクと早く脈打つ状態です。

 

筋肉硬直

カフェインの中枢神経に対する興奮作用により、骨格筋の過緊張が起きることがあります。

 

不眠

カフェインの中枢神経興奮作用により、不眠が起きる可能性があります。

 

嘔吐

カフェインの中枢神経に対する作用により、頻回嘔吐が起きることがあります。

 

のどの渇き

カフェインの興奮作用や利尿作用の結果、のどが渇く可能性があります。

 

多尿

カフェインの利尿作用により、尿量が増える可能性があります。

 

尿失禁

カフェインの利尿作用によって尿量が増えたり、中枢性の興奮作用の結果、尿失禁をしたりするかもしれません。

 

不安

カフェインが直接不安を感じさせることはありませんが、体に対するさまざまな作用の結果、ドキドキしたり、ハアハアしたりして不安になるかもしれません。

 

下痢

タンニンの作用で胃腸障害が起きるため、下痢や嘔吐が見られる可能性があります。

カフェインの中毒症状が出るのは犬がコーヒーを飲んでからどれくらい?

 

犬がコーヒーを飲むと、飲んでから2~3時間以内に症状が出るといわれています。子犬や持病のある犬、シニア犬は症状が長引く可能性があります。

 

病院に連れて行くタイミングは?

コーヒーをなめた程度であれば少し様子を見ましょう。上記のような症状が見られたら、なるべく早く動物病院へ連れて行くようにしてください。ある程度まとまって摂取した場合は、症状がなくても早急に受診してください。

犬にとって危険なカフェインの摂取量は?

犬での明確な摂取量の基準はまだ作られていませんが、小児の基準を参考にすると体重1kgあたり20mgで頻回嘔吐などの症状が出現すると想定されます。これは、体重5kgの犬でインスタントコーヒーの粉2.5gに相当します。

 

 

致死量は体重1kgあたり140mgと言われており、40mgで循環器に影響が出始め、80mgで重篤な中毒症状を示すという報告(※1)もあります。

コーヒーやコーヒーを使用した食品に含まれているカフェインの量は?

 

ここからは、コーヒーやコーヒーを使用した食品にどれくらいのカフェインが含まれているのか、具体的に紹介します。

 

ドリップコーヒー

100ml中に約60mgのカフェインが含まれます。

 

インスタントコーヒー

1g中に対し、約40mgのカフェインが含まれます。標準的に作った(粉2g、お湯140ml使用)インスタントコーヒーの場合、100mg中に約60mgのカフェインが含まれます。

 

エスプレッソ

エスプレッソは100gあたり約212mgのカフェインを含みます。

 

お菓子類

コーヒー系のお菓子の場合、およそ次の量のカフェインが含まれていると言われています。

 

コーヒーゼリー 1gあたり約0.37mg
コーヒーキャンディー 1gあたり約0.63mg
コーヒーアイス 1gあたり約0.4mg

コーヒー以外にも注意が必要なカフェインが含まれている飲み物や食べ物は?

カフェインというとコーヒーを連想しがちですが、他にもカフェインが含まれている飲み物や食べ物があるので、こちらも犬に与えないよう注意しましょう。

 

お茶(紅茶・煎茶・玉露・ほうじ茶・玄米茶・抹茶・ジャスミン茶・烏龍茶など)

紅茶や緑茶などには100mlあたり0.01~0.03gのカフェインが含まれます。製品により幅はありますが、多いものではコーヒーの約半分のカフェイン量です。烏龍茶には0.01~0.02gのカフェインが含まれます。

 

ココア

純ココアには製品の0.2%、ミルクココアにも微量のカフェインが含まれます。また、ココアにはカフェイン類似物質であるテオブロミンも含まれます。こちらの物質も犬にとっては有毒なため、飲まないよう注意が必要です。

 

コーラ

コーラには100mlあたり0.01~0.02gのカフェインが含まれます。

 

エナジードリンク

エナジードリンクは一本(160~500ml)あたり0.014~0.18gのカフェインが含まれます。

犬がコーヒーを誤飲してしまったときの応急処置・対処法とは?

 

犬がコーヒーを誤飲してしまった場合の応急処置や対処法をご紹介します。

 

自宅では吐かせないようにする

自己流で犬に吐かせることは大変危険なので、自宅では吐かせないようにしてください。

 

誤飲がわかっても家でできる応急処置はありません。飲んだことが明らかな場合は、まず動物病院に連絡をしてください。症状が軽度であれば、自宅で様子を見ることになります。多量に摂取したことがわかっている、あるいはすでに中毒症状が出ている場合は、なるべく早急に受診する必要があります。事前に動物病院に電話連絡をしておくと対応がスムーズになるでしょう。

 

飲んだ時間・量や体調をメモしておく

動物病院に連絡する際、犬がコーヒーを飲んだ時間、量、誤飲したものの製品名などを伝えられると、状況が理解しやすくなります。来院の際には、飲んだものがわかるパッケージや写真を持参するとよいでしょう。また、飲んだ後に見られた体調の変化(フラフラしていた、嘔吐したなど)を動画や写真で記録しておくことも役に立ちます。

 

摂取してからあまり時間が経過していない場合は、催吐処置や胃洗浄、活性炭投与を行うことができます。2~3時間以上経過している場合は成分が吸収されてしまっているため、催吐処置や胃洗浄は効果が見込めません。その場合は症状の緩和を図る対症療法のみが行われます。対症療法としては静脈点滴や薬剤による不整脈の治療、降圧療法などがあります。

 

催吐処置の費用の目安は1万円程度。胃洗浄や活性炭投与が行われると2~3万円程度。静脈点滴などが必要となると、重症度に応じて3~10万円程度かかる場合があります。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

 

(出典)

※1 Natália Kovalkovičová, Irena Šutiaková, Juraj Pistl, and Václav Šutiak, Some food toxic for pets, Slovak, 2009
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2984110/

専門家のコメント

コーヒーに含まれるカフェインの代謝は肝臓で行われ、代謝された産物が腎臓から尿として排出されます。肝臓が未発達な子犬や、肝臓や腎臓の弱っている犬やシニア犬は、特に排出が遅くなり、有害作用が強く出たり長く続いたりするため注意が必要です。くれぐれも愛犬には飲ませないようにしましょう。


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