犬にお茶を飲ませても大丈夫? 種類ごとのOK・NG例と応急処置について解説【獣医師監修】

犬にお茶を飲ませても大丈夫? 種類ごとのOK・NG例と応急処置について解説【獣医師監修】

堂山有里(獣医師)

堂山有里(獣医師)

バーニー動物病院千林分院分院長。ペット薬膳管理士、中医学アドバイザー。動物病院でペットの診療にあたる傍ら犬猫の手作りご飯教室や問題行動のカウンセリングを行う。

私たちが日常的に飲んでいるお茶。リラックスでき、健康への効果も期待できますが、犬に与える際はカフェインが含まれているかどうかを確認する必要があります。この記事では、犬に与えてはいけないお茶の種類や、カフェイン中毒になったときの症状、飲んでしまったときの対処法について、バーニー動物病院 千林分院分院長で獣医師の堂山有里先生に解説していただきます。

目次

  • ・ 犬にお茶を飲ませても大丈夫?
  • ・ 子犬やシニア犬にお茶を飲ませても大丈夫?
  • ・ お茶に含まれている成分は?
  • ・ 犬がカフェイン中毒になったときの症状は?
  • ・ 犬にとって危険なカフェインの摂取量は?
  • ・ 犬にお茶を加工した食品を与えても大丈夫?
  • ・ 犬がお茶を誤飲してしまったときの応急処置・対処法とは?
  • ・ 犬にお茶を与える際の注意点とは?

犬にお茶を飲ませても大丈夫?

お茶にはさまざまな健康効果がありますが、特定のお茶に含まれるカフェインは犬にとって害になります。犬に飲ませる場合は、カフェインが入っていないものを選びましょう。


犬に飲ませてはいけないカフェインが含まれているお茶の種類

まずは、犬に飲ませてはいけないお茶の種類を見ていきましょう。

 

煎茶

日本人に馴染みの深い緑茶には、カフェインが含まれています。種類にもよりますが、なかでも煎茶に含まれているカフェインの量は、100gあたり約20mgと言われています。

ほうじ茶

煎茶や番茶などを茶葉がキツネ色になるまで炒って(ほうじて)香ばしさを引き出したお茶がほうじ茶です。ほうじ茶には、100gあたり約20mgのカフェインが含まれると言われています。

 

玄米茶

玄米を炒って番茶や煎茶に加えたものが玄米茶です。米が加えられているため、茶葉の使用量自体は少なく、カフェイン含有量も他のお茶に比べて低いと言われています。玄米茶には、100gあたり約10mgのカフェインが含まれています。

 

抹茶

茶道やお菓子の原料として親しまれている抹茶は、碾茶(てんちゃ)を石うすなどで挽いて作られます。抹茶には、100gあたり約30mgのカフェインが含まれています。

 

ジャスミン茶

緑茶の一種の釜炒り茶に、ジャスミンの花の香り付けをしたのがジャスミン茶。芳醇な香りが人気のお茶です。商品により差がありますが、ジャスミン茶には100gあたり約8mgのカフェインが含まれています。

 

烏龍茶

かつて中国の皇帝にも献上されていたと言われるウーロン茶は、独特の風味を楽しめるお茶です。ウーロン茶に含まれているカフェインの量は、100gあたり約20mgです。

 

紅茶

世界20数か国で生産されている紅茶。原料は緑茶と同じ茶葉ですが、酸化酵素を使って長時間発酵させて作るのが特徴です。紅茶には、100gあたり約30mgのカフェインが含まれています。

 

 

犬が飲んでも大丈夫なカフェインが含まれていないお茶の種類

次に、犬に飲ませても大丈夫なお茶を見ていきましょう。

 

麦茶

麦茶はミネラルが豊富で、血流改善作用があります。麦茶の成分アルキルビラジンには血液をサラサラにする効果があり、カテコールなどのポリフェノール類には抗酸化作用があります。薬膳では、麦茶は体を穏やかに冷やす効果があると言われています。


ハト麦茶

ハトムギは漢方薬として知られている「ヨクイニン」の原材料で、余分な水分を排出し胃や腸の不調を緩和させる作用があります。また、新陳代謝を活発にし、肌を整える効果もあります。イネ科の植物であるため、イネにアレルギーがある場合は注意が必要です。

 

そば茶

そば茶に含まれるルチンは、毛細血管強化作用によって血圧を下げ、動脈硬化を予防します。また、血流を改善し、体の血のめぐりをよくする効果もあります。そばアレルギーがある場合は、飲むことでアレルギー反応が引き起こされるので注意が必要です。

 

タンポポ茶

タンポポから作られるお茶です。タンポポ茶には、抗酸化作用、利尿作用、ホルモンの調整作用などがあります。

 

黒豆茶

黒豆茶は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンを豊富に含み、抗酸化作用や血圧のコントロール・血流の改善などの効果があるので、高齢動物に飲ませるのに適しています。飲みやすくするため、カフェインを含む他のお茶とブレンドされている可能性あるので注意が必要です。

 

ルイボスティー

ルイボスティーは南アフリカ原産のお茶で、強力な抗酸化作用と豊富なミネラルが特徴です。糖尿病などの生活習慣病の予防、美肌効果などが期待できます。

 

ミントティー

ミントティーには、ミントポリフェノールによる抗酸化作用、ミントに含まれる香り成分によるリラックス効果があります。また、メントールは鼻の通りを良くしたり、胃もたれを解消したりするのにも期待できます。薬膳では、ミントは体の熱を覚ます作用、咳をおさえ喉の腫れを和らげる作用があると言われています。

 

コーン茶

コーン茶は、とうもろこしの実を焙煎して作ったお茶で、香ばしい風味で飲みやすいという特徴があります。ビタミンEによる抗酸化作用や、カリウム・ナトリウムによる利尿作用、食物繊維による排便促進効果などがあり、特にとうもろこしのひげは漢方の生薬として用いられるほど薬効が強いです。とうもろこしアレルギーがある場合は飲むことでアレルギー反応が引き起こされるので注意が必要です。

 

ブレンドティーには要注意!

いろいろな茶葉を混ぜ合わせたブレンドティーは、中にカフェインの入っている茶葉が混ざっている可能性があります。「完全に安心」と断言できるものではない限り、犬に与えるのはやめておきましょう。

子犬やシニア犬にお茶を飲ませても大丈夫?

カフェインを含まないお茶であれば基本的には飲ませて大丈夫です。ただ、子犬やシニア犬は胃腸機能や代謝機能が弱いので、まずは少しずつ与えて様子を見てください。そのまま与えるのではなく、水で薄めて与えるようにしましょう。

お茶に含まれている成分は?

 

お茶に主に含まれている成分はカフェインとタンニンです。犬にどういった影響をおよぼすのか見ていきましょう。

 

カフェイン

お茶の苦味のもとになる成分です。カフェインは、交感神経を刺激したり、中枢神経を興奮させたりし、大脳に作用して覚醒、知覚、運動機能を向上させるなどの効果があります。中毒量では嘔吐・頻呼吸・興奮・痙攣・頻脈・不整脈・骨格筋の緊張・低カリウム血症などが生じます。

 

タンニン

種子に多く含まれる渋み成分のことで、カテキンが多数合わさってできています。赤ワインの渋みにも関係しているポリフェノールの一種なので、お茶の色を安定させます。

犬がカフェイン中毒になったときの症状は?

 

犬にカフェインはよくないと言われていますが、具体的に飲むとどのような症状があるのでしょうか。ここでは、犬がカフェイン中毒となった場合の症状をご紹介します。

 

興奮

カフェインの中枢神経に対する作用により興奮が起こることがあります。ソワソワして落ち着かない、じっとしているのに息が荒いなどの症状が見られます。

 

不整脈

カフェインの心筋に対する興奮作用によって脈が乱れる不整脈が起こります。不整脈は見た目では分かりませんが、なんとなくしんどそうにしている、ぐったりしているときは注意が必要です。不整脈が重度になると、最悪の場合は命の危険があります。

 

呼吸不全

カフェインの平滑筋弛緩作用により気管支筋が弛緩して、呼吸が苦しくなる可能性があります。苦しそうにハアハアと呼吸をしていたり、舌がチアノーゼを起こしていたり、ぐったりしている場合は呼吸不全を疑います。呼吸不全の状態になると最悪の場合、命の危険があります。

 

震え

カフェインの中枢神経に対する作用により、震えが起こる可能性があります。また、骨格筋に対する直接作用により筋肉が小刻みに震える「振戦」が起きることがあります。

 

けいれん

カフェインの中枢神経に対する作用により、けいれんが起こる可能性があります。けいれんを起こすと、意識が混濁し横倒しになった状態で手足を硬直させたり、バタバタと遊泳運動をしたりします。けいれんが長く続くと最悪の場合、命の危険があります。

 

頻脈

カフェインの心筋に対する興奮作用により、心拍数が増加します。心臓がバクバクと早く脈打つ状態です。

 

筋肉硬直

カフェインの中枢神経に対する興奮作用により、骨格筋の過緊張が起きることがあります。

 

不眠

カフェインの中枢神経興奮作用により、不眠が起きる可能性があります。

 

嘔吐

カフェインの中枢神経に対する作用により、頻回嘔吐が起きることがあります。

 

のどの渇き

カフェインの興奮作用や利尿作用の結果、のどが渇く可能性があります。

 

多尿

カフェインの利尿作用により、尿量が増える可能性があります。

 

尿失禁

カフェインの利尿作用によって尿量が増えたり、中枢性の興奮作用の結果、尿失禁をしたりするかもしれません。

 

不安

カフェインが直接不安を感じさせることはありませんが、体に対するさまざまな作用の結果、ドキドキしたり、ハアハアしたりして不安になるかもしれません。

 

下痢

タンニンの作用で胃腸障害が起きるため、下痢や嘔吐が見られる可能性があります。

 

動物病院に連れて行くタイミング

犬がハアハアと荒い呼吸をする、ふらふらする、ぐったりして動かないなど、いつもと違う様子が見られたら早急に病院を受診しましょう。

犬にとって危険なカフェインの摂取量は?

 

犬にとってのカフェインの致死量は一般的に140mg/kgで、40mgで循環器に影響が出始め、80mgで重篤な中毒症状を示すという報告(※1)もあります。ただ、犬は体格差が大きく、個々の代謝能力や解毒能力も異なるため、一概にこの通りではありません。あげないに越したことはないでしょう。

犬にお茶を加工した食品を与えても大丈夫?

紅茶クッキーや抹茶入りのスナックなど、お茶を加工した食品はたくさんありますが、紅茶や抹茶にはカフェインが含まれているため、加工食品も食べさせない方がよいでしょう。

 

カフェインが入っていない加工食品ならば多少は問題ないですが、人間向けの商品の場合は糖分や油分の取りすぎなどにつながる可能性があるため、注意が必要です。

犬がお茶を誤飲してしまったときの応急処置・対処法とは?

 

気を付けていても、犬がお茶を誤飲してしまうことはあります。万一犬がお茶を誤飲してしまった時に知っておきたい対処法をご紹介します。

 

自宅で吐かせないようにする

ご家庭で吐かせることは非常に危険ですので、絶対に行わないでください。自己流の処置は事故の元になります。

 

仮にカフェイン入りの飲料を飲んだことが明らかでも、家でできる応急処置はありません。まずは動物病院に連絡し、その後の指示をあおいでください。

 

飲んだ時間・量や体調をメモしておく

お茶の種類や、口にしたものが茶葉なのか浸出液なのか、どのくらいの量を何時に飲んだのかを整理して記録します。来院の際には飲んだものがわかるパッケージや写真、上記のメモを持参するとよいでしょう。

 

犬の様子を観察する

カフェインを含有するお茶を大量に飲んでいる場合は、中毒の可能性があるので犬の様子をよく観察してください。いつもと違う様子が見られないか、呼吸や歩行に異常はないか、下痢嘔吐がないかなどを確認しましょう。体調の変化がある場合は、その様子を動画や写真で記録しておくと役に立ちます。

 

いつもと違う様子があればまずは動物病院に電話して状況を説明してください。中毒症状であると判断されれば早急に受診するよう促されるので、指示通りに受診しましょう。

犬にお茶を与える際の注意点とは?

 

カフェインの入っていないお茶であれば、犬も飲むことができます。最後に、犬にお茶を与える際の注意点を確認しておきましょう。

 

少量を与える

犬に初めてお茶を与える際は、スプーンの半分程度の量から始め、飲んだ時の様子をよく観察してください。

 

薄めに煮出す

犬は味覚も嗅覚も敏感です。人間用のお茶を倍以上に薄め、飲んだ時に薄いなと感じるくらいにしてから与えましょう。煮出した後は、必ず冷ましてください。

 

飲ませすぎに注意

犬の適正な水分摂取量は、1日で体重1kgあたり50100mlといわれています。この範囲内であれば毎日飲んでも差し支えないですが、飲ませすぎに注意してください。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

 

(出典)

※1 Natália Kovalkovičová, Irena Šutiaková, Juraj Pistl, and Václav Šutiak, Some food toxic for pets, Slovak, 2009
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2984110/

専門家の コメント:

私たち人間がたしなむお茶は、ノンカフェインであれば犬も飲むことができます。与える際は味を薄めにし、冷ましてからあげましょう。ちょっとしたティータイムを愛犬と楽しむことができますよ。

監修/堂山有里先生(獣医師)

監修/堂山有里先生(獣医師)
バーニー動物病院千林分院分院長。日本獣医動物行動研究会、獣医皮膚科学会所属。ペット薬膳管理士、中医学アドバイザー。動物病院でペットの診療にあたる傍ら犬猫の手作りご飯教室や問題行動のカウンセリングを行いペットと人が幸せに暮らすお手伝いをしている。

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