犬に氷を与える際の正しい方法は?注意点や、暑さ対策になるのかを解説【獣医師監修】

犬に氷を与える際の正しい方法は?注意点や、暑さ対策になるのかを解説【獣医師監修】

暑い季節になると、冷たい氷で体を冷やして涼みたくなりますよね。犬も同じで、氷で口の中をひんやりと冷やせば、夏の暑さも少しは和らぐかもしれません。しかし、そもそも氷は犬に気軽に与えても大丈夫なのでしょうか? 今回は、バーニー動物病院 千林分院の獣医師・堂山有里先生に教えていただいた、犬に氷を与える際に注意すべき点や、正しい与え方などについて解説していきます。

犬に氷を与えても大丈夫?

犬に氷を与える際の正しい方法は?_氷

犬に氷を与えること自体は特に問題ありません。与えると喜んで食べる犬のほうが多いですが、氷に興味を示さない犬もいますので、好き嫌いは犬によって分かれるようです。

 

犬はもともと体温調節が苦手な生き物です。皮膚に汗腺がなく、汗をかいて体温調節をすることができない上、全身を覆う被毛が保温の役目を果たすことで、体温が高くなりやすい傾向があるからです。そのため、犬は体温が高くなったときに、舌を出してハァハァと激しく呼吸することで、体内の熱を外に逃がそうとします。しかし、これはあまり効率の良い方法ではありません。そこで、氷を食べて舌を冷やすとひんやりとして気持ちがよくなるだけでなく、水分補給もできます。また、氷が好きな犬にとっては、ガリガリと硬い氷を噛むことがストレス発散にもつながるでしょう。

子犬や老犬(シニア犬)に氷を与えても大丈夫?

子犬や老犬に氷を与えても問題ありませんが、与え方には注意が必要です。子犬は初めて見たものはまず口に含んで味や硬さ、匂いなどを確認する習性がありますが、飲み下す機能が発達していないため、喉に詰まらせてしまう危険性があります。また、胃腸機能がまだ未発達なので、冷たいものを食べてお腹を壊してしまうこともあります。

 

老犬もやはり胃腸機能が弱っていることが多いため、氷を与える時はお腹を壊さないよう、少量ずつ様子を見ながら加減していくことが必要です。また、老犬は歯周病によって歯が脆くなっていることがあるので、硬い氷を噛むことで歯が欠けたり抜けたりすることも考えられます。

 

子犬や老犬に氷を与えるのは控えたほうが安心ですが、どうしても与えたいときは、氷を細かく砕いた上で、少量ずつ食べさせるようにしてください。そして、氷を食べている時には目を離さないようにしましょう。

持病のある犬に氷を与えても大丈夫?

子犬や老犬の場合と同じように、胃腸機能が弱い体質の犬は、お腹が冷えることで下痢や嘔吐を引き起こしてしまうこともあるので、氷を与えることはおすすめできません。そのほか、重度の歯周病を患っている犬も、歯が欠けたり、抜けたりする心配があるので、控えたほうが安心です。

犬に氷を与えると熱中症対策になる?

犬に氷を与える際の正しい方法は?_ぐったりする犬

熱中症を予防するためには、暑さを避けてこまめに水分を摂らせることが大切です。氷を与えれば多少なりとも水分を摂取することができ、口の中がひんやりと冷やされることで気持ちが良くなる効果があります。直接、氷を食べさせるという方法以外にも、たとえば、水を入れたペットボトルやジップロックを凍らせて簡易的な冷却グッズを作ることがおすすめです。犬は暑いときに冷たいものに体をくっつけて涼むことがありますが、冷却グッズでその代わりの役目を果たすことができます。袋に詰めた氷を首元など太い血管がある場所に当ててあげると良いでしょう。

 

しかし、もし犬が熱中症になってしまったら、その時点で氷を食べさせても症状改善にはあまり効果が期待できません。体温が40.5℃以上あり、ぐったりして元気がないなど熱中症が疑われる症状が見られたら、体全体を常温の水で濡らし、扇風機にあてて体温を下げるための処置をした上で、早急に動物病院を受診するようにしてください。

犬に氷を与える正しい方法は?

犬に氷を初めて食べさせる時は、氷を丸飲みしそうな様子がないかを注意して見ることが大切です。氷をガリガリ噛んで食感を楽しむ犬もいますが、氷をそのまま飲み込んでしまいそうな犬の場合は、喉に詰まらせることがないように氷を細かく砕いて与えるようにしましょう。

 

犬に与える氷の大きさ

氷の大きさは、丸飲みできないくらいか、飲み込んだとしても喉に詰まらないくらいの大きさが適切です。犬の体格によっても変わりますが、目安として体重5kgの犬では氷を1cm以下にすると考えてください。

 

犬に氷を与える際の適量

犬の胃腸状態の良し悪しや、室温、外気温などによって、氷を与える際の適量は変わります。明確な基準はありませんが、通常の製氷器で作るタイプの氷を例にとると、小型犬なら1~2個、中型犬なら2~3個、大型犬なら4~5個程度であれば、食べ過ぎにはなりません。個体差がありますので、氷を食べたあとに吐き戻しや下痢がないかをよく観察し、問題なく食べられる量がその犬の適量と考えましょう。ただ、氷が好きでよく食べる犬もいますので、与えすぎないように飼い主が注意することが必要です。子犬や老犬など胃腸機能が弱い犬の場合は特に、1度にたくさんの氷を与えることは避けましょう。

犬に氷を与える際の注意点は?

氷の与え方を誤ると、犬を危険な目に合わせてしまう可能性もあります。氷を与える時に飼い主が注意しなければいけないポイントとして、どのようなものが考えられるでしょうか?

 

体調不良

犬にとって氷は、暑さを和らげ、水分補給ができるというメリットがある反面、1度にたくさんの量を与えてしまうと、下痢や嘔吐などの体調不良を引き起こす恐れもあります。氷を食べると胃腸を冷やすことになるので、体調が悪いときには与えないようにしましょう。

 

舌に張り付く

冷凍庫から取り出した直後の氷はとても冷たく、食べたときに舌や口に張り付いてしまうことがあります。口の中を傷つけてしまわないように、水にくぐらせてから与えたほうが安心です。

 

丸呑みして喉に詰まらせる

犬によっては氷をそのまま丸飲みしてしまうことがあります。また、氷はツルツルとして滑りやすいので、口に含んでいるうちに間違って飲み込んでしまい、喉に詰まらせる可能性もあります。先にも触れたとおり、そのまま飲み込んでしまっても心配ないように、小さく砕いてから与えるようにしましょう。

氷を与えた方がいい犬はいる?

犬に氷を与える際の正しい方法は?_犬の暑さ対策

犬にとって氷は食べる必要のあるものではありませんが、以下のような犬には氷を与えるメリットがあります。

 

水を飲まない犬

犬の健康維持にとって水分補給は重要ですが、日常的に水を飲みたがらない犬には別の方法で水分を摂らせる必要があります。もし、愛犬が水ではなく氷を好んで食べるようであれば、水分補給の手段として氷を利用するのはひとつの方法といえます。

 

冷たいものが好きな犬

冷たいものが好きな犬は、氷も喜んで食べることも多いです。人と同じように、好きなものを食べることは犬の満足度を高め、ストレスの解消にもつながります。冷たいものを食べてお腹を壊してしまう体質でなければ、適量の氷をおやつ代わりに与えてあげてもよいでしょう。

 

暑がりの犬

暑がりの犬には涼をとらせる意味で、氷を与えるのは有効です。氷の冷却グッズを活用して体を冷やしてあげたりするのもよいでしょう。

犬に氷を与える際のおすすめの与え方は?

犬に氷を与える際の正しい方法は?_氷水


氷の与え方にはいろいろな工夫を加えることができます。その中でもおすすめの与え方をいくつかご紹介します。

 

水に浮かべる

慣れないうちは、氷を単体で与えるのではなく、水に浮かべて与える方法もあります。氷の過度の冷たさを嫌がる犬もいるので、まずは氷水の冷たさで問題がないかどうか様子を見てあげるとよいでしょう。

 

おやつがわりに与える

氷はもともとが水なので、とてもヘルシーなおやつにもなります。肥満傾向で食事のカロリーに気を遣う必要がある犬には、夏の時期であれば特に、おやつ代わりに氷を与えてあげてもよいでしょう。

 

かき氷のように細かく砕いて与える

のどに詰まらせるのを防ぐためにも、氷をかき氷のように細かく砕いて与えるのもおすすめです。ただし、形がある氷と比べて食べやすいため、1度にたくさん食べてしまわないように注意する必要があります。

犬にアイスをあげても大丈夫?

犬に氷を与える際の正しい方法は?_アイス

氷と同じく冷たいアイスも犬に与えることで、暑さ対策になるのではと思いがちですが、人間が食べるアイスには、糖分や乳脂肪分が多く含まれており、肥満の原因となるので犬には与えない方がよいでしょう。犬は乳糖を分解することができないので、乳製品を食べることでお腹を下してしまうこともあります。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

 

更新:2021年7月12日

初稿:2021年7月8日

専門家のコメント

犬にとって氷は特別に必要なものではありませんが、食べること自体に害はありません。氷好きな犬にとっては、嗜好品として与えることで、ストレス解消や食事の満足度を高めることにつながるといえるでしょう。また、暑さ対策や水分補給といった観点で考えると、氷を与えることには有効な面があるのも確かです。ただし、与え方を間違えると体を壊してしまうこともあるので、量や大きさには気を付けて正しく与えるようにしましょう。

監修/堂山有里先生(獣医師)

バーニー動物病院千林分院分院長。日本獣医動物行動研究会、獣医皮膚科学会所属。ペット薬膳管理士、中医学アドバイザー。動物病院でペットの診療にあたる傍ら犬猫の手作りご飯教室や問題行動のカウンセリングを行いペットと人が幸せに暮らすお手伝いをしている。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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