「果物の女王」とも呼ばれ、世界三大果実ともいわれているマンゴー。甘くておいしく、とても人気がある一方で、アレルギーを起こしやすい果物としても知られています。おいしい食べ物は愛犬とシェアしたくなってしまうものですが、犬がマンゴーを食べても問題はないのでしょうか? 犬にマンゴーを与える際の注意点や適量などについて、獣医師でAnimal Life Partnerの代表でもある丸田香緒里先生に解説していただきます。
犬にマンゴーを与えても大丈夫!
マンゴーは果物の中でもそれほど食物繊維や果糖の含有量が多くないため、安心して犬に与えることができます。年齢に関する制限なども特になく、子犬からシニア犬まで問題なく食べることができます。また、マンゴーは80%近くが水分でできているため、夏場に水分補給させたいときにも適した食材だといえるでしょう。
皮と種の誤飲には注意!
ただし、それは果肉だけの話。マンゴーの皮は消化に悪く、体調不良を引き起こしかねませんので決して与えないでください。さらに、マンゴーの中心には大きな種が存在しています。種を食べてしまうと最悪の場合、腸閉塞から腹膜炎になって死に繋がってしまったり、窒息から死に繋がってしまったりする可能性も。必ず皮と種は取り除いて、果肉だけを与えるようにしてください。
マンゴーにはどんな栄養素が含まれている?犬に与える影響は?
マンゴーに含まれている主な栄養素は以下の通りです。
βカロテン
抗酸化作用があり、体内でビタミンAに変化し、皮膚のターンオーバーなどを促します。免疫力を高め、皮膚や粘膜、目の健康に一役買ってくれます。
ビタミンC
抗酸化作用があり、免疫力を高める栄養素。アレルギーの原因となるものの働きを弱めたり、がん予防にも効果があったりするとされています。犬はビタミンCを体内で作ることができるので、人ほど積極的に摂取する必要はありませんが、ストレスや疲れがあるときは消費量が増えるため、食事で補ってあげるのがおすすめです。
葉酸
ビタミンB群に含まれる水溶性ビタミンで造血作用があり、貧血の症状改善と予防に繋がります。細胞のターンオーバーなどをサポートする役割も持っています。
ビタミンE
抗酸化作用がある栄養素。アンチエイジングの役割を果たし、老化が原因となって起こる病気などを防ぎます。
食物繊維
整腸作用がある栄養素。便秘や下痢などの予防をしたり、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える働きをしたりします。
マンゴーを食べるとアレルギーや中毒症状を起こす犬はいる?
犬にマンゴーを与える際の適量は?
マンゴーを犬に食べさせる場合、1日の摂取量の目安は以下の通りです。
【犬の1日のマンゴー摂取量の目安】
- 犬の体重3kgでマンゴー10g
- 犬の体重10kgでマンゴー30g
- 犬の体重20kgでマンゴー45g
約180gの小さめのマンゴーでも、1個あたりの可食部は約120gとされています。体重が20kg以上ある大型犬でも、3分の1以上は食べさせないようにしてください。
犬にマンゴーを与えるときのおすすめの方法は?
犬にマンゴーを使用した加工食品を与えても大丈夫?
マンゴーを使用した加工食品の代表例として、マンゴープリンやドライマンゴーなどがありますが、人用のマンゴープリンやドライマンゴーといった加工食品を犬に与えるのはおすすめできません。
まず、マンゴープリンは糖分過多で肥満を引き起こす可能性があります。人工甘味料や砂糖も犬の体によいとは言えません。そして、ドライマンゴーはマンゴーから水分が抜けていることで、食物繊維をはじめとした栄養素が凝縮されてしまい、腸の調子が悪くなったり下痢になったりしてしまうケースも考えられるのです。
犬にマンゴーを与えるときの注意点は?
犬にマンゴーを与える際は、皮に注意してください。マンゴーの皮は比較的薄いのですが、犬は草食動物ではないため、上手に消化できないのです。皮にはポリフェノールなどの栄養素が多く含まれているためもったいないと思われるかもしれませんが、綺麗に剥いてから与えるようにしましょう。
第2稿:2021年6月16日更新
初稿:2021年2月24日公開
※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。
専門家のコメント
年齢を問わず、犬はマンゴーを食べることができます。しかし、犬によってはアレルギー反応が出る可能性もあるため、与えるときは少しずつを心がけましょう。万が一、アレルギーを起こした場合は、すぐにかかりつけの病院で相談をしてください。また、マンゴーを与える際は、皮や種に注意が必要です。皮や種を食べてしまうとトラブルを引き起こしかねないため、必ず果肉だけを与えるようにしてくださいね。
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監修/丸田香緒里先生(獣医師)
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