犬はトマトを食べても大丈夫!危険な部位やアレルギーへの注意点、適量などについて解説【獣医師監修】

犬はトマトを食べても大丈夫!危険な部位やアレルギーへの注意点、適量などについて解説【獣医師監修】

ビタミン、カリウムなど多くの栄養素を含んでいるトマト。缶詰やトマトジュースなどの加工品の種類も多く、料理にも使いやすい食品ですが、犬に与えても良いのでしょうか? 今回はchicoどうぶつ診療所の獣医師林美彩先生にお伺いし、トマトが犬の健康維持に役立つのかを教えていただきました。加えて、栄養面でのメリットや注意点についても解説していきます。

そもそも犬にトマトは与えても大丈夫?

犬にトマトは与えても問題ありません。むしろ、トマト特有のリコピンやビタミンCなどの栄養素が豊富に含まれているので健康面でのメリットがあると言えます。

 

さらに、トマトの約90%は水分なので、愛犬の水分補給としても役立ちます。いつもの食事にプラスするだけで手軽に水分が摂取できるでしょう。

犬に与えるトマトは生と加熱、どちらの方がいい?

2つのトマト愛犬にトマトを与える際には加熱でも生でも問題ありません。ただし、加熱して与えたほうがメリットは大きいと言えます。

 

トマトに含まれるリコピンは油に溶けやすい性質があるため、油と一緒に加熱したほうが吸収がよいです。油と炒めたり、茹でてから油を加えたりなど加熱調理してから与えてみましょう。

 

また、刻んだトマトをオリーブオイルで炒めてからドッグフードにトッピングする方法もあります。

犬に与えてはいけないトマトの種類はある?

トマトにはさまざまな種類がありますが、与えてはいけない品種は特にありません。ただし、与え方には注意してください。

 

例えば、ミニトマトの場合、そのままの大きさだと丸呑みしてしまい、窒息の危険性があります。小さく刻んでから与えるのが安心でしょう。

 

また、トマトはほかの野菜に比べて糖分が多い分、カロリーが高くなります。肥満気味の犬やダイエット中の犬は摂取量に気をつけましょう。特にフルーツトマトは糖質が多いため、糖尿病を持つ犬には与えないでください。

子犬や老犬(シニア犬)にトマトを与えても大丈夫?

トマト畑にいる犬基本的に子犬やシニア犬にトマトを与えても問題ありませんが、一部注意が必要です。

 

子犬は消化器官が未発達なため、トマトがうまく消化できずに下痢嘔吐などの症状が見られる場合があります。高齢で消化能力が落ちてしまったシニア犬も同様に、量を加減しながら与えるとよいでしょう。トマトの皮や種は消化不良をおこしやすいので、取り除くなどの工夫が必要です。

トマトにはどのような栄養素が含まれているの?犬に与える影響は?

トマトは栄養価の高い食品として有名です。豊富なビタミンやリコピンが含まれていますので抗酸化作用が強く、アンチエイジングやデトックスに効果的だと言われています。

 

ここではトマトに含まれる栄養素について解説していきましょう。


リコピン

トマトに含まれる栄養素として代表的なものはリコピンです。リコピンは色素成分であるカロテノイドの一種で、トマトの赤色を生み出しています。緑黄色野菜やスイカなどの果物に多く含まれる栄養素です。

 

リコピンには強い抗酸化作用が期待され、体内の活性酸素を抑制する働きがあると言われています。活性酸素はウイルスや大気汚染物質、ストレスから身体を守るために発生しますが、過剰に生成されると病気や老化につながる恐れがある物質です。


β-カロテン

トマトは、リコピンと同じカロテン類としてβ-カロテンも豊富です。β-カロテンは優れた抗酸化作用を持ちますが、動物の体内でビタミンAに変わるプロビタミンAとしての働きも注目されています。

 

プロビタミンAは、目の網膜細胞や皮膚の保護作用がある成分です。ビタミンAの過剰摂取は中毒症状を起こす心配がありますが、β-カロテンの場合は不足分だけがビタミンAに変換されるため危険性は少ないと言われています。


ビタミンC

ビタミンCは水溶性のビタミンで、抗酸化作用のほかに免疫系の活性を促す働きがあります。また、皮膚や軟骨を構成するタンパク質であるコラーゲンの生成をサポートする栄養素です。

 

犬は人間と違い、自らの体内でビタミンCを合成できますが、生命維持に必要な栄養素なので食物からも摂取するメリットはあると言えるでしょう。なお、水溶性ビタミンは不要な分は尿として排出されるため過剰摂取の心配はありません。


カリウム

ミネラルの一種であるカリウムには、細胞の浸透圧を調整するうえでナトリウム(塩分)の排出をおこなう作用があります。塩分の摂り過ぎを防ぎ、血圧低下も期待できます。

 

カリウムも過剰摂取分は自然と排出されますが、腎臓の機能が衰えている犬は摂取を控えたほうが良いでしょう。愛犬が腎臓病や高カリウム血症を患っている場合は注意してくださいね。


13-oxo-ODA

トマトには不和脂肪酸の一種である13-oxo-ODAが含まれています。さまざまな生理活性作用がありますが、なかでも脂質代謝をサポートする作用に注目が集まっています。

 

最近の研究で、肥満および糖尿病のモデルマウスに13-oxo-ODAを投与したところ、高脂肪食を摂取しているにも関わらず血中の中性脂肪量の増加が抑制されることが分かりました。また、エネルギー代謝に関わる直腸の温度の上昇が見られたことから脂肪燃焼作用にも期待できると言われています。

犬にトマトを与える際の注意点

トマトに囲まれる犬

犬にトマトを与える際にはいくつか注意点があります。それぞれ解説していきます。


トマチン中毒に注意!

愛犬にトマトを与える際に気を付けるべきは、トマチン(アルカロイド配糖体)という成分です。トマチンは、ジャガイモの芽に含まれるソラニンと同様の有毒成分で、犬が摂取すると中毒症状を起こす可能性があります。

トマチンはトマトが虫から身を守るために作り出される成分と言われ、トマトの成長過程や部位によって含有量が異なります。トマチンが多く含まれない部分を与えれば問題ないので、まずはしっかり理解を深めましょう。

完熟したトマトを与える

愛犬に与える際は、必ず完熟したトマトを選びましょう。完熟前の青いトマトにはトマチンが多く含まれますが、成長の過程で減少していきます。未熟なトマトに比べ、完熟したトマトではトマチンの含有量が約1,000分の1にまで減るという測定値も発表されています。

ヘタや茎、葉、花は与えない

未熟、完熟に限らず、トマトのヘタ・葉・茎・花には多量のトマチンが含まれているので必ず取り除いてください。また、誤って食べてしまう可能性がある場所にはトマトを置かないようにしましょう。家庭菜園でトマトを育てているご家庭は、愛犬が口にしないよう気を付けてくださいね。


トマチン中毒が疑われる症状は?

完熟していないトマトや、トマトの葉や茎を大量に食べた場合に、赤血球破壊による貧血や血尿、下痢や嘔吐の症状が見られます。病院受診の際には、いつ、どのくらいの量のものを食べたのか、症状は食べてからどのくらい食べて起きたのかなどを伝えましょう。


食べすぎると下痢になることも

トマトは水分量が多いため、あげすぎると愛犬が下痢をしてしまう可能性があります。お腹が弱い犬は注意して、皮を剥いたり、みじん切りにしたりして与えるなど工夫してみてください。


まずは少量ずつ与えること

お腹を下したり、アレルギー反応を起こしたりする可能性を考慮し、初めて与える際は少量ずつあげましょう。体調が急変したときに備えて、動物病院が開いている日時に与えたほうが良いかもしれません。いつもと違う様子が見られた場合は、すぐに動物病院を受診してくださいね。

持病のある犬にトマトを与えても大丈夫?

トマトには愛犬の身体に良い作用をもたらす成分が多く含まれていますが、特定の症状を持つ犬にとっては注意が必要な場合があります。

 

ここでは気を付けるべき持病について説明していきましょう。


関節疾患

トマトはナスやピーマン、ジャガイモなどと同じナス科の植物です。いくつかの研究論文で、ナス科の植物を摂取すると関節痛が増強されるという研究結果が出ているため関節疾患を患っている犬は注意が必要です。

 

また、ナス科にアレルギーを持つ犬も気を付けてください。皮膚の痒みや赤み、下痢や嘔吐などの症状が見られた場合はすぐに動物病院を受診しましょう。


念のためアトピーのある犬も注意

スギやブタクサなどをアレルゲンとするアトピーがある犬は、トマトの摂取で交差性アレルギー反応を起こす場合があるので注意しましょう。

 

交差性アレルギー反応とはある種類のアレルギーを持つ場合、近い種類の物質にもアレルギー反応が出てしまう作用です。アトピー持ちの犬がトマトを食べても絶対に発症するわけではありませんが、アレルギー体質の犬は摂取を控えたほうが無難でしょう。


糖尿病や腫瘍

トマトは糖分が高めの食品のため、与える際は注意が必要です。とくに腫瘍のある犬や糖尿病の犬が食べた場合、病状が悪化する可能性があるため控えたほうが良いでしょう。

犬にトマトを与える際の適量、おすすめの与え方

トマトをおやつとして与える場合、1日の摂取カロリーの1割程度が理想とされています。犬の体格や犬種によって適正量は異なりますが、体重で計算しておくと安心でしょう。

 

超小型犬(体重4kg未満)ドッグフード給餌量の目安はおよそ55g100g5g10gを目安に与えましょう。

 

小型犬(体重10kg以下)ドッグフード給餌量は約75g150g。トマトは7g15gを目安に与えましょう。

 

大型犬(体重25kg以上)ドッグフード給餌量は360g780gほど。36g78gを目安に与えましょう。

 

健康に良いとされる食品も与え過ぎは禁物です。愛犬の様子を見ながら、給餌量は調整していきましょう。

犬にトマトを使った加工食品を与えても大丈夫?

トマトは加工食品が多いですが、塩などの調味料や添加物が加えられていないトマトジュース、トマトの缶詰であれば愛犬に与えても問題ありません。

 

ただし、トマトジュースの場合は濃縮された状態でもあるので、与えすぎると下痢をしてしまう可能性があります。特に超小型犬や小型犬は少量ずつ与えましょう。

 

加工品でとくに注意したいのはトマトケチャップやドライトマトです。ケチャップは犬が中毒を起こす玉ねぎや香辛料などが使われているため、絶対に与えないでくださいね。ドライトマトも塩分が多くカロリーオーバーになります。


第4稿:2021年8月20日更新
第3稿:2021年6月16日更新

第2稿:2021年2月15日更新
初稿:2020年12月14日公開

※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家のコメント

栄養価が高く犬の健康にとってもメリットのあるトマト。愛犬のために栄養たっぷりの食材を用意したいところですが、与える前に危険性を理解しておくことは非常に重要です。まずは愛犬の健康状態を把握したうえで、トマトの状態や適正量に注意しながら与えてみてください。

監修/林美彩先生(獣医師)


chicoどうぶつ診療所所長
酪農学園大学卒業
獣医保健ソーシャルワーク協会獣医ホリスティック医療研究会所属

 

大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を解説。テレビ番組への出演・協力のほか、「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)などの著書がある。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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