犬に唐辛子はNG!与えてはいけない理由や誤食した場合の対処法を解説【獣医師監修】

CaFelierペットクリニック院長。財団公益法人動物環境・福祉環境evaの評議員、一般財団法人犬猫生活福祉財団の評議員も務めている。

犬に唐辛子はNG!与えてはいけない理由や誤食した場合の対処法を解説【獣医師監修】

暑い時期になると、辛い食べ物を食べたくなる人も多いと思います。特に唐辛子を使った料理は食欲をかきたて、夏バテ予防にも効果的です。しかし、犬には刺激が強すぎる食材なので、うっかり食べてしまわないよう飼い主は十分注意する必要があります。この記事では、犬に唐辛子を与えてはいけない理由や誤食した場合の対処法などを、キャフェリエペットクリニックの獣医師である小林充子先生監修のもと、詳しく解説していきます。

犬に唐辛子を食べさせるのはNG!

唐辛子に含まれる辛味成分のカプサイシンは、犬にとって非常に刺激の強い物質のため、犬に与えるのはやめましょう。カプサイシンは粘膜を傷つけるため、誤って口にした場合、消化管への大きなダメージとなります。万が一犬が唐辛子を食べてしまった場合、多くの犬は口に入れた瞬間にその刺激に驚いて、すぐに吐き出そうとするはずです。その後もしばらく、よだれが止まらないなどの様子が見られるでしょう。

唐辛子に含まれている成分は?

犬に唐辛子はNG!_縛ってある唐辛子

唐辛子にはカプサイシン以外にもさまざまな成分が含まれています。それぞれの特徴や主な働きについて見ていきましょう。

 

カプサイシン

刺激成分のひとつです。適量を摂取した場合、人間の体には良い働きをもたらします。例えば、胃粘膜を保護し、胃潰瘍の発生を抑えてくれる働き。また、アドレナリンの分泌を促進し、エネルギー代謝を促進したり、発汗を促したりする働きもあります。

 

βカロテン

オレンジ色の脂溶性色素で、カロテノイドの1種です。体内でビタミンAに変換される性質があります。皮膚・粘膜を丈夫に保つほか、免疫力の強化や視力の維持などにも役立つでしょう。

 

ビタミンC

水溶性ビタミンのひとつです。体内でコラーゲンを作るのに欠かせない栄養素で、皮膚や粘膜の健康維持にとても重要な役割を果たします。抗酸化作用が強いのも特徴です。

 

ビタミンE

脂溶性ビタミンの1種です。強い抗酸化作用があり、体内の脂質の酸化を防いでくれる働きがあります。そのため、動脈硬化や血栓の予防、悪玉コレステロールの減少などにも役立つでしょう。

犬にとって危険な唐辛子の摂取量は?

唐辛子に含まれるカプサイシンは、犬の体に悪影響を及ぼします。そのため、どんなに少量でも絶対に与えてはいけません。愛犬が誤って口にしないように、十分気をつけましょう。

犬が唐辛子を食べてしまった時、どんな症状が出る?

犬に唐辛子はNG!_具合の悪い犬

犬が唐辛子を食べたり舐めたりした場合、主に以下のような症状が現れます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

嘔吐

過剰に摂取した場合、唐辛子を体に危険なものと判断します。摂取量によっては食道、胃の粘膜に急性炎症を起こすことで嘔吐する可能性もあるでしょう。

 

下痢

粘膜の細胞が刺激を受けた場合、その影響で便がゆるくなるでしょう。愛犬が下痢になった場合、他の中毒症状と同様、唐辛子が体から完全に排出されるまで下痢は止めないほうが良い場合もあります。

 

胃腸炎

胃粘膜の細胞が刺激されることで、胃液の分泌が促進されます。過剰に胃液が分泌されると、胃粘膜が傷つき炎症を起こすことも。

 

脱水症状

嘔吐や下痢を繰り返した場合、脱水症状が起きる恐れがあるため、十分注意してください。

 

食欲不振

辛味成分のカプサイシンは、口腔内や消化管内などの粘膜細胞を傷つけます。その結果、食欲不振が起きる可能性が高まるでしょう。

 

くしゃみ

カプサイシンの匂いを嗅いでしまった場合に、くしゃみや咳につながることがあります。また、唐辛子を誤って食べた際に、大きく息を吸うと、カプサイシンが気管や気管支に取り込まれ、くしゃみや咳を引き起こすことも。

 

目の充血

カプサイシンが目の粘膜に入ってしまった際、その刺激作用で充血が起こります。カプサイシンを排除するためにがたくさん出たり、充血するなどの症状が見られるでしょう。

 

よだれの量が増える

カプサイシンの刺激により、ダラダラとよだれが出て止まらなくなります。カプサイシンが完全に排出された後でも、粘膜が受けた刺激によってしばらくの間はよだれが止まらなくなることも。

犬が誤って唐辛子を食べてしまった時の応急処置・対処法は?

まず、応急処置として大切なのが、水分補給です。カプサイシンは水に溶けにくい一方で、油・アルコール・酢に溶けやすい性質を持っています。胃酸に溶け出してしまうと、胃の粘膜細胞を傷つけるリスクが高まるので、なるべく早く体外へ排出する処置が望ましいです。水をたくさん飲ませて、カプサイシンを胃から流すようにしましょう。

 

動物病院を受診するタイミングは?

唐辛子の摂取量が少量であれば様子を見ても良いですが、嘔吐・下痢・くしゃみ・咳・よだれが止まらないなどの症状が現れた場合は、念のため動物病院を受診してください。死に至る可能性は低いとは言え、カプサイシンは犬にとって刺激物質です。長時間に渡り、症状が続く場合も考えられますので、できるだけ早くカプサイシンを体外に出すことが重要です。

犬が誤って唐辛子を食べてしまわないための予防策は?

犬に唐辛子はNG!_ビンに入った唐辛子

愛犬が唐辛子を誤食してしまうのを防ぐためには、以下のような予防策を意識してみてください。

 

密閉できる容器に入れる

愛犬が唐辛子を簡単に食べることができないよう、唐辛子は蓋のついた容器に入れて保管しましょう。万が一落としても蓋が開かない、密閉できるタイプがおすすめです。

 

犬が届かないところで保管する

犬が飛び上がっても届かない場所に保管するのもひとつの手です。棚や引き出しの中などに収納しておくと、安心でしょう。

犬の食糞や噛み癖のしつけに唐辛子スプレーを使ってもいい?

市販されている唐辛子の辛味成分を使った、スプレーなどのしつけグッズを使用するのはおすすめできません。カプサイシンは刺激成分で、少量でも犬の体に悪影響を及ぼします。そのようなしつけグッズはかなり希釈してあるとはいえ、目に入ったり吸い込んだりしてしまうと大変危険です。

犬に与えてはいけない唐辛子以外の香辛料は?

唐辛子以外に、コショウ・わさび・からし・タバスコなどの香辛料も犬に与えてはいけません。基本的に、カプサイシンでなくても犬に刺激物を与えるのはNGです。そもそも、犬の感覚器は人間よりも非常に優れています。人間の感覚で刺激物を与えることは、犬にとっては百害あって一利なしです。万が一刺激の強い香辛料などを摂取した場合、いずれも記事内で説明したような症状が出てしまうため、与えないようにしましょう。

専門家のコメント

人間にはプラスの面もある唐辛子ですが、犬にとっては身体にダメージを与える危険な食べ物です。愛犬が誤って摂取してしまわないよう、飼い主は十分に気をつける必要があるでしょう。もし、愛犬が誤って摂取してしまった場合、まずは水分補給をし、刺激物質のカプサイシンをなるべく早く排出させる処置が有効です。それでも嘔吐や下痢などの症状が見られる時は、迷わず動物病院に連れて行くようにしてくださいね。

監修/小林充子先生(獣医師)

監修/小林充子先生(獣医師)
CaFelierペットクリニック院長。横浜国大経営学部を卒業後、いったん社会に出るも獣医師への道をあきめきれず、麻布大学獣医学部へ編入学。在学中は国立保険医療科学院(旧国立公衆衛生院)のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行なう。2010年に目黒区駒場でCaFelierペットクリニックを開業。日々診療にあたる傍ら、猫の保護活動にも力を入れており、財団公益法人 動物環境・福祉環境evaの評議員、一般財団法人 犬猫生活福祉財団の評議員も務めている。また、健康な体は日々の食事から、をモットーに、ドライフードの開発やカフェメニューなどの監修も行っている。

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