ポリッシュ・ローランド・シープドッグの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

ポリッシュ・ローランド・シープドッグの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種図鑑

2023年06月26日 更新 (2023年05月29日 公開)

博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。大学で教育研究活動の傍ら、動物病院でもしつけや問題行動のカウンセリングを行う

ポリッシュ・ローランド・シープドッグの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

ポリッシュ・ローランド・シープドッグの歴史やルーツ、英語名は?

犬種名 ポリッシュ・ローランド・シープドッグ
英語名 Polish Lowland Sheepdog
原産国 ポーランド
分類 中型犬
グループ 1G:牧羊犬・牧畜犬


ポリッシュ・ローランド・シープドッグ【英語:Polish Lowland Sheepdog】は、ポーランドが原産の中型犬です。 ジャパンケネルクラブの犬種分類では、家畜の群れを誘導・保護する「1G:牧羊犬・牧畜犬」に属します。

 

起源はフェニキア人の手によってポーランドに移入された牧羊犬たちで、ビアデッド・コリーの祖先犬のひとつといわれている古い犬種です。

 

第二次世界大戦後に絶滅の危機がありましたが、愛好家の手によって頭数を増やし、1960年代になるとポーランド以外のヨーロッパ各国や北米でも人気となっていきました。

ポリッシュ・ローランド・シープドッグのオスとメスの体高や体重は?

体高:オスは45~50cm、メスは42~47cm
体重:オス、メスともに14~16kg

 

ポリッシュ・ローランド・シープは中型犬に分類されます。

ポリッシュ・ローランド・シープドッグの平均寿命は?

ポリッシュ・ローランド・シープドッグの平均寿命は13年~14年とされています。『アニコム家庭動物白書2021』によると、中型犬の平均寿命は13.4歳となっています。

 

犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

 

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

ポリッシュ・ローランド・シープドッグの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?

ポリッシュ・ローランド・シープドッグの毛色や種類、被毛、外貌の特徴

ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、ポリッシュ・ローランド・シープドッグの毛色は、毛色は、白×黒、白×グレー、チョコレートなどさまざまあり、班が入っているものもあります。

 

少しウェーブした長い被毛が全身に密生しています。両眼を覆う長いむく毛が特徴的です。厚い被毛は、柔らかいアンダーコートとウェーブしたオーバーコートのダブルコートです。

 

四肢はまっすぐで筋肉質でがっしりとした体格です。尾が長い場合は、かつては断尾して短くしていましたが、近年では動物愛護の観点から残すようになってきています。顔は、黒くて大きな鼻と幅広に垂れた耳が特徴です。

ポリッシュ・ローランド・シープドッグはどんな性格、習性?

ポリッシュ・ローランド・シープドッグは落ち着いた気質で賢い犬種です。機敏で利口、知覚が鋭く生まれつき記憶力が良いといわれていて、牧羊犬として長い間発達してきたことから、きびきびと良く働きます。

 

非常に温和でやさしい性格で、全犬種の中でもトップクラスに温厚だといわれる気質です。家族に対して愛情深く、子どもたちともよく遊び、社交性があって他の犬とも仲良くできます。しかし用心深い面もあり、知らない人を警戒するため番犬にも向いています。

ポリッシュ・ローランド・シープドッグを迎える際にかかる費用は?

犬を飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる一般的な費用について説明します。

タイミング 内訳 費用の目安
迎えるとき

ペットショップ、ブリーダー

※ブリーダーによる
飼い始めるとき 畜犬登録料 約3,000円
生活用品(クレートやケージなど) 約5~7万円
1年に1回かかる費用 狂犬病予防接種費 約3,500円
混合ワクチン接種費 約5,000~10,000円
毎月かかる費用 消耗品(フードやおやつなど) 約5,000~10,000円

 

飼い始める際にかかる費用

ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、ペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。

 

また、常に子犬が産まれているとは限らないため、ポリッシュ・ローランド・シープドッグのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。


他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。

 

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。

 

母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。

 

子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

 

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。

 

犬を飼うための初期費用や毎月の支出についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
>犬を飼うのにかかる費用はどれくらい?初期費用や毎月の支出を解説【獣医師監修】

 

飼い続けるために必要な費用

犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。

 

体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なりますが、ポリッシュ・ローランド・シープドッグは中型犬でも大きく育つため、平均より高額になると考えておきましょう。

 

なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

 

犬を飼う際に生涯かかる費用についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
>迎える前に知っておこう!犬の一生にかかるお金はどれくらい?

 

犬を迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

 

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ポリッシュ・ローランド・シープドッグは多くの運動を必要とするため、ボール遊びやドッグランで自由に走り回れるようにするのがおすすめです。

 

犬の生体代を除く初期費用としては、一般的には5~7万円程度ですが、ポリッシュ・ローランド・シープドッグは体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より高くなる傾向にあります。

 

毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどですが、ポリッシュ・ローランド・シープドッグは体が大きく成長するので食事量は多く、トイレシーツも大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。

 

犬を飼うための初期費用や毎月の支出についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった時に、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。

 

装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

 

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、ポリッシュ・ローランド・シープドッグを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。

 

迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。


そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。

ポリッシュ・ローランド・シープドッグのしつけと社会化トレーニングのポイント

ポリッシュ・ローランド・シープドッグのしつけと社会化トレーニングのポイント

ポリッシュ・ローランド・シープは、とても利口で記憶力が良いといわれていて、トレーニングは容易です。


とはいえ、それなりの力もあるので、しっかりと飼い主が犬の興奮や力をコントロールできなくてはいけません。子犬の頃から毅然とした態度で一貫した訓練を行い、主従関係をきちんと維持することが大切です。

頭を使うことが好きなので、毎日の遊びの中でトレーニングをしていきましょう。

 

さらに、用心深い面があるので、子犬の頃からたくさんの人に会わせ、多くの経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。

 

また成犬になると長い被毛が密生するようになるため、こまめなブラッシングが欠かせなくなります。将来的にブラッシングがストレスにならないように、子犬の頃からブラシやコームに慣れさせておくようにしましょう。

 

犬の社会化についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
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ポリッシュ・ローランド・シープドッグに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?

ポリッシュ・ローランド・シープドッグに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊び

✓散歩:30分以上を1日2回
✓運動量:多い
✓おすすめの遊び:ボールやフライングディスク遊び

 

ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、牧羊犬の祖先を持つためとても活動的で運動が大好きです。運動不足でストレスが溜まらないよう、散歩は30分以上を1日2回が理想です。ジョギングを混ぜたりして、十分に運動をさせてあげましょう。


さらに月に数回は、ドッグランなど広い場所を思い切り走らせるような激しい運動が必要です。

ポリッシュ・ローランド・シープドッグを飼うのに向いている人は?

ポリッシュ・ローランド・シープドッグを飼うのに向いている人

✓子どものいる家庭でも大丈夫
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、攻撃性のない穏やかな気質なので、子どもとの相性は非常に良いです。小さなお子さまがいるご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。しかし体の大きな犬なので、しっかりトレーニングを行いましょう。

 

✓十分な運動をさせてあげられる人
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは牧羊犬の先祖を持つだけあってスタミナが豊富です。毎日の散歩や散歩の時間を長くとる他に、ハイキングといった一緒に運動を楽しめる体力と時間のある人に向いています。

 

✓毎日のお手入れができる人
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの長い被毛は、抜け毛が多く、毎日のブラッシングが必要です。ダブルコートの毛の間に小さな草や花などが絡まったままにならないよう、散歩から帰宅したら入念にお手入れをしましょう。

ポリッシュ・ローランド・がかかりやすい病気と予防法は?

ポリッシュ・ローランド・シープドッグがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

 

✓股関節形成不全
体の大きな犬にリスクの多い病気です。成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満などが誘発することがあるので、体重管理を心がけましょう。

 

✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや細菌性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。

 

✓甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が減少して起こる病気で、元気消失や、脱毛やフケが増える皮膚症状、ふらつきや発作などの神経症状などさまざまな症状が現れます。幅広い年齢で発症し、有用な予防法はありません。甲状腺ホルモンを補充する治療を行います。

 

そのほか、進行性網膜萎縮症 (PRA) や白内障などのいくつかの眼疾患、ニューロンのセロイドリポフスチン症、および動脈管開存症 (PDA) といった病気にも気をつけましょう。

 

かかりやすい病気や予防法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
>犬の耳が赤いのは外耳炎かも?原因や対処法、病院に行くタイミングについて解説【獣医師監修】
>【獣医師監修】犬の湿疹は膿皮症のサイン?初期症状や原因、皮膚炎との見分け方や対処法などについて解説

ポリッシュ・ローランド・シープドッグの日常のお手入れ

✓ブラッシング:毎日
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:1カ月に1回程度

 

長く密生した被毛は、毛玉や皮膚炎などのトラブルを起こしやすいので、皮膚を清潔に保つためにもブラッシングは毎日行います。コートは基本的にはトリミングは必要ありませんが、長く伸びすぎた場合はトリミングをしてもいいでしょう。


ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

 

歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床で滑りやすくなるためカットしてください。

 

犬のお手入れ方法についてはこちらの記事もおすすめ!
>実はとっても重要!犬に必要な“小さなパーツのお手入れ”方法を解説!〜顔・お尻・足〜

ポリッシュ・ローランド・シープドッグとの生活で注意すべきことは?

✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。

 

✓マメな皮膚のチェックをしよう!
皮膚トラブル(皮膚炎)はポリッシュ・ローランド・シープドッグのようにダブルコートなど、豊富な被毛を持つ犬種に多い病気です。ブラッシングやシャンプーなどのお手入れで皮膚を清潔に保って予防しましょう。

 

✓暑さに注意!
ポリッシュ・ローランド・シープドッグ含む毛の長い犬種は厚い被毛で熱がこもるため、夏の暑さで熱中症のリスクが高くなります。暑い日に呼吸が速くなり舌を出してよだれを垂らしたりしていたら、すぐに体温が下がるような環境に移動しましょう。