
今回、結果として素人の我々が勝利してしまった(煽り)のですが、訓練士さんと警察犬がめちゃくちゃすごいということはわかりました。きっと、パクくんが本気モードのままなら我々も敗北していたことでしょう。
最後に、しつけのプロである訓練士さんの目線から「わんちゃんと仲良くなる方法」「しつけ方」についてアドバイスをいただきたいと思います!
仲良くなる方法① わんちゃんに近づく時は斜めから
竹内:例えば、街中とかで初めて出会うわんちゃんと仲良くなる方法ありますか?

初対面のワンちゃんに近づく場合は、写真のように正面やや斜めから近づくようにしましょう。
稲留さん:生まれ育った環境や性格の違いなど個体差があるので、100%正しい方法というのはないのですが、例えばわんちゃんとの距離の取り方などは注意すると良いと思います。
いきなり正面から近づいて触ろうとするとわんちゃんもビックリしてしまうことがあります。実は犬の世界では正面から近づく行為は挑発と捉えられることが多いんです。喧嘩を売ってると思われないためにも、少し斜めからゆっくりと近づくなどの配慮があると良いですね。
竹内:なるほど。かわいいわんちゃんを見ると興奮して、つい、正面から行ってしまいがちですね。気をつけます。
稲留さん:あと、距離を詰めた時にわんちゃんが嫌がっていないか様子を見ることは大切です。人間慣れしているわんちゃんは向こうから近づいてきたり、しっぽを振ったりわかりやすい態度を示してくれることがほとんどです。
近くに飼い主さんがいたら、まず飼い主さんと話をしながら少しづつわんちゃんが状況に慣れるまで待つとか、拒否している感じがなくなるまで色々と試してみると良いと思います。
竹内:わんちゃんからのOKサインが出るまで、待った方が良いんですね。そりゃそうですよね。
仲良くなる方法② 目を合わせるのはNG!

なるべく目線を低くしてワンちゃんの胸のあたりを見るようにするとベター。
稲留さん:目線とかも、いきなり目と目を合わせたりはせずに胸の辺りを見るようにすると良いでしょう。わんちゃんに限らずほとんどの動物にとって、正面から目を合わせる行為は威嚇、攻撃行動として捉えられることが多いです。
竹内:慣れてきたら目を合わせても大丈夫ですか?
稲留さん:そうですね。信頼関係ができてくると、逆にアイコンタクトはわんちゃんとのとても重要なコミュニケーションの方法になりますので。
竹内:そういえば、パクくんも今日はずっと稲留さんのことを見つめていましたね。妬けちゃうぐらい。
仲良くなる方法③ 触る時は、下の方からゆっくりと

ワンちゃんの顔より下の位置からゆっくりと手を出して、首から胸のあたりを撫でるようにしましょう。
稲留さん:触っても大丈夫な感じになったとしても、いきなり正面から頭を撫でたり口元を触ったりはしない方が良いですね。下の方から手を伸ばして、胸のあたりを撫でてあげると良いかと思います。
あとは仲良くなるために飼い主さんの許可を得てからエサをあげてみるとか、色々と試してみることが大切ですね。飼い主さんを守るために警戒しているわんちゃんもいれば、飼い主さんと一緒だから安心して警戒を解いているわんちゃんもいます。なので、わんちゃんの状況によって対応を変えるということが大切です。
竹内:時間をかけて信頼関係を築くことが大切なんですね。基本的なことに注意をすれば、わんちゃんと仲良くなるのはそんなに難しいことではなさそうですね!
わんちゃんのしつけ方①行動ごとのメリット&デメリットを経験させる

竹内:わんちゃんのしつけについて、これをやればわんちゃんが言うことを聞いてくれるようになるとか、そういうテクニックはありますか?
稲留さん:しつけについてもやはり、個体差があります。犬種によっても全然違うので、正しいしつけの方法があるというわけではありません。
ただ、確実に言えることは、わんちゃんは自分が経験したことからしか学ぶことができません。トイレができないとか、やたらと吠えてしまうとか、物や人を噛んでしまうとか、大体はわんちゃんのミスではなく人間のミスです。
竹内:なるほど。
稲留さん:例えば人を噛んでしまうわんちゃんがいたとしたら、それは噛んで言うことを聞かせてやろう、という考えを持っているのかもしれません。そうであれば、噛む以外の方法でコミュニケーションが取れると言うことを経験させてあげることが大切です。
良いことをしたら褒める、あるいはエサをあげるなど、わんちゃんにとってメリットのあることをすれば、わんちゃんはその経験から自分の行動が正しいことだと学びます。反面、ダメなことをしたら叱る、ということが大切です。
竹内:都度、わんちゃんがとある行動をした時にメリット、デメリットを結びつけてあげるということですね。それを覚えてくれると。
稲留さん:はい。そして、環境が変わればわんちゃんの中の判断基準も変わるので、その度に、正しい対応をしてあげてください。家の中でできていたことも、車がたくさん走る道路の脇ではできなくなったりパニックになったりすることがあります。
竹内:家の外に出たり、知らない人と相対したり、わんちゃんにとって未知のことがあれば都度、教えてあげることが大切なんですね。
稲留さん:トイレの場所とかも、いきなり広い場所で飼い始めるとどこでして良いのかわかりませんから。まずトイレの場所を覚えてもらってから少しづつわんちゃんの行動範囲を広げてあげたりだとか、わんちゃんの気持ちになって対応してあげると想像つきやすいと思います。
竹内:人間と同じですね!
わんちゃんのしつけ方②ワンちゃんにとって良い経験を積み重ねる

稲留さん:環境によって色々としつけの方法を考えることが大切です。多頭飼いする場合は犬も興奮して吠えやすくなりますし、家族と一緒に住みながら飼う場合は、家族がしつけに協力する必要があります。ダメなことをしてママの時は怒られたのに、パパの時はなぜかエサがもらえた、とかが続くとわんちゃんは混乱します。特に失敗したのに褒めちゃうのは良くないですね……。
竹内:人間の子どものしつけに対して、ママとパパが揉めるのと同じですね。
稲留さん:色々と話してきましたが、最終的にわんちゃんが自分からやりたい! と思うまで良い経験をさせてあげることが大切ですね。ここでトイレをしたら褒められた、だから、次からもここでトイレをしよう、ここでトイレがしたい、と考えるようになりますので。
時に飼い主さんが知らないところでわんちゃんが経験を積んでしまうこともあります。例えば郵便屋さんが配達に来て、わんちゃんが警戒して吠えたら郵便屋さんがいなくなったとか、そういう経験をするとわんちゃんは自分が吠えたことで敵が退散した、と思い込むことがあります。家を守ったつもりでいるかもれませんが、そういった経験から誰かれ構わず吠えるようになることもあるかもれません。
竹内:人に対して吠えた時、叱ることで吠えないようなってくれるかもしれない。逆に、人に対して吠えなかった場合は褒めたり、エサをあげれば良い、と。簡単なことですが、わんちゃんと一緒にたくさんの時間を過ごすことが肝心なんですね。
しつけの仕組みというか、基本的なことがすごくよくわかりました! ご家庭によって環境が違うし、色々なケースバイケースが求められそうですね。
稲留さん:そういうことです。ちなみに当訓練所は訓練士が住み込みで働いているので、わんちゃんと一緒に過ごす時間はとても長いです。
竹内:さすがです! 今日は本当に色々なことを学ぶことができました。企画にもご協力いただき、ありがとうございました!
稲留さん:また遊びに来てください!