プチ・バセット・グリフォン・バンデーンの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種図鑑

2023年06月26日 更新 (2023年05月30日 公開)

東大農学部獣医学専修卒後、ウガンダ国立遺伝資源研究所でのリサーチフェローや動物病院での臨床業務に従事。2020年に保護犬たちを新しい形でサポートする事業を開始。

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンの歴史やルーツ、英語名は?

犬種名 プチ・バセット・グリフォン・バンデーン
英語名 Petit Basset Griffon Vendeen
原産国 フランス
分類 中型犬
グループ 6G:嗅覚ハウンド


プチ・バセット・グリフォン・バンデーン【英語:Petit Basset Griffon Vendeen】は、フランスが原産の中型犬です。ジャパンケネルクラブの犬種分類では、大きな吠声と優れた嗅覚で獲物を追う獣猟犬である「6G:嗅覚ハウンド」に属します。

 

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンは、16世紀頃から、フランスのバンデーン地方で、ウサギやキツネ、シカなどの優れた狩猟犬として活躍してきました。

 

犬種名の“グリフォン”は「粗い」という意味で、ブッシュが生い茂る土地で猟をするの際に身を守るための粗くて硬いコートから、さらに“バセット”は「低い」という意味で、獲物の足跡のにおいを嗅いで追走しやすい低い体高から。


プチ・バセット・グリフォン・バンデーンは、4種類いるグリフォン・バンデーンから派生した一番小さい犬種で、大きい順に、グラン・グリフォン・バンデーン、ブリケ・グリフォン・バンデーン、グリフォン・アルトワ・バンデーン、プチ・バセット・グリフォン・バンデーンとなります。日本では「プチバセ」の愛称で親しまれています。

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンのオスとメスの体高や体重は?

体高:オス、メスともに34~38cm
体重:オス、メスともに11~18kg

 

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンは中型犬に分類されます。

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンの平均寿命は?

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、中型犬全般の平均寿命は13.4歳となっています。

 

犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

 

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンの毛色や種類、被毛、外貌の特徴

ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、プチ・バセット・グリフォン・バンデーンの毛色は、ブラックの地色にホワイトの斑やタンのマーキング、またフォーンの地色にホワイトの斑やブラックのマントルとホワイトの斑(トライ・カラー)、フォーンの地色にブラック・オーバーレイ、ペールフォーンの地色にブラック・オーバーレイでホワイトの斑があるものがあります。


毛色は、ヘア・カラー(野ウサギ色)、ウルフ・カラー、パジャー・カラー(アナグマ色)、ワイルド・ボア・カラー(イノシシ色)という伝統的な呼び名が使われることがあります。

 

コートはざらざらとしていて硬いです。ボディは頑丈で、長い胴と太い四肢が特徴です。頭蓋はドーム型で細長く、口吻(マズル)は長く、眼が大きく愛らしい顔をしています。耳は下の方についていて、幅が狭く内側に折れています。尾は太く長く垂れています。

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンはどんな性格、習性?

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンは、「山野では悪魔、家の中では天使」といわれます。


粘り強く獲物を追いかける習性があり、スタミナ豊富で運動神経もバツグン、よく働く優れた狩猟犬でありながら、天真爛漫で甘え上手な良い家庭犬でもあります。飼い主には忠実で、家族にも深い愛情を向けます。

 

また嗅覚ハウンドに属する犬種のため、良く吠え、吠え声が大きいのが特徴です。

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンを迎える際にかかる費用は?

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。

タイミング 内訳 費用の目安
迎えるとき

ペットショップ、ブリーダー

※ブリーダーによる
飼い始めるとき 畜犬登録料 約3,000円
生活用品(クレートやケージなど) 約5~7万円
1年に1回かかる費用 狂犬病予防接種費 約3,500円
混合ワクチン接種費 約5,000~10,000円
毎月かかる費用 消耗品(フードやおやつなど) 約5,000~10,000円

 

飼い始める際にかかる費用

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンは、ペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。

 

ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、プチ・バセット・グリフォン・バンデーンのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。


他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。

 

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。

 

母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。

 

子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

 

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。

 

犬を飼うための初期費用や毎月の支出についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
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飼い続けるために必要な費用

犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。

 

なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

 

犬を飼う際に生涯かかる費用についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
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プチ・バセット・グリフォン・バンデーンを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

 

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。プチ・バセット・グリフォン・バンデーンは非常に活動的で好奇心旺盛ですから、ゲームやおもちゃで遊んであげたり、ドッグランやハイキングに連れて行ったりできるとストレスの解消にもなります。

 

犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどです。特徴的な毛をしているため、ブラッシングや自宅でのシャンプーといったケア用品を揃えておくのが安心です。

 

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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった時に、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。

 

装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

 

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、プチ・バセット・グリフォン・バンデーンを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。

 

迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。


そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンのしつけと社会化トレーニングのポイント

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンのしつけと社会化トレーニングのポイント

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンのトレーニングは比較的難しくありませんが、明るく前向きな性格ながら頑固な面もあるため、根気強く続けていきましょう。

 

また自立心が強い傾向があるので、犬にとって飼い主が頼れるリーダーでないと判断されると指示を聞かなくなってしまうことがあります。毅然とした態度でリーダーシップを取るように意識しましょう。

 

その他、家族以外の知らない人を警戒する傾向があり、吠えやすい性質もあるので、吠え癖がつかないようなトレーニングも心がけましょう。子犬の頃からたくさんの人に会わせ、多くの経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。

 

犬の社会化についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
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プチ・バセット・グリフォン・バンデーンに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊び

✓散歩:30分以上を1日2回
✓運動量:多め
✓おすすめの遊び:ドッグラン、ハイキングなど

 

スタミナ豊富で活発な犬種なので、ドッグランで自由に走らせたり、ボールで遊んであげたりなどで運動をさせましょう。ランニングやハイキングといったアクティブな活動に連れていくのもおすすめです。
運動不足は問題行動の原因になりかねないため、十分に運動をさせるようにしましょう。

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンを飼うのに向いている人は?

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンを飼うのに向いている人

✓子どものいる家庭でも馴染みやすい
プチ・バセット・グリフォン・バンデーンは、子どもとも喜んで遊ぶ犬種だといわれています。小さなお子さまがいるご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。とはいえ、しっかりトレーニングを行いましょう。

 

✓十分な運動をさせてあげられる人
パワフルでスタミナ豊富な犬種です。小走りを交えた散歩や、ボール遊び、アウトドアなどで毎日十分な運動をさせてあげられる人がよいでしょう。

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンがかかりやすい病気と予防法は?

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

 

✓てんかん
脳疾患で、けいれんや意識障害などの症状が現れます。ほとんどの場合は遺伝的素因が関与していて、3歳までの若い時期に発症しますが、脳腫瘍や外傷などによって起こることもあります。予防は難しく、抗てんかん薬によって発作をコントロールする治療などを行います。

 

✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや細菌性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。

 

✓股関節形成不全
成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満が病気を助長することがあるので、体重管理を心がけましょう。

 

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンがかかりやすい疾患については、こちらの記事でもっと詳しく解説しています。
>犬の耳が赤いのは外耳炎かも?原因や対処法、病院に行くタイミングについて解説【獣医師監修】
>【獣医師監修】犬のてんかんの症状とは?種類や原因、発作が起きた時の対処法などについて解説

プチ・バセット・グリフォン・バンデーンの日常のお手入れ

✓ブラッシング:週2~3回
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:不要

 

粗くて硬いコートは、かための獣毛ブラシでマッサージも兼ねたブラッシングをして清潔に保ちましょう。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

 

歯みがきは毎日~3日に1回、耳掃除は1ヶ月に1、2回程度、爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。肛門腺絞りは中型犬において必ずしも必要ではありませんが、獣医師やトリマーと相談して行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。

 

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プチ・バセット・グリフォン・バンデーンとの生活で注意すべきことは?

✓小動物との同居に注意
プチ・バセット・グリフォン・バンデーンはウサギやネズミを追いかけて捕まえていた狩猟本能があるため、ハムスターや小鳥などの小動物との同居には注意が必要です。

 

✓足腰に負担をかけない
胴長体型なので、足腰へかかる負担はできるだけ軽減したいところです。普段過ごす部屋の床は滑りにくいマットを敷いたり、ソファやベッドなど高い場所への上り下りはペット用のスロープやステップを使用しましょう。

 

✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。綿棒などで奥まで掃除するなど、間違った耳掃除で耳垢が耳道に詰まってしまい、炎症がひどくなることがあります。間違った耳掃除は自分で行わず、かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。