【獣医師監修】犬の性格はいつ決まるの?犬種ごとの特徴や犬の性格を決める要因を解説

【獣医師監修】犬の性格はいつ決まるの?犬種ごとの特徴や犬の性格を決める要因を解説

犬は犬種によって性格が変わると言われることも多いですが、たとえ同じ犬種でも性格がまったく違うケースもありますよね。犬の性格は生まれたときから遺伝的に決まっているのでしょうか。それとも、どこかのタイミングで後天的に決まるのでしょうか。今回は、獣医師の茂木千恵先生に犬の性格が決まるタイミングや要素について伺いました。

犬の性格はいつ、どのように決まるの?

遊ぶ子犬たち犬の性格は先天的な要素と後天的な要素の両方で決まります。先天的な要素とは犬種や両親からの遺伝、性別であり、後天的な要素とは生育環境、周囲の動物との関わり、飼い主との関わりなどが挙げられます。こうした先天的な要素と後天的な要素がほぼ半々ずつ影響しあって性格が形成されると言われています。

「三つ子の魂百まで」ということわざがあるように、犬も生まれもった基本的な性格はあまり変化しません。生まれたばかりの子犬は先天的な要素の及ぼす割合が多いですが、成長とともに後天的な要素の影響が強くなります。

犬の後天的な性格は、社会化期と呼ばれる生後3週目から、思春期と呼ばれる生後9か月目ごろまでに、段階を経て形成されます。そして、生後1年から1年半までの間には精神的な成熟が見られ、それまで好奇心が強く遊び好きだった子も落ち着きが出はじめます。大型犬の場合は3歳以降になることもあります。避妊や去勢していない子はこの時期に社会的成熟を迎え、自信のある落ち着いた態度で他の犬と出会えるようになるのです。

犬の性格は遺伝によって決まるの?

様々な犬種の犬たち犬種は育種によって人為的に作られており、犬種によって性格に特徴があります。犬の育種目的や形態・用途によりジャパンケネルクラブが分類した10グループごとに、遺伝によって決まる犬の性格を見てみましょう。


1
グループ:牧羊犬・牧畜犬

シープドッグ&(スイス・キャトル・ドッグを除く)キャトル・ドッグ。

家畜の群れを誘導・保護する目的で育種された犬種のため、作業意欲が高いです。訓練性能も高く、鋭敏で、注意深い子が多いでしょう。神経質でも、攻撃的でもない性格がスタンダードとなっています。


2
グループ:使役犬

ピンシャー&シュナウザー、モロシアン犬種、スイス・マウンテン・ドッグ&スイス・キャトル・ドッグ、その他関連犬種。

番犬として飼育され、人の警護や人の活動の援助作業も行うよう育種された犬種です。番犬や警護犬としての勇敢さを持ち、見知らぬ人への警戒心が高いでしょう。一方で信頼する家族へは穏やかな従順な反応が見られ、落ち着いた性格がスタンダードです。


3
グループ:テリア

テリア。

穴の中に住むキツネなど小型獣用の猟犬として育種されました。狩猟意欲が高く、周囲の状況を観察しています。動きが敏捷で、外向的。自信に満ち、友好的で、勇敢な性格な子が多いでしょう。


4
グループ:ダックスフンド

ダックスフンド。

地面の穴に住むアナグマや兎用の猟犬として育種されました。集団で狩りを行うことができるよう友好的で、攻撃性は低く落ち着きがあり、しつこさを伴う性格が犬種標準となっています。


5
グループ:原始的な犬・スピッツ

スピッツ&プリミティブ・タイプ(柴犬、秋田犬、ハスキーポメラニアンなど)。

日本犬など山野での猟犬として育種された、このグループの中・大型の犬は、警戒心と反応性が高く、飼育者への従順な性格が特徴です。小型化されて愛玩用となっているスピッツ(尖ったという意味)系の犬も同様に他人への警戒心は高いものの、リーダシップを発揮できる飼育者へは従順で訓練性能も高い性格が特徴です。


6
グループ:嗅覚ハウンド

セントハウンド&関連犬種。

大きな吠声と優れた嗅覚で獲物を追う猟犬として育種された犬種。優れた嗅覚のために周囲の状況を察知しやすく、活動性は高いが穏やかな性格が特徴で、攻撃的になることは少ないという性格が犬種標準となっています。


7
グループ:ポインター・セター

ポインティング・ドッグ。

獲物を探し出し、その位置を静かに示す猟犬として育種されました。そのため、スタミナに富んで活動性が高く、敏感な反応性が特徴。人には友好的な性格です。


8
グループ7グループ以外の鳥猟犬

レトリーバー、フラッシング・ドッグ、ウォーター・ドッグ。

獲物を追い立てたり、回収したりする猟犬として育種されました。そのため、とても活動的で明るく、猟以外では遊び好きで穏やかな性格です。


9
グループ:愛玩犬

コンパニオン・ドッグ&トイ・ドッグ。

家庭犬や伴侶、愛玩目的で育種されました。そのため体格が小さく、飼育者への愛着が強い性格です。社交性が高く活発で、遊び好きな性格を持っています。


10
グループ:視覚ハウンド

サイトハウンド。

優れた視覚と走力で獲物を追跡捕獲する猟犬として育種されました。動く小さな動物を見つけると、狩猟本能が前面に出て機敏に活動します。普段は静かで攻撃性はないものの、自立心が高い性格です。

犬はオスとメスで性格の違いはあるの?

同じ犬種同士で比較すると、オスとメスには違いが見られます。犬種による基本的な特徴は同じですが、その特徴が性別によって強く出たり、弱く出たりするのです。


メスの性格の傾向は?

メスはオスと比較すると服従性が高く、トイレのしつけが比較的簡単です。また、オスよりも人懐っこい子が多いでしょう。さらに避妊手術をしていない場合は、母性的な行動を見せることも多いです。たとえば面倒見がよかったり、警戒心から吠えたりすることもあります。


オスの性格の傾向は?

一方、オスの場合はメスよりも飼い主へ反抗心が強く、活動的な子が多いです。縄張り防衛行動や他の犬に対して攻撃性が強いケースが多いでしょう。ただし、去勢手術をするとその傾向は弱くなります。

その犬特有の性格はある?

同じ犬種の犬たち犬種グループや性別とは関係なく、その子特有の性格というものがあります。例えば、犬種が同じでも親犬が持つ遺伝子や分泌されるホルモンには個体差があるため、それが子犬の性格に影響することもあるのです。胎児期の母犬がストレスを受けると胎盤を通して子犬にも影響することもあります。

性格に影響するホルモンは大きく分けると3種類あり、新しいもの好きになるのはドーパミン、不安に関係するのはセロトニン、依存心に関係するのはノルアドレナリンといわれています。これらのホルモン分泌に関係する遺伝子に個体差があることで、性格が変わってきます。

こうした持って生まれた要素にプラスして、生育環境による影響が重なると、性格が多彩に変化していくのです。

環境によって決まる犬の性格とは?

怖がっている犬犬の後天的な性格が決まるのは、生後3週目から1年半くらいまでの期間です。後天的な性格を決定する要素の中でも、特に飼い主の関わり方と環境は大きな影響を与えます。関わり方の例と、それによって犬が受ける影響は以下の通りです。


飼い主の態度が変わる

犬は飼い主に愛情を持って接してもらいたいと考えているため、家族の一員として扱ってもらえると安心感を覚えます。しかし、飼い主の態度がコロコロと変わってしまうと混乱を招いて不安を感じやすい性格になってしまいます。それだけでなく、自分にとって好ましい状況を作る欲求が強まり、飼い主をコントロールしようとしたり、状況をコントロールしようとしたりすることがあります。


叱られない、しつけをしない

どんな行動をとっても叱られない、どんな要求も通る環境で育った犬は、自己主張が強く攻撃的になりやすい傾向にあります。


出入りの激しい家庭で育つ、体罰を受ける

落ち着かない家庭で育ったり体罰を受けて育ったりすると、飼い主に対しても警戒心が強くなったり、神経質な性格になったりします。


犬同士のコミュニケーションがある

生まれた家から他所の家庭にもらわれてくるまでの時期(だいたい生後3週目から7週目までの社会化期前期)に親兄弟と一緒に過ごすことで、犬は犬同士のコミュニケーション方法を学びます。噛む力の加減や犬同士の序列の認識などといった社会性を身につけて、社交的な性格になりやすくなります。

犬を飼い主と相性のよい性格に育てるには?

褒められて嬉しい犬ライフスタイルに合う犬種を選ぶ

まずは、犬を迎え入れる前に、飼い主のライフスタイルに合う犬種をよく検討しましょう。なぜなら、遺伝的な性格の傾向は成長後も影響力が強いからです。

飼い主のライフスタイルに関係なくすでに迎え入れた犬がいる場合には、その犬種の特徴を理解し、犬に負担をかけないライフスタイルに飼い主が変えていくことが不可欠です。「あれもダメ」「これもダメ」と飼い主の都合を押しつけてばかりいると、犬が飼い主に対して不信感を抱くことにもつながってしまいかねません。



犬がよいことをしたらすぐ褒める

また、犬がいいことをしたときにはすかさず褒めてあげることを繰り返してあげてください。すると、いい習慣づけができるようになります。飼い主から褒められると犬の飼い主への信頼感は高まり、不安も軽減されます。すると結果的に、穏やかで従順な子になりやすいのです。

飼い主が褒めることによって犬が従順になると、飼い主が感じる犬に対する満足度も上がります。このように好スパイラルが生まれると、飼い主の犬への愛情がさらに増すため、相乗的に相性がよくなっていると実感できるようになりますよ。

専門家のコメント

犬の性格が決まるポイントは先天的な要素と後天的な要素とが半々です。遺伝や犬種といった先天的な要素も理解しつつ、愛犬にとって快適な環境を作り、しつけを続けてあげることが何よりも大切です。

監修/茂木千恵先生(獣医師)

ヤマザキ動物看護大学准教授。博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。大学で教育研究活動の傍ら、動物病院でもしつけや問題行動のカウンセリングを行う。テレビ朝日系列動物特別番組 、日本テレビ系列「志村どうぶつ園」などに動物行動学コメンテーターとして出演。雑誌「Shi-ba」「プードルスタイル」(辰巳出版)などの記事監修も多数担当している。


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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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