犬の外飼いはかわいそう?デメリットと外で過ごさせる際の注意点を解説【獣医師監修】

犬の外飼いはかわいそう?デメリットと外で過ごさせる際の注意点を解説【獣医師監修】

最近は見かけることが少なくなった犬の外飼い。動物愛護の観点から「かわいそう」という声もありますが、実際はどうなのでしょうか? この記事では、犬の外飼いについて、動物行動コンサルティングはっぴぃているず所属の獣医師、フリッツ吉川綾先生監修のもと解説します。

監修/フリッツ吉川綾先生(獣医師、獣医学博士、日本獣医動物行動診療科認定医)

監修/フリッツ吉川綾先生(獣医師、獣医学博士、日本獣医動物行動診療科認定医)
動物行動コンサルティングはっぴぃているず代表。東京都文京区なないろ動物病院(一般診療、行動診療)などに勤務。動物の心身の健康と、飼い主様のより幸せで充実したペットライフをサポートしている。そのほか、獣医動物行動学に関する研究、専門書の執筆、翻訳も。

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犬は室内飼いが基本

昭和の時代は家の外で犬を飼うこともあったかと思いますが、現在では犬の外飼いは推奨されていません。個々のケースによって、外で過ごす時間や居場所をつくることを検討する必要もありますが、何らかの仕事をする犬を除き、家庭犬は室内飼育が基本です。

 

犬を迎え入れる前に、その理由を考えてみましょう。家族の一員として一緒に暮らしたいのであれば、互いに強い愛着関係や絆を結ぶために、室内で飼いたいと思うことでしょう。また、新しい家族に対して、「24時間外にいてほしい」とは思わないですよね。もし、24時間外飼いすることを前提に迎え入れるか検討しているのであれば、本当に犬を飼育する必要があるのか、もう一度考え直しましょう。犬の寿命は過去に比べて伸びていて、その理由の1つとして「室内飼いされる犬が増えたこと」が考えられます。愛犬が長生きできるよう、飼い主は室内でお世話をしてあげてくださいね。

犬の外飼いのデメリットは?

犬の外飼いのデメリットは?

犬の外飼いが推奨できない理由として、さまざまなデメリットが挙げられます。どんなデメリットがあるのか、それぞれ見ていきましょう。

 

飼い主が犬の体調を把握しにくくなる

外飼いは、寄生虫やウイルスなどに触れる機会が増すため、病気や怪我になる危険性が高まります。一方、飼い主は犬の体調を把握しにくくなるため、早期発見ができない可能性があります。

 

天候や騒音などの外的要因に左右されやすい

暑さ・寒さ・雨・風・雷など、温度や天候のコントロールができないことは、犬にとって身体的な負担になります。夏場は熱中症、冬場は低体温症などの危険もあるでしょう。

 

心理的ストレスが溜まる

上記のような身体的ストレスがあると、不快や苦痛・恐怖を感じるため、心理的なストレスにもつながります。また、社会的な動物である犬にとって、家族と過ごせる時間が少ないことも心理的な負担になってしまいます。

 

事件・事故に巻き込まれる可能性がある

犬の外飼いは、室内飼いに比べて犬の安全を守りにくくなります。犬が脱走する、見知らぬ人から虐待を受ける、誘拐されるなど。事件や事故に巻き込まれる可能性が大きくなってしまいます。

 

ご近所トラブルが起こる可能性がある

犬は縄張りをもつ動物です。外で過ごさせると、家を第一線で守ることになる可能性が高く、外からの刺激に対して吠えたり、攻撃的な行動をとったりするでしょう。その結果、騒音や噛みつきなどのご近所トラブルにつながる恐れがあります。

犬を室内飼いするメリットは?

犬を室内飼いした方がいい理由は、上記のような外飼いのデメリットを解消できるからです。どのような点が良いか、具体的なメリットを見ていきましょう。

 

犬と飼い主の絆が深まる

犬にとって、家族となる人間とどう一緒に過ごし、どう触れ合うかということは非常に重要です。物理的な距離と心理的な距離は比例するため、室内飼育でともに良い時間を過ごせば過ごすほど、飼い主との絆は深まると考えられます。

 

犬の変化にすぐ気づくことができる

犬と一緒に過ごしたり、触れ合ったりする時間が長いと、ちょっとした変化にいち早く気づくことができます。心身の状態に不調があった場合、早期に対応できるというメリットも、犬の室内飼いを推奨する理由です。

犬を室内飼いする際に気をつけたいことは?

犬を室内飼いする際に気をつけたいことは?

基本的には室内飼いをおすすめしますが、一緒に過ごすうえで注意しなければならない点もいくつかあります。具体的にどのようなことに気をつければよいのでしょうか?

 

運動・刺激不足

犬種や個体にもよりますが、体をたくさん動かすことが必要な犬は、室内飼育にストレスを感じる可能性があります。運動時間が不十分にならないよう、日々の散歩やドッグランでの遊びなどを通して、運動不足を解消する必要があるでしょう。

 

また、留守番が多かったり、狭い室内で過ごす時間が長かったりすると、音やちょっとしたできごとなどの刺激や社会的な交流不足で、暇であるというストレスが生じることもあります。

 

身体的・認知的な刺激不足は、吠え・噛みつきなどの問題行動につながることもあります。愛犬がストレスを感じていないかは、外飼いでなくても注意しましょう。

 

­人とのコミュニケーション

犬は、自分がリラックスできるプライベートの時間と居場所がないとストレスを感じやすいです。かわいいからといって犬が寝ているときや食べているときなど、いつでもかまいすぎるのは控えましょう。また、人と生活するうえでのルールが曖昧だったり、そのルールが一貫していなかったりすると、葛藤が多く生じることもあります。

 

ものの保管・整理

特に子犬のうちは、探索や遊びの目的で、時折ものを破壊する行動が見られます。犬の安全と人の大事なものを守るため、飼育環境の整備には配慮が必要です。

 

­抜け毛の掃除

床やカーペット、衣服などに抜け毛がつくので、その掃除が必要です。ただ、毛に覆われていることが犬の魅力であり、飼い主はそのフサフサ、ツルツルした被毛をなでることで日々癒されるはずなので、掃除の大変さは受け入れていただきたいところです。

室内飼いの犬が外で過ごすことで得られるメリットは?

室内飼いの犬が外で過ごすことで得られるメリットは?

普段は室内で一緒に暮らし、たまに外で過ごす時間をつくることはおすすめです。ここからは、犬が外で過ごすことで得られるメリットを紹介します。

 

運動・刺激不足の解消

広い場所を自由に移動できると、運動の機会が増えるはずです。さらに、外には音・風・人やほかの動物など、室内に比べて刺激がたくさんあります。これらによって、身体的・心理的なストレスが解消されるでしょう。また、多くの犬は人間のサポート役として何らかの仕事を与えられてきた歴史があるので、外で五感がフルに使えると本能的な欲求を満たしやすくなります。

 

プライベートの時間と場所を確保できる

犬は社会的な動物なので、一般的には家族と一緒に過ごすことを好みます。しかし、犬にもリラックスできる時間と場所があることは重要です。外で過ごすことが、その役割を果たすかもしれません。

 

番犬になる

見知らぬ人が来たときに吠えるなど、犬が第一線で家の縄張りを守ってくれます。防犯上の特典があるかもしれません。

 

関係性を再構築できる

人と犬との間で争いが絶えない場合は、犬に攻撃されないような状況をつくり、絆を再構築する必要があります。物理的な距離をおき、室内で一緒に過ごす時間を短くするというのも一つの手です。

外で過ごすことに向いている犬と向いていない犬は?

日本は四季があるため、外で過ごすことが向いている犬かどうかは季節ごとに異なります。夏は暑い地域出身の犬、冬は寒い地域出身やダブルコートの犬が外で過ごすことに向いているでしょう。また、それぞれ次のような特徴もあります。

 

外で過ごすことに向いている犬種

柴犬・秋田犬・甲斐犬などの日本犬は遺伝的に野生の犬に近いです。独立心が強く、自分の身を守るための行動をとることが比較的容易なので、外で過ごすことに向いています。ただし、警戒心が強いので、長時間居させることはおすすめしません。

 

外で過ごすことに向いていない犬種

小型犬は、長時間外で過ごすことに身体的な負担を感じることが多いです。特に、愛玩犬のグループに属する犬は、室内で飼い主の近くにいることを前提として発展してきた犬種です。外で長い時間を過ごすことが得意な性質・体質とはいえないでしょう。

 

ほかにも、シングルコートの犬は気温の変化に弱いです。寒さにも、強く熱を浴びることにも、影響を受けやすいでしょう。また、短頭種も暑さや気温の変化に弱く、呼吸器系の問題も引き起こしやすいです。犬だけで過ごさせるのはリスクがあるので、短時間ごとに確認する必要があります。

犬が外で過ごす時間をつくる際の注意点は?

犬が外で過ごす時間をつくる際の注意点は?

最後に、犬が外で過ごす時間をつくる場合、どのようなことに注意すればいいのかを紹介します。

 

屋根付きの犬小屋を用意する

犬が雨・風・日光などから必要に応じて身を守ったり、温度調節ができるよう自分で居場所を選べたりすることは非常に重要です。十分なサイズで、快適性・安全性がある犬小屋を用意してあげましょう。

 

水飲み・休息・トイレのスペースを確保する

水飲み場やリラックスして休む場所、排泄する場所に犬がいつでもたどりつけるようにしておきましょう。これは動物福祉の基準を満たすうえでも必要です。

 

適切な長さのリードをつける

脱走などの不安がある場合は、リードをつけておくと安心でしょう。十分長いものを用意し、気候や刺激に合わせて自分の好きな場所を選べるように、水や休息場所などの大事な場所にはいつでもアクセスできるようにしてあげてください。

 

虫やノミ・ダニ対策をする

室内より、虫やノミ・ダニの影響を受けやすいです。予防薬を使用して、犬が不快にならないようにしてあげましょう。

 

吠えにくい環境をつくる

郵便や来客などが近寄ってくるのが見えたり、その場所の近くまで犬が行けるようになっていたりすると、縄張り意識がはたらいて吠えやすいです。いつも番犬の役割を務めていると疲れもたまってしまうので、飼い主は犬がリラックスして過ごせる場所をつくってください。

犬の外飼いに決まりはあるの?

日本では、20216月、動物愛護法の改正施行により、ペットショップやブリーダーなど犬猫を取り扱う事業者全般に対して、「飼育環境等に関する数値規制」がスタートしました。これは、犬猫のサイズにあわせた床面積を確保することを義務づける法律で、違反した業者は取り締まりを受けます。しかし、これは業者に対してであり、家庭で飼育されている犬猫やその飼い主は対象になっていません。

 

海外、特にヨーロッパでは、一般家庭における規制がある国も存在します。「リードのつなぎっぱなしは○時間まで」「犬小屋の広さは○cmのサイズの犬に対して最低限○㎡の広さ」「外でリードをつなぐことが許されるのは、○時または気温が○℃まで」など、具体的な数値が決められていて、犬の虐待を減らす取り組みがされています。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

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