犬が誤飲・誤食した時の対処法は?特に危険なケースや予防法などについて解説【獣医師監修】

犬が誤飲・誤食した時の対処法は?特に危険なケースや予防法などについて解説【獣医師監修】

ちょっと目を離した隙に、愛犬が食べてはいけない物を口にしてしまうことがあります。とくに好奇心旺盛の子犬や食べ盛りの犬は油断できません。犬が誤飲・誤食してしまったらどうしたらいいか、またその対処法や防止する方法をキャフェリエペットクリニックの代表で獣医師である小林充子先生に解説していただきます。

目次

  • ・ 犬の誤飲・誤食とは?
  • ・ 犬が誤飲・誤食をしたらすぐに動物病院へ相談する
  • ・ 犬が誤飲・誤食するとどんな症状が出る?症状が出るまでの時間は?
  • ・ 犬が誤飲・誤食しやすい物は?
  • ・ 愛犬が誤飲・誤食した時にはどう対処する?
  • ・ 犬の誤飲・誤食を予防するためにできることは?
  • ・ とくに行楽シーズンやお出かけ時は犬の誤飲・誤食に注意!

犬の誤飲・誤食とは?

犬が誤飲・誤食した時の対処法は?特に危険なケースや予防法などについて解説【獣医師監修】好奇心旺盛で食欲のある犬が誤飲・誤食をしてしまうのは、人間の赤ちゃんがなんでも口に入れてしまうのと似ています。しかし、時には重大な事故につながったり、命にかかわる危険性があったりするので、注意が必要です。

誤飲・誤食をしやすいのはどんな犬?

誤食をしてしまう傾向にあるのは性格的に明るくおおらかで食欲旺盛、いろいろなことに興味があるタイプの犬が多いです。神経質で慎重な性格の犬はあまり誤食しません。犬種としては、ミニチュア・ダックスフンドや、ゴールデン・レトリーバー、ノーフォーク・テリア、コーギーなどはよく誤食する傾向にあります。

犬が誤飲・誤食をしたらすぐに動物病院へ相談する

中毒を起こしたり、食道や胃でつまったり、場合によっては異物が消化器官に穴をあけてしまうことがあるので、誤飲・誤食が疑われる時には速やかにかかりつけ医に相談することをおすすめします。何を、どのくらい、いつ食べたのかということがとても重要な情報になりますので、スムーズにかかりつけ医に伝えられるように受診前に準備しておくといいでしょう。

動物病院での処置と治療費の例

誤食して30分以内であれば、催吐(さいと)させることで誤食したものを吸収する前に体外に出すことができます。以前は過酸化水素水や、濃い食塩水を飲ませたりして吐かせたりしていましたが、胃粘膜が荒れるなどの副作用があるため、現在ではあまり行われません。今はトランサミンという薬を使って吐かせるのが主流になっています。

 

催吐処置の費用は病院によって差がありますが、5,00010,000円のことが多いようです。食べたものによっては、自宅で無理に吐き出させると症状を悪化させますので、必ず動物病院で処置してもらうようにしてください。

犬が誤飲・誤食するとどんな症状が出る?症状が出るまでの時間は?

犬が誤飲・誤食した時の対処法は?特に危険なケースや予防法などについて解説【獣医師監修】口にした瞬間を目にしていなくても、愛犬の様子がおかしいようなら誤飲・誤食を疑って何らかの処置を施すことも必要です。出ている症状から何を食べたのか、ある程度判断できるようにしておくといいでしょう。

誤飲・誤食が疑われる症状

出てくる症状は誤食したものがなにかによってまちまちです。よく見られる症状としては、嘔吐、流涎(りゅうえん・よだれが出ていること)、下痢・血便、などです。一方、最初から痙攣などの神経症状が出るものもあります。神経症状が出るようなものはとくに早急な処置が必要になります。それぞれどんな症状が見られるのかを見ていきましょう。

食欲不振

洋服のひもやコードなど、糸状で消化管に詰まりやすいものを誤食した場合、日に日に食欲と元気が無くなっていきます。

嘔吐

誤飲・誤食によって嘔吐が起こる場合は異物を吐き出してしまえば嘔吐は止まります。嘔吐が治まらない場合は、異物を体が吸収してしまっている可能性があるので注意が必要です。

下痢

一般的によく見られる症状です。とくに犬にとって良くない食べ物を誤食した場合、下痢が見られることは多いです。この場合は無理に止めずに、出るものは全て出し切ってしまった方がいいでしょう。

よだれが多く出る

苦いもの、酸っぱいもの、その他摂取してはいけないものを摂取した時にはよだれが止まらなくなります。

落ち着きがない

大きなものを飲み込んでしまって、体内に異物感がある時によく見られます。その他にも中毒症状を起こすものを摂取した時に落ち着かない様子が見られることがあります。

呼吸の異常

はあはあと息をしている、息苦しそうにしているなど、呼吸の異常がみられたらすぐに治療が必要な状態です。場合によっては命に関わることがあるので、できるだけ早くかかりつけ医に診てもらいましょう。

異常な咳

焼き鳥の串、鳥の骨などを誤飲した場合には咳が止まらなくなったり、明らかにいつもと違う咳をしたりすることがあります。あまりよく見られるものではありませんが、ひとつの症状として覚えておいてください。

震える

痛み、異物感、違和感、その他中毒症状の一部として身体が震える様子が見られる可能性があります。

元気がなくなる

元気がなくなるのも一般的な症状で、さまざまな体調の変化でも見られます。これで誤飲・誤食を判断するのはなかなか難しいと思いますが、ひとつの可能性として頭に留めておくといいでしょう。

便秘

食欲がなく元気も今ひとつ、その上便秘をしているということになると、腸閉塞など消化管のどこかで誤食したものが詰まっている可能性があります。場合によっては緊急で開腹処置が必要になることがあります。

ゲップ

ゲップは胃内が異常発酵している可能性があり、食べてはいけないものを誤食したことで胃内にガスが溜まっていないかどうかの検査が必要です。

血便

犬にとってよくない食べ物を誤食した時によく血のついた便を出すことがあります。

ぐったりしている

ぐったりしているような時は、誤飲・誤食したことで中毒を起こしている可能性が高いので、緊急で病院で処置してもらう必要があります。

症状が出るまでの時間は?

誤食した直後に異物が気道を塞ぐなどして苦しそうな様子を見せることもありますが、中毒性のあるものを食べてしまった時などは症状が出るまでに612時間かかる場合もあります。中毒を起こす成分は多岐にわたり、8時間経ってからようやく出てくることもあります。

食道、胃、腸の閉塞とは?

誤飲・誤食によって異物が詰まって消化器官に閉塞を起こすことがあります。それぞれの部位ごとの症状やポイントについて押さえておきましょう。

食道の閉塞

食べ物を食べたり、水を飲んだりする時にすぐに吐出が起こることがあり、この場合は食道の閉塞が起きている可能性があります。口にしたものがすべて逆流し、一度に大量に吹き出すような感じです。

胃の閉塞

胃の閉塞が起きると日に日に食欲が減退していき、ものを食べると嘔吐が見られるようになります。

腸の閉塞

腸が閉塞すると排便がなくなります。完全閉塞でない場合は細い便が少量出ることもありますが、基本的には便秘の状態になります。次第に食欲がなくなっていき、嘔吐するようになります。

犬が誤飲・誤食しやすい物は?

犬が誤飲・誤食しやすいものにはどんなものがあるのでしょうか。これから紹介するものに関してはとくに気をつけて犬に近づけないように注意するようにしましょう。

犬にとって中毒性のある食べ物

玉ねぎ

玉ねぎは犬が食べると中毒を起こす野菜です。摂取後1日〜数日間は嘔吐、下痢、腹部痛、食欲低下などの症状、その後貧血になることがあります。

チョコレート

チョコレートも犬にとっては良くない食べ物です。チョコレートを食べた際に症状が出るまでにかかる時間は、早ければ24時間、遅ければ12時間後ほどです。多飲、尿失禁、嘔吐、下痢、落ち着きのなさが見られます。その後の症状としては発熱、頻脈、頻呼吸、チアノーゼ、けいれんなどが出てくることがあります。

キシリトール

キシリトールも犬が食べてはいけないものです。キシリトール入りのガムやお菓子などを犬が食べてしまうと、摂取後30分〜1時間で急激な低血糖による傾眠、運動失調、虚脱、けいれん発作が現れます。その後は点状出血、黒色便、凝固障害を含む肝機能障害を起こす可能性があります。

人間の薬やたばこ

たばこ

摂取後はすぐに嘔吐下痢、流涎、興奮、頻脈、神経症状が見られます。大量に摂取してしまった場合はけいれん、虚脱、などの症状が現れます。

アセトアミノフェン

アセトアミノフェンは風邪薬などに入っている成分です。摂取後1~4時間後に流涎、顔面の浮腫、嘔吐、チアノーゼ、血尿、貧血の症状があります。人間が服用する薬は犬にとって良くないものが多いので保管には注意しましょう。

犬や子どものおもちゃ、小さなボール(スーパーボールなど)など

おもちゃ類の保管にも注意しなければなりません。おもちゃを食べてしまったかもしれない場合はすぐに病院へ連れていきましょう。病院では摂取した可能性があるものをリストアップした上で、まずレントゲン検査を行います。実際にはレントゲン検査で写る可能性のあるものは少ないのですが、胃や腸の内部に異常にガスがたまっているのが確認できることで、異物自体は見えなくても何か手がかりがつかめる可能性があります。

おもちゃ類以外にもトイレシートビニールやヘアゴム、ボタン(糸付きのものはとくに注意)、ペットボトルのキャップ、トイレシートなどの誤食は起こりがちですが、大量でなければ便と一緒に排出されることが多いです。一方、小さなおもちゃやボールなどはとてもわかりにくいので、飼い主からの聴取が非常に大切になります。

骨や竹串(とくに焼き鳥の串)、アイスの棒、爪楊枝、ヘアピン、ネジ、クギ、画鋲、マチ針、薬のアルミ包装シート

骨、竹串、アイスの棒、爪楊枝、画鋲、針など先のとがったものはとくに注意が必要です。場合によっては、催吐させるのも危険なため、腹部を切開して手術による摘出をしなくてはならないこともあります。誤食した異物が消化管に穴をあけると非常に強い腹痛が起きることがあります。

ティッシュ、布、綿、ひも

ティッシュ、布などの綿は、概ね便と一緒に排出されることが多いでしょう。ただ、ひもなどの糸状の異物は誤食すると大変危険です。糸が粘膜に絡みついて、腸閉塞などを起こして非常に強い腹痛を伴います。

乾燥剤、保冷剤、ボタン電池

これからの季節は、お菓子などについている保冷剤が出しっぱなしにしてしまいがちです。保冷材に使われるエチレングリコールは、摂取後36時間で尿中にシュウ酸カルシウム結晶が見られるようになって高リン、高カリウム症を引き起こします。また、意外なようですが、乾燥剤のシリカゲルは基本的には無害です。ただし、大量摂取してしまった時は嘔吐や下痢などの消化器症状を起こすことも。また、ボタン電池も小さいので誤飲・誤食の可能性があります。食べてしまうと消化管などの器官を傷つけてしまうこともあるので、すぐに動物病院を受診しましょう。

洗剤、ゴキブリ駆除剤、殺鼠剤など

摂取後60分以上で症状が現れます。挙動不審、元気消失、食欲減退、その後出血傾向が発現、皮下出血、歯肉からの出血から始まり、次に胸腔内、腹腔内などに出血が見られます。どういったタイプの薬剤を誤食したかによって症状は異なりますが、消化器関連の症状が出るのは共通です。

観葉植物や花

観葉植物や花も注意すべきものとして挙げられるでしょう。ものによって出る症状はさまざまですが、大抵のものは嘔吐や下痢などの消化器症状が見られます。

愛犬が誤飲・誤食した時にはどう対処する?

犬が誤飲・誤食した時の対処法は?特に危険なケースや予防法などについて解説【獣医師監修】まずは、犬が誤飲・誤食したものが何でどのくらいの量だったかを把握して対処する必要があります。その瞬間を見ておらず、症状から推察される場合も、何かしら手掛かりを探して特定できるようにするとその後の的確な処置につながります。

小さなものであれば、うんちが出るか見守る

何を食べたのか、また食べた可能性があるのかを把握できたら、まずはかかりつけの先生に連絡することをおすすめします。食べたものに中毒性がないことが確認できたら、大きさによっては排便とともに排出されるかどうかを観察しましょう。だいたい48時間以内には排出されますので、出てくる便を崩して、中に含まれていないかきちんとチェックすると安心です。

無理矢理吐かせるのはNG

先のとがったものなどを誤食している可能性がある、あるいは酸性もしくはアルカリ性物質、石油製品などを食べた可能性がある場合は、無理に催吐させてはいけません。先のとがったものは嘔吐する際に消化管をさらに傷つける可能性があり、酸性・アルカリ性物質は腐食させる作用が強いため、催吐によって食道、口腔内の粘膜が障害を受けてしまいます。また、石油製品は、吐かせると気管に入って吸引性の肺炎を起こす可能性があります。

犬の誤飲・誤食を予防するためにできることは?

誤飲・誤食を防ぐためとはいえ、愛犬から常に目を離さないでいることは難しいでしょう。とくに目を離しがちな家庭内では、おうちの環境を整えることで防止するのがおすすめです。

犬が口にしてしまいそうな物を、手の届くところに置かないようにする

愛犬が食べてはいけないものは、高所や箱に入れて保管してください。犬はダイニングテーブルの上にあるものを食べ物と認識しがちで、飛び上がったり、椅子からテーブルによじ登ったりして食べてしまう可能性があります。より高い場所や棚の中、引き出しの中にしまっておきましょう。

フタ付きゴミ箱を使う

ゴミ箱は、漁ることがないようにフタつきのもの使うのがおすすめです。倒れた時にもフタが開かないようにしておく工夫も必要です。ゴミ箱を倒せば美味しいものを取り出せると認識している可能性があるので、倒れてもフタが外れないようなものを選ぶといいでしょう。

サークルに入れる

ひとりで留守番をさせる時、夜寝る時など、人の目が届かない時はサークルに入れて人間の生活エリアに入れないようにしておくと安全でしょう。

ひとり遊びをさせない

ひとり遊びをしている時に、おもちゃの切れ端や一部を誤食する事故は比較的よく見られます。ひとり遊びの時も、犬が何をしているのかよく目を光らせておく必要があり、それができない場合はサークルに入れるなどして未然に誤食させないようにしましょう。

飼い主のコマンドでくわえた物を離すトレーニングをしておく

トレーニングの一環として、一度口にしたものをリリースするコマンドは誤飲・誤食の回避にも役立ちます。根気よくやればできないことではありませんので、頑張って覚えさせましょう。

犬がストレスを感じていないか生活を見直す

食べ物の誤飲・誤食はストレスと直結するものではないのですが、自分を見て欲しいというアピールのつもりで口にしてはダメなものを口にして注意を引こうとすることがあります。普段から一緒に遊ぶ時間を作ってあげたり、お散歩に行ったりして、しっかりコミュニケーションをとることを心がけましょう。

とくに行楽シーズンやお出かけ時は犬の誤飲・誤食に注意!

心地よい季節には、愛犬とともにアウトドアのレジャーや行楽を楽しむ機会が増えるかもしれませんが、犬の誤飲や誤食にはとくに注意すべきタイミングとも言えます。屋外での食事の際には、味の付いたものを落とさないように注意し、ゴミも含めてきちんと管理しましょう。串などはとくに誤食が多く危険なので、なるべく使わないようにするか、金串などを使用して犬が誤食できないように注意してください。

専門家の コメント:

愛犬が誤飲・誤食によって命を落としてしまうような悲しいことは確実に防ぎたいものです。ただ、犬は食べてはいけないものを判別することはできないので、飼い主が誤食しないような家庭内の環境を整えてあげる必要があります。また、日ごろから一度口にしたものを離す「リリース」のトレーニングを行ったり、サークルを活用したりするなどして、誤飲・誤食から大切な愛犬を守ってあげたいものです。

監修/小林充子先生(獣医師)

監修/小林充子先生(獣医師)
CaFelierペットクリニック院長。横浜国大経営学部を卒業後、いったん社会に出るも獣医師への道をあきめきれず、麻布大学獣医学部へ編入学。在学中は国立保険医療科学院(旧国立公衆衛生院)のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行なう。2010年に目黒区駒場でCaFelierペットクリニックを開業。日々診療にあたる傍ら、猫の保護活動にも力を入れており、財団公益法人 動物環境・福祉環境evaの評議員、一般財団法人 犬猫生活福祉財団の評議員も務めている。また、健康な体は日々の食事から、をモットーに、ドライフードの開発やカフェメニューなどの監修も行っている。

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