【獣医師監修】犬の生理(ヒート)の症状とは?時期や生理中の注意点を解説

【獣医師監修】犬の生理(ヒート)の症状とは?時期や生理中の注意点を解説

雌犬の場合は人間と同じように生理があります。犬の生理はヒートとも呼ばれ、発情を指します。手術によって避妊させることも可能ですが、避妊の予定がない場合は生理(ヒート)について理解しておく必要があります。また、事前に生理(ヒート)について理解しておくことによって望まない妊娠などを避けることも可能です。今回はchicoどうぶつ診療所所長の林美彩先生に教えてもらった雌犬を迎える前に飼い主としておさえておきたい生理(ヒート)の基礎的な知識や注意点について解説していきます。

そもそも犬の生理(ヒート)とは?

犬の生理(ヒート)とは人間と同様に出産を行うための準備になります。犬も成長と共に体に変化が起きますが生理(ヒート)もそのひとつです。犬の場合の生理は正確には発情期といいます。発情には周期があり、発情前期・発情期・発情休止期・無発情期というサイクルが繰り返し起こります。この発情前期と発情期にあたるのが犬の生理です。

人間の生理との違いは?

人間の女性も生理周期があります。生理による出血は排卵後しばらくして起きます。人間の場合は受精卵が子宮内に下りてきて妊娠を維持できるよう子宮壁を整え始めますが、準備しても妊娠に至らなかった場合、壁が剥がれ経血のもととなります。

一方、犬の生理(ヒート)による出血は子宮内膜による充血です。この出血は受胎する準備が整ったことの現れで、排卵前には粘着性のある濃い色の出血が起こります。しかし、発情期になると徐々に色が薄まり量も減っていきます。

犬の生理(ヒート)はいつ頃から始まる?

犬の生理(ヒート)は個体差に寄りますが、生後半年から10カ月程度から始まります。遅い犬の場合は、1歳を過ぎてから起きる場合もあります。この時期になると犬は性成熟を迎え初回発情が起きます。発情出血が起きるのは発情前期と呼ばれる期間で、平均で8〜10日ほどと言われています。一般的に小型犬の方が生理(ヒート)を迎えるのが早く、大型犬の方が遅いという傾向にあります。

犬の生理(ヒート)はどのくらいの間隔で起きる?

犬の生理(ヒート)の感覚は個体差がありますが、おおよその目安があります。具体的にどのくらいの間隔なのでしょうか。

小型犬と大型犬で違いがある

実際に生理(ヒート)が始まると、小型犬の場合は5~7ヶ月、大型犬の場合は8~12ヶ月の間隔で生理(ヒート)が訪れます。つまり、1年のうちに1~2回程度生理(ヒート)があると考えましょう。発情前期になると、陰部からの出血が見られると同時に、陰部がふくらみ始めます。早い場合だと8〜10日ほどでおさまりますが、長い場合は2~3ヶ月続くこともあります。出血の程度も個体差がありますが、あまりにも長く出血が続く場合は子宮の病気である可能性も考えられるので、その場合は動物病院で獣医師に相談しましょう。

出血が止まっても注意が必要

犬の陰部からの出血が止まっても生理(ヒート)が終わったというわけではないので注意が必要です。年齢によっては出血の量が少ない場合や、自身で舐めとってしまっている場合もあります。そういった場合は陰部のふくらみの有無も参考にしてみましょう。また、高齢になると出血量の減少や生理(ヒート)の間隔が空いてくるなどの特徴が見られますが、人間と違い犬に閉経はありません。

犬が生理(ヒート)になると、どのような症状・行動を起こすの?

犬が生理(ヒート)になると出血以外にも行動面で普段と違った様子を見せるようになります。どのような症状や行動を起こすようになるのでしょうか。具体的にご紹介します。

落ち着きがなくなる

生理(ヒート)を迎えた犬はとにかく落ち着きがなくなるといった症状が見られます。また、雌犬でも他の犬やぬいぐるみなどを見つけて、抱きつきや腰を押しつけるなどのマウンティングを取るようになります。マウンティングをするようになるのは、雄犬を受け入れる時期になったということを意味しています。

食欲の減少・元気がなくなる

症状としては食欲の減少や元気がなくなるといったことが見られます。また、水をたくさん飲むようになるため、しきりに排尿するようになります。もしも生理(ヒート)が要因で食欲が低下している時は香りの付いたスープ等を与えるなど工夫してみましょう。

巣作り行動をする(偽妊娠状態)

妊娠をしていないのに巣作り行動や乳房が張ったりするなど、偽妊娠状態になることもあります。ぬいぐるみなどを自分の赤ちゃんのように大事に扱ったりするなどの行動が見られる場合もあります。この場合は、治療せずとも数週間ほどで次第に症状はなくなります。

犬の生理(ヒート)は止められる?

犬の生理(ヒート)は避妊手術を行うことで止めることができますが、それにはメリット・デメリットが存在しています。事前に理解し、愛犬にとってどのようにしたらいいのか参考にしてみてください。

避妊手術のメリット

避妊手術を行うことで乳腺腫瘍や子宮蓄膿症といった病気の発症リスクを軽減できるだけでなく、望まない出産を避けるということもできます。避妊を行うことで出血がなくなるため、ソファーやカーペットなどが血で汚れてしまうということを防ぐこともできます。愛犬が生理によってストレスを感じている場合には避妊を検討することもひとつの手段です。

避妊手術のデメリット

一方デメリットとしては犬が避妊手術を受けることによってホルモンバランスに変化が生じます。手術によって臓器が減ってしまい、消費カロリーも減少するため太りやすくなるというデメリットがあります。避妊手術後に食事を与える場合は術前よりもカロリーを3割程度減らすようにしましょう。

避妊手術の時期

避妊手術は生後6カ月以降であれば可能です。注意したいのは発情期中の手術です。発情期中にも手術を行うことは可能ですが、出血をしているなど止血の面で不安な部分があるため極力その時期は避けた方がいいでしょう。また、費用や検査内容、また入院を要する期間などは動物病院によって異なります。かかりつけの獣医師がいれば、まずは愛犬にとって避妊手術するべきなのかなどしっかりと相談したうえで、手術を検討しましょう。

犬の生理(ヒート)中の散歩はどうするの?

生理(ヒート)によって元気がない場合は、無理矢理散歩をさせる必要はありません。もし散歩に連れて行く場合はいくつか注意が必要です。

雄犬との接触を避けること

生理(ヒート)中の雌犬は発情状態になります。そして雄犬は雌犬の生理(ヒート)に対して反応して発情してしまいます。双方が興奮してしまった場合、トラブルにつながりかねません。また、生理(ヒート)中の犬は精神状態もナイーブ・デリケートになります。そのため他の犬と喧嘩になってしまうこともあるので注意しましょう。散歩に連れて行く場合は、周辺の犬と遭遇しない時間帯を選ぶようにしましょう。散歩に連れて行っても、家の周辺を歩く程度にとどめておくことも方法のひとつです。

ドッグランなどの利用も注意

普段なら散歩の途中でドックランやドックカフェなどに行くこともあるかと思いますが、生理(ヒート)中の犬は入場を断られる場合があります。そのような決まりが定められていない場所でも、さまざまな犬が集まることを前提に行動しなければなりません。

他の犬に近づけないようにしても、生理(ヒート)に反応した雄犬につきまとわれてしまう可能性があります。避妊手術をしていない雌犬がいるのと同じように、去勢を行っていない雄犬もいます。そのため妊娠のリスクが高まってしまうほか、犬同士の喧嘩に発展することも予想されます。犬にとっても飼い主にとっても楽しく過ごしたい場合は、犬が生理(ヒート)の間はドッグランなどの施設の利用を避けた方がいいかもしれません。

犬の生理(ヒート)中の食事はどうするの?

生理(ヒート)期間中は食欲が落ちている場合があります。その場合は無理矢理食事を取らせる必要はありません。しかし、どうしても心配な場合は以下のように少し食事に工夫してあげてみてはいかがでしょうか。

やわらかい食べ物を与える

犬の食事にいつもドライフードを上げている場合は、水で少し柔らかくしてあげると食べやすくなります。また、ドライフードではなくウエットフードに変えることもいいでしょう。ウエットフードが受け付けない場合は、ふりかけを混ぜ込むなどドライフードに近い要素のものをプラスするなど工夫をしてあげましょう。場合によっては、手作りのものに置き換える、フードを少し温めてあげることで食べやすくなることもあります。犬の嗜好性を上げることを意識しながら、食事の内容を変えてみてください。

犬が生理(ヒート)になった時、飼い主さんは愛犬にどのようにしてあげるべき?

生理(ヒート)中の犬はいつもと様子が異なり、デリケートになります。生理(ヒート)期間中はそのような精神状態をケアしながら周囲の環境を整えることが大切です。

紙おむつやサニタリーパンツを履かせる

犬の生理(ヒート)中は出血が避けられません。室内にいる場合は、カーペットやソファーに血がついてしまう場合もあります。このような事態をさけるため、紙おむつやサニタリーパンツを履かせることをお勧めします。ただし、これらをつけっぱなしにしてしまうと、皮膚かぶれなどが起きてしまう場合もあるので、適度に交換することが必要です。

また清潔なタオルやコットンをぬるま湯で濡らし、陰部をふき取ってあげましょう。陰部そのものが清潔な状態に保てるとともに、床に落ちる血液の量を少なくすることができます。

やや多めのスキンシップを取る

犬を寝かせてあげて、リラックスしてもらうことも飼い主ができるケアのひとつです。足の付け根や首と背骨の部分などを優しく揉んであげましょう。やわらかなタッチで揉んであげることで、犬もリラックスしてきます。話しかけてあげながら揉んであげるのも効果的です。生理(ヒート)中には犬は情緒不安定な状態になっていることが多いため、いつもよりスキンシップの機会を増やすことを意識しましょう。

サロン利用時は犬のストレスに気をつけて!

サロンに行ってシャンプーやトリミングをすることは、犬の生理(ヒート)中であっても特に問題はありません。実際にヒート中の犬を受け入れているサロンも多くみられます。しかし、注意したいのは犬自身のストレスです。生理(ヒート)期間中はデリケートになっているため、カットやシャンプーが犬にとってストレスに感じてしまうこともあります。そのためサロンの利用は、犬の様子を見ながら検討しましょう。

犬が生理(ヒート)になった時、病院につれて行くべき?

犬が生理(ヒート)状態であっても食欲があり見たところ特に問題がなければ、自宅で様子を見ていても大丈夫です。気にかけたいのは出血量がいつもよりも多い場合や、食欲が突然落ちてしまった場合です。このような状態が見られた場合は一度動物病院を受診しておくようにしましょう。また、陰部をやたら気にしたり、繰り返し嘔吐があったりする場合は他の病気の可能性もあります。こういった場合は早めに動物病院を受診しましょう。

動物病院での診断を受ける前は前後の状態の変化を記録しておきましょう。特に生理が起き始めた時期や出血量、その他の変化などをメモにまとめておくといいでしょう。獣医師もその情報を判断材料にできるので、より正確に診断を行うことができます。

 

※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家のコメント

犬の生理(ヒート)は飼い主にとっても戸惑うことがたくさんあるかもしれません。落ち着いて対処するには、愛犬の生理(ヒート)周期や生理(ヒート)中の様子をきちんと把握することです。特に初めての生理(ヒート)を迎えた場合は前後の様子の違いを注意深く観察しておきましょう。そして犬と飼い主の双方にとって快適に過ごせる空間づくりを心がけましょう。

監修/林美彩先生(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を開設。著書に「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)。


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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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