犬の鼻水の原因とは?考えられる病気や対処法、病院に行くべき症状について解説【獣医師監修】

犬の鼻水の原因とは?考えられる病気や対処法、病院に行くべき症状について解説【獣医師監修】

犬の鼻水を気にしている飼い主の方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。人間と同じように犬の鼻水も生理的な現象で出ることもありますが、鼻水の状態によっては重篤な病気である可能性を秘めており、何か病気のサインかもしれないのです。そこで今回は、chicoどうぶつ診療所所長の獣医師・林美彩先生に、犬の鼻水についてお話を伺いました。

犬の鼻水の原因はどんなことが考えられる?

犬の鼻空気中の匂い分子を吸着させるため、健康な犬の鼻は湿っています。鼻が乾燥しないように鼻水を出して、湿潤状態を保っていますが、以下のような原因によっても鼻水が出ることがあります。


異物が鼻に入る

ゴミや埃を吸い込んで鼻に異物が入ると、異物を洗い流そうとする生理的な反応により、透明で水のような鼻水が分泌されます。細菌やウイルスも異物として排除しようとします。


鼻炎による鼻水

細菌やウイルスを洗い流せず、鼻の中の粘膜が炎症を起こした状態が鼻炎です。炎症が起きると、炎症の原因や症状により、さまざまな状態の鼻水が出ます。


寒さによる鼻水

寒い環境で空気を鼻から吸う際、冷たく乾燥した空気が体内に入らないように、鼻水を出して空気を湿らせ温かくします。つまり、体温低下防止や鼻の湿潤状態を保つために、鼻水が出ているのです。

犬の鼻水の状態によって原因を見極めることはできるの?

鼻水の状態にはいくつかの種類があり、それぞれ原因が異なります。


透明で水のような鼻水の場合

透明の水のような水様性の鼻水は、通常さらさらしています。ほとんどが生理現象の範囲で、初期のアレルギー反応や歯周病などの場合でも、水様性鼻汁が見られます。ただし、子犬の場合はウイルス感染の兆候の場合もあり、透明な鼻水で軽度な鼻炎だと思われていたのが、炎症が重症化することもあるので注意してください。


黄色くネバつきのある鼻水の場合

黄色でネバつきのある膿性の鼻水は免疫細胞を含んだ状態です。この鼻水が出ているときは、細菌が関与していることが多く、風邪などの感染症が起きている可能性があるでしょう。また、歯周病など口腔内の異常が進行した場合や、アレルギーが重症化・慢性化したケースにも、膿性の鼻水が出ます。中年から高齢犬では黄色の鼻水を放置していると、蓄膿症になる可能性もあります。犬の蓄膿症は治りにくいので早めの対処が必要です。


血液が混じった茶色い鼻水の場合

鼻水が赤かったり、ピンクがかっていたりする場合は、血液が混ざっています。激しいくしゃみの後や外傷、重症化した鼻炎、鼻腔内腫瘍などが原因として考えられます。その他、真菌の感染症高血圧や止血異常などが原因の場合も出血が見られることがあります。すぐに動物病院で診てもらうのがいいでしょう。

 

空気が混じった泡のような鼻水の場合

空気が混じって泡のような鼻汁が出ている場合には、肺水腫の可能性が考えられます。肺水腫とは、肺の中に水が溜まり、肺胞や気管支などに機能不全が起きる病気のことです。呼吸ができず、最悪の場合は呼吸困難に陥ります。突発性かつ重度の場合には、死に至る危険性もあるので注意が必要です。とても危険で緊急性も高い状態といえます。

併発する症状によって見極められる犬の鼻水の原因は?

鼻水が出ているときは他の症状も起こることがあり、併発する症状によって原因を見極められることがあります。そのいくつかをご紹介しましょう。


くしゃみもある場合

くしゃみを伴う鼻水は、風邪を含む感染症やアレルギーなどが原因である可能性が考えられます。また、歯周病や口腔内腫瘍などでも、くしゃみが見られることがあります。

感染症は、水様~膿様鼻汁、くしゃみ、発熱、目やに、食欲不振といった症状があり、軽度で短時間に治まる場合は、住居の掃除をしたり、芳香剤などの使用を見直してみましょう。特定の季節に症状が出る場合は、花粉症などのアレルギーの可能性が高いため、空気清浄器などの使用がおすすめです。



熱もある場合

鼻水とともに熱もある場合は、感染症による影響が考えられます。また、子犬を家に迎え入れた後に、感染症と同様の症状が頻繁に見られる場合は、ケンネルコフ(伝染性気管気管支炎)というウイルスと細菌の複合感染により起こる病気を発症しているかもしれません。重症化することもあるので、早めに動物病院にかかりましょう。


目やにもある場合

目やにが併発する鼻水の原因には、感染症やアレルギーが考えられます。鼻と目は管でつながっているため、鼻に入った病原体が目まで広がり、結膜炎になり目やにが出ることがあります。時々、血混じりの鼻水が出る場合は鼻炎の可能性もあり、アレルギー性結膜炎を併発することで目やにが出ることがあります。

鼻水の原因に考えられる病気と症状は?

鼻水が出る原因に考えられる病気には、他にも見られる症状があります。


感染症

風邪を含めた感染症の場合、水様の鼻水や膿様の鼻水が出て、くしゃみや発熱、目やに、食欲不振も一緒に起こります。


ケンネルコフ

子犬がかかるケンネルコフは、水様~膿様の鼻水の他、くしゃみ、発熱、目やに、食欲不振が見られます。


鼻炎

鼻炎になると、水様の鼻水や膿様の鼻汁、血混じりの鼻水が出ます。併発する症状として、くしゃみ、発熱、食欲不振が挙げられます。


鼻腔内腫瘍(がん)

がんなどの鼻腔内腫瘍は膿様や血混じりの鼻水が出て、くしゃみや発熱、食欲不振も伴うでしょう。


歯周病

歯周病の場合、水様や膿様の鼻水の他、血混じりの鼻水も出ることがあり、くしゃみ、発熱、食欲不振を併発します。


肺水腫

肺水腫の場合は、水様の鼻水や泡混じりの鼻汁、血混じりの鼻水が出ます。その他、くしゃみ、発熱、呼吸困難、粘膜蒼白も見られるでしょう。


アレルギー(花粉症)

花粉症などのアレルギーは症状により、水様や膿様の鼻汁、時々血混じりの鼻水が出るでしょう。同時に、くしゃみや食欲不振も起こります。

鼻水が出やすい犬のライフステージはある?

子犬は鼻水が出やすい免疫が不安定な子犬や、免疫力が働きにくくなってくるシニア犬は注意が必要です。また、妊娠中の犬や、何かしらの重篤な疾患を患っている犬も免疫がアンバランスな状態なので、注意しましょう。

病院へ行くべき犬の鼻水は?

病院に行くべきタイミングや鼻水の状態、そして併発した症状がどのような状況になったら受診を判断すべきなのか、詳細は次の通りです。


しばらく様子を見てもいい鼻水

水様の鼻水の場合には、生理的な場合がありますので、様子見でいいと考えることができます。


すぐに動物病院へ連れていくべき鼻水

膿様の鼻水が見られた場合には、病院へ連れていったほうが安心です。泡混じりの鼻水は緊急性が高い危険な状態がほとんどなので、すぐに病院で受診してください。

犬の鼻水の動物病院での治療法は?

抗生剤などで様子を見ることがほとんどです。原因によって、抗菌薬や抗真菌薬、抗アレルギー薬などが処方されます。鼻の内視鏡による異物の除去や鼻腔内の腫瘍の治療、抜歯などの歯周病の治療が必要になることもあります。

犬が鼻水を出したらどう対処すればいい?鼻水を上手に拭き取るコツは?

鼻水の出る病気には、進行すると重症化してしまうこともあります。きちんとした対処法を身につけることが重要です。


自宅でできる対処法

少量かつ短時間で治まる鼻水は、室内の温度管理と掃除をしてください。洗剤や芳香剤など匂いが強いものの使用を見直してみるとよいでしょう。


鼻水を上手に拭き取るコツ

水様の鼻水であれば軽く拭き取る程度で問題ありません。膿様の鼻水は小まめに拭き取る他、乾燥して固まってしまった場合には、人肌程度より少し温かくしたタオルで湿らせてから拭き取ってあげてください。

犬の鼻水を予防する方法は?

歯周病予防は鼻水予防子犬のケンネルコフの場合には、ワクチンでの予防が可能です。その他、口腔内のケアや歯周病などは口腔内疾患の予防になるので、口腔内疾患が原因となる鼻水の予防にも繋がります。また、免疫を保っておくことは健康維持の秘訣です。犬に十分な栄養と睡眠を与え、適度な運動も忘れずに行ってください。

犬の鼻水は他の犬や人間にうつるの?

ウイルスや細菌は接触感染や飛沫感染をするため、他の犬にうつることがあります。原因となるウイルスや細菌は、主に犬ジステンパーウイルスや犬ヘルペスウイルスなどで、人間に感染するものとは異なります。人獣共通感染症ではありませんので、人間にうつることはありません。

犬の鼻水の注意点は?

生理学的な範囲での鼻水であれば様子見でも問題ありませんが、血混じりの鼻水が続いたり、鼻水が固まって呼吸が苦しそうなどの症状が見られたりする場合には、なるべく早く病院で受診してください。また、感染症の場合は他の犬との接触は避けるようにしましょう。症状が治まっても再発や慢性化の恐れがあるので、必ず獣医師の指示に従うことに留意してください。

専門家のコメント:

犬の鼻水が気になったら、まずは鼻水の色や量、状態をチェックしましょう。花粉やハウスダストが原因の場合は、こまめに部屋の掃除をして清潔な住環境を保つようにしましょう。また、免疫力が落ちていると感染症を引き起こす可能性が高いので、適度な運動やバランスの取れた食事をすることで、犬にストレスがかからないようにすることも大切です。少しでもいつもと違う症状が出たら、早めに動物病院を受診することを心がけてくださいね。

監修/林美彩先生(獣医師)


chicoどうぶつ診療所所長
酪農学園大学卒業
獣医保健ソーシャルワーク協会獣医ホリスティック医療研究会所属

 

大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を解説。テレビ番組への出演・協力のほか、「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)などの著書がある。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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