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【獣医師監修】犬が階段や段差を怖がる!考えられる病気は?【犬の健康診断】

【獣医師監修】犬が階段や段差を怖がる!考えられる病気は?【犬の健康診断】

愛犬の日々の様子を見て、触れていて気づく、ちょっとした変化やトラブル。その原因はさまざまに考えられますが、何か病気が原因の症状かもしれません。犬が階段などの段差を怖がっているときに考えられる原因や病気についてご説明します。

犬が階段を怖がるのは甘えたい気持ちからの「かまって」アピール?

階段を登れない・下りられない、縁石を怖がる、玄関から室内に上がれない……。日常生活で段差があるシーンは多いもの。犬が怖がっている姿はかわいらしくもありますが、やはり心配になってしまいますよね。

問題は、どのようなシーンで犬が段差を怖がっているかです。いろんなことに慣れていない子犬のうちは、特に心配はいりません。成長するにつれ、段差に慣れていくでしょう。成犬でも、階段の上から「クーン」と鳴いているときはオーナーに甘えたい気持ちからであることがほとんどです。特に理由なく階段に登り、本当は下りられるのに「下りられない」と鳴いてアピールをする犬は珍しくありません。「かまって」アピールともいえるでしょう。



精神的な理由や老化から段差を怖がる犬も

しかし、このような状況ではないにもかかわらず、「これまでは大丈夫だったのに、段差を怖がるようになった」というときは注意が必要です。考えられる理由は、精神的なものと病気が隠れているケースの2点です。

犬がどのタイミングで段差を怖がるようになったのかを思い出してください。階段から落下したなどの経験があると、「段差=怖いもの」と犬にインプットされてしまい、段差を怖がるようになることがあります。どうしても上り下りが必要であれば、段差にすべりにくい工夫を加えたり、上り下りを補助するステップなどをセットしたり、オーナーが抱っこで一緒に上ってあげたりすると、恐怖心が薄れることもあります。

問題は、犬の体に病気が隠れているケースです。犬が段差を怖がるようになったとき、まず考えられるのは老化です。

老化したことで体の機能が衰え、段差を怖がるようになる犬は多いです。筋肉量が減ることによって体に負担がかかりやすくなることに加え、目や耳が機能しづらくなったストレスからも段差を怖がることがあります。このような犬は段差を怖がるだけでなく、歩き方がおかしくなった、ソファーに登ろうとしても登れないといったシーンも見受けられるでしょう。7歳以上の犬はシニア犬と呼ばれる年齢であり、老化は残念ながら止めることができません。体に負担をかけないためにも室内はできるだけバリアフリーにする、散歩中は縁石・段差を避けるなどの工夫をするとよいでしょう。



足や腰に痛みを感じる病気の可能性も

まだ子犬や成犬の年齢なのに段差を怖がるようになったときは、精神的な問題に思い当たることがなければ病気を疑ってみてください。考えられる主な病気には、捻挫、骨折、脱臼(膝蓋骨、股関節)、股関節形成不全、椎間板ヘルニア、関節炎、前十字靭帯断裂、レッグペルテス症、関節リウマチがあります。

こうした病気を抱えている場合、足や腰などに痛みを感じることから段差の昇降を躊躇している可能性があります。犬に痛みがあるときは、段差を怖がるだけでなく足をかばうような歩き方になったり、足を引きずったり、左右に激しくお尻を振りながら歩いたりするのも特徴です。散歩を嫌がるようになる、座り方に違和感を覚えるといったケースもあるでしょう。

どの病気やケガも全年齢・全犬種に起こり得る可能性がありますが、特に捻挫と骨折は要注意です。捻挫は運動中に起こすことが多いため、激しく動いたときや散歩の後に様子がおかしい場合は疑ってみましょう。骨折も同様に全年齢・犬種に起こり得るものですが、骨の細い犬種は特に注意してください。



考えられる主な原因

犬が段差を怖がる場合に考えられる主な病気や原因をご紹介します。あくまでも主要なものなので、他にも気になることがあればかかりつけの病院でご相談ください。

【考えられる主な精神的・肉体的理由】

・失敗体験

・老化

段差を怖がる、ジャンプができなくなる、見えづらそう・聞こえづらそうにしているなど。


【考えられる主な外傷】

・捻挫

段差を怖がる、ジャンプができなくなる、歩き方が変わる、足を引きずるなど。

・骨折

段差を怖がる、ジャンプができなくなる、歩き方が変わる、足を引きずるなど。

・脱臼(膝蓋骨、股関節)

段差を怖がる、ジャンプができなくなる、歩き方が変わる、足を引きずるなど。膝蓋骨脱臼は小型犬、体重が5キロ以下の子は特に注意。


【考えられる主な病気】

・股関節形成不全

段差を怖がる、ジャンプができなくなる、歩き方が変わる、足を引きずるなど。大型犬がなりやすい。

・椎間板ヘルニア

段差を怖がる、ジャンプができなくなる、歩き方が変わる、足を引きずるなど。ミニチュアダックスフンドやコーギー、フレンチブルドッグなど、胴長・短足の犬種に多い。

・関節炎

段差を怖がる、ジャンプができなくなる、歩き方が変わる、足を引きずる、足の関節が腫れるなど。大型犬によく見られる。

・前十字靭帯断裂

段差を怖がる、ジャンプができなくなる、歩き方が変わる、足を引きずる、左右対称に座れない、関節が腫れるなど。大型犬で重症化しやすい。

・レッグペルテス症

段差を怖がる、ジャンプができなくなる、歩き方が変わる、足を引きずるなど。成犬かつ小型犬に多い。


犬の体型と年齢別に考えられる主な原因

犬が段差を怖がる場合、体型や年齢別に考えられる主な原因をご紹介します。これ以外の病気にはかからないということではないので、少しでも気になることがあれば病院で相談してください。

●小型犬 ・ 幼犬

失敗体験、捻挫、骨折、脱臼(膝蓋骨、股関節)、椎間板ヘルニアなど。

●中型犬 ・ 幼犬

失敗体験、捻挫、骨折など。

●大型犬 ・ 幼犬

失敗体験、捻挫、骨折、股関節形成不全、関節炎、前十字靭帯断裂など。

●小型犬 ・ 成犬

失敗体験、捻挫、骨折、脱臼(膝蓋骨、股関節)、椎間板ヘルニア、レッグペルテス症など。

●中型犬 ・ 成犬

失敗体験、捻挫、骨折など。

●大型犬 ・ 成犬

失敗体験、捻挫、骨折、股関節形成不全、関節炎、前十字靭帯断裂など。

●小型犬 ・ シニア犬

失敗体験、老化、捻挫、骨折、脱臼(膝蓋骨、股関節)、椎間板ヘルニアなど。

●中型犬 ・ シニア犬

失敗体験、老化、捻挫、骨折など。

●大型犬 ・ シニア犬

失敗体験、老化、捻挫、骨折、股関節形成不全、関節炎、前十字靭帯断裂など。


まとめ:

段差を怖がるのは精神的な理由の他、病気を抱えていることも考えられます。犬の様子がおかしいと思ったら、ちょっとしたことでもかかりつけの病院で相談すると安心できます。また、もともと段差を昇降する行為は犬の体にかなりの負担がかかっています。室内の環境も、なるべくバリアフリーに整えてあげましょう。

※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

監修/林美彩先生(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を開設。著書に「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)。

著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

ペットに関する情報を日々発信していきます。

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