犬のマーキングをやめさせる方法とは?必要なしつけと対処法を解説【獣医師監修】

犬のマーキングをやめさせる方法とは?必要なしつけと対処法を解説【獣医師監修】

犬を散歩させていると、電柱など高さのあるものの前に立ち止まって足を上げ、ちょっとオシッコをかけることがありますがこれをマーキングといいます。マーキングは、本格的な排泄行為とは異なる犬の習性です。飼い主としては、まわりの迷惑となるマーキングはやめさせなければなりません。また、室内でもマーキングをする犬もおり、悩みの種になることもあるでしょう。今回は、chicoどうぶつ診療所所長で獣医師の林美彩先生に、犬のマーキングの目的や、飼い主がしてほしくないところでマーキングをさせないための工夫、してしまった場合の対処法について解説していただきました。

犬がマーキングをする理由とは?

犬のマーキングをやめさせる方法とは?必要なしつけと対処法を解説【獣医師監修】警察犬、麻薬犬など、嗅覚を使って人間のお手伝いができるほど、犬の鼻は優秀です。マーキングはそうした特性を生かした行動といえます。マーキングは基本的には犬が自分の情報を発信したいという本能に基づくもので、不適切な場所での排泄とは根本的に違います。情報発信以外にもマーキングにはさまざまな目的や理由があります。


従順な犬と反抗的な犬はマーキングに差がある?

犬の気質によってマーキングにはあまり差はないと考えられますが、分離不安、ストレスなどでマーキングをする場合があります。また、犬に生まれつき備わっている、カーミングシグナルとして行う場合もあります。カーミングシグナルとは相手に自分の感情などを伝えるための合図です。

屋外でのマーキングの理由は?

犬を散歩に連れ出すと、電柱や住宅の石垣や生垣などに近づいて、マーキングをしたがります。こうした屋外でのマーキングにはいくつかの理由があります。


縄張りの主張

マーキングの目的として一般的なのは、縄張りを示すことです。「このエリアは自分のテリトリーだよ」ということを他の犬に知らせるために行います。一方で、家族とのお出かけなどで、自宅から離れた場所にでかけた場合にも犬はマーキングをしたがることがあります。


情報交換

人間の10万倍もの鋭い嗅覚を持つと言われている犬にとって、お互いのオシッコから得られる情報は人間の想像を超えているようです。鼻がいい犬は、オシッコのにおいをかいだだけで相手の犬のいろいろな情報を受け取ることができるのです。犬が足を高く上げて、なるべく高い位置にオシッコを掛けようとしているのは、高い位置にひっかけた方が後から消されづらいからかもしれませんが、自分をできるだけ大きくみせるためだとも言われています。


メス犬へのアピール

去勢が済んでいないオスによく見られるのですが、自分のにおいを各所に付けることで、発情したメスに対して自分の存在をアピールする目的で、マーキングをしたがります。一般的にマーキングはオスに多く見られる傾向がありますが、メスがマーキングすることもあります。

 

また、マーキングのにおいをかいだメスが、「なるほど、近所に発情中のオスがいるのね」と情報を受け取り、自分の存在を知らせるために同じ場所にマーキングすることがあるようです。オシッコから多くの情報を伝えあえる犬にとって、マーキングを使って一種のお見合いのようなやりとりをしようとしているのかもしれません。

犬が室内でのマーキングをする理由は?

犬のマーキングをやめさせる方法とは?必要なしつけと対処法を解説【獣医師監修】マーキングが情報交換や、ほかの犬に自分の存在をアピールするのが目的ならば、屋外限定の行動となるはずです。ただ、室内でのマーキングで悩んでいる飼い主もいらっしゃるかもしれません。犬が室内でマーキングするのは、以下のような理由が考えられます。


気持ちを落ち着かせる

子どもを旅行に連れて行くときに、いつも使っている枕や寝具があると安心して寝つきがよくなることがあります。使い慣れているということに加えて、自分のにおいをかぐことでいつもと変わらないことに安心するのかもしれません。同じように犬もオシッコをして自分のにおいをつけることで、気持ちを落ち着かせていると考えられます。慣れないお客さんが来宅したとか、近所で工事の騒音があるなど、なんらかの理由で不安な状態になり、その気持ちを紛らわすためにマーキングを始めることもあるようです。


ストレス発散

犬が、飼い主が気づかないところで恐怖を感じる経験をしたり、飼い主との分離不安を感じたりと、なんらかのストレスなどを受けており、そうした気持ちを解消するためにマーキングを行う場合もあります。先述したカーミングシグナルを出すことで相手を落ち着かせたり、自分を落ち着かせたりするのですが、マーキングはカーミングシグナル一種として考えられています。


膀胱炎などの病気

トイレトレーニングができており、いままで決まった場所で排泄できていたのに、突然室内のあちこちにオシッコを始める場合があります。これは性別にかかわらずなにか目的のあるマーキングではなく、膀胱炎などによる残尿異常が原因の場合が多いです。膀胱炎になると炎症から常に刺激が送られ続けるので、尿は全く溜まっていないのに溜まっているような、いわゆる残尿感を感じ続けています。これが少量ずつ尿を排泄するマーキングのような行動につながるのです。

室内でのマーキングをやめさせる方法とは?

室内でのマーキングは、屋外でのマーキングとともにもしっかりとコントロールする必要があります。以下のポイントを押さえておくようにしましょう。


マーキングする原因を取り除く

飼い主がマーキングだと思っていても、単なる粗相の場合もあります。しつけとして大切なトイレトレーニングは、しっかり行うことが重要です。排泄はおうちの中の決められた場所でするものだというしつけができていない場合は、まずはそうした決まりをきちんと覚えさせましょう。


去勢、避妊手術をする

早期の去勢避妊手術でマーキングが治まることもありますが、マーキングが癖になってしまっている子の場合には、手術を行っても落ち着かないこともありますので注意が必要です。


行動できるスペースを制限する

自由な場所が多いと縄張り意識としてマーキングしてしまうことが多いので、場所を制限することで回数を減らすことはできるかもしれません。


挙動が怪しい場合はハウスに入れる

ハウスに入れることでマーキングを行動が制限され、マーキングを防ぐことができるかもしれません。マナーウェアの着用も効果があります。

マーキングをされてしまった場合の対処法は?

犬のマーキングをやめさせる方法とは?必要なしつけと対処法を解説【獣医師監修】散歩中であれば、オシッコを洗い流す水を持ち歩き、マーキングしてしまったらその場所をきれいにしましょう。マーキングのオシッコは通常の尿よりもにおいがきつい場合があるようですので、そのままにしないことが飼い主のマナーです。室内の場合は、その後のにおいが悩みの種でしょうから、掃除をしたあとに消臭スプレーを活用するといいでしょう。ペットショップなどにいくつかの種類が並んでいると思いますが、消臭効果だけでなくなるべく体に有害な物質が含まれていない、天然成分のものチョイスすることをオススメします。


散歩の前におしっこを済ませる

散歩の前にしっかりとおしっこをさせることで、屋外で急な尿意に襲われることなく散歩を続けることができます。


マーキングの予兆行動を知ってすぐに対応できるようにする

日頃からよく観察し、いつもマーキングをしようとする場所を覚えておきましょう。そのうえでマーキングの予兆がつかめるようにします。予兆を感じたら、飼い主はリードを引っ張るなどして、なんとかマーキングを阻止できるように心がけてください。


声をかけて匂いに執着させないようにする

屋外でのマーキングは犬の本能から出る行動ですから、飼い主が工夫して気持ちをほかに向けてあげることが必要です。マーキングへの執着から気をそらせるために、様子をみながら声をかけてあげてみましょう。飼い主の声掛けに注目させるということをトレーニングしておくのは、マーキング以外にも役立つのでトレーニングすることをオススメします。


マナーウェアを着用させる

マナーウェアを着用させることで急なマーキング、粗相に対応することができるのでまだ慣れていない犬、しつけができていない犬に関しては着用しても良いかもしれません。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家のコメント

犬の本能的な行動とはいえ、マーキングはしてはいけない場所での排泄行動には他なりません。衛生面でも、においの面でもまわりの迷惑になりますので、叱らずにできるだけコントロールしてあげたいものです。犬自身にはどうにもできない排尿異常(膀胱炎など)でもマーキングのような行動が見られることがありますし、つい粗相をしてしまう場合もあるでしょう。飼い主がマーキングなのか排尿なのかの見極めを行えるようにしておけば、必要な対応がわかります。泌尿器疾患の見落としがなくなり、早期に治療を行うこともできます。また、発情にかかわるマーキングであれば、去勢や避妊手術を検討することもいいでしょう。マーキング行動が気になったら、飼い主はまずその理由が何なのかをしっかり見極め、必要であれば獣医師に相談するといいでしょう。

監修/林美彩先生(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を開設。著書に「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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