イタリアン・グレーハウンド(イタグレ)の性格や特徴は?飼い方のコツやかかりやすい病気について解説【獣医師監修】

イタリアン・グレーハウンド(イタグレ)の性格や特徴は?飼い方のコツやかかりやすい病気について解説【獣医師監修】

犬種図鑑

2023年02月22日 更新 (2022年08月23日 公開)

chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。

イタリアン・グレーハウンド(イタグレ)の性格や特徴は?飼い方のコツやかかりやすい病気について解説【獣医師監修】

イタリアン・グレーハウンドのルーツや歴史は?

イタリアン・グレーハウンドの性格や特徴は?飼い方のコツやかかりやすい病気について解説【獣医師監修】16世紀のルネッサンス期において、イタリアや南ヨーロッパ、トルコなどで絶大な人気を集めていたといわれるイタリアン・グレーハウンド。当時の王侯貴族の肖像画にもよく登場しており、高い身分の人から寵愛を集めていたことが伺えます。

 

そんな彼らのルーツは、古代エジプトのファラオ宮廷で飼育されていた小型のグレーハウンドではないかと言われています。そこから派生した個体がイタリアに渡って人気の犬種となり、現在のようなイタリアン・グレーハウンドが生まれました。

 

その後は一時的に絶滅の危機に瀕していましたが、1880年代にアメリカから逆輸入され、再度頭数が増えたと言われています。

イタリアン・グレーハウンドの体高・体重は?

ここからはイタリアン・グレーハウンドの平均的な体高や体重がどれくらいかを見ていきましょう。

体重

個体差はありますが、イタリアン・グレーハウンドの平均的な体高は3238㎝くらいと言われています。

 

体重

平均的な体重は58㎏と、ほっそりとした体型の小型犬です。オスは筋肉質な体型になりやすいので、メスよりも重くなるかもしれません。

イタリアン・グレーハウンドの平均寿命はどれくらい?

寿命は13歳前後と言われています。日本で飼われている犬の平均寿命が約14年のため、他の犬種と比べても平均的な寿命と言えるでしょう。ただし、さらされるストレスや体への負担の度合いによって、若干異なる場合もあります。

イタリアン・グレーハウンドの毛色の種類や被毛の特徴は?

イタリアン・グレーハウンドは毛色の種類が豊富な犬種です。どの毛色も、完全な単色の場合は「レッドソリッド」「ブルーソリッド」のように呼ばれます。ソリッドは理想的なカラーとされていますが、個体によってはホワイトの班が入る子もいます。主な毛色としては、以下のようなものがあります。


レッド

赤褐色の毛色です。


ブルー

青みがかかった灰色の毛色です。


ブラック

黒一色の毛色です。


フォーン

黒みがかったゴールドの毛色です。


シール

やや赤茶色がかったブラックのような毛色です。「シール」とはアザラシのことを指します。

 

被毛の特徴

被毛はとても短くなめらかで、サテンのような触り心地をしています。イタリアン・グレーハウンドは被毛が短いうえ、オーバーコートのみのシングルコートのため、寒さに弱い特徴を持ちます。なお、抜け毛の量は比較的多い傾向にあります。

イタリアン・グレーハウンドの性格の特徴は?オスとメスで違いはある?

イタリアン・グレーハウンドの性格や特徴は?飼い方のコツやかかりやすい病気について解説【獣医師監修】優雅な雰囲気をまとうイタリアン・グレーハウンドですが、実際にはどのような性格をしているのでしょうか。


繊細で人見知り

臆病な性格で、内気なところがあります。初めての人に対しては人見知りしやすく、一定の距離を置く場合もあります。

温厚で甘えん坊

基本的に内気なので、攻撃的なところは少なく、温厚で穏やかな性格です。他人には人見知りする一方、家族には忠実で甘えん坊なところを見せてくれます。狩猟犬らしく、遊ぶのが好きな一面もあります。


オスとメスによる性格の違い

オスはメスよりも活発なため、縄張り意識が強く人見知りしやすい傾向にあります。メスはオスほど運動量を必要とせず、おとなしい性格の子が多いと言われています。

イタリアン・グレーハウンドは初心者向きの犬?

イタリアン・グレーハウンドは短毛でお手入れがしやすい犬種で、性格も温厚、家族になじみやすいため、比較的初心者に向いている犬種と言えます。

 

ただし、骨が弱いため、生活環境を整え、体重管理に取り組む必要があります。また、運動量が多いため十分な散歩時間を確保する必要があるほか、神経質な性格のケア、寒さ対策などが必須です。「初心者にも飼いやすいから」と気軽に迎え入れるのは控えましょう。

イタリアン・グレーハウンドを飼うのに向いている人の特徴

イタリアン・グレーハウンドは遊び好きな一面があるので、広いスペースを確保できて、散歩時間をしっかりと確保できる人が向いているでしょう。

イタリアン・グレーハウンドの外見や吠え声の特徴は?

イタリアン・グレーハウンドの性格や特徴は?飼い方のコツやかかりやすい病気について解説【獣医師監修】イタリアン・グレーハウンドの外見や吠え声にはどのような特徴があるのでしょうか?


外見

イタリアン・グレーハウンドの外見的な特徴は、狩猟犬らしく細く引き締まった体幹と長い四肢です。マズルが長めの顔で、全体的に気品あふれる優雅な雰囲気をまとっています。


吠え声

吠え声は比較的大きめですが、仲間と遊ぶとき以外はあまり吠えません。しかし、生活環境によって吠え癖が身につく場合もあるので注意しましょう。

イタリアン・グレーハウンドがかかりやすい病気とその症状とは?

他の犬種と同じように、イタリアン・グレーハウンドにもかかりやすい病気が複数あります。それぞれの症状と予防法をチェックしておきましょう。


膝蓋骨脱臼

イタリアン・グレーハウンドは生まれつき滑車溝(膝の骨がはまる部分)が浅いため、膝蓋骨脱臼を起こしやすい犬種です。また、肥満や外傷が原因で脱臼することもあります。遺伝性のものの場合には、繁殖を避けることが予防に繋がります。肥満によるものは、適切な体重管理で予防できます。


骨折

イタリアン・グレーハウンドは長い四肢を持ち、ジャンプ力もあるため、高い場所から飛び降りたときなどに骨折が起こりやすい傾向にあります。高い場所にのぼらないような工夫をすること、滑りにくい床材に変えることが重要です。


歯周病

歯肉や骨といった歯周組織の病気で、歯のぐらつきや口臭、歯が抜けるなどの症状があります。進行すると顎が溶けてしまうほか、臓器にも悪影響を及ぼします。予防のため、日々の歯磨きをきちんと行いましょう。


緑内障

眼房水の貯留による眼球内の圧力が高くなった状態です。遺伝や腫瘍、炎症などによって起こります。


意識障害

遺伝的な脳の異常によって起こります。


カラー・ダイリューション脱毛(CDA

遺伝的素因が関連している病気です。ブルー系の毛色で起こりやすく、薄毛になったり、毛の生え方がまばらになったりします。


パターン脱毛

左右対称の脱毛症状のこと。生後69か月頃に発症しやすい病気で、耳を覆う全体の脱毛と色素沈着が現れるケースと、いたるところに発症するケースがあります。


てんかん

発作的に繰り返される全身性の痙攣や意識障害が起こります。遺伝的素因が関与する特発性、脳疾患が関与する二次性があります。

イタリアン・グレーハウンドの食事で気をつけることとは?

イタリアン・グレーハウンドの性格や特徴は?飼い方のコツやかかりやすい病気について解説【獣医師監修】イタリアン・グレーハウンドは運動量が多い犬種のため、動物性たんぱく質をしっかり摂取できるフードを選びましょう。

 

粒はある程度噛める大きさのものが好ましいですが、丸飲みしてしまう子の場合には、できるだけ小粒にして窒息させないよう気を付けましょう。また、早食いをしないように容器などを工夫することも重要です。

イタリアン・グレーハウンドの日常のお手入れで気をつけることは?

被毛の短いイタリアン・グレーハウンドですが、ブラッシングなどの基本的なお手入れは欠かせません。主に以下のポイントに気を付けてみましょう。


週に23回ブラッシングする

長毛種ではないものの、ブラッシングをすると適度に皮膚が刺激されて脂質の分泌が促されるため、皮膚の状態を健康に保ちやすくなります。


週に2回ほど濡れタオルで拭いてあげる

皮膚病になりやすい犬種のため、清潔な状態を保つことが重要です。定期的に濡れタオルで体を拭き、散歩などでついた汚れを取り除いてあげましょう。濡れたままだと体が冷えるので、乾いたタオルで水分を拭き取り、しっかりと皮膚を乾かすようにしてください。


乾燥対策をする

秋冬は乾燥による皮膚や被毛トラブルが増えやすくなるため、部屋の湿度対策をしましょう。専用の保湿剤などを使うのも良いかもしれません。


皮膚を清潔に保つ

皮膚の状態を放置すると、皮膚炎などのトラブルにつながります。こまめに身体を洗ってあげたり、かゆみなどを感じていないかどうかなど気にかけたりすることが大切です。

イタリアン・グレーハウンドのしつけの仕方と注意点とは?

イタリアン・グレーハウンドのしつけはどのように行えば良いでしょうか。以下のポイントを意識してしつけに取り組んでみてください。


しつけを始める時期

家に迎えてから、できる限り早めからしつけを行うようにしましょう。家族として迎え入れてから大体1週間程度で家の環境にも慣れてくるので、そこからトレーニングをスタートするのがおすすめです。


子犬期のしつけの仕方

褒めるしつけを行い、良い行動の頻度を高めることを意識します。おやつをうまく使うなどしてトレーニングを行ってみましょう。


社会化期のしつけの仕方

自我が芽生え始める社会化期には、メリハリをつけたしつけがおすすめです。恐怖心が芽生えやすい時期でもあるため、さまざまな経験をさせて恐怖心を取り除いてあげる工夫も必要です。また、ワクチン接種を終えたら、さまざまな場所に出かけてたくさんの経験を積ませてあげましょう。


イタリアン・グレーハウンドが起こしやすい問題行動とは?

イタリアン・グレーハウンドは温厚な犬種ですが、落ち着きがない、散歩中に引っ張ってしまう、寂しさから分離不安を起こすなどの問題行動が見られることもあります。また、オスはメスに比べて警戒心が強く、攻撃性なども出やすい傾向にあります


オスとメスによるしつけの違いがあるかどうか

オスとメスでは特にしつけの違いはありません。ただ、オスはメスよりマーキングが多く見られる場合があります。マーキングを減らしたい場合、去勢手術を検討してみてください。

イタリアン・グレーハウンドの散歩の頻度や時間、注意点は?

イタリアン・グレーハウンドは十分な運動量を確保する必要のある犬種です。散歩に関しては、次のことを守りましょう。


散歩の時間、頻度

概ね1回につき1時間程度、12回の散歩が必要です。


定期的にドッグランで思う存分運動させてあげる

運動量が必要な犬種のため、普段の散歩以外にも時にはドッグランなどで走らせてあげることも重要です。


散歩時の注意点

好奇心が旺盛ですので、他犬とのトラブルが起きないよう気を付けてください。散歩中に飼い主を引っ張ってしまいやすい傾向もあるため、トレーニングを行いましょう。


散歩後のお手入れ

皮膚に汚れが付きやすいため、濡れタオルなどで拭き取り、その後乾いたタオルなどで残っている水分を取り除きましょう。

イタリアン・グレーハウンドにおすすめの遊び方やトレーニング方法

活発な犬種なので、さまざまな遊びを取り入れましょう。室内遊びも充実させるとストレス発散にもつながるはずです。また、知能が高く賢いので、知育トイを用いる方法もおすすめです。

イタリアン・グレーハウンドを飼う際の注意点

イタリアン・グレーハウンドの性格や特徴は?飼い方のコツやかかりやすい病気について解説【獣医師監修】イタリアン・グレーハウンドは繊細なところのある犬種です。飼う際は次のようなことに注意しましょう。


寒さに弱いので防寒対策は必須

被毛が短いため寒さに弱いイタリアン・グレーハウンド。冬場の散歩のときは、洋服などを着せて防寒対策をしましょう。部屋の環境も、体に冷えが伝わらないよう、できるだけ暖かくしてあげてください。また、乾燥にも弱いため、湿度の調整も必要です。


乱暴な言動を行わない、やたら構うことをしない

とてもナイーブな性格のため、恐怖心を植え付けるような乱暴な言動は避けましょう。寂しがり屋な性格で、構いすぎることによって分離不安を招く可能性もあるため、適度な距離感をキープすることも大切です。


衝突や落下などの事故に気を付ける

四肢が長く骨折しやすい傾向にあるため、骨に衝撃が加わるような事故に遭わないよう、生活環境を整えましょう。外出の際にも、周りの状況などを確認しながらの散歩を心がけてください。


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