イタリアン・コルソドッグの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

イタリアン・コルソドッグの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種図鑑

2023年10月16日 更新 (2023年05月11日 公開)

ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。

イタリアン・コルソドッグの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

イタリアン・コルソ・ドッグの歴史やルーツ、英語名は?

犬種名 イタリアン・コルソ・ドッグ
英語名 Italian Corso dog
原産国 イタリア
分類 超大型犬
グループ 2G:使役犬

イタリアン・コルソ・ドッグ【英語:Italian Corso dog】は、イタリアが原産の大型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、番犬や警護、作業をする「2G:使役犬」に属します。


祖先は、古代ローマのモロシア犬とされています。かつては、イタリア全土で牧牛犬や大型獣の猟犬として活躍していましたが、近年では南イタリアのアプリア地方やその隣接地域のみで普及しています。


犬種名の“コルソ”は「農家の保護や守護をする者」という意味のラテン語「cohors」から。その名称通り、ガード・ドッグとして、また護衛犬や警察犬として活躍しています。


日本では希少な犬種ですが、海外では人気の犬種です。原産国のイタリアでは「カネコルソ」という名称で愛されています。

イタリアン・コルソ・ドッグのオスとメスの体高や体重は?

体高:オスは64~68cm、メスは60~64cm
体重:オスは45~50kg、メスは40~45kg


イタリアン・コルソ・ドッグは超大型犬に分類されます。

イタリアン・コルソ・ドッグの平均寿命は?

イタリアン・コルソ・ドッグの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、大型犬の平均寿命は11.5歳となっています。イタリアン・コルソ・ドッグは超大型犬なので、これより平均寿命が短い可能性があります。


犬を迎える際は、最後の時までしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。


犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

イタリアン・コルソ・ドッグの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?

イタリアン・コルソ・ドッグの毛色の種類、被毛、外貌の特徴


ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、イタリアン・コルソ・ドッグの毛色はブラック、リード・グレー(鉛色)、ストレート・グレー、明るいグレー、明るいフォーン、スタッグ・レッド、ダーク・フォーン、ブリンドルとされています。
胸や足先、鼻梁に小白班がある場合もあります。


被毛はスムースコートで艶があります。


体格は筋肉質で骨量豊富、四肢は力強くがっしりとしています。
耳は本来高い位置で折れて前に垂れていますが、垂れた部分を断耳することもあります。尾も同様に断尾することがありますが、最近では動物福祉の観点から行わない傾向にあります。

イタリアン・コルソ・ドッグはどんな性格、習性?

イタリアン・コルソ・ドッグは家族との絆を強く持ちます。そのため飼い主以外の見知らぬ人には警戒心を抱く、用心深い性質も持ち合わせています。

犬を飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる一般的な費用について説明します。

犬を飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる一般的な費用について説明します。

タイミング 内訳 費用の目安
迎えるとき

ペットショップ、ブリーダー

※ブリーダーによる
飼い始めるとき 畜犬登録料 約3,000円
生活用品(クレートやケージなど) 約5~7万円
1年に1回かかる費用 狂犬病予防接種費 約3,500円
混合ワクチン接種費 約5,000~10,000円
毎月かかる費用 消耗品(フードやおやつなど) 約5,000~10,000円

犬を飼い始める際にかかる費用

イタリアン・コルソ・ドッグは、ペットショップでの販売ではなく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。


また、常に子犬が産まれているとは限らないため、イタリアン・コルソ・ドッグのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。


他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、イタリアン・コルソ・ドッグは自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。


犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。


母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。

子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。


狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回摂取するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。


犬を飼い続けるために必要な費用

犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。


体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてイタリアン・コルソ・ドッグの場合は平均より高額になると考えておきましょう。


なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。


犬を迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。


また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。イタリアン・コルソ・ドッグは知能が高く、物を探したり追いかけたりするゲームや遊びに必要なおもちゃが揃えられると理想的です。


犬の生体代を除く初期費用としては、一般的には5~7万円程度ですが、イタリアン・コルソ・ドッグは体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より高くなる傾向にあります。


毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどですが、イタリアン・コルソ・ドッグは体が大きいので食事量は多く、トイレシーツも大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。


マイクロチップ装着の義務化

2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった時に、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします


装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。


ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、イタリアン・コルソ・ドッグを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。


迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。


そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。

イタリアン・コルソ・ドッグのしつけと社会化トレーニングのポイント

イタリアン・コルソ・ドッグのしつけ


イタリアン・コルソ・ドッグのトレーニングは、飼い主に忠実な性質から比較的難しくないでしょう。
体力もある犬種ですので、エネルギーをしっかり消費できるトレーニングメニューを導入しましょう。


一方で、知能が高く、力があることから、犬の要求に振り回されていると人の指示を聞かなくなることがあります。護衛犬だった歴史もある超大型犬で、素早さもあるためしっかりと飼い主が犬の興奮や力をコントロールできなくてはいけません。


子犬の頃から毅然とした態度で一貫した訓練を行い、主従関係をきちんと維持することが大切です。また、子犬の頃からたくさんの人に会わせ、多くの経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。


成犬になると長い被毛が密生するようになるため、こまめなブラッシングが欠かせなくなります。将来的にブラッシングがストレスにならないように、子犬の頃からブラシやコームに慣れさせておくようにしましょう。

イタリアン・コルソ・ドッグに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?

イタリアン・コルソ・ドッグが運動する様子


✓散歩:1時間以上を1日2回
✓運動量:とても多い
✓おすすめの遊び:頭を使う遊び


イタリアン・コルソ・ドッグは、使役犬だったこともあり運動量が多い犬種です。しかし身体が大きいため、腰や関節に負荷がかからないように激しい運動よりは長時間散歩をしてあげる方が向いています。たまにはドッグランなど広い場所で、思い切り自由に走らせてあげましょう。


また狩猟本能を満たすことのできる、ボール遊びや物を探したり追いかけたりするような遊びもおすすめです。

イタリアン・コルソ・ドッグを飼うのに向いている人は?

イタリアン・コルソ・ドッグを飼うのに向いている人


✓超大型犬のトレーニングをできる人
イタリアン・コルソ・ドッグは体が大きい犬種なので、ちょっとしたことが事故につながることがあります。しっかりと犬の興奮をコントロールできるように訓練できなくてはいけません。


✓たっぷり時間をかけて散歩をしてあげられる人
イタリアン・コルソ・ドッグは過度の運動を頻繁に行うより、日々しっかり散歩の時間を取り運動量を確保してあげるのがよいでしょう。毎日1時間の散歩を2回が理想です。


✓力持ちで体力のある人
体重が50kg以上になる大きな体と力を制御できるくらい力持ちで、一緒に運動できる体力のある人が向いているでしょう。

イタリアン・コルソ・ドッグがかかりやすい病気と予防法は?

イタリアン・コルソ・ドッグがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。


✓胃捻転
体の大きな犬にリスクの多い病気です。胃がねじれてしまい、短時間で急激に全身状態が悪化する危険な病気です。緊急手術が必要になるケースもあります。原因となる早食い、ドカ食いをさせないようにしたり、食後の運動を控えたりするなどの予防策を意識しましょう。


✓股関節形成不全
体の大きな犬にリスクの多い病気です。成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満が病気を助長することがあるので、体重管理を心がけましょう。


✓関節疾患
関節に過剰な負荷がかかるとトラブルを起こします。居室の床材を滑りにくいものにしたり、ソファやベッドへの上がり降りをさせたりしないようにするなどの対策が有効です。また肥満も関節に負荷をかける要因となるので、体重管理に気を付けましょう。

イタリアン・コルソ・ドッグの日常のお手入れ

✓ブラッシング:週1、2回程度
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:不要


イタリアン・コルソ・ドッグはシングルコートのため被毛のお手入れはあまり手間がかかりません。獣毛ブラシでのブラッシングは、取り切れなかった抜け毛を取り除くだけでなく、皮膚のマッサージにもなり毛艶が良くなります。


ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。


トリミングは必要ありませんが、シャンプーは1カ月に1回程度、シャンプーするほどでなくても被毛の汚れが気になるときは濡れタオルで拭いてあげましょう。


歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。

イタリアン・コルソ・ドッグとの生活で注意すべきことは?

✓トレーニングをしっかり行うこと
イタリアン・コルソ・ドッグは超大型犬のため、ちょっとしたことが事故につながってしまうことも考えておきましょう。頑丈なケージを用意したり、入ってほしくない場所には入れないように仕切りを設置したりするなどして事故を予防します。また力が強いので、人や動物に飛びついたりしないよう、日頃からのトレーニングも大切です。


✓飼育スペースは十分な広さを確保!飼育費用も準備して
イタリアン・コルソ・ドッグを含む超大型犬は、トイレも寝る場所も大きな体の分広さが必要になります。犬がゆっくりとくつろげる大きさのケージが必要です。さらに、食費やペットシーツ代などの消耗品や、医療費、ペットホテル費なども、小型犬、中型犬より高額になります。住居スペースや金銭的な負荷を考慮したうえで迎え入れるようにしましょう。


✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。