命に関わる危険も!?夏に犬を留守番させる時のNG行動5選!【獣医師監修】

命に関わる危険も!?夏に犬を留守番させる時のNG行動5選!【獣医師監修】

初夏から夏は熱中症を発症しやすい時期。体温調節が苦手な犬は、人よりも熱中症のリスクが高いと言われています。20215月には環境省が「ペットを車中に残さないで」という普及啓発チラシを作成し危険性を呼びかけていますが、室内での留守番でも熱中症対策は必須と言えるでしょう。今回は、犬に留守番させるときの温度や湿度、エアコンの必要性、室内の暑さ対策について、ヤマザキ動物看護大学で動物行動学を研究する獣医師の茂木千恵先生に解説していただきます。

夏は犬の留守番中の熱中症に注意

夏に留守番する犬

気温が高くなる夏の時期は、体温調節が苦手な犬にとって危険な場面がたくさんあります。高温多湿はもちろん、猛暑や暴風雨による停電の危険性がある地域はさらに注意が必要です。不快なだけでなく、時には愛犬の命に関わる場合もあります。

特に犬に留守番をさせているとき、その場にいない飼い主はすぐに対処できません。犬が自ら暑さを回避したり、快適に過ごせるよう工夫したりするのは難しいため、そのままでは熱中症のリスクはどんどん高まってしまいます。


犬の熱中症の症状

熱中症になった犬にまず見られるのは「元気がなくなる」「ぐったりする」などの症状です。そのまま進行すると体温が40℃を超え、嘔吐やよだれなどの症状が出ます。さらに神経に障害が出れば、歩行に異常が見られることもあるでしょう。筋肉の震えや痙攣などの症状が見られる場合は、すぐに治療が必要になります。このように、熱中症は治療が遅れると命にかかわる怖い病気です。

特に肥満気味の犬や、上部気道疾患・心血管系疾患・中枢神経系疾患などの病気を持っている犬は熱中症のリスクが高いので注意しましょう。また、気道が狭い短頭種の犬や寒い地方原産で体格の大きい犬も、熱中症にかかりやすいと言われています。体力のないシニア犬や、体温調節機能が未発達の子犬も同様に状態が悪化しやすいので気を付けましょう。

夏に犬を留守番させるときのNG行動

エアコン

愛犬を自宅で留守番させる際に、避けるべき行動を5つご紹介します。


エアコンをつけない

夏時期にエアコンをつけないと、犬の熱中症リスクは高まります。犬は毛が多いうえに汗腺が少ないため、体温が下がりにくいからです。特に最高気温が25℃を超える日はエアコンをつけっぱなしにしてください。エアコンの設定温度の目安は1825℃程度です。寒さが苦手な犬もいるため、直風が当たらないようにするとなお良いでしょう。


エアコンの人感センサーをオンにする

気をつけたいのがエアコンの省エネ機能である「人感センサー」です。人の動きを察知してエアコンの動作を調節する機能ですが、犬に反応しないケースがあります。人がいないと判断されると、エアコンが自動的に停止してしまい、室内温度の上昇につながります。最近では、この人感センサーによる犬の熱中症が増えていると聞きますので、機能をオフにして出かけるようにしてくださいね。


停電に備え冷却グッズを置かない

最近、夏の猛暑日には突然の雷雨が起こるケースが増えています。もし、落雷による停電でエアコンが停止してしまった場合、気温の高い夏時期はたった12時間で室内が高温になります。そんな停電に備えてできる対策は、冷却グッズです。体温を下げられるアイテムを愛犬の届く場所に置いておきましょう。


水を飲む場所が1カ所だけ

犬にとって水分を摂取して排泄することは、体温を下げるためにとても重要です。また、口を開けてハアハアと息をすることでも、体内の熱を発散できます。その際に水分も多く蒸散するので、しっかりと水分を補える環境が大切です。

しかし、水を1カ所にしか用意していないと、何かの拍子にひっくり返して水がこぼれてしまったら、その後適切な水分補給ができなくなります。万が一に備えて、必ず2カ所以上に水を用意しておきましょう


寝床を日当たりのいい場所に置く

愛犬の寝床の位置も重要です。日当たりのよい場所に置くと、外の気温変化の影響を受けやすく熱中症につながる恐れがあります。必ず寝床は直射日光が当たらない場所に設置しましょう。しかし、エアコンの風が直接当たる場所に設置すると、かえって冷えすぎることもあるので注意が必要です。

犬の留守番中の暑さ対策はいつから必要?

温度計

まずは、気温で判断します。外の気温が25℃以上のときは熱中症のリスクが高まるので、必ず暑さ対策を講じましょう。

そして、温度だけでなく湿度も注意したいところです。湿度が高すぎると、口を開けてはあはあしたとしても唾液をうまく蒸散できず、犬の体温は下がりにくくなり、湿度が90%を超えると熱中症の危険にさらされます。人が心地よいと感じても湿度が60%を超えるときは、最高気温に関係なく必ず除湿機能を作動させてくださいね。

犬が快適な温度と湿度は?

犬が快適に過ごせる室温は、2022℃と言われています。湿度に関しては人間が快適と感じる4060%より低めに設定するのが好ましく、3060%を目安にしましょう。室温と湿度を測る際には、愛犬の背丈で計測するとより正確です。

犬の留守番中の暑さ対策にはどんな方法がある?

ひんやりグッズを使う犬

留守番中の暑さ対策で重要なのは、愛犬に適した室温と湿度です。体温を上昇させないグッズや水分補給アイテムも大切なので、下記を参考に準備してみてくださいね。


エアコン

室内全体を冷やすエアコンは、犬の留守番には欠かせないものです。夏時期の日中は室温が上がりやすいので常につけておきましょう。おすすめは1階で留守番させる方法です。冷気は下に溜まるため、省エネを意識した暑さ対策が可能になります。もし、2階で留守番させる場合は、温度をより低めに設定しておくとよいでしょう。

一方、冷えすぎても愛犬の体調不良を招きますので、寒さから守る対策も必要です。床より高い位置に寝床を用意したり、温度が低すぎない場所に自由に移動できるようにしたりなどの対策を講じましょう。2頭以上飼っている場合も、同様の対策をすることで寒がりの個体にも配慮できます。その際は暑がりの子に合わせて温度を設定してくたさい。

また、霧状の水が風と一緒に出てくるミストファン(扇風機)は、犬の体に付着した水分が蒸発するときに犬の体温を下げてくれます。エアコンの除湿機能で室内の湿度を低くしながら、併用すると良いでしょう。


風通しをよくする

夏場だけでなく、密閉された空間は室温・湿度ともに上昇しやすいので注意が必要です。防犯対策をしたうえで窓や隙間を開けておくと、部屋の換気ができます。風の通り道を作るために最低でも2カ所開けておきましょう


直射日光を遮って日陰をつくる

窓から外を眺めることが好きな犬の場合、暑さが厳しい時期であっても窓辺に居続けていつの間にか体温上昇につながるケースがあります。暑さで苦しくなるとその場から離れて水分補給できますが、子犬やシニア犬は反応が遅れることもしばしば。体調不良を招くリスクが高いです。あらかじめ窓に遮熱カーテンをかけたり、フィルムを貼る、または掃き出し窓のある部屋で留守番させないといった安全対策を心がけましょう。


水分補給できるようにしておく

犬は口から息をはあはあと吐くことで、唾液を蒸散させ体温を下げます。夏の時期は特に呼吸により水分が蒸散されるので、いつもより多めに水を用意しておきましょう。ただし、室温が高いと、溜めておいた水に雑菌が繁殖しやすくなるため、水は最低でも毎日取り替えてください。特に留守番直前には水を入れ替えて、冷たい水を用意すると良いです。


サマーカット

犬が熱中症にかかりやすいのは、毛の多さも関係しています。体幹部の毛を短くカットするサマーカットも、熱発散を助けてくれるでしょう。また、愛犬に服を着せる習慣があっても、留守番中は脱がせるようにしてくださいね。ハーネスも念のため取り外したほうが賢明です。


冷却グッズ

犬の体温を下げるグッズも活用しましょう。留守番のときだけ出しても使ってくれない場合があるので、普段から犬に慣れさせることが大切です。愛犬がかじっても壊れにくい冷却グッズを探しておくと、なお安心でしょう。


ペットカメラ

愛犬の急な変化に気づけるペットカメラも便利です。専用のアプリをインストールすると、スマートフォンで愛犬の様子を確認できます。愛犬がくつろげているか、苦しそうでないかを外出先からもチェックできるので安心です。マイク機能がついているタイプだと、急に話しかけると驚かせる場合もあるので気をつけて使いましょう。

犬の留守番中にエアコンを使う際の注意点は?

エアコンの設定をよく確認しましょう。たとえば、エアコンの省エネモードを使うと、温度が高くなりすぎる場合があります。ほかにもタイマー機能によって、途中でエアコンがオフになるケースもよく聞きます。

一方、冷えすぎによる下痢や食欲不振などの症状も心配です。風が犬に直接当たらないよう設定を見直すのがベストです。また、夏場にごほうびとして犬に氷を与える方もいますが、与え過ぎると下痢につながるので気を付けてくださいね。

犬の留守番中に落雷などで停電したときのための対策は?

凍らせたペットボトルで涼む犬

冷却グッズを何種類か置くだけでなく、凍らせたペットボトルを寝床に置く方法も有効です。また、体温を下げるには水分補給やトイレが重要なので、環境を整えましょう。少量の水だとすぐに温まってしまうので、大きめの器にたっぷり水を用意してください。トイレは2カ所以上用意し、いずれも清潔に。犬が躊躇なく使えるよう配慮するとよいでしょう。

夏の時期は短時間でも熱中症のリスクは高まりますので、停電に備えた対策は必須です。風通しをよくするために窓を少し開けたり、室温の上昇を避けるために遮光・遮熱カーテンを使ったりする方法も合わせて行ってみてください。

犬の留守番中の暑さ対策の注意点は?

エアコンや扇風機など電気を利用する機器が多いため、停電のリスクも頭に入れて充電池式の機器も用意しておくとより安心です。

また、せっかく暑さ対策グッズを用意しても、愛犬が慣れていないと使ってくれない場合があります。少なくとも1週間前から愛犬の目の届く位置に置いて慣れさせましょう。愛犬が興味を示したら、褒めてあげて良い印象を与える対応も大切です。


第2稿:2021年6月18日更新
初稿:2020年6月29日公開

専門家のコメント

愛犬の命にも関わる熱中症。特に2021年は猛暑が予想されているので、今から熱中症対策を進めることをおすすめします。また、肥満気味の犬は熱中症リスクが高いので、毎年の夏に備えてダイエットを意識することも大切でしょう。

監修/茂木千恵先生(獣医師)

ヤマザキ動物看護大学准教授。博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。大学で教育研究活動の傍ら、動物病院でもしつけや問題行動のカウンセリングを行う。フジテレビ系列「モノシリーのとっておき」、日本テレビ系列「志村どうぶつ園」などに動物行動学コメンテーターとして出演。雑誌「Shi-ba」(辰巳出版)などの記事監修も多数担当している。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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