犬が怪我したところをなめる理由は?やめさせる方法と注意点について解説【獣医師監修】

犬が怪我したところをなめる理由は?やめさせる方法と注意点について解説【獣医師監修】

犬が怪我したところをなめているのを見て、やめさせた方がよいか気になったことはありませんか? なめ続けていると、雑菌が入って炎症を起こさないか心配になりますよね。この記事では、犬が怪我したところをなめる理由や、やめさせる方法と注意点について、chicoどうぶつ診療所の所長林美彩先生監修のもと解説します。

監修/林美彩先生(獣医師)


chicoどうぶつ診療所所長
酪農学園大学卒業
獣医保健ソーシャルワーク協会獣医ホリスティック医療研究会所属

 

大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を開設。テレビ番組への出演・協力のほか、「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)などの著書がある。

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犬が怪我したところをなめる理由は?

哺乳類には、傷を負った際に傷口をなめて殺菌する「ズーマファーマコロジー」という習性があります。唾液には「リゾチーム」という殺菌効果がある成分が含まれるため、本能的に自己治癒しようとしているのです。また、犬にとって“なめる”という行為は、自分の気持ちを落ち着かせることとも考えられていて、なめることによって痛みへの不安やストレスを軽減させているのです。ただ、患部をなめ続けると、さらなる病気やケガを引き起こす可能性があります。犬が怪我したところをなめ続けている際は、やめさせる必要があるでしょう。

犬が怪我したところをなめ続けるとどんな影響がある?

犬が怪我したところをなめ続けるとどんな影響がある?

では、犬が怪我したところをなめ続けると、どんな影響が生じるのでしょうか。

 

皮膚炎(舐性皮膚炎)を引き起こす可能性がある

皮膚をなめたり噛んだりすると毛に唾液がつき、その湿った箇所に細菌が繁殖し、炎症を引き起こします。雑菌が繁殖すると皮膚が化膿するほか、傷口の回復が遅れやすくなってしまうでしょう。

 

舐性皮膚炎とは

舐性皮膚炎とは、皮膚の同じ場所をなめ続けたことによって炎症が起こった状態です。軽度であれば脱毛や唾液による被毛の着色、かゆみ、痛みが見られます。重度の場合は皮膚が化膿したり、ただれ、皮膚の肥厚などが見られたりするでしょう。同じ場所を繰り返しなめ続けることによって患部の炎症が広がり、治りにくくなる場合があります。

舐性皮膚炎以外にも、犬が怪我をなめているときは、ノミ・ダニ、アトピー性皮膚炎による発疹やフケ、激しいかゆみを伴っているケースがあります。怪我をなめる原因はさまざまなため、普段と違った様子が見られた場合は動物病院を受診することをおすすめします。

犬が怪我したところをなめ続けているときはどうすればいい?

犬が怪我したところをなめ続けているとき、飼い主はどう対処するべきなのでしょうか。

 

動物病院へは行くべき?

前述の通り、唾液にはリゾチームなどの殺菌成分が含まれる一方、口腔内の雑菌が皮膚の炎症が広げてしまうこともあるので、なめることは早めにやめさせたほうがよいでしょう。自宅で様子を見てもよいですが、皮膚の状態が悪化するようであれば早めに動物病院を受診し、適切な処置を施してもらうのがおすすめです。受診後にご自宅でのケアを行ってあげられると、安心して見守ることができるでしょう。

犬が怪我したところをなめるのを防ぐ方法は?

犬が怪我したところをなめるのを防ぐ方法は?

ここからは、犬が怪我した部分をなめてしまうことを防ぐためにできる方法を紹介します。

 

エリザベスカラーをつける

エリザベスカラーとは、犬の首の周りに巻く円錐状の保護具で、着用すると傷口に舌が届かなくなり、なめるのをやめさせることができます。ただし、エリザベスカラーはサイズが合っていなければ外れてしまうほか、違和感からストレスを感じて食欲が落ちたり、破壊行動を起こしたりしてしまうことも考えられます。さまざまなタイプのものが市販されているので、愛犬のストレスがなるべくかからないものを選んであげるのがポイントです。 

 

口輪をつける

口輪をつけると強制的に口を閉じさせることになり、口自体の動きが制限されるので、傷口をなめたり噛んだりできなくなります。口輪は拾い食い対策などでも使われますが、エリザベスカラー同様サイズが合わなければ意味がなく、ストレス要因になり得るので、愛犬の様子を見ながら検討しましょう。

 

洋服を着せたり靴下を履かせたりする

なめてしまいがちな部分を覆う服や靴下を着用すると、患部を直になめる行為を防ぐことができます。ただし、患部がじゅくじゅくと化膿している場合、服や靴下に「漿液(しょうえき)」と呼ばれるさらさらした分泌液が染み出てしまうので、ガーゼや包帯などを巻いた上から着せましょう。部位によっては傷口を完全に覆うことができなかったり、服の隙間からマズルを押し込んでなめたりするケースもあるので、事前に問題ないか確認してください。

犬が怪我をしていないのになめ続けているときは?

犬が怪我をしていないのになめ続けているときは?

同じ場所をなめ続けているのに、怪我をしている気配はない……そんなときは、どのような可能性が考えられるのでしょうか。

 

ストレスが溜まっている

ストレスから自傷行為のひとつとしてなめ続けてしまうことが挙げられます。家族の留守が多い、散歩に行く回数が少ない、ずっと室内で生活しているなど、何らかのストレスを感じている可能性があるでしょう。ストレス状態が続くことによって新たな病気が生じる危険もあるため、ストレスを感じているとわかった場合は、すぐに対処してください。

退屈しのぎ、だるいといった気分によってなめることもあります。犬がなめている状況やなめている場所、頻度などをしっかり観察し、「原因」を取り除いてあげましょう。

 

違和感を取り除こうとしている

犬が肉球をなめている場合は、肉球に刺さったり肉球間に挟まったりしたトゲや小石などの異物を取り除こうとしているのかもしれません。また、皮膚の末端をなめる原因はさまざまで、血流を促そうとしている、こもった熱を冷まそうとしている、腫瘍などがあって気になるなどが考えられます。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家のコメント

犬が怪我した部位をなめている際は、その場でやめさせましょう。そのままにしておくと舐性皮膚炎になる可能性があり、なめ続けることで炎症がひどくなり、治るのに時間がかかってしまいます。なめ続けることを防ぐためには、エリザベスカラーや包帯、服などで患部を覆うことがおすすめです。しっかり様子を見て「原因」を取り除き、不安な場合は獣医師に相談して対処しましょう。


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