犬が首をかしげる理由は?かわいい表情に隠された4つの秘密を解説【獣医師監修】

犬が首をかしげる理由は?かわいい表情に隠された4つの秘密を解説【獣医師監修】

犬が首をかしげている姿は、とてもかわいらしく微笑ましいもの。でも、犬はなぜそのようなしぐさを見せるのでしょうか。犬が首をかしげるしぐさに隠された秘密を、「ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets」代表で獣医師の石井香絵先生に解説していただきます。

犬が首をかしげるのはなぜ?

犬が首をかしげる

犬が首をかしげる姿は、とてもかわいらしいですよね。飼い主を喜ばせるために首をかしげてみたり、飼い主の言葉を一生懸命聞き取ろうとしたり、その理由はいろいろ。首をかしげる行動は、犬と飼い主との特別なコミュニケーションと言えるでしょう。

その反面、首をかしげる行動が常に見られたり、他にも異常なサインが体に表れていたり、犬が辛そうにしたりしている場合は、病気のサインかもしれません。こうした場合は、早めに動物病院で相談しましょう。

それでは、犬が首をかしげる4つの理由について解説します。

犬が首をかしげる理由①音に反応している

犬が首をかしげる

犬は、人が聞き取ることのできない高い音、遠くの音を聞きとることができます。そのため、気になる音がしたときは、その音がする方向に首をかしげる姿がよく見られます。


よく聞こうと音のする方向へ耳の位置を調整している

犬の感覚器の中で、2番目に優れているのが聴覚です。人間よりも高い音を聞き取る能力があり、なおかつ人よりも多方向から音を拾うことができます。また、音の方向を知るために耳(耳介部分)を動かすことが可能です。

このように優れた聴覚を持っていますが、音をより聞き取りやすくするために首をかしげる行動を取ることも。興味のある音、聞きなれない音などを聞くときには、首をかしげて音を聞き分けたり、音の方向性を知ろうしたりします。


飼い主の言葉を聞き取ろうとして、耳の位置を調整している

飼い主が犬に話しかけたとき、犬が首をかしげることはありませんか? 私の愛犬も、話しかけると首をかしげます。しかも、はっきりと聞き取れた言葉のときよりも、発した言葉がわからないときによく首をかしげているようです。これは、人間が伝えようとする言葉を、一生懸命に聞き取ろうとするため。私たち人間も聞き違いをすることがありますが、犬にも同じことが生じるため、ちゃんと聞き取ろうと耳の位置を微細に調整しているんです。そうわかると、より一層犬への愛情を感じますね。


聞きなれない音を聞き、不思議に思ったり好奇心を持ったりしている

犬は聞きなれない音や刺激をキャッチしたときにも、首をかしげるしぐさをします。聞きなれない音の場合は、「何だろう」と不思議に思い、その音が安全なのかどうかを再確認したいようです。好奇心を持ってその音を聞いているときも首をかしげます。

犬が首をかしげる理由②何かに注目している

犬が首をかしげる

犬が首をかしげる理由は、視覚の使い方にも関係しています。見たいものを確認するために、首をかしげることもあるようです。


見る角度を変えようとしている

犬は決して視力がいいとは言えません。およそ2m離れたところにあるものはぼやけて見えますし、10m以上離れると見えづらくなります。ただし、動体視力は大変優れているので、空中を素早く動くフリスビーやおもちゃなどを上手に口でキャッチすることができます。また、犬種によって若干差は出るものの、人間に比べると広い視野を持っています。何か見たいものを確認するために、首をかしげて見る角度を変えている可能性があります。

犬が首をかしげる理由③学習の結果

犬が首をかしげる

犬には、「飼い主を喜ばせたい」「褒められたい」という気持ちがあるようです。首をかしげるのも、こうした思いの表れかもしれません。


犬が首をかしげたのを見た飼い主が喜んだから

犬が家畜化されてから、およそ15千年以上の月日が経過していますが、穴を掘ったり、おもちゃを振り回したり、動くものを追いかけたりという犬の行動のほとんどが本能行動から来ています。また、犬が人と暮らすようになり、新たな行動も学習しています。飼い主の行動や言葉を知ろうとしたり、常に飼い主の気持ちを汲み取ったりしようと、犬も日々努力しているのです。

さらに、犬は飼い主が嬉しそうにしてくれることが大好きです。首を傾げたときに、飼い主が笑顔になり「かわいい」と喜んだら、犬は首をかしげる行動をまた行いたいと思うでしょう。犬は飼い主の意識的または無意識的な行動や反応から、常にたくさんの情報を吸収し学習しているのです。

話は少しそれますが、首をかしげる行動を言葉とリンクさせることで、号令化することが可能になります。首をかしげたら「きょとん」など同じ言葉を伝えることで、飼い主が「きょとん」と言うと首をかしげるようになります。

犬が首をかしげる理由④病気が原因の可能性

犬が首をかしげる

犬が首をかしげる姿はとてもかわいらしいですが、もしかしたらその裏には病気が潜んでいるかもしれません。首をかしげる以外に気になる症状が表れたら、動物病院で相談しましょう。


外耳炎・中耳炎・内耳炎など耳の病気

耳がかゆい、違和感がある、痛みがあると、首を傾ける、首を振る、耳垢が増える、耳がいつもと異なる臭いがするなどの症状が表れます。特に、リトリーバー、スパニエル、シー・ズーフレンチ・ブルドッグ柴犬など垂れ耳の犬は、耳のトラブルが発症しやすいと言われています。


外耳炎

外耳炎は、外耳(耳の入り口から鼓膜まで)に起こる炎症です。外耳炎になる原因はいろいろあり、アトピー性皮膚炎、細菌真菌感染、耳ダニなどが考えられます。


・アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、アレルゲンと考えられるハウスダストや花粉などに接触することで生じる皮膚炎のことで、発症には犬種特異性、つまり遺伝的な要因が大きく関与しています。かゆみが生じますが、かきむしると皮膚のバリア機能が低下し、さらに症状が悪化してしまうことも。耳の他にも口や目の周り、お腹や脇腹、脇の下などに症状が表れ、耳がかゆいと首をかしげたり、耳をカーペットなどにこすりつけたりします。


・細菌真菌感染症

細菌真菌感染症は、細菌や真菌が増殖してしまうことで耳に起こる炎症です。もともと皮膚や耳にはある程度の雑菌がついていますが、免疫力が低下していたり、皮膚バリアが弱くなっていたり、湿度が高かったり、耳の分泌物が多くなったりすると、細菌や真菌が増える環境になってしまいます。


・耳ダニ

耳ダニに感染すると、耳に強いかゆみや脱毛が起きたり、黒っぽい耳垢が出たりします。他の犬にも感染するので、注意が必要です。


外耳炎を治療せずに放っておくと、耳の内部である中耳、内耳まで炎症が広がり、耳が聞こえなくなったり、平衡感覚に異常が出たりします。そのため、早めの対処が必要です。


中耳炎

中耳炎とは、中耳(鼓膜とその奥の空間)に起こる炎症です。外耳炎の炎症が波及して中耳炎になることが多く、耳に痛みを感じるようになります。そのため、犬の耳を飼い主が確認しようとすると、痛がったり嫌がったりします。外耳炎と同様に、中耳炎の場合も耳垢が増えたり、耳が臭ったり、首や頭を振ったり傾けたりする症状・行動が表れます。重症化すると顔面麻痺が出ることもあります。


内耳炎

内耳は、聴覚と平衡感覚にかかわる働きをしています。この内耳に炎症が起こると、神経症状や聴覚障害を生じることあります。内耳炎になると首や頭を傾けたり、ぐるぐると旋回したり、眼振(自分の意思とは関係なく眼球がけいれんしたように動いたり揺れたりすること)が起こったりします。また、神経症状や顔面麻痺が見られることもあります。


その他の考えられる病気

外耳炎・中耳炎・内耳炎など耳の病気以外にも、以下の疾患により、犬が首をかしげることがあります。犬の様子に異変を感じたら、すぐに病院に連れて行きましょう。


前庭疾患

外耳、中耳、内耳の炎症が平衡感覚を司る前庭まで波及してしまうと、首をかしげることがあります。その他にもうまく歩けなくなったり、ふらついたり、眼振などの症状が表れます。シニアになってから突然発症することもあり、目が回ってしまい起立困難になることがあるので注意が必要です。


脳の異常

脳炎、脳の外的ダメージ、腫瘍など、脳の異常により、首をかしげるようになることがあります。

犬が首をかしげたとき、理由をどう見極める?

飼い主の声や聴きなれない音、目新しい物体など、何かの刺激に反応して犬が首をかしげている場合は問題ありません。ただし、突発的に首をかしげた、首をかしげている状態が続いている、首の傾きの他に眼振や歩行異常など他の症状が出ているなど、犬が体調の悪そうなしぐさをしている場合は、病的な原因が関係している可能性があります。早めに動物病院に連れていきましょう。

専門家のコメント

犬が首をかしげる主な理由は、音や目新しいものに反応したためです。ただ、首をかしげる動作には、病気が潜んでいる可能性もあります。愛犬の体調もこまめにチェックして、気になるときは動物病院に連れていってくださいね。

監修/石井香絵(旧姓:牧口)先生(獣医師)


ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets代表
AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員
神戸ロイヤルグルーミング学院 犬猫行動学講義担当講師
麻布大学 獣医学部獣医学科卒業

 

犬猫の問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、セミナーやテレビ協力、雑誌「NJK」(ホーピスト)や「trim」(エデュワードプレス)、Web媒体にて、犬の行動学についての記事を執筆するなど幅広く活躍。著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」(エー・ディー・サマーズ)。行動治療にホリスティックケア(メディカルハーブ、フラワーレメディ、レイキ、アニマルコミュニケーションなど)を取り入れ動物たちに優しい治療を行っている。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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