トイ・プードルにサマーカットは必要?効果やメリット・デメリットについて解説【獣医師監修】

トイ・プードルにサマーカットは必要?効果やメリット・デメリットについて解説【獣医師監修】

モコモコな毛並みがかわいいトイ・プードル。ただ、人から見ると夏はちょっと暑そう……。毛を短く切るサマーカットで涼しくしてあげたくなりますが、毛を短くしても問題はないのでしょうか。通常のトリミングカットとサマーカットの違い、サマーカットの効果やメリット・デメリットについて、ヤマザキ動物看護大学で動物行動学を研究する獣医師の茂木千恵先生に解説していただきました。

犬をサマーカットにする理由は?

犬は被毛が全身にあるため、人間よりも熱がこもりやすい生き物です。体幹部(胴体部分)には汗腺がなく、はあはあとあえぐことで体温を下げようとします。暑い環境で放置すると、熱中症になってしまうリスクも。犬の熱中症は、手遅れになると致命的になる深刻な病気です。そのため、夏の間は犬をできるだけ涼しく快適な状態に保つことが重要です。


犬の被毛は断熱効果があるため、冬は優れた効果を発揮しますが、夏は体の近くに熱を閉じ込めることで逆効果になる可能性があります。生まれつき毛量の多い犬の場合、プロのグルーマーによるサマーカットは、余分な熱を体から逃がし、犬を少し楽にしてくれるでしょう。

トイ・プードルにサマーカットは必要?

トイプードル

犬の被毛は、犬種によってダブルコートとシングルコートの2タイプに分かれます。ダブルコートは、オーバーコートとアンダーコートという二層構造になっており、シングルコートの犬にはアンダーコートがありません。トイ・プードルは後者、つまりシングルコートの犬種です。では、トイ・プードルにサマーカットは必要なのでしょうか。


ヤマザキ動物看護大学動物看護学科の福山貴昭講師によると、トイ・プードルにはサマーカットが必要だそうです。そもそも犬の祖先は、年に1度の換毛期(春先から初夏)を経て毛が生え替わっていました。そのため、かつて自然界には、約12cmを超える長い毛の犬はいなかったはずでした。しかし、人間による育種選抜によって、プードルは極めて毛が抜けにくい性質となってしまったのです。そこで、定期的に毛の長さを整えてあげる必要が出てきました。


また、活動量に関わらず、犬の体内では常に熱が作られています。筋肉だけでなく、肝臓・腎臓では食べたものを代謝する際に熱が生じます。この熱を体表面から発散することで、犬は体温が高くなりすぎるのを防いでいます。しかし、体表面を長い被毛で覆ってしまうと、被毛の間に含まれる空気層が断熱材の働きをして発散が滞ります。そのため、適度な通気性のある長さに切りそろえる必要があるのです。

トイ・プードルの普通のカットとサマーカットの違いは?

トイ・プードルのサマーカットと普通のカットの違いとして、まず挙げられるのは体幹部の毛の長さです。サマーカットでは被毛を短くすることで、熱を効率良く体外に発散できるようにします。また、喉のあたりの毛を短く刈り込むのも、サマーカットの特徴です。これは、脳に流れ込む血液の温度を喉元で冷やすのに効果的です。


普通のカット

通常カットのトイプードル

特に汚れやすい足先や肛門まわり、口の周辺、前が見やすいように目のまわりなどを短くカットします。飼い主が毎日のケアを行いやすいように、そして犬が被毛で滑ったり引っかかったりして怪我をしないようにすることに重点を置いたカットです。


サマーカット

サマーカットのトイプードル

放熱させることに重きを置きます。ただし、皮膚が透けて見えるほどの短さになると、かえって太陽光の熱を吸収しやすくなったり、UV(紫外線)による皮膚のダメージが促進されてしまったりします。毛の長さは、プロのグルーマーに任せるのが良いでしょう。

トイ・プードルをサマーカットするメリットは?

サマーカットのトイプードル

トイ・プードルをサマーカットすると、さまざまなメリットがあります。


シャンプーやブラッシングなどの手入れがラクになる

毛玉ができにくくなることでシャンプーやブラッシングにかかる時間が短くなり、飼い主による手入れもラクになります。トイ・プードルにとっても、同じ姿勢で居続ける時間が短縮されてストレスが減ります。


熱がこもりにくくなる

体幹からの放熱がスムーズになるため、同じ環境で同じ動きをしても、暑さを感じにくくなります。はあはあとあえぐような浅速呼吸の必要がなくなり、穏やかに過ごせるようになります。


毛に汚れが付きにくくなる

足先や肛門まわり、口のまわりの毛に汚れが絡まると、簡単には取れなくなってしまいます。毛が短いと汚れが付着する箇所がなくなりますし、たとえ汚れが付いたとしても、飼い主が拭うだけで手早く取り除けるようになるでしょう。結果的に、衛生的な状態を維持できます。


皮膚病の予防ができる

被毛の間に空気が留まると、蒸れて皮膚病の原因になります。日本の夏は欧米と違って湿度が高いため、皮膚病が起こりやすい季節でもあります。毛が密集する耳の下、背中、腰まわりなどの被毛を短くカットすれば、通気性を高めて皮膚を健やかに保つことができ、皮膚病の予防に効果的です。

トイ・プードルをサマーカットするデメリットは?

トイプードルトイ・プードルのサマーカットは、良いことばかりとは限りません。考えられるデメリット、注意点は以下の通りです。


紫外線を肌にダイレクトに浴びてしまう

先ほども解説したとおり、トイ・プードルは下毛のないシングルコートの犬種です。そのため、被毛を短くすると皮膚が透けてしまうことも。ひと口にトイ・プードルと言っても、毛量とカールの度合いが犬によって大きく違いますが、短く刈ることで紫外線が肌に届きやすくなることが懸念されます。紫外線は皮膚のバリア機能を低下させるほか、皮膚細胞にフリーラジカル(活性酸素)を生じさせ、ガンなどの疾患の原因となることも知られています。


怪我や虫を防ぎにくい

被毛は、クッション替わりとなって犬を怪我から守ってくれます。そのため、短くしすぎることで怪我や虫刺されが頻繁に起こるようになってしまいます。


エアコンの風で体が冷えやすくなる

断熱材の働きをしている毛の間の空気層がなくなることで、室温がダイレクトに体温に影響を与えます。つまり、体が熱くなったり冷たくなったりしやすくなるのです。夏場にエアコンの吹き出し口の近くなどで過ごしていると、犬の体が冷えすぎて、代謝が低下したり、胃腸障害が起こったりしやすくなる懸念があります。



ただし、これら3つのデメリットは、飼い主が必要に応じて服を着せることでコントロールが可能です。メリットのほうが勝ると言えるでしょう。

トイ・プードルをサマーカットするのに必要な道具は?

サマーカットするのに、必要な道具は以下の通りです。

  • バリカン
  • ピンブラシ、スリッカー
  • 犬用シャンプー、リンス
  • ドライヤー


バリカンはペットショップなどで販売されている犬用のものを使います。ただし、「部分用」と書いてあるものはNG。体幹を刈るのに余計な時間がかかってしまうため、おすすめできません。ドライヤーは人間用で代用可能です。皮膚の近くで使い続けるとやけどするので、風を送る目的で使用します。

トイ・プードルのサマーカットは何mmカットすればいい?

トイ・プードルは、犬によって毛量とカールの度合いが異なります。なるべく短くカットしたほうが良いのですが、UVにさらされない程度に毛を長く残す必要もあり、犬によって適した長さは異なります。まずは、プロのグルーマーに「サマーカットしてください」とお願いして、適切な長さを把握することから始めましょう。

トイ・プードルのサマーカットの注意点は?

トイプードルのトリミング

いきなりホームケアでバリカンを使うところから始めると、犬が怖がってしまい、次回からケアを受け入れさせるのが難しくなってしまうかもしれません。初めてのサマーカットは、プロのグルーマーにお願いしましょう。「初めてなので今日は慣れさせることが目的で来ました」「UVにさらされないような長さで短くしてください」という2点を伝えることで、仕上がりが希望に近いものとなるでしょう。

専門家のコメント

トイ・プードルのサマーカットにはデメリットもありますが、服を着せれば問題をクリアできるはず。カットしないデメリットのほうが大きいため、適切な長さに切りそろえてあげましょう。特に、毛玉ができてケアに時間がかかると、犬のストレスも増えてしまいます。サマーカットで、心身ともに健やかに夏を過ごさせてあげましょう。

監修/茂木千恵先生(獣医師)

ヤマザキ動物看護大学准教授。博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。大学で教育研究活動の傍ら、動物病院でもしつけや問題行動のカウンセリングを行う。フジテレビ系列「モノシリーのとっておき」、日本テレビ系列「志村どうぶつ園」などに動物行動学コメンテーターとして出演。雑誌「Shi-ba」(辰巳出版)などの記事監修も多数担当している。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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