ジャーマン・ショートヘアード・ポインターの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種図鑑

2023年12月07日 更新 (2023年05月21日 公開)

博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。大学で教育研究活動の傍ら、動物病院でもしつけや問題行動のカウンセリングを行う

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターの歴史やルーツ、英語名は?

犬種名 ジャーマン・ショートヘアード・ポインター
英語名 German Shorthaired Pointer
原産国 ドイツ
分類 大型犬
グループ 7G:ポインター・セター

ジャーマン・ショートヘアード・ポインター【英語:German Shorthaired Pointer】は、ドイツが原産の大型犬です。


ジャパンケネルクラブの犬種分類では、獲物を探し出して、その位置を静かに示す猟犬「7G:ポインター・セター」に属します。


ジャーマン・ショートヘアード・ポインターは、ジャーマン・バード・ドッグ、スパニッシュ・ポインターなどから作出されたといわれています。猟犬として必要な要素をすべて兼ね備えているといわれるくらい優秀な猟犬で、キジやウズラ、タヌキ、キツネ、ときにはシカ猟でも活躍します。

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのオスとメスの体高や体重は?

体高:オスは62~66cm、メスは58~63cm
体重:オスは25~32kg、メスは22~27kg


ジャーマン・ショートヘアード・ポインターは大型犬に分類されます。

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターの平均寿命は?

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターの平均寿命は12歳から14歳とされています。『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、大型犬全般の平均寿命は11.5歳となっています。


犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。


犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターの毛色や種類、被毛、外貌の特徴

ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターの毛色は次のようなものがあります。


  • マーキングがないブラウンの単色
  • 胸や脚に小さなホワイトのマーキングや斑があるブラウン
  • 頭部がブラウンで、ブラウンの斑や点があるダーク・ブラウン・ローン。全体的に均一に徹底的にブラウンとホワイトが混交していて、後脚の内側や尾の先端はより明るい色
  • ブラウンヘッドでボディにブラウンの斑や点があるか、斑の全くないライト・ブラウン・ローン。この場合、ブラウンよりもホワイトの占める割合が大きい
  • ホワイトの毛色で、頭部にブラウンのマーキングや斑、点のあるもの
  • ブラックの毛色が、ブラウンやブラウン・ローンと同じ色調のもの

コートは短くゴワゴワした手触りです。
外貌は、胸が深く平らな背、頭部は鋭角的で、幅が広く垂れさがった耳が特徴です。眼と鼻はダークブラウン、マズルは大きく発達しています。尾は短く断尾する習慣があります。

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターはどんな性格、習性?

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターは、利口で家族に従順です。攻撃性や神経質なことがないため、子どものよき遊び相手となるでしょう。見知らぬ人や物音によく吠える性質で非常に活動的な犬種なので、十分に運動をさせる必要があります。

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターを迎える際にかかる費用は?

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。

タイミング 内訳 費用の目安
迎えるとき

ペットショップ、ブリーダー

※ブリーダーによる
飼い始めるとき 畜犬登録料 約3,000円
生活用品(クレートやケージなど) 約5~7万円
1年に1回かかる費用 狂犬病予防接種費 約3,500円
混合ワクチン接種費 約5,000~10,000円
毎月かかる費用 消耗品(フードやおやつなど) 約5,000~10,000円

飼い始める際にかかる費用

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターはペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。


ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくとよいでしょう。


他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターは自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。


犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。


母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。


子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。


狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。


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飼い続けるために必要な費用

犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。


体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてジャーマン・ショートヘアード・ポインターの場合は平均より高額になると考えておきましょう。


なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。


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ジャーマン・ショートヘアード・ポインターを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。


また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ジャーマン・ショートヘアード・ポインターは狩猟のパートナーとして活躍してきたため非常に多くの運動量を確保する必要があります。自由に走り回れるドッグランや、一緒に遊べるドッグパークなどが近いと理想的です。


犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度ですが、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターは体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より高くなる傾向にあります。


毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどですが、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターは体が大きいので食事量は多く、トイレシーツも大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。


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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。


装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。


ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。


迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。


そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのしつけと社会化トレーニングのポイント

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのしつけと社会化トレーニングのポイント

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターは、利口で飼い主に従順なのでトレーニングは難しくないでしょう。しかし知能が高い犬種なので、子犬の頃から毅然とした態度で一貫した訓練を行い、信頼関係をきちんと維持することが大切です。


また身体が大きく育つ犬種なので、飛びつき癖や噛み癖があると将来的に事故につながる恐れがあります。子犬の頃から適切なトレーニングをしっかり行って、犬が興奮してもコントロールできるようにしておくことが重要です。


さらに非常に多くの運動量を必要とする犬種なので、運動不足によるストレスは問題行動につながります。吠えやすい性質もあるので、体力、知力をともに使うような遊びを十分に取り入れてあげるとよいでしょう。


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ジャーマン・ショートヘアード・ポインターに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊び

✓散歩:1時間程度を1日2回
✓運動量:多い
✓おすすめの遊び:ドッグスポーツ、宝物探し、ボール投げなど


優秀な猟犬として仕事をしてきた犬種なので、非常にタフで活発な犬種です。歩くだけの散歩では運動量が足りません。


ドッグランなどの広い場所を自由に走らせることもよいですが、運動能力が高く、作業意欲も高いため、体力だけでなく知力も使うような遊びを取り入れるとよいでしょう。追跡本能を満たすため宝物探しのようなノーズワーク、レトリーブ能力を活かすボール投げなどがおすすめです。

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターを飼うのに向いている人は?

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターを飼うのに向いている人

✓十分な運動をさせてあげられる環境
ジャーマン・ショートヘアード・ポインターは猟犬由来のスタミナ豊富で運動欲が強い犬種です。散歩だけでは満足しないので、散歩中は小走りを交え、ボール遊び、ドッグスポーツなど毎日十分な運動をさせてあげられる人がよいでしょう。また、飼い主と過ごすことも大好きです。日常的に野山へ出かけて一緒に楽しめる人がよいでしょう。


✓大型犬のトレーニングをできる人
ジャーマン・ショートヘアード・ポインターは体が大きい犬種なので、ちょっとしたことが事故につながることがあります。しっかりと犬の興奮をコントロールできるように訓練できなくてはいけません。

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターがかかりやすい病気と予防法は?

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや細菌性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。


✓胃捻転
体の大きな犬にリスクの多い病気です。胃がねじれてしまい、短時間で急激に全身状態が悪化する危険な病気です。緊急手術が必要になるケースもあります。原因となる早食い、ドカ食いをさせないようにしたり、食後の運動を控えたりするなどの予防策を意識しましょう。


✓股関節形成不全
体の大きな犬にリスクの多い病気です。成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満などが誘発することがあるので、体重管理を心がけましょう。


✓進行性網膜萎縮

進行性網膜萎縮症 (PRA) は、目の網膜に影響を与え、最終的には失明に至る変性疾患のグループです。PRA は、ジャーマン ショートヘアード ポインターに影響を与える遺伝性疾患で、両親が PRA の兆候を示さない場合でも、遺伝子を持っている結果として発症します。

この病気を予防したり治療したりすることはできませんが、潜在的な保因者の欠陥遺伝子をスクリーニングできる DNA 検査があります。評判の良いジャーマン ショートヘアード ポインターのブリーダーは、自分の犬を PRA でスクリーニングします。


ジャーマン・ショートヘアード・ポインターがかかりやすい疾患については、こちらの記事でもっと詳しく解説しています。
>犬の耳が赤いのは外耳炎かも?原因や対処法、病院に行くタイミングについて解説【獣医師監修】

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターの日常のお手入れ

✓ブラッシング:3、4日に1回
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:不要


抜け毛が気になる場合はラバーブラシなどでお手入れをします。週に2回ほどは、硬く絞ったタオルで全身を拭ってあげましょう。


ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。


歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。


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ジャーマン・ショートヘアード・ポインターとの生活で注意すべきことは?

✓小動物との同居に注意
狩猟本能があるため、動くものを突発的に追いかけてしまう性質があります。ハムスターや小鳥などの小動物、赤ちゃんとの同居には注意が必要です。


✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。


✓運動不足に注意!
膨大な運動量が必要な犬種です。運動不足は、問題行動の引き金になるだけでなく、肥満の原因にもなります。さらに作業欲(狩猟欲)も強い犬種なので、毎日のアクティビティには、体力だけでなく知力も消費するような遊びを取り入れるとよいでしょう。


✓飼育スペースは十分な広さを確保!飼育費も準備して
ジャーマン・ショートヘアード・ポインターを含む大型犬は、トイレも寝る場所も大きな体の分広さが必要になります。犬がゆっくりとくつろげる大きさのケージが必要です。さらに、食費やペットシーツ代などの消耗品や、医療費、ペットホテル費なども、小型犬、中型犬より高額になります。住居スペースや金銭的な負荷を考慮したうえで迎え入れるようにしましょう。