犬に生クリームを与えても大丈夫?注意点と代用品について解説【獣医師監修】

バーニー動物病院千林分院分院長。ペット薬膳管理士、中医学アドバイザー。動物病院でペットの診療にあたる傍ら犬猫の手作りご飯教室や問題行動のカウンセリングを行う。

犬に生クリームを与えても大丈夫?注意点と代用品について解説【獣医師監修】

クリスマスや年末など、これからは家でケーキや洋菓子を食べる機会が増えるシーズンですね。この時期には、生クリームを使ってお菓子作りを楽しむ人がいらっしゃるかもしれません。ただ、甘い匂いに誘われて近づいてくる愛犬に、生クリームを与えても大丈夫なのでしょうか。犬が生クリームを食べた場合どんなことが起きるか、また、犬のいるご家庭での生クリームの取り扱いなどについて、バーニー動物病院 千林分院分院長で獣医師の堂山有里先生に解説していただきます。

犬に生クリームを与えても大丈夫?

犬に生クリームを与えても大丈夫?注意点と代用品について解説【獣医師監修】生クリームには犬にとって危険な食材ではありません。健康な犬であれば多少摂取しても問題にはなりませんが、特に積極的に与えた方がよい食材とは言えないでしょう。

積極的に与えない方がいい理由は?

生クリームには脂肪分が多いため、多量に食べると肥満の原因になります。また、牛乳を成分とするため、牛乳アレルギーの犬が食べるとアレルギー症状が出ることがあります。さらに、乳糖不耐性の犬が食べると下痢を引き起こすこともあるでしょう。

犬が生クリームを食べた場合の危険性とは?

犬が生クリームを食べても大きな問題はないことをお話ししましたが、生クリームを食べることで起こり得るデメリットやリスクもあります。

高カロリーなため肥満の原因になる

「生クリームは牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したもので乳脂肪が18%以上のもの」と定められています。脂肪分が多いため犬が食べるとカロリー過多になり、肥満を引き起こしやすい食品です。

乳製品アレルギーの危険性がある

生クリームは牛乳から作られているので、乳製品にアレルギーがある犬の場合はアレルギー症状を引き起こす可能性があります。ただし、牛乳アレルギーの原因はカゼインというタンパク質なので、脂肪分が主原料の生クリームはそれほど危険ではありません。

乳糖不耐症により、下痢を引き起こす可能性がある

乳糖の分解が苦手な乳糖不耐症の犬が生クリームを食べると、消化不良から下痢や嘔吐を起こすことがあります。

特に生クリームを与えてはいけない犬種はある?

特定の犬種が生クリームにアレルギーを起こしやすいということはありません。肥満の犬、関節疾患や心臓疾患、糖尿病などを患っている犬、牛乳アレルギーのある犬には与えないようにしましょう。

生クリームを食べた犬にアレルギー症状が出てしまったら?

生クリームを食べさせたことでアレルギーを起こしているようなら、それ以上生クリームを食べさせないように注意してください。家族のうちの誰かが知らないうちに与えていることもあるので、犬が何を口にしているのか生活環境の確認を細かく行い、家族全員で犬の健康を管理すると良いでしょう。

生クリームが原因でどのようなアレルギー症状が出るの?

生クリームが体質に合わない子の場合、下痢、嘔吐の症状を示します。その他、さまざまなアレルギー症状を引き起こすことがありますが、すぐさま命にかかわるようなことはありませんので落ち着いて対応しましょう。以下のようなものが主なアレルギー症状として考えられます。

皮膚のかゆみ

皮膚のかゆみにより常にかきむしっていたり、かゆみにより眠れなかったりする場合があります。動物病院で診てもらうと、アレルギーを抑える内服薬が処方されます。

目の赤み・かゆみ

白目が赤くなっている、目がかゆくてかきむしる、涙や目やにが出る場合は、アレルギーを抑える点眼薬や内服薬が動物病院で処方されます。

口・耳の赤み

口の周りや耳が赤くなっている、かゆくてかきむしる場合は皮膚を傷めてしまう可能性があります。必要に応じて動物病院などでアレルギーを抑える点耳薬や内服薬を処方してもらうようにしましょう。

フケ・抜け毛の増加

フケや抜け毛は皮膚炎や皮膚をかきむしることで起こります。動物病院では被毛検査や細菌検査など行って、フケや抜け毛が起こる原因を精査します。原因が食物アレルギーにあると判断された場合は、アレルギー反応を抑える内服が処方されます。また、皮膚の状態に合ったシャンプーを使って丁寧に洗うことで皮膚環境を良好に戻すよう指示される場合もあります。

元気がなくなる

アレルギー症状が重度の場合は元気がなくなることがあります。ただし、元気がなくなる理由は他にもいろいろあるので、まずは動物病院で原因を特定してもらうと安心でしょう。

生クリームを食べてアレルギー症状が出た犬を病院に連れて行くタイミングは?

アレルギー症状が出ている様子が見られても、病院に行くタイミングを判断するのは難しいですよね。アレルギーの症状が一過性であればそれほど心配はありませんが、長引く場合は動物病院を受診してください。様子を見る目安としては23日程度です。ただし、血が出るほどかきむしる、下痢や嘔吐が1日に何回も起こる場合は、すぐに動物病院に行くことをおすすめします。

犬が生クリームを誤食しないようにするためには?

犬が食べてはいけない食材を管理する方法は、犬の口に届かないようにすることです。犬にパンやケーキなど生クリームが入った食品を与えないのはもちろん、犬の口が届く場所に生クリームの入った食品を置かない、食後のお皿やゴミも犬が口にすることのないよう片付けるなどです。ゴミ箱を漁ってケーキの箱についた生クリームをなめてしまうこともあるので、ゴミ箱にはきちんと蓋をするようにしましょう。

状況によっては生クリームを与えてもいい犬がいる?

腎臓病などの疾患があり食欲が減退している場合などは、高カロリーな生クリームを与える場合があります。体力維持にためになんでも良いので食べられるものを食べさせるのが目的で、生クリームに限らずチーズやプリンなどを食べている犬もいるようです。あくまでも病気により食欲が減退した場合の対処法なので、健康な犬に推奨するものではありません。どうしても与えたい場合には、牛乳アレルギーがある犬なのか、乳糖不耐性があるかどうかなどについて、獣医師の先生と相談してから与えるようにしてください。

植物性生クリームならば、犬に与えても大丈夫?

牛乳アレルギーのある犬の場合、植物性の生クリームなら食べさせてもいいかと考えるかもしれません。植物性生クリームを愛犬に与える場合にもいくつかの注意点があります。

植物性クリーム

クリームという名前ですが主成分は植物油脂です。植物油脂としてパーム油やヤシ油、菜種油、大豆油などが使用されています。植物性とは言っても中身は油なので、食べ過ぎると肥満や消化不良の原因となります。植物性クリームには原材料として乳製品も含まれます。

豆乳ホイップ

豆乳ホイップには、犬にとって毒になる成分は入っていないので与えることはできます。生クリームよりはカロリーが抑えられていますが、主成分は植物油脂と豆乳なので、油によるカロリー過多や豆乳アレルギーの可能性はあります。また、大豆にアレルギーのある犬が食べるとアレルギー反応が出ます。

無添加生クリーム

無添加生クリームとは、添加物の含まれない乳製品のみで作られた生クリームです。添加物が入っていないため安心ですが、乳製品を使用しているので乳アレルギーや乳糖不耐性のある犬には食べさせられません。

犬に生クリームを与える際の適量は?

犬に生クリームを与えても大丈夫?注意点と代用品について解説【獣医師監修】生クリームをどのくらい食べさせても安全かという基準は定まっていません。以下の量を目安にすると良いでしょう。

・超小型犬

小さじ半分以下

・小型犬

小さじ1杯以下

・中型犬

小さじ2杯以下

・大型犬

大さじ1杯以下

生クリームの代用品として犬にも与えられる食材は?

生クリームの代用品として、犬に与えることが可能な食材があります。犬用ケーキの材料にすることができるものもあるので、以下の食材については覚えておいた方が良いかもしれません。

ヨーグルト

犬にヨーグルトを与えても大丈夫です。ただし、牛乳アレルギーがある犬は食べられません。

豆腐

豆腐の栄養価は高く、豆腐を犬に与えても基本的には大丈夫です。ただし、大豆アレルギーのある犬は食べられません。

じゃがいもかぼちゃさつまいも

これらは犬に与えても大丈夫な野菜です。もちろん、それぞれの食品に対してアレルギーがある場合は食べられません。

犬のケーキを手作りする際の注意点

犬に生クリームを与えても大丈夫?注意点と代用品について解説【獣医師監修】犬にもクリスマスムードを味わって欲しくて、犬のケーキを手作りしたいという方もいらっしゃるかもしれません。その場合の注意点としては、アレルゲンとなる成分を使わないことです。ケーキの材料の中では小麦粉、乳製品、などが代表的なアレルゲンとなりうる食材です。それぞれ代用品として、米粉や豆乳、つなぎとして豆腐やバナナなどを使うと美味しいケーキができるでしょう。

生クリームだけでなく牛乳に注意する

ケーキを作る際には、牛乳やバターなどの乳製品を使用することが多いでしょう。犬が牛乳アレルギーを持っている場合は、牛乳やバターなどでもアレルギー反応が起こるので、食べさせないようにしてください。

牛乳を無調整豆乳や水に置き換える

牛乳アレルギーがある犬にケーキを作るときは、牛乳の代わりに豆乳や水を使ってケーキを作るようにしましょう。

ホイップクリームを無糖のプレーンヨーグルトや豆腐に置き換える

ホイップクリームは植物脂が原材料ですので、肥満の犬には食べさせられません。乳製品が含まれているので、牛乳アレルギーのある犬にも食べさせられません。ホイップクリームを無糖のプレーンヨーグルトを使用することでカロリーダウンが図れます。また、乳製品アレルギーがある場合は豆腐を使用すると良いでしょう。

メレンゲに注意する

メレンゲは卵白から作られるため、卵アレルギーのある犬に食べさせないようにしてください。

専門家のコメント

買ってきたケーキを、一口だけ愛犬にあげたいと思うことがあるかもしれませんが、私たちにとってはほんのひと匙でも、犬にとってはお茶碗で食べるくらいの量に相当してしまいます。生クリームは脂肪分が多く、肥満や消化不良、アレルギーの原因となるため、なるべく愛犬には与えない方がいいとお考え下さい。けれども、クリスマスや年末に向かう時期には、愛犬にも家族同様に年の瀬のわくわくした気分を味わって欲しい気持ちになりますよね。そんな時は、代替の食材を使用した犬用ケーキを手作り、または購入するという方法を選ぶのがいいかもしれません。

監修/堂山有里先生(獣医師)

監修/堂山有里先生(獣医師)
バーニー動物病院千林分院分院長。日本獣医動物行動研究会、獣医皮膚科学会所属。ペット薬膳管理士、中医学アドバイザー。動物病院でペットの診療にあたる傍ら犬猫の手作りご飯教室や問題行動のカウンセリングを行いペットと人が幸せに暮らすお手伝いをしている。

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